複雑・ファジー小説
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- 『受拳戦争』
- 日時: 2020/06/10 10:58
- 名前: 四季彩 (ID: EZ3wiCAd)
彩都さんと四季の合作です。
合作といっても、企画や世界観・キャラクターの名前や原形、プロットなどは、彩都さんです。
四季はキャラクターの口調を考えたくらいだけのもので、執筆係です。
よろしくお願いします。
スレ立て 2017.11.19
投稿開始 2017.11.20
プロット停止のため連載停止 2020.3.17~2020.3.23 2020.6.11~
- Re: 『受拳戦争』 ( No.13 )
- 日時: 2018/01/30 16:00
- 名前: 四季 ◆7ago4vfbe2 (ID: 16oPA8.M)
料理対決に挑むこととなった翡翠ら三人は、ひとまず辺りを見回してみることにした。他の参加者の様子を確認するためである。まず皆がどのような料理を作っているのかをチェックするところから始める。
「みんな凄いね。美味しそうなの作ってる」
他の参加者の料理を目にして、控えめに感心する麗。
「ふぅーん、なるほどー。アメリカ、インド、西洋、中華、それに南米かぁー」
「おぉ!なかなかバリエーション豊富ですな!」
「でもまぁ、そんなに美味しそうじゃないかもー。事実が作った方が絶対美味しいのできそうー」
少し不安げな色を浮かべている麗とは対照的に、事実の顔は余裕に満ちている。
そこで、翡翠が唐突に挙手した。麗と事実の視線が翡翠に集まる。
「では、私たちは、日本料理で戦ってみてはどうですかな?」
アメリカ、インド、西洋、中華、南米——先ほど見た中に、日本料理を作っている者はいなかった。ベタすぎるからと外したのだろう。敢えてそこを狙う作戦だ。
「それはいいね。そうしよう」
「敢えて日本料理いいねぇー」
翡翠の提案に納得した麗と事実は、強く頷く。
こうして、三人は卵を使用した日本料理を作ることに決めた。
——そして。
翡翠ら三人の料理がようやく完成した。
日本料理を提案した当事者でもある翡翠が作ったのは、玉子焼き。空気を軽く含んだふわっとした外観が、食べる前から食欲をそそる。
料理に結構な自信がある事実が作ったのは、卵かけご飯。シンプルでありながら、まろやかな味で高い人気を誇り続ける料理だ。米に絡むトロリとした卵は、見る者の視線を引き付けて離さない。
そして、裁縫の才はあるが料理には多少の不安がある麗が作ったのは、半熟のゆで卵だ。艶々した白い表面が愛らしい。また、半熟のため、黄身のパサつき感は気にならないゆで卵である。
「これは完璧に決まってますな!ふわふわで!」
「定番も事実が作ればさらに美味しくなるんだよねー」
「だ、大丈夫かな……?」
三人は、三者三様の卵料理を美麗に食らわせた。
「素晴らしい!これは文句なしに合格ですね。では先へ進んで下さい!」
凝ったものではないが、どれも奥深い味わいだ。美麗はもちろんグッドサインを出した。
「やりましたなっ」
「ま、当然だけどねぇー」
「やったね!」
こうして、翡翠たち三人は部屋を出る。そして、先に行っているはずの、三殊たちを追うのだった——。
- Re: 『受拳戦争』 ( No.14 )
- 日時: 2018/02/05 20:33
- 名前: 四季 ◆7ago4vfbe2 (ID: SUkZz.Kh)
3年1組 身体能力表
A とても素晴らしい
B 素晴らしい
C 普通
D 苦手
E 残念
*安芸井 春夏冬(あきい あきなし) 男 C
*牛阪 牛歩(うしさか ぎゅうほ) 15歳 男 B
*皇崗 黄銅(おうおか おうどう) 15歳 男 C
*王城 琢磨(おうじょう たくま) 15歳 女 B
*大江戸 芳野(おおえど よしの) E
*隠岐 翡翠(おき ひすい) 女 B
*教 鏡花(おしえ きょうか) 15歳 女 B
*音張坂 環視(おとはりざか かんし) 15歳 男 C
*時雨野 芳隆(しぐれの よしたか) 15歳 男 C
*釈迦医師 多々良(しゃかいし たたら) 15歳 男 ? (身体能力を測る時、停学処分を受けていた為不明。更に教師陣も釈迦医師多々良の検査を忘れて、気が付いたら中学三年生の終わり頃になっていた)
*白神 神黒(しらかみ かみくろ) 15歳 女 B
*四六時中 灯(しろくじちゅう あかり) 15歳 女 C
*袖槻 半天(そでつき はんてん) 男 15歳 B
*空井 飛翔(そらい ひしょう) 15歳 男 A
*田井中 鈍器(たいなか どんき) 15歳 男 B
*多美浪 小坂(たみなみ こさか) 15歳 女 D
*筒岡 陸羽(つつおか りくう) 15歳 男 C
*土居 十六(どい いざよい) 15歳 女 A
*呶呶 土豪(どど どごう) 15歳 男 B
*呑道 枯淡(どんどう こたん) 男 15歳 B
*奈緒 三殊(なお みこと) 15歳 男 D
*冷褪 麗(ひやさめ うらら) 女 15歳 D
*不二 海斗(ふじ かいと) 15歳 男 B
*藤原 芳香(ふじわら の よしか) 15歳 女 E(機械だから)
*宝永 永保(ほうえい えいほ) 15歳 男 B
*真実坂 事実(まみさか ことみ) 女 15歳 D
*冥 魔宵(めい まよい) 15歳 女 D
*目盛 秤(めもり はかり) 15歳 女 D
*桃井 花園(ももい はなぞの) 15歳 女 C
*芳澤 蜂窩(よしざわ ほうか) 15歳 女 B
- Re: 『受拳戦争』 ( No.15 )
- 日時: 2018/02/08 00:34
- 名前: 四季 ◆7ago4vfbe2 (ID: .YMuudtY)
第四章 七月の七竃の大運動会
三殊たち3年1組は、三人を置いて、次のステージへ着いた。案外近かった。
そこでは、女子が際どい水着を着てプールの上で戦っていた。跳ねる水滴が、女子特有の魅力を高めている。
プールの中にいる女子の水着は、お尻に食い込んでいる。それに加え、大きな胸や、微かに膨らんだ成長期途中の胸が揺れていたりする。非常に刺激的な光景を目にし、男子生徒たちは前屈みになりつつ続々鼻血を噴出。場は凄まじいことになっている。
そんな中、釈迦医師 多々良だけは、首を傾げていた。
反対に、男子の引き締まった肢体や鎖骨、すらり、と長い背中を見て鼻血を出す女子生徒もいる。だが藤原 芳香は鼻血を出さず、多々良と同じように首を傾げていた。彼女は男子の肢体などには興味がなかったようだ。
「コイツ等……何で女の水着姿で鼻血を出しているんだ? わっけわかんねぇ……」
「そうですね、多々良様。私も何故女性が鼻血を出しているのか、皆目見当も付きません。何故なら私はアンドロイドでロボットだから……」
鼻血を噴出する者が次々発生するという凄まじい状況の中、プールから、一人のガリガリに痩せた男性が上がってきた。やや興奮気味の女子生徒も、彼の肢体ではさすがに鼻血を出さない。
むしろ「あまり関わりたくないな……」というような表情が浮かんでいる。
「やぁ、皆さん。こんにちは。僕の名前は真咲 完(まさき たもつ)。よろしく」
さりげないウインクが不気味な完は続ける。
「此処を通りたければ、まずは三人選んでくれ。今から水上戦を行う」
完の痩せ細った体に戸惑いながらも、三殊たちは、彼の話を真面目に聞く。確実にクリアするためには、まずは説明をちゃんと聞くことが大切だからだ。
「その水上戦で一人でも勝利できたならば、先に進める。大体分かったかな?」
三殊たちははっきりとした調子で「はい!」と返事をする。
それから、3年1組の現在いるメンバー全員で、誰が挑むかの会議を始める。
今回は水上戦という特殊な内容だ。それだけになかなか決まらない可能性もあった。初めてのことに挑戦するというのは、なかなかハードルの高いことだからである。
しかし、すぐに名乗りを上げた者が三人いた。
一人は、土居 十六。
アマゾンやジャングルで過ごしていたという極めて変わった経歴を持つ、齢十五の少女だ。その体力量といえば、常人の想像を遥かに上回る量である。無尽蔵と言っても過言ではない。
もう一人は、筒岡 陸羽。
自称女嫌いで、しかしエロ本をよく読んでいる、不思議な男子生徒である。
そして、空井 飛翔。
彼はサッカー部のキャプテンだ。大のサッカー好きで、サッカーの才能には恵まれている。だが、それ以外は苦手。
三殊たちは三人を静かに信じ、戦いが終わるまで観戦しようとした。
だが、飛翔が言ったのだ。
「先に進め!」
そんなことを。
だから三殊たちは、渋々前へ進むことにした。
飛翔らをプールへ置いていくのは気が進まないが、本人に言われては仕方ない。飛翔たちがそれを望むなら、と三殊たちはその言葉に従ったのである。
- Re: 『受拳戦争』 ( No.16 )
- 日時: 2018/02/12 21:55
- 名前: 四季 ◆7ago4vfbe2 (ID: KqRHiSU0)
十六、陸羽、飛翔の三人は、水上戦へ挑むべく、プールへ足を運ぶ。クリアする。三人の目からは、そんな強い意思が窺える。
女子でありながら無尽蔵とも言えるような体力量を誇る十六。ミステリアスだが逃走は得意そうな陸羽。サッカー部で鍛えた強い脚を持つ飛翔。
彼らが本気を出せばきっとクリアできることだろう。
しかしプールに入る直前で完に止められる。
「君たち。まずは『文武学園』の水着に着替えてくれ。今回のゲームはそれからだ」
そう言われたので、三人は完の指示に従い、『文武学園』の水着へと着替えることにした。
いきなり『文武学園』の水着に着替えろと言われれば、普通は少なからず躊躇うことだろう。「なぜ?」と疑問を抱く者もいるに違いない。
だが、三人に躊躇いはなかった。疑問を抱くこともなかった。ステージクリアのために必要なこと、と理解していたからである。
それぞれ素早く水着に着替え、プールへ入る三人。
そこでルール説明を受ける。
「今から君たちには、水上の鬼ごっこを行ってもらう。珍しくて楽しそうだろう?」
実に楽しそうに話し出す完。
彼のガリガリに痩せた体がかなりシュールなので、ついついそちらに気を取られそうになる。しかし、三人は話に集中するよう努めていた。
「ルールは簡単。1ゲームの制限時間は10分で、10分間鬼から逃げ切ればクリアとなる。で、一人でも捕まったらそこでおしまいとする。ちなみに、鬼は防水対応のロボットとなっているよ」
「防水ロボットとかすげぇ。最先端技術だなっ」
プールに浸かりながら感嘆の声をあげるのは飛翔。
彼は、鬼役のロボットが防水対応であるということに、非常に感心しているようだ。機械系にはあまり強くないのかもしれない。
「では、ルール説明も終わったので、始めるとしようか」
開始の合図と共に、水上鬼ごっこが始まる——。
- Re: 『受拳戦争』 ( No.17 )
- 日時: 2018/02/19 16:17
- 名前: 四季 ◆7ago4vfbe2 (ID: zT2VMAiJ)
こうして、水上鬼ごっこがいよいよ始まる。
鬼役である防水対応のロボットが動き出した。機械的な音を鳴らしながら。
「よっし!余裕で逃げ切るぞっ!」
飛翔はアクロバティックな跳躍力で鬼を圧倒。サッカーで培った脚力は本物だ。
鬼役を任されているロボットも大概な速度を誇っている。だが、それでも彼の自由自在な動きには、さすがについていけないみたいだ。
一方、十六は、ロボットからひたすら逃げ回る。とにかく逃げる、である。アクロバティックな動きでロボットを翻弄する飛翔とは対照的だ。
どれだけ動いても彼女はまったく失速しない。
これは、彼女が大量の体力を持つがゆえにできる、シンプルな逃げ方である。
「あたしを容易く捕まえられると思わないことだな」
そう言い放つ十六は、微塵も疲れていなさそうだ。アマゾンやジャングルで生活することで身につけた体力は伊達ではない。
「逃げるよ逃げるよ。どこまでも逃げるんだよ」
エロ本を片手にロボットから逃げるのは陸羽。
一見足は速くなさそうだが、逃げるスピードは意外と速かった。相棒ともいえるエロ本が、彼に力を与えているのかもしれない。
こんな調子で、三人は無事、10分間逃げ切った。
見事ステージクリアである。
ちょうどそこへ、翡翠ら三人が現れた。料理対決をしていた三人である。
「あれ?三殊くんたち、いないのかな?」
「先に行っちゃったー?」
「おぉ……はぐれてしまいましたかな……?」
水上鬼ごっこを乗り越えステージクリアし、服を着替えた三人と合流する、翡翠たち。
無事合流できた六人——翡翠、事実、麗、飛翔、十六、陸羽は、早速先へと進むのだった。
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