複雑・ファジー小説
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- 『受拳戦争』
- 日時: 2020/06/10 10:58
- 名前: 四季彩 (ID: EZ3wiCAd)
彩都さんと四季の合作です。
合作といっても、企画や世界観・キャラクターの名前や原形、プロットなどは、彩都さんです。
四季はキャラクターの口調を考えたくらいだけのもので、執筆係です。
よろしくお願いします。
スレ立て 2017.11.19
投稿開始 2017.11.20
プロット停止のため連載停止 2020.3.17~2020.3.23 2020.6.11~
- Re: 『受拳戦争』 ( No.133 )
- 日時: 2020/03/03 04:42
- 名前: 四季 ◆7ago4vfbe2 (ID: YUWytwmT)
「エロ本の素晴らしさを僕が語るんだよ。まず見たいのは、登場する女性の年齢なんだよ。熟女から若い娘まで幅広いから、まずはそこを吟味することが一番なんだよ。そこをきちんと吟味して購入することで、ぬふふ、理想に近いエロ本に出会うことができるんだよ。ぬふふ、ぬふふ」
陸羽はエロ本について熱く語る。しかし、彼の話を真面目に聞いている者は一人もいなかった。否、冗談交じりに聞いている者すら一人も存在しない。
というのも、まだ若い彼らは、エロ本にそこまで興味がないのだ。
健全な男子ならば、女体には関心があるもの。だが、何事にも順序というものがある。いきなりエロ本に手を出すのは、さすがに勇気が要りすぎる。
その点、陸羽は強い。
彼の中のエロ本への愛は巨大。そして、彼の心には、躊躇いというものが微塵も存在しないのだ。それはある意味最強だ。
「陸羽!一緒に遊ばないか?」
「……遠慮しとくんだよ」
陸羽に絡んでいくのは、秤。
彼女はよく陸羽に迫っていっている。なぜなら、彼女にとって陸羽は想い人だから。だが、当の陸羽は嫌がっている。そもそも、彼はエロ本にしか興味がない。
「これが終わったら遊びに行かね!?」
「……断るんだよ」
「一緒にラブリィタイムを楽しみたいんだぜ!」
「……嫌なんだよ」
じりじり接近してくる秤から、陸羽はじわじわと離れる。
二人の心は交わらない。
いつまでもすれ違ったまま。
「サッカーしたいんだなっ」
飛翔は唐突に言う。
このタイミングでサッカー話とは、常識がない。
「あたくし、入学したい」
真面目な顔で述べるのは鏡花。
「皆、同じ心のようだ。安堵した。少々不安だったからな」
鏡花に続けていくのは海斗。
真剣な声色だ。
- Re: 『受拳戦争』 ( No.134 )
- 日時: 2020/03/09 03:19
- 名前: 四季 ◆7ago4vfbe2 (ID: UgVNLVY0)
「私も皆様と同じ気持ちでおります」
淑女らしい品のある口調で心を述べたのは芳香。
色鮮やかな十二単を身にまとい、地面に着きそうなくらいまで直毛の黒髪を伸ばした、「まさに和の国の女性」といった外見の少女である。
「私は機械ですけれど、皆様と共に歩んで参りましたわ。過ごした日々は今さらなかったことになどできません」
芳香は、五本の指をぴったり合わせた片手で、小さな唇を隠す。
その動作は、まさに人の動作のようで、そこに不自然なんてものは微塵も存在しない。彼女について知らない者が彼女を目にしたなら、きっと、普通の人間の娘と思うだろう。百人いても百人が、機械である可能性など想像しないはず。
それほどの出来なのだ、芳香は。
「だなっ。サッカーしようぜ」
品の良い機械——芳香に躊躇いなく絡んでいくのは、飛翔。
「ふふ。それも一興ですわ」
「だろ?じゃ、早速サッカーしようぜ!だろっ?」
「今は止めておきますわ、飛翔様」
芳香は柔らかな笑みを浮かべつつ飛翔の誘いを断った。
「なっ!……なぜ!?」
「今はサッカーをすべき時ではありませんわ、飛翔様」
はっきりと意見を述べられた飛翔は、がっかりして肩を落とす。目もとには透明な粒さえ浮かんで。弱りきってしまっている。
「飛翔様、また機会があれば、その時にはサッカーを致しましょう」
「いつかは……?」
「はい。今は相応しくありませんけれど、相応しい時が来れば、サッカーを楽しむこともできますわ」
芳香は微笑んでいた。
それを見て、飛翔は明るい顔つきになったのだった。
- Re: 『受拳戦争』 ( No.135 )
- 日時: 2020/03/16 11:32
- 名前: 四季 ◆7ago4vfbe2 (ID: GudiotDM)
伊良部は既に縄で縛られている。手も足も、自身の意思で自由に動かせる状態ではない。完全に拘束されきってしまっているのだ。だがそれも仕方ないこと。もはや学園長でも何でもなく、今や彼はただの罪人に過ぎないのだから。
そんなみっともない姿になった伊良部に歩み寄ったのは、多々良。
「お前を倒した、だから文武学園に入学出来るな?」
多々良は、笑うでも泣くでもなく、『無』という言葉がしっくりくるような表情で問う。
対する伊良部は呆れた顔で答える。
「はい、そーですよ……全く、お前は私を倒すのにどれだけ時間が掛かってんですか……?」
その言葉はまるで負け惜しみのよう。
こんな時でも、伊良部は素直でない。
「お前、次に転生しても計画を進めるんだろ?」
「えぇ、そうですよ? だってこの世界の人間を操る、それが私の計画ですから」
多々良は片足を後ろ向きに振り上げる。そして、そこから一気に蹴りを放つ。目標は伊良部の顔面。脚の力に勢いも加え、多々良は全力の蹴りを繰り出した。
この時初めて多々良は笑顔だった。
「やっと、終わるんだな……」
伊良部の頭に足を乗せ、多々良は虚空を見上げた。
- Re: 『受拳戦争』 ( No.136 )
- 日時: 2020/03/23 23:13
- 名前: 四季 ◆7ago4vfbe2 (ID: 9j9UhkjA)
文武学園 一年二組(元三年一組)暫定編入先
安芸井 春夏冬(あきい あきなし) 男 私立神田学園(しりつしんでんがくえん)
牛阪 牛歩(うしさか ぎゅうほ) 15歳 県立富先高等学校(けんりつとみさきこうとうがっこう)
皇崗 黄銅(おうおか おうどう) 15歳 男 私立澪筑紫男子高等学校(しりつみおつくしだんしこうとうがっこう)
王城 琢磨(おうじょう たくま) 15歳 女 都立姫宮女子高等学校(とりつひめみやじょしこうとうがっこう)
大江戸 芳野(おおえど よしの) 大人になったら 県立新王学園(けんりつしんおうがくえん)
隠岐 翡翠(おき ひすい) 女 大人になったら 私立倦厭学園(しりつけんえんがくえん)
教 鏡花(おしえ きょうか) 15歳 女 公立懸河高等学校(こうりつけんがこうとうがっこう)
音張坂 環視(おとはりざか かんし) 15歳 男 公立峰生男子高等学校(こうりつみねおだんしこうとうがっこう)
時雨野 芳隆(しぐれの よしたか) 15歳 男 私立南城院高等学校(しりつなんじょういんこうとうがっこう)
釈迦医師 多々良(しゃかいし たたら) 15歳 男 不明(不登校の為)
白神 神黒(しらかみ かみくろ) 15歳 女 私立華虞夜女子高等学校(しりつかぐやじょしこうとうがくえん)
四六時中 灯(しろくじちゅう あかり) 15歳 女 私立御子込学園(しりつおこごめがくえん)
袖槻 半天(そでつき はんてん) 男 15歳 公立大空高等学校(こうりつおおぞらこうとうがっこう)
空井 飛翔(そらい ひしょう) 15歳 男 公立臙脂学園(こうりつえんじがくえん)
田井中 鈍器(たいなか どんき) 15歳 男 私立田地学園(しりつでんじがくえん)
多美浪 小坂(たみなみ こさか) 15歳 女 都立菱学園(とりつひしがくえん)
筒岡 陸羽(つつおか りくう) 15歳 男 都立九雲高等学校(とりつくぐもこうとうがっこう)
土居 十六(どい いざよい) 15歳 女 私立鳴動学園(しりつめいどうがくえん)
呶呶 土豪(どど どごう) 15歳 男 私立籠目学園(しりつかごめがくえん)
呑道 枯淡(どんどう こたん) 男 15歳 都立枝目高等学校(とりつえだめこうとうがっこう)
奈緒 三殊(なお みこと) 15歳 男 現在三件の学校を親と相談中。
冷褪 麗(ひやさめ うらら) 女 15歳 私立音義学園(しりつおんぎがくえん)
不二 海斗(ふじ かいと) 15歳 男 都立孜々高等学校(とりつししこうとうがっこう)
藤原 芳香(ふじわら の よしか) 15歳 女 無し(アンドロイドの為)
宝永 永保(ほうえい えいほ) 15歳 男 私立延喜男子高等学校(しりつえんぎだんしこうとうがっこう)
真実坂 事実(まみさか ことみ) 女 15歳 公立真家高等学校(こうりつまいえこうとうがっこう)
冥 魔宵(めい まよい) 15歳 女 私立魔道学園(しりつまどうがくえん)
目盛 秤(めもり はかり) 15歳 女 都立明浄高等学校(とりつめいじょうこうとうがっこう)
桃井 花園(ももい はなぞの) 15歳 女 都立富岳高等学校(とりつふがくこうとうがっこう)
芳澤 蜂窩(よしざわ ほうか) 15歳 女 不登校の為不明
- Re: 『受拳戦争』 ( No.137 )
- 日時: 2020/03/31 04:39
- 名前: 四季 ◆7ago4vfbe2 (ID: z6zuk1Ot)
最終章(第十四章) さよなら文武学園
文武学園への入学、その意思を強く持っている3年1組メンバーたちは、堂々と、『文武学園に入学する』と宣言する。
3年1組の誰もがそれを入学を強く願っていた。
だからこそはっきり宣言できたのだろう。
それを聞いた櫂真は折れ、渋々、皆の入学を認めることを選択する。3年1組メンバーたちの強い意志に押されての決定だった。
「今から縄を解きますが、もしも能力を使用して自分達や彼らをボコろうとしたらダメですよ?」
縛られている伊良部に向かって、櫂真は述べる。
三殊が内心「ボコるって、表現が……」と笑いそうになったことは誰にも秘密。
「実はスマホを使って知り合いに電話をしております、自分が能力を使われてヤバくなったら知り合いがすぐに警察を呼びますので──まぁそんな事をしなくてもじきに警察に連絡するんですけどね。貴方の為に自分は先手を打たせて貰いますよ?」
櫂真は案外残酷な部分を持っているようで、微笑みながら伊良部を拘束している縄を締め上げていく。これにはさすがの伊良部も恐怖を覚えたらしい、「分かった分かった!完全に降参しますよ!」と言った。すると、伊良部は、縄を解いてもらうことができた。
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