二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- 神様のノート 二冊目※打ち切り
- 日時: 2016/02/11 06:06
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: 0zbVOBmK)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode=view&no=28346
ひょんな事から授けられたノートもついに二冊目。
新たな仲間も増え、そして、新たな物語の可能性も増えた。
さて、そんな奇妙奇天烈な世界の物語、今一度、書き綴ってゆこう…。
昴「それと、前と同じようにキャラ紹介をここのURLに張り付けましたので、キャラがつかめない場合は是非ご一読ください。」
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☆一冊目へのリンク
・一冊目への道しるべ >>1
☆料理対決
〔第四回・男女混合料理対決地獄編〕
・賢者に自愛を、愚者には罰を 愚者編
〔第五回・宝石所持者の料理対決!〕
・通算九回目の固定審査員の始まり始まり(By昴) >>474-482
・実食
一番&二番 >>490-494 三番&四番 >>499-504
五番&六番 >>509-514 七番&八番 >>604-614
九番&十番 >>629-633 十一番&十二番 >>638-644
十三番 >>648-656 十四番&三番 >>660-665
・結果発表…!? >>681-689
・裏回
〔番外編・審査員一新!? 選抜メンバーの料理対決!〕
・
☆学力対決
・成績不振から始まる物語 >>158-163
・テスト本番! その前に。 >>242-250
☆ノートの世界のTwitter事情
〔本編〕
・その九 >>728-732
〔物語リメイク〕
・その一 >>738-740 new!
〔番外編〕
・異世界の料理対決
その二 >>181-189 その三 >>225-234 その四 >>363-372
☆マヨナカテレビ事件
〔烈編〕
・諸注意 >>2
・懺悔の菊 >>3-14
・クマにできるコトしたいコト >>23-26
・運命の船出 >>32-37
・悪魔の歯車 >>52-57
・手を延べる悪意 >>61-66
・見守る星々 >>89-94
・茜色の焔 >>200-208
☆時空越の勇者
・壊された平和 >>126-129
・仲間との別れ 姫との出会い >>136-140
・賞金稼ぎとの邂逅 >>143-145
・仲間を求めて >>292-295
・あの人の為に >>303-309
・少年の思い >>333-339
・亜空軍との戦い >>446-451
☆神様・悪夢相談室
・神様:ケース「緑谷 凪」 >>413-416
・神様:ケース「リュータ」 >>692-695
・悪夢・番外編:ケース「奏月 昴」 >>698-792
☆牡丹博士のSCP講座
・SCP-Lie
第一弾 >>537-544 第二弾 >>580-587
☆ある神様の聖誕祭
その一 >>98-104 その二 >>148-153
その三 >>214-220 その四 >>256-265
☆うちの13班
・設定 >>621-624
・小話 その一 >>625-628
☆もしももしものちいさなおはなし
・料理対決りばーす >>169-170
☆林間学校
・いざ、林間学校へ >>346-350
・飯盒炊さんと温泉の時間 >>356-360
・林間学校の終わりに >>377-383
☆セブンスエンカウント
・セブンスエンカウンター >>550-566
・ノーデンスエンカウンター >>570-576
☆パロディ
・アンジャッシュパロ
その1 >>440-441 その2 >>456-460 その3 >>522-531
・日和パロ
その1 >>670-673
☆短編
・プチネタつめつめ >>18-20
・続・ほのぼの日和 >>43-45
・小ネタ >>60
・ある日の為の打ち合わせ >>71-74
・あるアイドルの一日 >>75-85
・続々・ほのぼの日和 >>122-125
・唐突に思いついた料理対決案コーナー >>197
・テストネタ・問題案 >>273
・秋の長雨 >>279-282
・逃走中未完成案 >>288
・夏休み残り一週間の聖域にて >>315-317
・Welcome to Lapistoria Academy >>320-328
・黒翡翠の逆襲 >>390-395
・神と猫の集会場 >>591-601
・忘れないでね〜 >>677-678
・烈とリリィの橙代替品探し。代替大体大成功! >>706-711
・年末出店祭り >>714-722
・年初め 波乱万丈 いつもの日 >>723-727
・今後加入予定メンバーの設定 >>743
★募集中の事柄
なし
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- 実食 八番 ( No.609 )
- 日時: 2015/11/16 23:02
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: 7hab4OUo)
そして次の瞬間、ミミズが…。
『ギャピー!』
『ギャー!』
「え…!?」
なんと、共食いを始めたのだ! まるでパンでも食べるかのように、互いが互いを食べ始める。
突然の事で呆気に取られ、呆然とする昴達。その間にも、ミミズ達は互いを食べる。
『…あー、くったくった。ごちそうさまー。』
やがて、残った一匹が、ゲップと共に発言する。
その姿が最初に比べて遥かに大きくなり、今では昴達を悠々と呑み込める程の大きさになった。
ここで、ようやく昴達は正気を取り戻したが、既に手遅れだ。
「っ、やべっ…!」
『あー、なんか、おいしそー。』
ミミズは、昴に狙いを定めた。
昴は牽制のために矢を放つも、のけ反ることもなく着実に近づいてくる。
『いっただっきまーす。』
そして、その大きな口のような器官を開き…。
—パクッ。
と、効果音が出そうな感じで、食べた。頭から、パクッ。と。
全員、これには呆然として動けなかった。ただ、目の前で起こった出来事が信じられず、昴の足が飛び出ているミミズを見ていた。
「嫌あぁっ! なんか舐められてっ、てかぬるぬるするー!! わぷっ…、口の中に、何か…。」
直後、昴の叫びが木霊するが、それは唐突に消えた。…昴の足と共に。
「…す」
「昴さあぁぁぁぁぁぁんっ!!」
「昴殿おぉぉぉぉぉっ!!」
「昴うぅぅぅぅぅっ!!」
「にゃぐうぅぅぅぅっ!!」
『か、神が、神が食われたあぁぁぁあぁっ!?』
突然の出来事に、一切の反応ができずに呑み込まれていった昴を見てようやく正気に戻ったものの、流石にこの状況には叫ぶしかできない一同。
『ほう、これは見事な丸呑み。ミミズの様な体だが、こやつは蛇なのか?』
「でも、あのような蛇は見たことがありません。」
「昴さんって美味しいのかなー?」
が、黒、アイギス、ニコラは通常運転でした。
『黒、貴様ぁっ! 神が食われている時に、何を呑気なことをいっておるかっ!』
『仲間のピンチに呑気に観察をして、動こうとしない体はいらないね。後で分解してあげる。』
「ニコラ、いっぺん、死んでみる?」
あまりにも呑気に構えるので、紅は黒に怒鳴り付け、風花はチャキッと音を立てて工具を用意しながら静かに切れ、パステルくんは静かに眉間にシワを寄せた笑顔でスパナを構えた。
「にゃぐぐっ! にゃぐっ!」
『む、そうだな。仲間割れをする前に、神を助けるぞ!』
全員ミミズのいる方に向き直るも、そこには陰も形もない。
『む、いかん! 争っている間に消えたか!?』
「あんな巨体で動きが素早いとは…。風花、奴は今どこに!?」
『えっと、ここは…あっ、まずい…! 試食が終わった人達の控え室に向かっています!』
「ちょっ、それまずくない!?」
「風花、とりあえずみんなに注意を促せ! オレはこの学園に結界を張ってくる!」
「…って、もう張ってたでしょ! バレてないと思ってたの!?」
突然、どこからか影が現れ、そのド頭に創世ノートを叩きつけた。
「やべっ、バレてたか。」
「みんなが逃げないように張ってたことくらい分かってたんだからね! それと、結界を張ると言って逃げようったって、そうはいかないんだからー!」
影は何度も何度もノートを叩きつける。…ん? ノート?
「…か、影、それ…。」
「え、これ? 落ちてたから拾って丁度いいからハリセン代わりに…。」
全員、一斉に影の手に握られた創世ノートを見た。
「…全員! 急いで昴を救出するぞ!」
「イエッサー!」
ノートがない以上、昴の攻撃手段はヒメルのみ。一同は一層慌ててミミズを追いかけた。
「…。」
ただ一人、ガイストを除いて。
- 実食 八番 ( No.610 )
- 日時: 2015/11/16 23:08
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: 7hab4OUo)
その頃、試食が終わった人の控え室では、ミミズの出現により阿鼻叫喚の地獄に陥っていた。
「な、何これー!」
「随分、卑猥な生き物ね。引くわぁ。」
「皆、急いで避難してくれ! 美結君みたいに呑み込まれたくなければ!」
ヴァイスは銃を構え、ミミズと対峙する。どうやら既に美結が呑み込まれてしまったようだ。
「先生!」
「大丈夫だ! どうにか奴を抑える!」
「私も戦う!」
「ダメだよ鈴花ちゃん! 危ないよ!」
「ミチルくんは下がってて! 舞台の外では無能なんだから!」
鈴花のグッサリと来る言葉に、ミチルは落ち込んだが、そんな暇はない。
「私は外から誰かこられないか呼んでみる。ヴァイス先生、鈴花、ここは任せる。…生徒に頼むのは心苦しいが…。」
「気にしないで、校長先生! 私、こんな日のために…は、違うな。とにかく任せて! 鍛練は積んできたから大丈夫!」
「頼む。では、また後で会おう!」
ジェダイトはマントを翻し、出ていった。
「…校長先生、今の死亡フラあいたっ!」
「それは言うものじゃない! とにかく逃げるぞ!」
何かをいいかけたミチルは、ヴォルフガングに小突かれたのち、逃げ出した。
「ワタシも逃げないとまずいわねン。」
まどかも逃げる準備をしていた、が…。
『わーい! あまいのー!』
「えっ!? きゃあっ!!」
素早くミミズが回り込み、まどかを加えた。
『あまいのー! ペロペロー! あまいのー!』
「な、何かぬめぬめして気持ち悪」
まどかの言葉が終わらないうちに、その言の葉が途切れた。そう、昴同様、舐められてから丸呑みされたのである。
『あまいのー! おんなのこ、あまいのー!』
「え、もしかしてこれ…!」
「鈴花君、君は逃げろ! こいつはどうやら、女性を狙って食べているようだ!」
ヴァイスに言われずとも察知できた鈴花はすぐに逃げようとするが…。
『あまあまー! うまうまー!』
「いやあぁぁっ!」
すぐに回り込まれ、哀れミミズに丸呑みされました。
「鈴花!」
鈴花の悲鳴を聞き届けた固定審査員達がやって来たが、ミミズの姿は陰も形もなかった。
「また逃げられた! 風花、次はどこ!」
『か、かなり早くて察知しづらいけど、あちこち動き回ってるみたい!』
「風花君、奴は女性を狙っているようだ。とりあえず女子に注意をするよう促しておいてくれ!」
ヴァイスが先程気づいたことを、風花にリークする。
『わかりました! 私から注意を』
『いや、待て風花! 闇雲に逃げてばかりでは女性が逃げ切れないし、我らも奴に追い付けない!』
注意を促そうとした風花を、紅が止めた。
『そ、それもそうだけど…! 紅君、何か策があるの?』
『…少し心苦しいが、女性を狙う性質を利用し、体育館に誘導しよう。奴が体育館に入ったら、結界を張って逃げられなくし、一気に片を付ける。奴に対抗するには、これしかあるまい。』
「そうだな。なるべく早く片を付けるべきだろう。」
紅の作戦に同意したのは、ガイストだった。その手には何か握られている。
「だが、その作戦に烈のような火属性は参加しない方がいいだろうな。爆発する。」
『あぁ、【アンドゥ】で材料を調べたのか。だが、今は一分一秒が惜しい。移動しながら話すぞ。』
「ああ、わかった。」
全員、体育館に向けて移動する。その間に、紅がガイストの肩に乗り、訊ねた。
『して、何が出てきた?』
ガイストは紅に、持っていた二つの小さな小瓶を示した。
「今、お楽しみ中の理乃に確認した。ニコラが言っていた盗まれた薬を使い、あいつを強化したようだ。使われた薬は二つ。巨大化の薬と、素早さ増強の薬だ。」
(何、そのRPGにありそうな薬。)
パステルくんは何かを思うも、思うだけにして置いた。…後々の仕返しが怖いから。
「なるほど。あのミミズが大きくなって素早く動けたのも納得だ。だが、その二つだけならば別に火属性は除外しなくてもいいと思おうが…?」
「今言った薬は、僅かな量が入っていたくらいだった。問題はこれだ。」
「え。」
そして、ガイストが次に取り出した物を見て、ニコラ以外全員絶句。
それは、どう考えても今ここにあっちゃいけない、R-18的な油だった。
「ガイストさん、それ何ー? るー先輩が使おうとしていた油に似てるけど…。」
「子供は知らなくてもいいものだ。…とにかく、これが昴の言うぬめぬめと、爆発の原因だ。」
「うむ、よくわかった。後でこれを作った奴を締め上げなければならないことが。」
『材料以外の件、女性への連絡は完了しました。後で私にも一発ビンタさせてください。』
連絡、そして怒りの感情を、風花は言った。
「うむ、多分昴殿もこの一件で呑み込まれた者達限定で許可しそうだな。」
「スペッシャルなオシオキが必要かなー?」
『反省するとも思えんが、そのスペッシャルなオシオキはどうせ我らが止めてもあやつにやるつもりだったのだろう? パステルくん。』
「もち☆」
いい笑顔で返された紅は、もう何も言わないことにした。
- 実食 八番 ( No.611 )
- 日時: 2015/11/16 23:16
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: 7hab4OUo)
校舎内に悲鳴と怒号が響き渡る。逃げようとして呑みこまれた者。知略を駆使し足止めを試みる者。女も男も関係なく、ひたすらに事態を収拾する為に、生き延びる為に、奔走する。
だが、その抵抗も虚しく、次々に女は呑まれ、男は倒れる。そして今、体育館へ向かう女の数は、一人だけとなった。
「わ、わわ、後ろから来ますー!」
「口を閉じよ! 舌を噛む!」
ラーズは高速で飛び、エルフィを運びつつミミズから逃げている。
『ラーズ君、頑張って! もうエルフィちゃんしか残っている女子がいないの!(お楽しみ中の二人以外、だけど…。)』
どうやら通信を飛ばしている風花も、奇襲を受けて既に呑み込まれてしまったようだ。そして現在お楽しみ中の二人以外は、既に全員あのミミズの腹の中に収まってしまい、エルフィが最後の砦だった。彼女の幸運は高いので、運よく今まで逃げ切れたのだろう。
『甘いデザート寄越せえぇぇぇぇぇっ!!』
「じょ、女性は最早デザート感覚なのですか!? というか言動が何だかはっきりしていませんか!?」
『たった今、ミサコの日記で調べた。どうやらこいつは女性を呑み込む度、知能を増すみたいだ。』
腹の中から、風花の通信機能を利用し、ユマが解析スキルで調べた結果をエルフィに伝える。
『炎が弱点なのはわかってるけど、攻撃したら爆発するっていったい何を材料にしたらこうなるんねん。ウチ、ちょっとこいつを作った奴と話し合いしたいんやけど。』
「ゆ、ユマさん、穏便にいきましょー…。」
既に関西弁になってキレているユマに、エルフィは落ち着くよう促す。多分材料を知ったら中にいる人達、全員ぶちギレるだろうな。うん。風花でさえああだったし。
『とにかくラーズ、お前だけが頼りだ! エルフィを体育館まで送り届けてくれ!』
「承知した!」
ラーズはそう意気込むものの、距離は縮まりつつある。
(皆の期待に応えねば! しかし、このままでは追いつかれるのも時間の問題…。ならば…!)
何かを決意したのか、ラーズはエルフィに話しかけた。
「エルフィん!」
「は、はい!?(え、エルフィん…?)」
「この廊下を真っ直ぐ行けば、体育館はすぐそこだ! 降ろすから、全力で走ってくれ!」
「わ、わかりました!」
ラーズはエルフィを降ろすと、ミミズの方を向き、睨みつけた。
「私はラーズ! 女子を食らう物の怪よ、お前に抗おう!」
『ほほう? ならば、望み通り食ってやろう!』
「行くぞ!」
ラーズはミミズの頭上へ飛び、急降下して蹴りを繰り出した。
「必殺・流星蹴り!」
速度を乗せたブーツのヒールが、ミミズの頭に刺さる。多少ダメージを与えたようだが、身体が頑丈である為に、ヒールが折れてしまった。
『流星○りが完全に入った!?』
昴は風花の通信を使い、発言をする。
『昴さん、貴方、歳いくつで…いえ、何でもないです…。』
中で睨まれたのか、風花は何かを言いかけるも、すぐに黙った。
一方、女以外は眼中にないと思われていたミミズは、ラーズの方を見る。
(よく分からないが、私に意識が向いたようだな。これならば、より多くの時間が稼げるだろう!)
好機とばかりに、ラーズは続けて攻撃を繰り出した。
「必殺・惑星投げ!」
先程の蹴りでヒールの折れたブーツを、ミミズに投げつけるラーズ。だが、当然ながら効き目は全くない。ポコン、と、ブーツは跳ね返り、廊下に落ちた。
『惑星と言う割にはしょぼいですね。隕石にすらならないんじゃ…。【メテオ】の方が効き目がありそうな気がします。』
『それは言わないであげて、アニエスちゃん。』
アニエスと風花のやりとりを脇に、ミミズは勢いよくラーズに食らいついた。
「くっ!」
『中々面白かったぜぇ! お愉しみの時間だぁっ!』
ミミズはラーズを咀嚼する。が、暫くしてラーズを吐き出し、勢いよく叩きつけた。
「ぐはぁぁ!!」
『お前、女じゃねえのかよ! 道理で変な味がすると思ったぜ!』
ペッ、ペッ、と、不快そうな顔(?)をしてラーズを睨み付ける(?)ミミズ。どうやら奴にとって男は不味いらしい。
『ケッ、男に用はねぇよ! さて、あの嬢ちゃんでも食べて』
「させるものか!」
痛む身体を奮い立たせ、ラーズはミミズにしがみ付いた。だが、容易に振り落された。
「くうぅっ!」
『男に用はねぇんだよ!』
「お前にはなくとも、こっちにはあるんだよ! 風雅!」
「ああ! 合わせろ、烈!【ディメンションゲール】!」
「だあぁぁっ!!」
ミミズの前に、二人の男が現れた。りゅーとサイドの風雅が風を放ち、烈が手に持っていた剣を振るう。
『ぎゃあっ!』
風を纏った剣が切り裂いたのは、ラーズが残した、ブーツのヒールが残された部分。ミミズはかなりの痛みからか、のけ反った。
「あそこが弱点なのか?」
「わからねぇ、けど、何か効き目はありそうだな。」
『烈、風雅、ビンゴだ! そこがあのミミズにとって弱点だ!』
『ユノでもそうデータが出てるよ! 烈君、りゅーとさんの風雅君、そこを集中的に狙って!』
解析スキルで調べたユマの返答に、風花が更に付け加える。解析スキル持ちの二人の返答に、烈もりゅーとサイドの風雅も確信を持ち、再び技を放とうとする。
『邪魔だ、どけえっ!』
が、ミミズが口のような器官から液体を放ち、烈と風雅にぶちまけ、すぐに消え去った。
「うわっ! ちょ、うわぁっ!」
「きゃあっ!」
「な、何だこれ! 滑る…って、きゃあ?」
ぶち巻かれた液体に足を取られ、滑る烈と風雅。その際、小さな悲鳴のようなものも聞こえ、どこかと探す。
「あ、あれ? 出れた!?」
「風花さん!?」
視線の先にいたのは、風花だった。
「まさか、さっきので一緒に吐き出されてきたのか?」
「た、多分そうだと思う。急にぬるぬるが鉄砲水のように襲いかかってきて…。」
「通信で大体想像ついてたけど、消化はされていなさそうだな。無事でよかったよ、風花さん。」
「う、うん。ただ、ちょっとぬるぬるで足を取られたりしてぶつかり合っちゃって大変だったけど、消化はされてないよ。」
今の今まで消化されているんじゃないかと心配していた男子だったが、これで消化されずに全員の身体が無事なのがわかって安堵していた。精神は分からないが。
風花や呑まれた女子が無事なことに安堵していると、風花のポケットが青く光る。アニエスのペンダントを通じて、誰かが通信してきたようだ。
「あ、通信が…。はい、こちら風花です!」
『あ、風花! 烈と風雅が一緒ってことは、出られたんだね! どうやって出たかは今は聞かないけど、無事でよかった! 風花からみんなに伝えてもらおうと思って、連絡したの!』
通信相手はパステルくんだった。
『エルフィが体育館に無事到着したよ! で、ミミズも追い込んでMZDが結界を張ったからもう大丈夫! エルフィも無事に逃げ出したよ!』
「そうですか、わかりました。私から男性の皆さんに体育館に集まるよう連絡をしておきますね。」
『うん、お願い!』
パステルくんのその言葉を最後に、通信は切れた。
「ここからが正念場だな。」
「ああ。風花さんはエルフィと合流したら、とりあえずシャワー浴びてきた方がいいと思う。あと、ラーズも保健室に運んで先に治療させておいた方がいいな。俺が運んでおくよ。どうせ材料からして俺が行っちゃ危険だからな。」
「うん、ちょっと服がベトベトするから着替えたいしシャワーも浴びたい。それから烈君はいかなくて正解。」
どうやらヌメヌメのせいでかなり不快なようだ。風花は烈の言葉に素直に従うことにして、ツルツル滑りながら体育館に向かう風雅と、同じく滑りながらラーズを保健室に送る烈を見送った。
- 実食 八番 ( No.612 )
- 日時: 2015/11/16 23:22
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: 7hab4OUo)
その頃、体育館ではMZDにより縮小された結界内で、男達は思う存分暴れていた。だが、爆発する危険性があるので、火属性であるディアブロとG.S、烈、そして、雷属性である完二は来ていない。そして、女を狙うと言う不埒な特性を持つ以上、ユウやチョッパーのような純粋組は参加させられなかったので、保健室においてきた。
「でやぁっ!」
「はぁっ!」
青年トゥーンとレイトンの一撃が、ラーズの残した弱点にヒットする。
『うぎゃぁっ!』
「おまけだ!」
パァン! と銃声が鳴り響く。その風上にいたのは、ディミトリーだ。二人が離れたと同時に銃弾を放ったのだ。
『うぐぅ! こしゃくなっ!!』
「! うわぁっ!」
ミミズは大きく尻尾(?)を震わせ、足元で偃月刀(えんげつとう)を振るっていた留衣を吹き飛ばした。彼自身強化の術は持つものの、咄嗟の事でうまく反応できなかったようだ。
彼は壁に叩きつけられ、痛む体を引きずり、動こうとするもダメージは大きかったようですぐに崩れ落ちる。
「今お助けします!【ベネディクション】!」
それを見たニコライがすかさず完全回復効果を持つ神聖魔法を放つ。
「あ、ありがとうございます!」
留衣はすぐに立ち上がれるようになり、再びミミズに向かっていった。
『女ー! 女はどこだあぁっ!! 見つけたら食べて(※自主規制)してやるー! びぎゃっ!』
「卑猥な言葉を使わないでください!!」
弓弦は部室から持ってきた和弓で弱点を狙いつつ、ツッコミをいれる。ぬかりない。
「ガイスト殿、何とか【アンドゥ】で奴を材料に戻せないか!? その、ぬるぬる相撲でお馴染みのアレに!」
「既にやっている! だが、奴が素早い所為で、なかなか成功しないのだ!」
『ならば、何とかして動きを封じないとダメか…! こんな時に鈴花か氷海がいれば…!』
相手を束縛する術を持つ鈴花も氷海も、ミミズの胃袋の中。
「そういえば、さっき風花が烈達と一緒にいたんだ! 多分、何とかして出られたと思うんだけど…。」
「! そういえば、奴は何か液体を吐き出していた。その際に風花も一緒に出てきたんだ。」
丁度その時一緒にいたりゅーとサイドの風雅が、自分の見た状況をパステルくんに話す。
「つまり…風花さんを吐き出したと言うことでしょうか? 風雅先輩。」
一度後退してきた留衣が訊ねると、風雅は頷いた。
「おそらく…。あの時みたいにあのぬるぬるの液体を吐かせれば、もしかしたらまた誰か出てくるかもしれない。それが束縛の術を持つ誰かならいいんだが…。」
「狙ってみる価値はありそうだね。でも、どうやって吐かせるの?」
試しに吐かせてみる方針に決まり、一同は次なる議題に頭を抱えた。そう、どうやって吐かせるか、だ。
「あ、じゃあこれ使えるかなー?」
その発言をしたのは、ニコラ。彼はごそごそと鞄を漁ると、何やら怪しげな、混沌とした色の液体が揺れるフラスコを取り出した。気のせいだろうか、なぜかまがまがしい霊魂のようなものが漂っている気がする。しかもフラスコにはドクロマークが描かれており、完全に危ない薬だぞおい。
「大丈夫かそれ。女性にも影響があるのでは…。」
「大丈夫ー。これは、カダ先生が作った、嘔吐を促す薬だからー。」
「アカン、それはアカン奴が作った、アカン薬や。」
一応補足しておくと、薬師のアスタリスク所持者、カ・ダはカミイズミの下で働いていた奴。詳しいことは忘れたが、ぶっちゃけどうでもいいので思い出さなくていいや。
だが、これだけは覚えておいてほしい。彼は大量殺戮兵器を平気で作れる、毒物生成者である牡丹以上の危険人物だと言うことを。
「大丈夫だよー。るー先輩や理乃先輩も関わってたからー。」
『不安しか残らないが、手がない以上これでやるしかない。できれば別の薬がよかったが。』
それしか手がない以上、危険人物が作った危険な薬に頼るしかなかった。
「よーし、ねーねーミミズさーん、僕ねー、女の子の成分が詰められた薬を持ってるのー。」
『なにぃっ!!』
ミミズはニコラの言葉に反応し、ニコラを見た。よほど女に飢えていたのか、その声はどこか嬉しそうだ。
『く、くれ! それくれ!!』
「じゃー、投げるよー。えーい!」
ニコラはその薬をぽーいと投げた。ミミズはその口で一気にフラスコごと飲み込んだ。
『うっしゃー! 元気百ば…!?』
はしゃいだかと思えば、急にプルプルと身を悶えさせ、そして…。
『うぼえぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!』
その口から、大量の液体を吐き出した! 呑み込まれた女性達も、全員一緒に吐き出されてきた。
「よし、成功だ!」
「だ、だけどボク達までつるつる滑るよー!」
大量のぬるぬるした液体に足を取られ、一同は思うように動けない。だが…。
「えっ!? ガイスト!?」
「すげえ! まるでスケートだ!」
ガイストはただ一人、スケートの要領でぬるぬるの上を滑っていき、一気にミミズとの間を詰め寄らせる。
『わ、わわ、すべるー!』
女子を吐き出して知能が低下したのか、言動が幼い子供のようなものに戻っており、更にこのぬるぬるに足を取られ、思うように動けなくなってるようだ。
その間にも、ガイストは間を詰めていく。
「終わりだ!【アンドゥ】!」
手を翳し、ガイストは叫ぶ。すると、ミミズは緑色の光に飲み込まれ、消え去った。
…大量のR-18な液体が入った容器と、二種類の小瓶。そして、大きな鍋を残して。
- 実食 八番 ( No.613 )
- 日時: 2015/11/16 23:27
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: 7hab4OUo)
ニコライにそっと目をふさがれたアニエス以外は、その様を見ていた。そして昴は今自分が感じている不快感を与えた液体が何かを知り、無言で、そして笑顔で目の前の液体に手を伸ばした。
「…えー、被害者の皆様。」
液体の入った容器を弄びながら、いまだにぬるぬるで苦しんでいる女性達を見る。
「犯人を特定次第、ここに呼び出しますので、死なない程度のスキルを一発使うことを許可します。存分にお楽しみしちゃってください。ニコライ、貴方は結果発表前にこれ作った犯人と絶賛お楽しみ中の二番を治療して頂戴。【ベネディクション】か【リザレクション】でいいでしょ。」
「イエッサー!」
「わ、分かりました…。」
被害にあった女性陣は殺気立った目を浮かべて叫び、指示されたニコライはそんな鬼気迫る女性陣にかなり引きながら答えた。あのー、すみません。ここにいた男子全員震えてますけど。血走った目を浮かべる女子を見て男子全員怯えてますけど。…純粋組がいなくて正解かもしれない、これ。
「さぁて、犯人を特定するには…。」
ちらりと、昴はある方向を見る。そこにいたのは…。
「…? 騒ぎ…終わったのカ?」
なんと、エクリプスだった。どうやら近くで騒ぎがあったから駆けつけたようだ。
「丁度いいわ、エクリプス。貴方、この鍋とか液体とか、何か知らない?」
昴はエクリプスに液体の容器や、転がっている鍋を見せる。だが彼はこてんと首を傾げ、逆に昴に訊ねた。
「これハ…何ダ? 何に使うんダ?」
「(嘘をついて…いなさそうね。)知らなければいいの。さて皆さん、犯人は特定できましたので、今から影に捕まえにいかせますね。影。」
「ハイ、イッテキマス。」
彼女から感じる威圧感に気圧されたのか、影は敬礼の後、すぐに言われた通り犯人を捕まえに行った。
「あー、ダメだ。滅茶苦茶ヌメヌメが気になりやがる…。」
「【アンドゥ】で何とかなればいいが…。物は試しだ。やってみよう。」
ガイストは若干怯えつつも、昴達のヌメヌメをなかったことにしていった。
だがやはりまだ不快感は残っているので、MZDに頼んでシャワー室を借り、浴びることにした。評価用紙はその後に書くようだ。
☆
総評:零−
昴:評価…零−
ねぇ、本当にあのぬるぬるはなに? しかも18禁ものの油を使わないでくれる? 何で黒魔術をしたの? 人の話を聞いてた?
女性人の攻撃食らったと思うけど、私からも言いたいことがあるから、後で説教部屋にいらっしゃい。お姉さんとたーっぷり、お話しましょ? 泣いて喜ぶくらい、いーい事をしてあげるわ♪
二コラ:評価…零
面白かったけど、あのヌメヌメは気持ち悪かったなー。でも、研究材料にはなりそう。今度また作ってよ! そしたらるー先輩と一緒に研究してみるから!
昴・二コラ以外全員:評価…零−
あ、死んだな八番。ご愁傷さま。それから二コラ、やめとけ。
■
今日はここまで。ではヒント。
七番:相変わらずな惜しい料理を出す会長さん。未来の夫が主夫になりそうな予感。そして鈴花が兄に対してフラグ立てました。
八番:準備回で問題発言連発の悪魔。絶対反省しない。被害女性の皆さん、スキル一発は見逃します。
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