複雑・ファジー小説
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- 『受拳戦争』
- 日時: 2020/06/10 10:58
- 名前: 四季彩 (ID: EZ3wiCAd)
彩都さんと四季の合作です。
合作といっても、企画や世界観・キャラクターの名前や原形、プロットなどは、彩都さんです。
四季はキャラクターの口調を考えたくらいだけのもので、執筆係です。
よろしくお願いします。
スレ立て 2017.11.19
投稿開始 2017.11.20
プロット停止のため連載停止 2020.3.17~2020.3.23 2020.6.11~
- Re: 『受拳戦争』 ( No.58 )
- 日時: 2018/10/29 20:02
- 名前: 四季 ◆7ago4vfbe2 (ID: DMJX5uWW)
ゲーム喫茶での対決は、いよいよ最終戦へ。
最後のゲームは『格闘ゲーム』だ。
3年1組の中からは、今のところまだ一戦もしていなかった、半天。
対戦相手は、染宮 空浪(そめみや うつろ)という、巨乳の少女。
「袖槻 半天!いきます!」
ようやく自分の番が回ってきた半天は張りきっている。発する声にはしっかりとした張りがあり、とても聞き取りやすい。
「よっ、よろしく……お、お、願いします……」
対する空浪は、何かに怯えているような喋り方。
半天とは真逆である。
「では五人目。今度は格闘ゲームで戦ってもらうよ。これが最後だから、勝てるように、両者、頑張ってねぇ。重要だよ」
展翅は穏やかな口調だった。それに加え、顔には優しげな笑みが浮かんでいる。彼女は、二メートルは優にある大きな体には似合わない、柔らかな雰囲気を醸し出していた。
「準備はいいかな?」
展翅が確認すると、半天と空浪はそれぞれ応じる。
「もちろんですっ!」
「は、は……はいっ。が、頑張り……ます」
両者の同意を得た後、展翅は、格闘ゲーム対決の開始を告げた。
開始早々、半天は積極的に攻め込んでいく。反撃の隙を与えず、一気に倒しきろうと考えているのだろう。半天としては、長期戦に持ち込ませずに勝つことを望んでいる様子だ。
そんな積極的な攻めに、空浪はやられ放題になってしまっている。
しかし彼女は諦めていない。
ゲーム慣れしていない彼女がここまで追い込まれた光景を見れば、誰だって、「半天が勝つ」と思うだろう。だが空浪はまだ、負けるとは思っていない様子だ。
その後もしばらく、半天が有利な状況で戦いが続いた。
空浪は、ゲームというものをあまりプレイしたことがない。また、格闘ゲームとなると、ほぼ一度も経験がなかった。
一方の半天は、少しだが、格闘ゲームの経験がある。といっても、友達同士で遊ぶ程度に過ぎないが。
「これで終わりですっ!」
「うぅ、う……ま、負けませ……ん……!」
しかし、途中で少しずつ状況が変わってきた。
半天の攻撃が命中しなくなってきたのである。
「か、かわされたっ!?」
空浪は事を把握する能力に長けていたのだ。
- Re: 『受拳戦争』 ( No.59 )
- 日時: 2018/11/04 16:41
- 名前: 四季 ◆7ago4vfbe2 (ID: w1J4g9Hd)
開始からしばらくは、半天が、圧倒的に有利な立場にあった。完全に圧倒していたのだ。しかし、時間が経過するにつれ、その状況は徐々に変わってきた。空浪が上手く操作できるようになってきたのである。
「そっ、そう易々と……負けたりは……しません……」
巨乳の少女——空浪は、懸命に戦う。
最終戦、『格闘ゲーム』による半天と空浪の対決は、熾烈な戦いとなった。
どちらも引かない。実力は互角。
そんな状態で繰り広げられる対決といったら、かなり凄まじいものであった。
「格闘ゲームはやったことがありますっ!だから、ボクの勝ちです!」
「ま……負けたりしません……」
ここまでくれば、もはや心の勝負だ。
いかに心を強く持てるか。そして、どれだけ勝利へ執着することができるか。それらが、勝ち負けを決める。
3年1組メンバーの半天を除く四人——小坂、春夏冬、永保、灯が見守る中、対決は続いた。
そして、ついに勝負がつく。
「決まったねぇ。……最終戦、袖槻 半天の勝利!」
その瞬間、半天以外の3年1組メンバー四人からも歓声があがった。もちろん、半天も喜んでいる。
「やったカン!あてぃしらの勝ちカン!」
「吾が輩たちの勝利」
「勝った勝ったやった!でんな」
「袖槻さん、素晴らしい戦いでした。わたし、感動です」
盛り上がっているところへ、展翅が口を挟む。
「3年1組の完全勝利だねぇ。素晴らしい!そして、両者ともお疲れ様!」
その言葉を聞くや否や、半天は、何かにとり憑かれたかのように踊り出す。
両腕は天に向かって真っ直ぐ伸ばし、上半身は左へ下半身は右へと中心からずらす。そして、足を交互に「ル」の字のように曲げながら踊っている。三秒に一回ほどは唇を尖らせるのが、印象的だ。
——その後、半天らは先に戦っていたメンバーと合流した。
しかし、三殊たちと合流することはできなかった……。
- Re: 『受拳戦争』 ( No.60 )
- 日時: 2018/11/04 16:43
- 名前: 四季 ◆7ago4vfbe2 (ID: w1J4g9Hd)
安芸井 春夏冬(あきい あきなし) 男 好きな色 黄色
牛阪 牛歩(うしさか ぎゅうほ) 15歳 男 好きな色 黒
皇崗 黄銅(おうおか おうどう) 15歳 男 好きな色 茶色
王城 琢磨(おうじょう たくま) 15歳 女 好きな色 白黒
大江戸 芳野(おおえど よしの) 好きな色 銀色
隠岐 翡翠(おき ひすい) 女 好きな色 紫
教 鏡花(おしえ きょうか) 15歳 女 好きな色 透明
音張坂 環視(おとはりざか かんし) 15歳 男 好きな色 緑
時雨野 芳隆(しぐれの よしたか) 15歳 男 好きな色 黄土色
釈迦医師 多々良(しゃかいし たたら) 15歳 男 好きな色 白
白神 神黒(しらかみ かみくろ) 15歳 女 好きな色 灰色
四六時中 灯(しろくじちゅう あかり) 15歳 女 好きな色 赤色
袖槻 半天(そでつき はんてん) 男 15歳 好きな色 クリーム色
空井 飛翔(そらい ひしょう) 15歳 男 好きな色 濃緑色
田井中 鈍器(たいなか どんき) 15歳 男 好きな色 赤茶色
多美浪 小坂(たみなみ こさか) 15歳 女 好きな色 ピンク色
筒岡 陸羽(つつおか りくう) 15歳 男 好きな色 青色
土居 十六(どい いざよい) 15歳 女 好きな色 黄緑色
呶呶 土豪(どど どごう) 15歳 男 好きな色 迷彩色
呑道 枯淡(どんどう こたん) 男 15歳 好きな色 藍色
奈緒 三殊(なお みこと) 15歳 男 好きな色 なし
冷褪 麗(ひやさめ うらら) 女 15歳 好きな色 桃色
不二 海斗(ふじ かいと) 15歳 男 好きな色 こげ茶色
藤原 芳香(ふじわら の よしか) 15歳 女 好きな色 色の感覚が無いので分かりません。
宝永 永保(ほうえい えいほ) 15歳 男 好きな色 銀色
真実坂 事実(まみさか ことみ) 女 15歳 好きな色 橙色
冥 魔宵(めい まよい) 15歳 女 好きな色 緑青色
目盛 秤(めもり はかり) 15歳 女 好きな色 青紫色
桃井 花園(ももい はなぞの) 15歳 女 好きな色 きつね色
芳澤 蜂窩(よしざわ ほうか) 15歳 女 好きな色 青空色
- Re: 『受拳戦争』 ( No.61 )
- 日時: 2018/11/12 18:26
- 名前: 四季 ◆7ago4vfbe2 (ID: Slxlk2Pz)
第九章 十二ん十色の戦いと、十二人の戦闘者達、十二色の彩り、十二(とに)かく、強い強者
三殊ら3年1組メンバーは、次の部屋に進む。そうしてたどり着いたのは、雪に包まれた部屋だった。
その部屋の真ん中には、一人の男性が立っていた。
男性でありながら、陶器人形のように白い肌。細い体をしていて、スタイリッシュな姿である。
「こっちに来い」
彼は三殊らに気づくと、静かに指示した。
指示に逆らうというのも何なので、三殊ら3年1組メンバーはそちらへ向かう。
「我が名は小柳津 真臘(おやいず しんろう)」
色白のスタイリッシュな男性——真臘は、相変わらず静かな声だ。無論、静かなのは声だけではない。表情も、である
「此処から先に進みたければ、雪合戦をしろ」
真臘の発言に、三殊を含む3年1組メンバーたちはどよめく。彼の発言をすぐには理解できず、「雪合戦……?」という空気になっている。
「相手は彼らだ」
三殊らはそう言われ、相手の学校の生徒と思われる者たちへと、視線を向けた。最初は「雪合戦の相手はあの学校の人たちかな?」と思っていた三殊だったが、よく見ると、生徒ではなく笠を被ったお地蔵さんのようなロボットだった。
「ロボッ……ト……?」
驚いた三殊は、思わず漏らす。
「今回の雪合戦の相手は、あのロボットだ!」
真臘ははっきりと叫んだ。
これまでの静かな雰囲気とは、少々違った声の発し方だ。
その発言に、三殊はかなり動揺していた。まさか、笠を被ったお地蔵さんのようなロボットが敵として出てくるとは、微塵も予想していなかったからである。
この時ばかりは、多々良でさえ、驚き、眉を動かしていた。
「驚いているようだな。だがこれが現実だ、受け入れるほかあるまい。予想外の展開にも極力スムーズに対応する能力というものも、人には必要な能力だ」
確かに、と三殊は思った。
真臘は、色白でスタイリッシュな容姿からは想像できないような、教育者としての才を持っているのかもしれない。
- Re: 『受拳戦争』 ( No.62 )
- 日時: 2018/11/19 15:06
- 名前: 四季 ◆7ago4vfbe2 (ID: 5VHpYoUr)
「では、ルールを説明しよう」
真臘が切り出す。
こうして、ルール説明が始まった。
「まず、雪玉は色つきのものを使用する。ちなみに、色つきの雪玉は私が既に用意しているから、そこは心配せずとも良い」
淡々とルール説明を行う真臘。
三殊らは皆、彼の説明を、真剣な顔で聞いている。
「両チームとも、全員に、白い服を着て戦ってもらう。そして、どちらが多く相手の服に色を付けられたかによって勝負が決まる」
それが色つきの雪玉を使う理由のようだ。
「制限時間は五分」
たった五分間の雪合戦。
三殊は、「これまた、なかなかハードな戦いになりそうだな」と、密かに思っていた。
「ルールは分かったな」
「はい」
三殊ら3年1組メンバーは、揃えて返事をする。
「いいな?忘れるなよ」
「はい。忘れません」
「本当に忘れるなよ?分かっているな?」
「はい」
真臘は何げにしつこい。何度も何度も確認する。
「返事が小さい。それでは、分かっている、ということが他人に伝わらない」
「はいっ。気をつけますっ」
「声が小さい!」
「はい!」
「もっとはっきりと!」
「はいっ!」
妙なところで厳しい真臘だった。
「よし。では、メンバーを選出せよ」
「「「はいっ!!!!」」」
こうして、三殊らはメンバーを選出しようと、話し合いに入る——が、牛坂 牛歩(うしさか ぎゅうほ)が、すぐに手を挙げた。
「ぎゅうぎゅうが一人でする」
手を挙げた彼は、周囲の視線が自分に集まったことを確認するや否や、そう宣言した。
三殊らに戸惑いの波が広がる。
だが、『ルール上、人数のことはいっていないので、セーフだろう』と、三殊は判断した。もちろん、他のメンバーたちもそれに同意。結果、ここは牛歩に任せるということに決まった。
三殊ら3年1組は、牛歩の雪合戦を見守るべく、その場に居続けようとしていた。しかし、牛歩が「先に行っておいてくれるかなかな」と言ったため、三殊らはまたしても、仕方なく先へ進むことにした。
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30