複雑・ファジー小説
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- 『受拳戦争』
- 日時： 2020/06/10 10:58
- 名前： 四季彩 （ID: EZ3wiCAd）
彩都さんと四季の合作です。
合作といっても、企画や世界観・キャラクターの名前や原形、プロットなどは、彩都さんです。
四季はキャラクターの口調を考えたくらいだけのもので、執筆係です。
よろしくお願いします。
スレ立て 2017.11.19
投稿開始 2017.11.20
プロット停止のため連載停止 2020.3.17~2020.3.23 2020.6.11~
- Re: 『受拳戦争』 ( No.108 )
- 日時： 2019/09/16 05:21
- 名前： 四季 ◆7ago4vfbe2 （ID: 3i70snR8）
伊良部は倒れた。
あの無敵とも思われた男を、三殊たちは、３年１組メンバーの絆によって倒したのだ。
ここまでとても長い戦いだった。そして、厳しい戦いでもあった。それでも、皆で協力してきたから、今この場所にたどり着くことができているのだ。一人一人が全力を出し、それでも足りないところは仲間同士で補い合って。そうやって歩んできた先に、今がある。
「ウティら、力合わせたら最強っちょ！」
勝ち誇ったように声を出すのは、芳野。
「これは良き結果です」
力に満ちた声を発した芳野に続けるのは、芳香。
彼女は芳野が製作した機械だ。けれども、ＡＩが搭載されているから、人に近い思考能力を持つことができている。だから、勝利を嬉しく思うことくらいはできるようだ。
「俺ら、最強だからな」
「あたくしたちの勝利！」
発するのは、海斗と鏡花。
「俺ら、ついにやったんだなっ。目標達成だなっ。目標達成のためには、やっぱ、一つ一つ積み上げていくことが大切なんだなっ」
続けたのは、サッカー好きの飛翔。
「アタシら頑張ってきたから、当然の結果だぜ」
「伊良部くんなんて、たいしたことなかったようだよ」
今度は、秤と陸羽。
ちなみに、ここだけの話、秤は陸羽のことを密かに好きだったりする。残念ながら、陸羽は秤を好んでいないようだが。
「はななの活躍あってこそぉ！」
「僕たちも努力しました」
発したのは、花園と芳隆。
「伊良部だっけ？あのおっさん、ホーントしょぼかったな！」
蜂窩は相変わらずの毒舌さ。
もっとも、３年１組の皆は慣れているから特に何も言わないけれど。
「まよいたちの勝ちなのなの」
「魔宵は怪我してないかなかな？」
「子ども扱いするななのなの！」
魔宵と牛歩は穏やかな精神状態を取り戻している。幼馴染みというだけあって、二人は仲良さげだ。
- Re: 『受拳戦争』 ( No.109 )
- 日時： 2019/09/23 20:16
- 名前： 四季 ◆7ago4vfbe2 （ID: JbPm4Szp）
「我は白黒ハッキリさせないと気になって仕方がない。それゆえ、このような結果を見ることができて良かったと言いたい」
そう述べたのは、神黒。
白いタイツにピンクのレオタードという新体操スタイルをいつも身にまとっている少女だ。
「上手くいってホンマに良かったわ！」
やや呑気に聞こえる調子で言ったのは土豪。
彼はいつも関西弁のような喋り方をする。そのため、普通なら軽い雰囲気を漂わせてしまいそうなものだが、彼においてはそんなことはない。というのも、彼は不良のような外見だからだ。
ただ、悪人ではない。
不良風な外見なだけで。
「貴様の言う通り」
「ちょ、貴様て俺のこと!?」
「それ以外には誰もいない」
土豪に話しかけられるのは、三殊たちだけだ。
なぜなら、土豪の本当の姿を理解しているのが彼らだけだから。
「あたいらの勝ちじゃん！スゲー！やったじゃん！」
威勢よく叫びつつ豪快にガッツポーズをするのは、琢磨。
男の子のように見える彼女、実は巨乳である。しかし、サラシを巻いて胸を潰している。そのため、彼女が隠れ巨乳であることに気づいている者はそんなに多くない。
「わ、わたくしも……喜んで良いのでしょうか……？」
黄銅は遠慮がちに身を縮めながらも、微かに嬉しそうな顔。さらに、近くにいた琢磨から「当たり前じゃん！」と言われ、その後はますます嬉しそうな顔つきになっていた。
「喜びたい時はさ、喜べばいいじゃん！」
「そうなのですね……！ありがとうございます……！」
少し気が弱い黄銅と、勢いがある男子のような琢磨。
悪くない組み合わせだ。
真逆のような性格の二人ではあるが、性格が似ていないから仲良くなれないということはない。むしろ、似ていない者同士の方が親しくなりやすいくらいである。
伊良部に勝利し歓喜する３年１組の仲間たちを見て、三殊はそっと微笑む。
彼もまた、この大きな勝利を嬉しく思っている一人だ。
努力を積み重ねると同時に、自然と積み重なっていた絆——それが最後に助けてくれるとは、その時が来るまでちっとも気づいていなかったけれど。
- Re: 『受拳戦争』 ( No.110 )
- 日時： 2019/09/30 21:18
- 名前： 四季 ◆7ago4vfbe2 （ID: 7hcYnd26）
喜びの声はまだ鳴り止まない。
「ずっと積み重ねてきたことがついに実を結んだんだな。良かった。本当に良かった」
一人喜びを噛み締めるのは、アマゾンやジャングルで過ごした珍しい過去を持つ十六。
積み重ねが実を結ぶ——それは彼女の人生にも言えることだろう。
彼女が厳しい環境下で養ってきた体力は、３年１組のためになった。誰よりも多い無尽蔵な体力は、３年１組にとっても、とても頼もしいものだった。
「ミーたち、ついにやったネ」
鈍器はただの生物係。
喋り方の癖が強い。
「カンも力になれたカン!?」
「あてぃしもなれたカン!?」
小坂は環視のことが好き。でも環視は翡翠のことが好きなのだ。小坂にとってはじんわり辛い三角関係である。
「勝てましたな。さすがですな」
ちなみに、当の翡翠は環視に好かれていることなどちっとも気づいていない。
「今回の活躍を見たら、みんな、このぼくに惚れるはずでんな」
「宝永さん、ユニークです」
永保と灯が珍しく話している。
こういう時は特別。だから、日頃の親しさなんて、あまり関係がない。日頃はさほど会話がなくても、いざという時には共に喜べるというのも、３年１組メンバーたちが築いてきた絆ゆえのもの。
「勝ってびっくりー」
事実はまだ、勝ったことに驚いている。他の人たちが喜んでいる中で、一人戸惑っているようだった。
「私たち勝てたね。力を合わせたら上手くいったね」
そう言ったのは、麗。
「ボクたちの勝利です！」
「オレら、ついにやったんだぞ！」
「これで夢が叶います！」
「やったぞ！半天！」
「ボクはこれから、ナイスバディ美女に囲まれてビーチに寝転び……ブッハァッ!!」
半天は鼻血を出して倒れる。
「まずは落ち着くんだぞ、半天」
「ビーチが……ナイスバディ水着美女が……見えます……」
「お、おいっ。昇天するな！」
夢を語りすぎて倒れ込む半天を見て、春夏冬は呆れ顔。
「馬鹿だ」
彼は完全に呆れていた。
ゴミを見るような目をしていた。
- Re: 『受拳戦争』 ( No.111 )
- 日時： 2019/10/07 23:39
- 名前： 四季 ◆7ago4vfbe2 （ID: n3KkzCZy）
３年１組メンバーは、皆、伊良部を倒したことに歓喜している。
大声で騒いでいる者、黙っているが嬉しそうな顔をしている者、安堵して座り込んでいる者、奇妙な舞を踊っている者、と、反応は人それぞれ。
ただ、誰もが嬉しくなり、浮かれている。
そんな中、多々良は一人伊良部を見つめている。
他の皆は余裕に満ちた表情でいるけれど、多々良だけは違う。彼だけは、まだ、勝ちを喜べていない。それは多分、これまで繰り返してきた人生のことがあるからだろう。彼は他の誰よりも伊良部のことを見てきた。だからこそ、倒れた伊良部を目にしてもなお、まだ「倒した」とは思えないのだ。
そんな多々良に、三殊は声をかける。
「もう終わったんだ」
多々良はふと三殊へ視線を向けた。
「彼はもう気絶して起き上がれないよ」
三殊は多々良の前世について聞いた。だから、多々良が伊良部を倒そうとどれだけ頑張ってきたのかを、三殊だけは知っている。だからこそ、三殊は多々良にホッとしてほしかった。戦いは終わったのだと、もう戦うことはないのだと、気づいてほしかった。
「……それもそうだな」
その時、多々良はようやく表情を緩めた。
口の端を歪ませ、笑う多々良。
多々良の笑みに気がついた３年１組メンバーは、「あー！あの無愛想な多々良が笑ってるぞー！急いで写真を撮れー！」と騒ぎ出す。
「ちょっ!?何なんだお前らはぁ!?」
多々良は戸惑っている。
が、３年１組メンバーたちのハイテンション発言は止まらない。
「笑っている多々良くんを見るのは初かもですぅ！」
「オレもだぞ！半天！」
「ひゃっふーひゃっふひゃっふー。ひゃっふーひゃっふひゃっふー。ひゃっふーひゃっふひゃふっふー」
半天は急に踊り出す。
両手をくねらせ、腰を動かし。
「ひゃっふーひゃっふひゃっふー！ひゃっふーひゃっふひゃっふー！ひゃっふーひゃっふひゃっふーひゃっふひゃっふーふふっふぅ！ひゃっふーひゃっふひゃっふー！ひゃっふーひゃっふーひゃっふぅ！ひゃっふーひゃっふひゃっふふーふひゃっふーひゃっふひゃっぷぅー！」
踊り出した半天に付き合い、枯淡も体を動かし出す。
「コタンコタンタンコタンコタン！コタンコタンタンコンタタタン！」
「ひゃっふーひゃっふひゃっふふー、ひゃっふーひゃっふひゃっふー、ぷぅぽぅ、ひゃっふーひゃっふひゃっふぅふぉうー！」
「コタンコタンタン！オレコタン！オレタチャビートナコタンコタンタン！」
二人の舞は終わらない。
「ひゃっふーひゃっふひゃっふー！ぴゃっふーひゃっふひゃっふー！しゃっふーしゃっふひゃっぷー！」
「オレタチャ！オレタチャ！ビートナコタンコタンタンコンタタタン！」
「ららっらひゃっふー！ひゃっふひゃっふーらら！」
「オレタチャビートナコタンコタンタン！ソシテトナリハ、ハンテテテン！」
- Re: 『受拳戦争』 ( No.112 )
- 日時： 2019/10/14 19:43
- 名前： 四季 ◆7ago4vfbe2 （ID: w93.1umH）
半天と枯淡の喜びの舞は、すぐには終わらなかった。
最初に踊り出した半天は、両手を上に上げ、右左右右左左右左、と、一秒ごとに動かす。足は交互に踏み締めているが、そのリズムは、タッタッタタッタンタタンッタッタッタタンタッという感じだ。
「ひゃっふーひゃっふひゃっふー！ひゃっふーひゃっふひゃっふー！うん！ぴゃっふーぴゃっふびゃっふー！あらったたったたあらたたたんたん。ひゃっふーひゃっふひゃっふー！ひゃっふーひょっふぴゃっふー！あらたたたんたんあらたんばりん！あらったたんたんだんだたん！」
一方、枯淡はというと、フラダンスのように両手を波打たせていた。が、足は、チアリーダーのように交互に高く上げている。
「コッタンコタン！コッタンコタン！コタコタゴタゴタゴッタンコタン！ウー!!コッタンゴダン！コッタンコタンタンメン！コタタゴタゴタゴッタンコタン！ウー!!」
枯淡は、さらに、側転を三回繰り返す。
「オゥーイエー！オゥーイエー！オゥオゥオゥオゥオゥイェールーズ!!オゥーイエー！オゥーイエー！オゥオゥオゥオゥオゥイェールーズ!!」
そこから後ろ向きに跳躍。
歌い出す。
「コッタンコタン！コッタンコタン！コタコタゴタゴタゴッタンコタン！ウー!!コッタンコッタンコタンコタコタゴタゴタゴッタンコタン！ウー!!コタコタゴタゴタゴタゴタウリュスェー！ゴッタンコタンコタコタコタン！コタンコタコダピピブプピピブプ！」
枯淡の舞は激しさを増す一方。だが半天も負けてはいない。
「ひゃっふーひゃっふひゃっふー！ひゃっふーひゃっふひゃっふー！ひゃふっハンテンひゃふっハンテン！ハンテンハンテンハンテテン！ウー!!」
二人が刻むビートに終わりはない。
「ひゃっふーひゃっふひゃっふー！あいうえりんりんあいりんりん！」
「コッタンコタン！コッタンコタン！コタコタゴタゴタゴッタンコタン！ウー!!」
「ひょっぶーびゃっぶみょっふー！あいうえりんりんあいりんくす！オゥフ！」
「オゥーイエー！オゥーイエー！オゥオゥオゥオゥオゥイェールーズ!!」
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