複雑・ファジー小説
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- 『受拳戦争』
- 日時: 2020/06/10 10:58
- 名前: 四季彩 (ID: EZ3wiCAd)
彩都さんと四季の合作です。
合作といっても、企画や世界観・キャラクターの名前や原形、プロットなどは、彩都さんです。
四季はキャラクターの口調を考えたくらいだけのもので、執筆係です。
よろしくお願いします。
スレ立て 2017.11.19
投稿開始 2017.11.20
プロット停止のため連載停止 2020.3.17~2020.3.23 2020.6.11~
- Re: 『受拳戦争』 ( No.33 )
- 日時: 2018/05/21 10:27
- 名前: 四季 ◆7ago4vfbe2 (ID: RuL2wqqJ)
こうして、ついに始まった運動会の競技対決——その幕開けを飾る玉入れが、既にスタートしていた。
制限時間は五十秒。その間に、それぞれのチーム三人で玉を投げまくり、高い位置にあるカゴにたくさん入れたチームが勝者となる。単純明快なルールである。
「おぅりゃあああああぁぁぁぁぁ!」
3年1組チームの対戦相手の一人、恵那が、凄まじい雄叫びをあげながら玉を投げまくる。「まさにスケ番」といった風な服装の彼女だが、『文武学園』の入学試験を受けに来ているだけあって、真剣だ。
「こういうの、得意」
それと同時進行で、連打も次々玉を投げている——いや、彼女は投げているのではない。玉を殴って入れようとしていた。
しかし、そんな投げ方では、コントロールが滅茶苦茶だ。玉はどんどんカゴから外れて落下している。これではまったく戦力にならない。
「うわっ、外れた!よぉし……それっ!って、ああっ!また外れたっ!」
栄太は頑張っているが、玉入れが苦手なようだ。十個に一個くらいしかカゴに入らない。頑張っているだけに残念である。
「向こう、結構入っていますよ。白神さん、藤原さん、それと大江戸さん。どうします?作戦は?」
3年1組チームも懸命に玉を投げ上げてはいる。そして、いくつかはカゴに入っている。
だが、このままでは恵那の勢いには勝てそうにない。
「どうしましょう……」
「このままじゃウティら、負けるかもっちょ!?」
芳香は機械なだけあって冷静だが、芳野はかなり焦っている。そのせいで手元が狂い、芳香を上手く操りきれていない。
このままでは不利になっていくばかりだ。負けがじわじわと近づいてくる。
「どうしようっちょ?どうするんっちょ?」
「とにかく落ち着け」
あわあわする芳野に落ち着くよう命令したのは、神黒だった。
「確かに不利だ。けれど、まだ負けてはいない」
「白神さん、何か良い案があるのですか?」
「あぁ。我の脳内に一つ、確実に勝てる作戦がある」
十、九、八……。
残りの秒数のカウントはみるみる減ってくる。
「玉を固めて入れるんだ。これで一気に逆転できる」
神黒が述べた案。それは、誰にも思いつかない、画期的な案だった。
玉入れで、玉を固めて入れる。そんなこと、普通の人間の頭になら、ほんの少しも浮かばなかったことだろう。
——そして、3年1組チームは、まず一勝した。
だが、本当の戦いはここからである。
- Re: 『受拳戦争』 ( No.34 )
- 日時: 2018/05/28 11:27
- 名前: 四季 ◆7ago4vfbe2 (ID: Jolbfk2/)
「玉入れは終了ねぇー。それじゃあ次の競技に進むわよん」
ぽってりとした厚い唇を、ゆったりとした調子で動かす巳亥。彼女は動作にいちいち色気がある。だから、半天が鼻血を噴出し続けていたのも、理解できないことはない。
「次の競技は障害物競走よん。準備は良いかしらぁー?」
芳香、芳隆、神黒の三人と、芳香の操作者である芳野は、誰が出るか相談をする。相手チームがどれほどの実力か分からないため、こちらも適当に決めるわけにはいかない。作戦などをある程度考えて選ばなくては。
「どうするっちょ?」
「難しいですよね。相手がどう出てくるか分かりませんし」
「取り敢えず、芳香が脱落することだけは避けたい。だから……」
「だから、何だっちょ?」
神黒は身に着けた白タイツとピンクのレオタードを調整しつつ、はっきりと述べる。
「我が本気を出そう」
彼女の言葉を聞き、その場にいた神黒を除く三人は、戸惑った顔をした。予想外の発言が来たからだろう。
「反対の者はいるか?」
一応確認する神黒。
それに対し三人は、ぴったり揃えて首を左右に振った。神黒が本気を出すことに反対の者はいないようである。
反対意見がないことをしっかりと確認すると、神黒は「では」と落ち着いた声で言う。そして一度深呼吸をし、「勝つぞ」と続ける。新体操スタイルの愛らしい容姿とは真逆の、落ち着き払った声色だった。
——いよいよ障害物競走が始まる。
第一走は芳隆と恵那、第二走は芳香と栄太。
この二組は同じくらいの速度だった。
そしていよいよ最終にバトンが渡ろうとしている。
「我の相手は貴様か。越坂部 恵那」
「おぅよ」
スタートラインに立つ神黒と恵那。
この競技の勝者を決める、女同士の熱い戦いの幕が、今まさに上がろうとしていた。
「うふふっ。互角ねぇ……」
拮抗した戦いを巳亥は楽しんでいる。
「来たぁーっ!!」
巳亥の柔らかい声がグラウンドに響いた。
彼女にしては大き目の声だが、その質はそれまでと変わっていない。女性の魅力に満ちた、妖艶で、艶やかな、セクシィな声色である。
もしこの場に半天がいたなら、今頃失血死していたことだろう。
「用意、スタートぉ!よん!」
恵那と神黒は、ほぼ同時に走り出す。
走り出してすぐにある一つ目の障害物は平均台。その上を落ちないように歩いていく、といった類のものである。これは神黒の方が有利——と思われたが、恵那も難なくクリアした。いい勝負だ。
「いっけー!いくんっちょーっ!!」
「頑張って下さい」
「焦らずに行きましょう!」
芳野、芳香、芳隆の順に、声を出して、神黒を応援する。
この勝負に勝てば3年1組の勝ち。誰一人脱落することなく勝利できるのだ。
ほぼ同時に平均台から下りた恵那と神黒。二人は次の障害物へと向かう。
次に彼女らを待ち受けていたのは、砂利を詰めた透明の箱から三つのビーズを掘り出すという、個性的な障害物。これは完全に恵那が有利だった。というのも、彼女は視力が非常に良く、細かいものを見るのも得意なのである。
ここで一気に差がつく。
神黒はまだ一つしか発見できていない時に、恵那は既に次の障害物へと向かっていた。
最後の障害物は、紙に書かれたものを見つけるという内容だった。
ちなみに、紙に書かれているものは、グラウンド内に絶対置かれているという話だ。
先にそこへ着いた恵那が紙を開くと、そこには、『障害物競走の穴』と書かれてあった。聞いたことのない謎の単語に困惑の色を浮かべつつも、彼女はそれを探しにかかる。
「何だよ、『障害物競走の穴』って……」
ぼやきながら周囲を見渡す恵那。
すると、ほんの数秒にして、それらしきものを発見する。
「あれか!」
彼女の視力は常人を遥かに超越している。だからこそ発見できたのだろう——簡易更衣室の上に置かれた『障害物競争の穴』と落書きされた、モグラのぬいぐるみを。
こうして、障害物競走は終わった。
3年1組チームは負けてしまい、神黒は脱落となったのだ……。
- Re: 『受拳戦争』 ( No.35 )
- 日時: 2018/06/04 03:17
- 名前: 四季 ◆7ago4vfbe2 (ID: LLmHEHg2)
こうして、次の三競技目へと進んだ。
3年1組は神黒を。相手チームは連打を。それぞれ失った状態での、三競技目である。つまり、芳隆・芳香と恵那・栄太の、戦いだ。
「次の三競技目はねぇ、『クイズ』なのよん」
巳亥がそう告げた瞬間、恵那が「そんなのかよ」と小さくぼやいた。ここにきて急にクイズということに戸惑いがあったものと思われる。
「そこっ!そんなのかよとか言わないっ!」
珍しく巳亥は注意した。
恵那は心なしか面倒臭そうな表情をしつつも、軽く頭を下げた。今ここで無意味な反抗をするのは損しかない、と判断したから。
「一人に一個ボタンがあるから、それを押してから答えるのよぉー」
四人はそれぞれ一個ずつボタンを受け取った。
「問題をちゃんと聞くことねぇー。じゃ、始まりなのよん」
いよいよ始まるクイズ。
今回は今までの運動会らしさが少し控えめだ。
「はぁい、それじゃあ第一問ねぇー」
巳亥が言い出すと、場が静まり返る。
芳隆、芳香と操作者の芳野、恵那、栄太。誰もが、ボタンを片手に、巳亥の声へ耳を傾けている。
「問題!パンはパンでもぉ、食べられないパンはぁー?」
「はいっ!」
即座に声をあげボタンを押したのは、栄太。しかし、ボタンが反応しない。その理由は恐らく——彼が『電力を生成し、体外に放つ』能力を持っているからだろう。
「えっ、あ、あれっ」
「はい」
確かに押しているにもかかわらず無反応なボタンを見て栄太が混乱しているうちに、芳香がそっとボタンを押した。
「はぁい、どうぞぉー」
「パンプス」
「正解なのよん!女性の嗜みよねぇー」
一問目は芳香が取った。
3年1組、早速一勝だ。一歩前へ出た。
「やりますね」
「ウティをなめんなっちょ!」
「はぁ」
「何その態度!」
しかしその後、二問目三問目を取ったのは、3年1組ではなかった。
1問目を取られたことによって恵那が本気を出したのだ。彼女は結構頭が良い。だから勉強系の問題には強く、芳隆や芳香・芳野には分からない問題も、すぐ解いた。
続く四問目。3年1組は、後がない状況で挑む。
問題は簡単な日本史の内容。恵那が余裕で取るかに見えた——のだが、彼女はミスをした。ボタンを押そうとして落としてしまったのだ。
その隙に芳野が操る芳香が答え、正解した。
「やりましたね」
「なんかウティばっかな気がするんっちょけど!?」
「駄目ですか?」
「一度くらいは答えてっちょ!」
「申し訳ないですがそれはできません。なんせ僕、賢くないので」
「それは分かってるっちょけど!」
言い合いをする芳隆と芳野を見て、溜め息を漏らす芳香。
「芳隆様、芳野様、落ち着いて下さい。争いは益を生みませんので」
真っ当な発言に、言い争っていた二人は黙るしかなかった。機械に黙らされる二人とは、実に滑稽である。
「次がラスト問題よぉ、頑張ってぇー。うふふっ」
上半身を上下左右に動かし、大きな胸を意味もなく揺すりながら、巳亥はそう言った。
「第五問。日本で一番広い県わぁー?なのよん」
それが、勝敗を決める、最後の問題だった。
- Re: 『受拳戦争』 ( No.36 )
- 日時: 2018/06/11 16:24
- 名前: 四季 ◆7ago4vfbe2 (ID: 10J78vWC)
日本で一番広い県。これはクイズと言えるのかどうか怪しい。どちらかというと社会の問題といった方が良さそうな雰囲気ではある。しかし、難易度自体はあまり高くないだろう。ある程度考えれば答えられそうなレベルだ。
「これなら分かります」
「はぁい、答えをどうぞぉー」
一番早くボタンを押したのは芳隆。恐らく、先ほど芳野に散々言われたため、頑張ったのだろう。
「…………」
どうやら芳隆はボタンを押しただけのようだ。答えが分かったから押した、というわけではないらしく、黙り込んでしまう。
「あれぇー、どうしたのかしらぁー。うふふっ?」
厚みのある唇をアヒルのそれのような形にしつつ、愉快そうに言葉を放つ巳亥。
彼女は、芳隆が答えられないこの時間すらも、楽しんでいるようだ。そういう意味では、彼女はやはり、少し風変わりな教師かもしれない。
「…………」
「答え、まだかしらぁ?なのよん。あまり待たされちゃったら、我慢できないわぁー」
「す、少しだけ……」
「いいわよぉー。でも、あまり焦らさないで、なのよん」
なかなか回答しない芳隆を見る恵那の目つきは、氷のように冷ややかだった。
「さっさと答えろよ!」
芳隆がボタンを押してから十分が過ぎた頃。ついに我慢できなくなった恵那が、鋭く叫んだ。
「答えろってんだ!できなきゃもう失格だろ!」
「……あ、えと」
「失格だろ!失格!失格!これはもう失格!失格!失格!おい、これってもう失格だろ!失格!失格!早くしろよ、失格!いつまで待つんだよ、失格!失格!失格!おいおい、失格だろ!失格!失格!」
失格コールを浴びせられた芳隆は涙目になりながら答える。
「ほ、北極星っ!!」
場全体が白けた。あまりに意味不明な答えだったから。
続けて恵那が「北海道」と答えた。彼女らしからぬミスだった。巳亥は『一番広い県』と言ったのだ、あくまで『県』である。
その隙に、芳香がボタンを押す。恵那も負けじとボタンを押したが、ほんの一瞬遅れた。
「はぁい、どうぞぉー、なのよん」
「岩手県」
「来たぁーん!!正解なのよん!!」
まさかの負けを喫した恵那は、ショックのあまり、地面に倒れ込む。
それだけ本気だったということだろう。
こうして、3年1組はギリギリ勝利を収め、巳亥の謎の運動会をクリア。
次へと進めることになったのだった——。
- Re: 『受拳戦争』 ( No.37 )
- 日時: 2018/06/14 16:35
- 名前: 四季 ◆7ago4vfbe2 (ID: LdHPPNYW)
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