複雑・ファジー小説
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- 『受拳戦争』
- 日時: 2020/06/10 10:58
- 名前: 四季彩 (ID: EZ3wiCAd)
彩都さんと四季の合作です。
合作といっても、企画や世界観・キャラクターの名前や原形、プロットなどは、彩都さんです。
四季はキャラクターの口調を考えたくらいだけのもので、執筆係です。
よろしくお願いします。
スレ立て 2017.11.19
投稿開始 2017.11.20
プロット停止のため連載停止 2020.3.17~2020.3.23 2020.6.11~
- Re: 『受拳戦争』 ( No.8 )
- 日時: 2018/01/01 17:26
- 名前: 四季 ◆7ago4vfbe2 (ID: AwgGnLCM)
第二章 五月の五月蝿い五月雨の体育教師
武器を手に取った三殊たちは、サングラスをかけた白服の人間に、次の部屋へと案内された。
彼らの胸のうちに「これからどうなるのだろう」という不安は当然ある。いきなり武器を取らせるような学園だ、どんな物騒なことが待ち受けているものか。
しかし、もう迷うことはない。たじろぐこともない。
今はただ、前へ進むのみ。
白服に案内され着いたのは、アトラクションの部屋だった。
そこでは既に、3年1組以外の受験者たちがアトラクションに挑んでいた。血だらけで、だ。
足場が出たり引っ込んだりするような、一見単純そうなアトラクション。しかし下は真っ暗闇だ。転落すれば命はないに違いない。
「……うっ!」
慣れない血の匂いに、半天は吐きそうになる。しかし、鼻を強く押さえて匂いを防ぎ、何とか吐き気を掻き消す。
「おぉ!来たかっ!」
ちょうどその時、威勢のいい男性の声が聞こえてくる。三殊たちは声の方へ視線を向けた。
「よっ!」
声の主の男性は、片手を上げた。
肌は健康的な褐色で、白い髪をスポーツ刈りにしている。身にまとっているのは、ありがちな赤いジャージ。
いかにも熱血教師といった風貌である。
「俺の名前は、網田 張熱!熱血体育教師だ!よろしくなっ!」
がっちりした体つきとハキハキした声が印象的である。
それに加え、赤いジャージがピチピチなところも、なんとなく面白い雰囲気を漂わせている。もっとも、本人はいたって真面目なのだろうが。
そんな張熱は、なぜかガッツポーズをして、快活な声で命じる。
「お前らには今から、このアトラクションに挑んでもらう!」
三殊たちは、張熱が何を言うのがじっと聞く。
「このアトラクションをクラス全員でクリアしろ」
それが、熱血体育教師・網田 張熱からの、単純明快な指示だった。
- Re: 『受拳戦争』 ( No.9 )
- 日時: 2018/01/06 22:10
- 名前: 四季 ◆7ago4vfbe2 (ID: rE1CEdls)
「なんだ、簡単じゃん!それじゃ、あたしが一番乗りっ!」
微塵も迷いも感じさせない声ではっきり言ったのは琢磨。
彼女は言い終えると、躊躇いなく駆け出した。男子のような短い髪を風に揺らしながら。
「よし!半天、行くぞ!」
「このくらいならボクでも楽勝ですっ!これも全て将来のためですから!」
琢磨の次にアトラクションへ向かっていったのは、枯淡と半天。二人はなんだかんだでいつも一緒である。大小コンビと言えそうだ。
「ちょっと、みんな軽く考えすぎじゃ」
「冷褪さん、大丈夫。一緒に乗り越えましょう」
「灯ちゃん……そうだよね。励ましてくれてありがとう」
「冷褪さんが元気になってくれて嬉しいです」
裁縫上手の麗と謎の多い灯。彼女らが二人で話しているのは珍しい光景だ。しかも、大人しい灯が、麗を励ましている。
それからも、3年1組のメンバーは、次々アトラクションへ挑んでいった。そして、次々とクリアしていく。三殊も渋々ながら挑戦し、一度二度の小さな危機はあったものの、わりと簡単にクリアした。
そして、三殊を含む3年1組のメンバーは、部屋にある全てのアトラクションを攻略した。怪我人もなく、全員無事だった。
そして、案内されるままに次の部屋へと向かう。
実は三殊達のクラスには『運動や体を動かす事が苦手な者がいなかった』のだ。これはかなり大きかった。だから、身体能力が必要となるアトラクションの数々を、案外簡単に攻略できたのである。
一人でも運動音痴の者がいれば、ここまですんなりとクリアすることはできなかったに違いない。
- Re: 『受拳戦争』 ( No.10 )
- 日時: 2018/01/12 22:49
- 名前: 四季 ◆7ago4vfbe2 (ID: dSN9v.nR)
クラス 好きな食べ物
安芸井 春夏冬(あきい あきなし) 男 好きな食べ物 飽きない食べ物全般
牛阪 牛歩(うしさか ぎゅうほ) 15歳 男 好きな食べ物 馬刺し
皇崗 黄銅(おうおか おうどう) 15歳 男 好きな食べ物 プリン
王城 琢磨(おうじょう たくま) 15歳 女 好きな食べ物 プロテイン
大江戸 芳野(おおえど よしの) 好きな食べ物 好きな食べ物 カロリーメ○ト
隠岐 翡翠(おき ひすい) 女 好きな食べ物 紅生姜の天麩羅
教 鏡花(おしえ きょうか) 15歳 女 好きな食べ物 ハンバーグ
音張坂 環視(おとはりざか かんし) 15歳 男 好きな食べ物 アンパンと牛乳
時雨野 芳隆(しぐれの よしたか) 15歳 男 好きな食べ物 アイス
釈迦医師 多々良(しゃかいし たたら) 15歳 男 好きな食べ物 牛丼や親子丼等の丼系
白神 神黒(しらかみ かみくろ) 15歳 女 好きな食べ物 オレオと牛乳
四六時中 灯(しろくじちゅう あかり) 15歳 女 好きな食べ物 おでん
袖槻 半天(そでつき はんてん) 男 15歳 好きな食べ物 ハンバーガー
空井 飛翔(そらい ひしょう) 15歳 男 好きな食べ物 運動後の大盛りご飯(白米)
田井中 鈍器(たいなか どんき) 15歳 男 好きな食べ物 チョコレートのケーキ
多美浪 小坂(たみなみ こさか) 15歳 女 好きな食べ物 チーズケーキ
筒岡 陸羽(つつおか りくう) 15歳 男 好きな食べ物 チーズインハンバーグ
土居 十六(どい いざよい) 15歳 女 好きな食べ物 ショートケーキ
呶呶 土豪(どど どごう) 15歳 男 好きな食べ物 おにぎり
呑道 枯淡(どんどう こたん) 男 15歳 好きな食べ物 愛情の籠もった料理
奈緒 三殊(なお みこと) 15歳 男 好きな食べ物 肉じゃが
冷褪 麗(ひやさめ うらら) 女 15歳 好きな食べ物 豆腐
不二 海斗(ふじ かいと) 15歳 男 好きな食べ物 うどん
藤原 芳香(ふじわら の よしか) 15歳 女 好きな食べ物 電気
宝永 永保(ほうえい えいほ) 15歳 男 好きな食べ物 ゼリー
真実坂 事実(まみさか ことみ) 女 15歳 好きな食べ物 パフェ
冥 魔宵(めい まよい) 15歳 女 好きな食べ物 ほうれん草のお浸し
目盛 秤(めもり はかり) 15歳 女 好きな食べ物 砂糖菓子
桃井 花園(ももい はなぞの) 15歳 女 好きな食べ物 プリンアラモード
芳澤 蜂窩(よしざわ ほうか) 15歳 女 好きな食べ物 パンケーキに蜂蜜
- Re: 『受拳戦争』 ( No.11 )
- 日時: 2018/01/15 15:47
- 名前: 四季 ◆7ago4vfbe2 (ID: npB6/xR8)
第三章 禄でもない奴等が集まる六月の碌でもない戦いと陸の戦い
三殊たち3年1組のメンバーは次の部屋へ向かう。
たどり着いたそこは血塗れの教室だった。ここは本当に学校の中なのか、と誰もが思うような赤い部屋である。
一体何が起きているのか、誰もが暫し理解できなかった。
しかし、徐々に理解できてくる。動物を殺し、文字通り肉にしているのだ。動物好きの者には耐え難い部屋に違いない。
3年1組のメンバーが不思議に思って見ていると、一人の女性が現れた。
黒いストレートヘアが麗しい彼女を半天が凝視していることに三殊は気づいたが、敢えて触れることはしなかった。余計なことを話している暇はない。
「皆さん初めまして。ようこそ、わたしの教室へ」
女性は淑やかに振る舞っている。
そんな彼女を、半天はまだ凝視していた。余程気になっているらしい。もっとも、今は関係ないが。
「わたしは料理長及び家庭科顧問、そしてこの部屋の担当者。麓嘉瀬 美麗と申します」
丁寧な自己紹介に、誰もが自然と聞き入っていた。
「さて、ではこの教室のクリア条件を説明しますね。次に進みたければ、指定する材料を遣った料理を作り、一人でも構わないのでわたしの舌を唸らせてみて下さい」
「そっ、その指定の材料とは……?」
半天が緊張した面持ちで尋ねた。すると美麗は、柔らかな笑みを浮かべて答える。
「卵です」
まさかの卵——あまりのベタさにみんな驚いた。
確かに世界中の多くの国で食べられている物ではある。焼いたり茹でたり、調理方法も様々だ。お菓子にだって使われる。とにかく、あらゆる料理をする時に使う材料だ。
定番だが、それゆえの難しさもある。
「卵料理、及び卵を使っている料理ならOKですよ」
「た、卵……!」
始終ぼんやりしていた半天は、動揺したように漏らしていた。
- Re: 『受拳戦争』 ( No.12 )
- 日時: 2018/01/22 06:36
- 名前: 四季 ◆7ago4vfbe2 (ID: VHEhwa99)
唐突に始まった料理対決——クリアを目指し、挑むのは三人。
裁縫でなら最強の冷褪 麗、包丁を持たせると危ない真実坂 事実、そして3年1組で最も巨乳な隠岐 翡翠。
いずれも個性溢れる女子生徒である。
「私が得意なのは裁縫だけど、大丈夫なのかな……」
麗は不安げに漏らしている。
彼女の得意分野は裁縫だ。もちろん料理も大の苦手ということはないが、それでも多少の不安はあるのだろう。
日頃慣れていない分野のことで対決するとなれば、誰だってこうなるに違いない。
「ふぅーん、卵料理かぁー。えー、事実楽勝かもぉー。えへへっ。これは勝ったも同然かもねぇー」
事実は自信に溢れ張り切っている。麗とは真逆の様子だ。
というのも、彼女は料理が得意である。どんな料理も容易く作ってしまう彼女からすれば、一人の舌を唸らせる料理を作ることなど、簡単に思えるのかもしれない。
「ふむふむ、卵を使った料理なら何でも良いと。これは実に奥深いですな!」
翡翠は一人なにやら頷いている。
その意味はよく分からない。しかし、彼女なりに何かあるのだろう。
彼女は3年1組でも上位に入る理解力の持ち主である。豊満な身体つきと凡人を超越した聡明さで、一部の男子生徒から指示を得ている。
「みんなには先に行っておいてほしいですな!」
「事実たちに任せてぇー」
「三人で頑張るから。絶対クリアするからね」
翡翠たち三人は、三殊ら3年1組のメンバーに、先に行くよう言った。
お馴染みの「ここは任せて先に行け」というやつである。
三殊を始め誰もが最初は戸惑った。置いていくなんて考えてもみなかったからだ。一つのチームである3年1組が別れるなど、誰一人として考えていなかったに違いない。
だから当然拒否した。置いていくことなどできない、と。
しかし、翡翠ら三人は、それでも説得しようとした。三人とも、いつになく真剣な表情であった。
「そ、それじゃあ、先に行きましょうか……」
一番に折れたのは半天。
彼が誰よりも早く、翡翠たちの意見に賛同した。
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