複雑・ファジー小説

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スピリットワールド【合作】
日時: 2017/11/03 17:10
名前: 弓道子&日瑠音&凜太郎&雅 (ID: LCLSAOTe)

この作品は合作です!

こんにちは、あるいははじめまして!
雅と申します! 今回は弓道子さん、日瑠音さん、凜太郎さんとともに合作という形で、この物語を書いていきます
読んでくださる方も含めて、みんなで楽しんでやっていきたいです!
よろしくお願いします!                               雅

どうも、最近転んだだけで骨折した凜太郎です!
初めての合作で変な部分もあるかもしれませんがよろしくお願いします。
                           凜太郎

こんにちは、日瑠音と申します!
私も初めての合作でとても緊張してますが、よろしくお願いします!
日瑠音

遅れてすみませんでした…
弓道子です!! もう迷惑かけんよう頑張るので
みなさん 温かい目で読んでください!

弓道子


〜目次〜

登場人物

空編  >>001>>003>>006>>010>>014>>017>>019>>021>>024>>026>>028>>030>>032>>034
    >>036>>038>>040>>042>>044>>046>>048>>050>>052>>054>>056>>058
    >>060>>062>>064>>066>>068>>070>>072>>074>>076>>078>>080>>082
    >>084>>086>>088>>090>>092>>094>>096>>098>>100>>102
    >>104>>106>>108>>110>>112>>114
時雨編 >>005>>009
椿編  >>004>>008>>012>>016>>018>>023
伝斗編 >>002>>007>>011>>013>>015>>020>>022>>025>>027>>029>>031>>033>>035>>037
    >>039>>041>>043>>045>>047>>049>>051>>053>>055>>057>>059>>061
    >>063>>065>>067>>069>>071>>073>>075>>077>>079>>081>>083>>085
    >>087>>089>>091>>093>>095>>097>>099>>103>>105>>107>>109
    >>111>>113>>116>>118

Re: スピリットワールド【合作】 ( No.34 )
日時: 2015/11/14 22:52
名前: 凜太郎 (ID: 1Fvr9aUF)

 今何が起きたのか、僕には理解できなかった。
 二人の少女が僕に近づいてくる。
 僕は震える声で、呟いた。

『なんで・・・僕は生きているんだろう・・・』

 今の呟きは、誰にもきかれなかったようだ。

−−−

 目を開けると、読みかけの小説が広がっている。
 気付けばうたたねしていたようだ。
 僕は本を閉じて、ゆっくりと伸びをした。
 断片的に記憶は戻りつつある。
 少しずつ記憶が戻って分かったのだが、どうやら僕は昔から不幸体質なようだ。
 悲しいかな。
 まぁ、どうでもいいけど。
 僕は椅子から立ち上がり、ドアを開ける。
 すると、ちょうどラキがドアの前に立っていたので、ぶつかってしまった。

「あ、ごめんなさい・・・。何度か呼んだけど、出てこなかったので」
「いや。僕こそごめん。うたたねしてて」
「そうなんだぁ。とりあえず、ご飯の準備できたから、食べよう」

 一緒に一階に下りた僕は食卓を眺める。
 今日は、野菜スープにパン。ハンバーグにサラダか。
 いつもよりちょっとだけ豪華だな。
 僕とラキは向かい合わせに席につき、食事をとる。
 あの革命軍のリーダーに関してはあえて触れないでおく。
 いつものように他愛のない会話をしながら完食。
 居候の身なので、少しでも役に立とうと皿洗いをする。
 ラキはそれにお言葉に甘えて、魔法書を読んでいる。
 読むのがめっちゃ早いので、最初は少しビビった。
 そういえば、この国の識字率は想像以上に高い。
 なんと、この国の人間は100%が文字の読み書きができるらしい。
 しかも、英語は半数以上が扱えるらしい。
 僕もなぜか難なく使えるが、原因は不明だ。

『なぁなぁ空。勉強教えてくれよ』
『俺は馬鹿じゃねえよ。お前ができすぎるんだろうが』

 あぁ・・・頭が痛い。
 僕は洗い終わった皿を棚に並べ、部屋に戻る。
 枕に顔をうずめる。
 ダメだ。記憶が蘇ってはダメだ。
 脳内のもう1人の自分がそう言うのが聴こえる。
 目を逸らすなっていう声も聴こえる。
 やめてくれ・・・。
 嫌な感覚だ。
 頭が、頭が痛いんだよ。

『空。もう何分経ったと思ってるんだ?』
『空ひっかかりすぎだよ〜。意外と単純なんじゃん?』
『空さん。大丈夫ですか?』

 ドクン、ドクン、と鼓動が早くなる。

『ごめん。勉強教えてくれよ?頼む。この通りだ』
『空ってホント完璧だよね〜。イタズラにひっかかりやすいところ以外は』
『空さんはなんで言い返さないんですか?』

「やめろッ!」

 どこにでもなく、そう叫んだ。
 汗がすごい出ている。
 なんでこんなに記憶が蘇るのが嫌なのか、よく分からない。
 でも、ダメなんだ。
 よく分からないけどダメなんだよ。
 ごめんなさい。僕はヘタレです。
 弱虫です。
 治せそうには、ないです。

Re: スピリットワールド【合作】 ( No.35 )
日時: 2015/11/23 17:41
名前: 雅 ◆zeLg4BMHgs (ID: KNtP0BV.)


立ち込める血のにおい。腐った肉のにおい。
どれにも大きな白い布がかけられている。ご丁寧に。

「この棚に遺体引き取り先と名前と描いてある、まあ簡単に言うと『籍』がある。
これ読んで遺体を分けてくれ」
「これ、籍? なるほど、なるほど……」

俺は今耐えている。とても必死に耐えている。
が、たぶんそろそろ限界だ。

「……サラマンダー、俺、ちょっと外いっていい?」
「お前、声震えてるぞ 顔色も悪い……真っ青だ」
「ちょっと、ね……」

そして、俺はそっと部屋を出て……
こみ上げてきたものをすべて吐き出す。

「おえっ…ぐ、ゲホッ……」

……だって、普通に異常だろ。
その狭い部屋になんであんなにも死体敷き詰めちゃうわけ?
そもそもまず死体っていう時点で無理だわ。吐き気がする。
戦場って言っても、やっぱり俺は俺。

「……ただいま。で、俺は何すればいい?」
「目が死んでるぞ」
「へーき、へーき」

強がってみたけど、まだ胸に違和感が残っている。
あー、吐きそう。もう一回吐きそう、吐くわ。

「この籍を見てシルフに遺体を運ばせ……れないな
とりあえず遺体を俺の言うとおりに分け……大丈夫か?」

サラマンダーが言い終えるより早く俺は外へ。
あー、気持ち悪っ。朝ほとんど食べてないから胃液みたいなのしか出ないけど。
「あー、すっきり」とか言ってみせる俺に不信な顔をするサラマンダー。

「……」
「そんな顔すんなよ、サラマンダー 大丈夫だって、慣れなきゃな」
「じゃあ……この籍を使って……」

サラマンダーの指示を聞いて、とりあえず一連の流れを頭に入れる。
あとはこの環境になれるだけ。
俺は次の布を取ってその死体を確かめ……。

—————

目の前に、夕焼け色の雲が見えた。

「あれ……?」

おかしいな、俺さっきまで遺体処理の部屋にいたはず。
なのに、俺は外で横になっていたようだし、しかもサラマンダーが俺の脚を枕にして寝ている。
……たぶん、あれだ。血とかを見た俺がぶっ倒れたパターンだな。
かっこ悪! でも死体見ることなんか滅多にないし、いいよな?
別に俺悪くないよな? 悪くない! 悪くないぞ!
それにしても何でサラマンダーまで一緒になって寝てるんだ。
無防備にしやがって、お前本当にリーダーの自覚あるのか?
ちょっとその真っ黒な髪に触れると、彼は寝ぼけているのか、その手をつかみ、

「いででででで! 痛い! サラマンダー! 握るな! 手首折れる、ギシギシ鳴ってるっ!」
「……お前な、気を失うくらいなら早く言えよ
俺はお前を運び出すのに疲れたんだ あとお前軽いから、もっと食え」

起きてる!? 今起きた!? どっちか知らないけど、手首手首!
俺細いから! スマートだから! 折れちゃうって!! 離せぇ!

「痛い! マジ痛いから! 次から気をつけるってば!」
「うん、気をつけろ」

サラマンダーはようやく手を離した。
この馬鹿。か弱い俺に何てことするんだ。
そして握力強え。

「……なあ、リーダーってもしかして握力とかで決めてんの? 腕相撲とか」
「そんなわけないだろ 普通に実力だ、実力」
「だってお前、弱そ……痛い! ごめんなさい! リーダー様は強いです、はい!」

サラマンダーはこちらをじろっと睨んで俺の手を離した。
うわー、手首に赤く手の跡が残ってる。どんな力で握ったんだ、こいつ。
そういえば、昨晩も戦場での迫力はすごかった。
なんか……うん、すごかった。具体的に思い出せないけどすごかった気がする。
足速いし。
でも、今、ちょっと寝ぼけたような顔でムクリと起き上がる姿は、どこか幼さも感じさせる。
年は俺とそう大差はなさそうなのに、革命軍のリーダーって言うのも、違和感しかない。
そういえば、ドラゴンとか何とかって言うのも気になる。どう見ても人間だし。

「ぼーっとしててもいいが、おいていくぞ」
「……あ、うん」

先を歩くさほど大きくもない背中。その影を踏んで、俺は考える。
……サラマンダー、お前は何者だ?

Re: スピリットワールド【合作】 ( No.36 )
日時: 2015/11/23 20:51
名前: 凜太郎 (ID: 1Fvr9aUF)

「やぁ、よく来たね」

 翌日。朝早くにラキに叩き起こされ、何事かと思いきやなんと国王様からの呼び出しでした。
 ちゃんちゃん。

「えっと、一体何の用ですか?」

 僕はそう言いながら辺りを見渡す。
 豪華な造りの王室。
 言葉で表せないくらいに豪華。
 まさに絢爛豪華といったものだろうか?
 ごめん。同じ言葉重ねすぎかもしれないけど、この状況を表すには豪華としかいいようがないんだ。

「珍しいかい?僕は見飽きてしまったからね。おっと、用だったね。いや、一昨日の戦地では大活躍だったらしいじゃないか」
「大活躍なんて・・・僕は、ただ自分がやるべきことをしただけです」
「謙遜しないでくれ。まぁでも、自信を持ちすぎるよりかはマシかな」

 改めて見れば、国王もすごく、その・・・若すぎるのだ。
 どれだけ見積もっても20代前半。
 オレンジ色の髪に紫色の目の青年だった。

「それで、えっと・・・一昨日の戦いがどうかしましたか?」
「いやね?あの時の金を払っていなかったからね。ついでに雑談でもどうかなって」

 国王と雑談なんて、主に僕の精神ポイントが削れてしまう。
 正直、緊張で膝はガクガクしている状態なんだ。

「そういえば、まだ自己紹介していなかったね。僕の名前はクリス・ド・リチャード。って、知ってると思うけど」
「いえ、情報に疎いもので・・・。僕はソラです」
「あはは、知ってるよ。いやはや、同年代の知り合いなんて、いないものでね」
「センさんがいるじゃないですか」
「彼とは話が合わないのさ」

 あれ?意外と普通に喋れる。

「僕は、ずっと城で暮らしていたからね。友人なんてこれっぽっちも作ったことなんてなくってね」
「僕には、いたのかすらわかりませんけどね」
「記憶喪失だったっけ?大変だね。どうだい、僕と友達にならないかい?お互い、同年代の男児での知り合いなんていないだろう?」

 たしかに、ラキは女子だし、こうして考えると男子での友人なんて持ったことなかったな。
 ちなみにこの場合デントは例外だ。
 仮に彼が友人だったとしても今は敵同士だからな。

「いいですよ。今日から僕たちは、友達です」
「嬉しいよ。生まれて初めての友達だ」

 そう言って右手を差し出す。
 僕もそれを握ろうとした。
 直後、傷だらけの兵士が入ってきた。

「国王様!大変ですッ!革命軍が攻め込んできましたッ!」
「またか・・・ソラ君。悪いが、君も革命軍の殲滅に当たってほしい」
「当たり前ですよ」

 笑顔で応える。
 さて、新しくできた友人のためにも、戦いにいきましょうか。

Re: スピリットワールド【合作】 ( No.37 )
日時: 2015/11/24 21:15
名前: 雅 ◆zeLg4BMHgs (ID: KNtP0BV.)

次の日、俺は相変わらずサラマンダーのベッドで目覚めた。
そろそろ敷布団でいいから用意してほしい。
そして、今日は隣にサラマンダーがいない。もう起きたのか?
そして食卓(切り株?)に向かうと、ノームが一人で朝食を食べていた。

「おはようございます、トライデントさん」
「……おはよ あと伝斗でいいから」

うーん、なんかむずむずする。
やっぱり朝の挨拶なんて久しぶりすぎて、慣れない。
今日の朝食は———豆。

「……こんだけ?」
「ええ、今日はシルフが動けないので」

ああ、そうか。シルフが大抵の食べ物集めてるみたいな感じだったもんな。
これはさすがの俺も腹が減るわ。おなかギューギュー鳴ってる。
ノームといい、サラマンダーといい、何故あのがっしり体型を維持できるんだ。

「サラマンダーは?」
「リーダーは、ちょっと戦争仕掛けに行ってます」
「ふーん……そうなんだぁ……」

戦争ってそんな簡単に言えちゃうものなの?
何その『ちょっとコンビに行ってくる』みたいな。軽ッ。

「でもトライデントさんが来てからちゃんとベッドで寝るようになったし……。
……変わらず睡眠時間は短いようですが」
「ああ、あいつ何時に起きたの? ……あと俺は伝斗でいいってば」
「さあ、いつも10時に寝て2時に起きてましたが、今はどうなんでしょう」

……。
何、あいつって馬鹿なの? 睡眠時間は大事って教わってないの?
子供は寝て育つのに、あいつこれ以上背が伸びなくてもいいのか?
そんなんだと今は変わらない身長もあっという間に俺が伸びるぞ! 成長期の恐ろしさ、見せてやるよ!

「そういえば、何であんな幼いやつがリーダーなんだ? もっと強そうな人がいるのに」
「いえいえ、リーダーほど強い人はなかなかいませんよ」

そうか? 俺にはノームのほうが断然強そうに見えるけど。
力なんて雲泥の差だろうし、経験もあるし。
それにあいつ革命軍とか、人間は敵みたいなこと言って、人間だし。
なんていうか、根本が馬鹿?

「まあ確かに、もともと彼の父親がリーダーだったと言うのもあるかもしれません
でも、彼は強いですよ 勇気があるというか、私たちが躊躇うようなこともやってのける」
「父親?」
「ああ……彼の父親はドラゴンなんです」

ノームが微笑みながらいった。そしてその瞬間、俺の頭が酷く混乱した。

「あれ……あいつ人間だろ? 親がドラゴン? 親ドラゴン?
 あいつが子ドラゴン? 子供がドラゴン? コドモドラゴン? コモドドラゴン?」
「あ、えっと……彼はですね、わかりやすくいうと……」

と、ノームのとっても分かりやすくて、とっても長い説明をまとめると、
・サラマンダーは父親がドラゴン、母親が人間という世にも珍しい混血種。
・容姿が人間なのはおそらく遺伝子的に人間の要素が強く出ているから。
・一応ドラゴンの容姿にもなれるが、体力の消耗が激しいので、日常生活のほとんどを人間の姿で過ごしている。
・しかし、彼はあくまでドラゴンだと主張しているので、まあそういうことになっている。
……ちなみにここまで理解するのに30分はかかったと思う。

「なんか難しいけど、要するにハーフなんだな
リーダーやってるのは単純に父親のあとを継いでるだけ」
「いや……そうでもないんですが……まあ、詳しいことはまた今度お話します」

複雑なんですよ〜、とノームは微笑んだ。
この人、見た目ごついけど表情とか、すごく優しい感じがする。
……お父さんって、感じ。
まあ俺にはよくわからないけどなー。

「さて、私はまた畑にでも行ってきます
向こうの街とかに顔を出してみてはどうですか? あなたは……人間ですし」

……。
あ、そっか。俺人間か。サラマンダーに対して疑問だいてる場合じゃないんだった。

「うーん、まあちょっと気になるし、いってこようかな」
「気をつけてくださいね、こちらより治安もよくて穏やかですけど、危険が潜んでいますから
あと、私はお金を持っていないんで、お小遣いとは言えませんが」

ノームに渡されたのは、袋に入った豆。
要するに、腹が減ったら食えって事か、物々交換しろって事かな。
お礼言って、腰に袋をつけて、町に歩き出した。

Re: スピリットワールド【合作】 ( No.38 )
日時: 2015/11/26 21:30
名前: 凜太郎 (ID: 1Fvr9aUF)

「うわぁ・・・うわ、わぁぁ・・・」
「さっきからこのガキうぜぇ!」

 敵の兵士を相手にし始めて10秒経っただろうか。
 向こうは必死っぽいんだけどハッキリ言って弱い。
 元々訓練とかには時間とか割いてないのかな?
 もしくはすっごい弱いやつに集中させてるとか?
 さすがにそれはないか。
 僕はひとまず兵士の首を飛ばし、一度立ち止まった。
 しかし、なんていうか・・・。

「拍子抜けだな・・・」

 見た所、どの兵士もさほど強くない。
 正直僕がいなくても勝てそうな感じだ。
 そんなことを考えていた時、背後から殺気を感じた。
 咄嗟に振り返ると、大きな刃が目の前に迫って来ていた。

「うぐぁあッ!?」
「・・・ッ!かわされたか」

 なんとかしゃがみこみ、醜く転がることで距離をとる。
 見ると、この前のドラゴン少年がやけに長い刀を持ってその場に立っていた。
 よく見ると刀は炎を纏っている。
 ・・・・・・魔法か。

「まさかまた会うなんてな」
「ん?会ったことあったっけか?」

 あらら、記憶にも残ってませんか。
 さすがにそれはショックだな。

「一昨日の戦地で会ったよね?」
「悪い。真面目に覚えてないんだ」

 頭の中でブチッと音がした。
 僕は一気に距離を詰め、左手で持った刀を思い切り振った。
 甲高い音をたて、あっさり弾かれてしまう。
 僕はすぐさま体制を立て直し、右手に持った刀を首元に振る。
 しかし、それも弾かれる。
 ダメだ、これじゃあ先に僕の体力が尽きてしまう。
 僕は一度バックステップの要領で距離をとった。
 このままじゃダメだ。何か意表をつける攻撃をしかけなければ・・・。
 ん?意表・・・?
 僕は右手に持った刀を見た。
 もしかしたら、やれるかもしれない・・・。
 僕はすぐにサラマンダーに向かって突進した。
 サラマンダーは素早く刀を構える。
 それを見て僕は、刀を上空に投げた。

「えッ・・・?」

 サラマンダーはそれを見て驚いた顔をした。
 あたりまえだ。
 まぁつい昨日読んだ小説で出てた方法を真似しただけなんだけどね。
 僕はそのまま両手で刀を握る。
 強く踏み込み、振りかぶり、面ッ・・・。

『空〜。今日もやってんな〜』
『また部活サボったのか』
『いいじゃん別に』

 あれ、面って・・・たしか・・・ッ!

「サラマンダーッ!危ないッ!」

 どこからか聴こえた声にサラマンダーは我に返り、体を横にずらす。
 しかし、ザシュッと音をたててサラマンダーの体を斬った。
 鮮血が吹き出す。

「ぁ・・・ぁぁ・・・」
「つッ・・・」

 目の前で蹲るサラマンダー。
 そして近くの地面に刀が綺麗に刺さった。
 今一瞬、記憶が蘇りかけた・・・。
 多分、もしかしたらもうすぐ記憶が戻るのかもしれない。
 いや、今はどうでもいいか。
 僕はゆっくりと、刀を振り上げた。

「リーダーッ!」

 このリーダーは、一体どれだけ人望が厚いのだろうか。
 気付けば腹部に激痛が走り、僕はその場に倒れこんだ。
 見れば、腹にナイフが刺さっている。
 誰に刺されたかは分からない。
 僕の意識はゆっくりと霞んでいった。


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