二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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神様のノート 二冊目※打ち切り
日時: 2016/02/11 06:06
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: 0zbVOBmK)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode=view&no=28346

ひょんな事から授けられたノートもついに二冊目。
新たな仲間も増え、そして、新たな物語の可能性も増えた。

さて、そんな奇妙奇天烈な世界の物語、今一度、書き綴ってゆこう…。

昴「それと、前と同じようにキャラ紹介をここのURLに張り付けましたので、キャラがつかめない場合は是非ご一読ください。」


1/31 更新


☆一冊目へのリンク
 ・一冊目への道しるべ >>1

☆料理対決
〔第四回・男女混合料理対決地獄編〕
 ・賢者に自愛を、愚者には罰を 愚者編

〔第五回・宝石所持者の料理対決!〕
 ・通算九回目の固定審査員の始まり始まり(By昴) >>474-482
 ・実食
  一番&二番 >>490-494 三番&四番 >>499-504
  五番&六番 >>509-514 七番&八番 >>604-614
  九番&十番 >>629-633 十一番&十二番 >>638-644
  十三番 >>648-656 十四番&三番 >>660-665
 ・結果発表…!? >>681-689
 ・裏回

〔番外編・審査員一新!? 選抜メンバーの料理対決!〕
 ・


☆学力対決
 ・成績不振から始まる物語 >>158-163
 ・テスト本番! その前に。 >>242-250


☆ノートの世界のTwitter事情
〔本編〕
 ・その九 >>728-732

〔物語リメイク〕
 ・その一 >>738-740 new!

〔番外編〕
 ・異世界の料理対決
  その二 >>181-189 その三 >>225-234 その四 >>363-372


☆マヨナカテレビ事件
〔烈編〕
 ・諸注意 >>2
 ・懺悔の菊 >>3-14
 ・クマにできるコトしたいコト >>23-26
 ・運命の船出 >>32-37
 ・悪魔の歯車 >>52-57
 ・手を延べる悪意 >>61-66
 ・見守る星々 >>89-94
 ・茜色の焔 >>200-208


☆時空越の勇者
 ・壊された平和 >>126-129
 ・仲間との別れ 姫との出会い >>136-140
 ・賞金稼ぎとの邂逅 >>143-145
 ・仲間を求めて >>292-295
 ・あの人の為に >>303-309
  ・少年の思い >>333-339
 ・亜空軍との戦い >>446-451


☆神様・悪夢相談室
 ・神様:ケース「緑谷 凪」 >>413-416
 ・神様:ケース「リュータ」 >>692-695
 ・悪夢・番外編:ケース「奏月 昴」 >>698-792


☆牡丹博士のSCP講座
 ・SCP-Lie
  第一弾 >>537-544 第二弾 >>580-587


☆ある神様の聖誕祭
 その一 >>98-104 その二 >>148-153
 その三 >>214-220 その四 >>256-265


☆うちの13班
 ・設定 >>621-624
 ・小話 その一 >>625-628


☆もしももしものちいさなおはなし
 ・料理対決りばーす >>169-170


☆林間学校
 ・いざ、林間学校へ >>346-350
 ・飯盒炊さんと温泉の時間 >>356-360
 ・林間学校の終わりに >>377-383


☆セブンスエンカウント
 ・セブンスエンカウンター >>550-566
 ・ノーデンスエンカウンター >>570-576


☆パロディ
 ・アンジャッシュパロ
  その1 >>440-441 その2 >>456-460 その3 >>522-531

 ・日和パロ
  その1 >>670-673


☆短編
 ・プチネタつめつめ >>18-20
 ・続・ほのぼの日和 >>43-45
 ・小ネタ >>60
 ・ある日の為の打ち合わせ >>71-74
 ・あるアイドルの一日 >>75-85
 ・続々・ほのぼの日和 >>122-125
 ・唐突に思いついた料理対決案コーナー >>197
 ・テストネタ・問題案 >>273
 ・秋の長雨 >>279-282
 ・逃走中未完成案 >>288
 ・夏休み残り一週間の聖域にて >>315-317
 ・Welcome to Lapistoria Academy >>320-328
 ・黒翡翠の逆襲 >>390-395
 ・神と猫の集会場 >>591-601
 ・忘れないでね〜 >>677-678
 ・烈とリリィの橙代替品探し。代替大体大成功! >>706-711
 ・年末出店祭り >>714-722
 ・年初め 波乱万丈 いつもの日 >>723-727
 ・今後加入予定メンバーの設定 >>743


★募集中の事柄
なし

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Re:エイヴさん、ユマさん ( No.569 )
日時: 2015/11/01 21:31
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: Nt.wHtNX)

エイヴさん:


お久しぶりです。それから、お待たせしました。
ええ、序盤の鬱展開に色々と持っていかれたセブンスドラゴン、通称ナナドラの四作目メンバーが今回加入しました。
以前お話ししたそれは3ではなく2020でのお話ですね。序盤からかなり持ってかれ、途中でももう無理となり、終盤でもごっそりと削る。削りすぎです。ちなみに続編の2020-Ⅱももう、確か二匹目の中ボス辺りで…。そして今作でも終盤で一気に来ますからね…;
ゲーム自体は面白いのでお勧めできますが、何分ストーリーがねぇ…;多分ブレセカの黒魔&狩人が駄目だったならお勧めできません。

では本題。
うちの凪はただの幸運だけの少年だと思ったら大間違いです。色々と技術は磨いているので、なめてかかったら本当に社会的に抹殺されます。…あ、ゲーム内ではこんな描写はもちろんないですからね。あくまでも念のため。
ニアラのバグは完全にジュリエッタの自業自得というか、デバッグもテストプレイもさせていないニアラのプログラムを入れたことによる不具合なだけなので、誰かが糸を引いたわけではないです。ご安心ください。

昴「なんとなく、裏を引いている奴がいたら凪がハッキングした時に気付いてそう。」
凪「? もしそんなのがいたら…本当に社会的に抹殺してあげるよー。」

まぁ、仮にいたとしても、そいつの未来はほぼ閉ざされたとみていいでしょう。

この後更新する後編での後書きで言おうと思ったのですが、今回セブンスエンカウントで遊んだメンバーは、うちのナナドラにおけるパーティーメンバーなんですよね。もちろん、作成するうえでノートの世界の設定を重視しました。

昴「ローズは召喚魔法が主体だから、デュエリストにぴったりだよな。牡丹は蹴り主体だけど、拳でもやれそうだし。理乃は魔法主体の治癒術師だし、由梨はいうまでもない。紅刃(こうは)は正直言ってあまりものだけど、いざやってみたら思いの外しっくり来てビックリ。だよな。」

うむ。


あぁ、ついにラストまで行きましたか。
念のため、時魔導士のリレイズを全員にかけておくことをお勧めします。それから、ラスダンの奥地、ボスと戦った場所から出る前に回復することをお勧めします。最後まで油断してたら足元救われますはい。

昴「エイヴさんが攻略サイトとか見てるんだったらいいけど、あれは本当に罠だったよな。油断ならないよなうん。」

それから、演出上ビックリする点もあるでしょうが、演出なので流れに乗ってください。演出ですから。

昴「多分あれ所見だったらリセットしちまう勢いだよな。」

攻略サイトを読んでいてよかったと思える瞬間でした。あの演出は普通にビビる。

ええ、もう手に取るようにわかります。色々ありましたよね。兄さんのがんばリベンジはもう…。何でその方法でしか解決できなかったんだと思いました。せっかく兄弟また仲良くできると思った矢先にあいつですよ。で、あれですよ。
叫びたくなる気持ちもわかります。ええ、

あんの腐れ妖精姉妹め!

と。本当に姉妹そろってろくなことしてないですからね。
もう少しで、あともう少しで終わりますね。エンディングは個人的に好きです。

では、この辺りで失礼します。







ユマさん:


お久しぶりです。
ええ、最近3が出たセブンスドラゴンのお話です。
ゲーム性としては私もお勧めしますが、絵の可愛さに反してストーリーがかなり暗いです。特に今回の3は序盤、中盤辺りはまぁわりかし安心してできますが、終盤に一気に持っていかれます。シリアス好きでもかなり

(;゜Д゜)アイエエェェェェェェェッ!?

↑な感じでしょう。
迂闊に手を出したら後悔するゲームですはい。それでもいいならばかなり楽しめるかと思いますよ。

主題歌、確か2020の時からsasakureさんでしたね。私も曲だけダウンロードしました。個人的には2020-Ⅱの曲が好きですね。
確か今回は主題歌だけでなく時代ごとの挿入歌も担当していたはず。…エデン(未来)の挿入歌最高。

昴「…でも流れる場所的には最悪だったけどな。特に前作までを知ってる奴なら。」

言うな。そして全体的に挿入歌が流れる場面は完全に震えました。サントラまだかなー。
では、この辺りで失礼します。

ノーデンスエンカウンター ( No.570 )
日時: 2015/11/01 22:01
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: 0zbVOBmK)

そんなこんなで、タクシーの手配をしたジュリエッタは早速純粋組と一緒に乗ろうとするが、

「チビスケ共ー。菓子やるからこっちこーい。」
「はーい!」
「ちょっとナガミミ卑怯よそれ!」

すかさずナガミミが避難させました。ナイス。

「私は澪ちゃんと一緒に乗りたいな。理乃ちゃんも一緒にどう?」
「はい、私も澪さんと一緒に行きますね。」
「では私も」
「お前は俺と一緒にあっちだ。腐りモノ同士、気が合うだろ。」
「失礼ですわね! 私をあの変態と一緒にしないで貰えます!?」

理乃を澪と一緒に乗らせようと風花が画策している間に牡丹が割り込んできたが、有無を言わさずフランシスが引きずりながら連れ去った。その後ろを野上兄妹がついていく。はい、これでもう振り分けが決定。フランシスは由梨のポケットにでも入っている事だろう。

「あ、あはは…。じゃあ、行こうか、澪ちゃん、理乃ちゃん。」
「はい、行きましょう。」

これ以上変な感じになる前に、三人はさっさとタクシーに乗り込んだ。
助手席には誰も座らず、女子三人横に並ぶ形になった。

「すみません、ノーデンス・エンタープライゼス社までお願いします。お金は別の人が払います。」
「別の人って、誰ですか?」
「行先が同じ人です。」

澪はきっぱりと運転手に言い、運転手は「か、かしこまりました。」と苦笑いを浮かべつつも、車を走らせた。

「それにしても、澪ちゃんって凄いね。私よりも年下なのに、しっかりとナビができるなんて。」
「ふ、風花さんこそ凄いですよ! 敵の接近やマップの把握とか、しっかりできてて憧れます! そ、それに、あの…ユノ、でしたっけ?」
「ああ、ペルソナの事かな。私の場合、ああしてナビをするのが慣れてるから…。」

車内では、同じナビ専門の澪と風花が話し込んでいた。手法が違うとはいえ、同じ仕事を生業とするので、話が合うのだろう。

「それに、現地で敵の気配を察知できる力においては、理乃ちゃんには敵わないよ。」
「え、理乃さんもナビゲートができるんですか?」
「え、あー…。」

風花がいきなり話を降ってきたので、理乃は思わずちょっと曖昧な返事をした。

「わ、私のアレは山岸さんや那雲さんみたいな完璧なのじゃなくて、ただ自身の力を応用して敵の気配を探ってるだけですから…。敵の気配を感じ取れなくとも、地形データやモンスターのデータをすぐにリークできるお二人には敵いませんよ。」
「またまたー、謙遜しちゃって、理乃ちゃんったら。」
「理乃さんって控えめな女性なんですね。(…胸は大分前に出すぎてるけど。)」

にこやかに話す風花だが、横の澪の目は理乃の胸に注がれていた。やはり澪も年頃の女の子。羨ましいのだろう。
自分と理乃との胸囲の差に落胆していると、澪のポケットで携帯が震えた。

「あ、メールだ。…あ、ベルからだ。ごめんなさい、ちょっと返事を返してもいいですか?」

澪が問うと、二人は快く承諾した。

「ベルって、可愛い名前だね。」
「どんな方なのでしょうかね?」
「名前に反して大和撫子だったりして。」
「ゴシックロリータかもしれませんね。」
「うん、色々想像してくれてるのはありがたいですけど、ベル、男の人なんです。」

名前からして可愛らしい可憐な女子を想定したのだが、澪が苦笑を浮かべて申し訳なさそうに言うと、二人は衝撃を受けたような顔をした。

「え、えーっと、ベルはカーソルと同じ13班の仲間なんです。今、その彼からさっきの事態の状況を説明するよう連絡を受けたんです。普段だったら、こんな連絡を寄越さないのに…。」
「何か、先程の事態に思うところがあったのでしょうか。」
「何かがベルの興味を刺激したのかもしれませんね。」

謎はつきないが、澪は慣れた手つきで返信した。

「ところで…。」

期待に胸を膨らませた顔で、風花は澪に訊ねた。

「澪ちゃんって、好きな人はいるの?」

風花に訊ねられた直後、澪は携帯をボトリと落とした。

「な、え、は、ええぇぇぇぇっ!?」

突然の問いに、澪はもう驚きしかでない。顔はだんだんと真っ赤なゆでダコになり、もう収拾がつかない状態になった。

「あ、その反応は」
「い、いいい、いや、その、好きというか、大切な人というか!」
「あ、いるんですね。」

理乃まで話に入ってきたものだから、澪はもう逃げられない事を悟った。

「ごめんね、からかっちゃって。でも、好きな人がいる、それもまだ生きてるって凄い幸せな事なんだよ。」

そう語る風花の顔が、少しだけ寂しそうだったのは、澪自身は見ていなかった。
ほんの数秒、そんな顔を浮かべた風花だったが、すぐに笑顔に戻して澪を見た。

「じゃー、澪ちゃんの好きな人の話、どんどん聞いちゃおー!」
「おー!」
「もー、お二人共酷いですー!」
(青春だなぁ…。おじさんももうちょっと若かったらあんな甘酸っぱい話に加われるのになぁ…。)

運転手までもが微笑みを見せるくらい、ノーデンス社までの道のりは退屈しなかったそうな。…澪にとっては地獄だったようだが。

ノーデンスエンカウンター ( No.571 )
日時: 2015/11/01 22:06
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: IkrWl/TY)

やがてノーデンス社についた時、ジュリエッタは即座に三台分のタクシー代を支払った。

「いやー、牡丹ちゃんのお陰でいいものが手に入って感謝感激よ!」
「チビスケを避難させたと思ったら、今度は何をしでかした。その腐臭のするムスメでも犯したか?」

ややツヤツヤしているナガミミは、既にウサギのぬいぐるみを準備させ、ジュリエッタに当てる満々だ。

「んもう! そう言うナガミミだって、生気が漲ってるじゃない!」
「チビスケ共に色々話をせがまれて疲れたんだよ。あーあー、もーホント、コドモの相手は嫌だね。」
「とか言っちゃってー。本当は満更でもないんじゃないの? 顔が疲れてないもの。」
「黙れ。今晩のオムライスのケチャップになりたくなければな。」

ナガミミ、もうぬいぐるみをブンブン振り回してます。あぁ、完全に殺す気満々です。

「つかそっちは何した? 何であの変態の顔が生気に満ちてやがるんだ?」
「牡丹の持っていた鏡達の写真を何枚かもらってた。」

フランシスが素直に答えると、ナガミミは殺る気に満ちた目でジュリエッタを見据えた。

「よーし変態。今すぐそれ全部出せ。オレサマが丁寧に額縁にいれて飾ってやる。お前の机じゃねえぞ。オレサマのデスクにだ。」
「なによ! 横取りするつも」
「真意を察しろ!」

ジュリエッタ、ナガミミの持っていたぬいぐるみに沈められました。

「さて、この馬鹿は放っておいて。カーソル、凪をあの場所に案内してやれ。他の奴等はオレサマが見とく。」
「分かったよ。んじゃ、ヘッドはくたばってるが、構わず行くぞ。」
「おっけー。じゃーみんな、また後でねー。」

凪はカーソルに案内され、一人離れていった。

「じゃ、オレ達はラウンジにでも行くか。ジュリエッター、財布もらってくぞー。」
「い、いいの? ナガミミちゃん…。」
「心配すんな。なんとかなる。」

伸びたジュリエッタのポケットを勝手に漁りながら、ナガミミは澪に言い放つ。

「…?」

ふと、理乃は何か鋭い気配を感じとり、その方向を見た。

「ん? 理乃、どうした?」
「少し、視線を感じて…。由梨、私少し離れるわね。」
「ああ、後はバレたらアタシが何とかしとく。」
「お願いね。」

そう、短い会話を終えた理乃は由梨達から離れていった。

「おし、財布発見。じゃーオマエ等、ラウンジ行くからついてこーい!」
「おー!」
(い、いいのかなぁ…。ラウンジの飲み物、結構高いんだよ…?)

澪が若干苦笑気味だが、ここはあえてスルーしてラウンジへと向かう事にした一同だった。

ノーデンスエンカウンター ( No.572 )
日時: 2015/11/01 22:11
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: IkrWl/TY)

そんな出来事から数分後、凪とカーソルはある場所まで来ていた。
部屋の真ん中には、巨大な装置がおかれており、制御するためのコンピュータであろう場所の前に、カーソルは手招きして凪を呼ぶ。

「これは、何? なんか見た感じ転送装置みたいな感じだけどー。」
「一目見ただけでそう思うのか。どこの誰か気になるところだが、今はコイツの説明をしないとな。お前の言う通り、これは転送装置だ。別の時間軸へ送る、いわゆる“タイムマシン”だ。」
「タイムマシン!?」

カーソルの言葉に、凪は驚く。場所と場所、異世界間の移動は何度かやった事があるが、時間軸をジャンプするなんて芸当ができるのは、MZDや、特殊な建物やアイテムを利用した理乃達しかいないと思っていた。
この人物達は、その時間軸のジャンプまでできる装置を作ろうとしていたのだ。

「普通、驚くよなあ? ま、未完成だけどな。」
「でも、なんでタイムマシンなんて作ろうと思ったのー?」

凪に疑問を投げかけられたカーソルは、しばし考え込んだ。

「それが、分かんねえんだよな…。タイムマシンを作る理由なんざ、もうないはずなんだがな…。」
「もう?(なんか、昔は理由があったみたいな言い方だけど…。)」
「ああ、こっちの話だ。とにかく、だ。ジュリエッタはこのタイムマシンを完成させたがってるが、肝心なところがどうしてもうまくいかなくてな。」
「その部分を、僕に作って欲しいのー?」

凪が聞くと、カーソルは頷いて答える。

「ああ、そういう話だ。」
「んー…。」

突拍子もない話に、凪は悩む。

「強制はしねえ。よく考えな。」
「うん、わかった。多分、この話題はすぐに答えを出すのが難しいと思うから、時間をちょうだい。この話は秘密にするからー。」
「ああ、ジュリエッタにもそう伝えておく。」

カーソルはそう言うと、携帯を取り出して誰かと連絡を取り始めた。が、すぐに通話を切る。

「おいおい、マジかよ…。」
「どうしたのー?」
「お前も、スカイラウンジに行くか? 絶景だし、飯もうまいぞー。」
「うん、行くー!」

どうやらみんなの居場所を聞いてくれていたのか、カーソルは凪をそのスカイラウンジに案内する事にした。

ノーデンスエンカウンター ( No.573 )
日時: 2015/11/01 22:14
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: IkrWl/TY)

凪がタイムマシンの話を聞いている間に、理乃は一人で地下1階にある、医療フロアに来ていた。
ノーデンス社内にあるのだが、一般にも解放されているのか、ちらほらと社員ではなさそうな人の姿が見える。

(あの気配の主はどこかしら。)

慎重に気配を探りながら、バーカウンターの様なところを通り抜け、その先にある扉の前で立ち止まる。

(ここね。でも、特になんの変哲もない部屋みたいだけど…。)

辺りに人影が少なくなった事を見計らい、こっそりとペンダントを杖に変え、開け放たれた自動ドアから中に踏み込む理乃。
中は暗かったが、ほどよいイグサの香りで和室だという事はわかった。
ゆっくりと、慎重に、奥へと進み、そして…。

「…暗がりに女性を誘うなんて、悪趣味ですよ。」

ブンッ、と杖を振り回す。が、カッ!と音を立てて、その杖は途中で何かにぶつかり、止まった。

「見付かってしまいましたか。」

白々しく、男の声がそう応えた。

「一先ず、その獲物を降ろして頂けませんか? 私もメイスを降ろせないので。」
「…。」

理乃は油断なく構えつつも、杖を降ろした。その後、声の主も何か—メイスを降ろした。

「貴方なら、私が敵ではない事を判って貰えると思ったのですが。」
「せめて堂々と姿を現してからそれを言っていただけると嬉しいのですが。」
「これは失礼。」

声の主は入口付近へ歩を進め、壁に手を触れた。カチッ、という音と共に、部屋の照明が点いた。その事により、部屋の内装、及び、声の主の姿がはっきりと見えた。

(…? あの人の格好、何だか不思議な感じがする。)

黒を基調とした魔法使いのような服に紫のマント。羽飾りの付いた紫の帽子。ファンタジーの世界の住人に見える男は、和の特色の濃いこの部屋、いや、この辺りの地域の住人としては、明らかに異質である。

「どうぞ、こちらへ。今、茶を淹れましょう。」

男は、盆栽の載ったちゃぶ台の側にある座布団を示し理乃を座らせると、急須と2人分の湯呑を出した。待ち焦がれていたかのように、急須から熱々の緑茶が湯呑に注がれた。

「い、いただきます…。」

毒とか入っているのではないかと疑いつつも、そっと口に含む。
幸い、怪しいものは入っていなかったが…。

「熱っ…。」

かなり熱かったようだ。

「淹れ立てですので、熱いですよ。」
「た、確かにこれは熱すぎますね…。」
「申し訳ありません。茶を淹れる経験が少ないもので、湯加減が判らなかったのです。」
「い、いえ、お構い無く…。」

理乃はそっと湯呑を置き、改めて男を見る。

(やっぱり、少し不思議な服装ね。それにこの感じ…。)
「私の恰好がそんなに珍しいですか?」
「え、ええ、この辺りではそんな恰好をしている人は、その、そういった趣味の人達ばかりですから。」
「趣味、ですか。私の居た時代では、これが正装なのですが。」

どうやら男の服装は趣味ではなく、正装のようだ。
…この時、理乃の耳におかしな単語が聞こえた。

「私のいた…“時代”?」

口ぶりからすると、男がいた時代はここではないようだ。理乃は少し怪訝そうな顔をして男を見た。

「おっと、自己紹介がまだでしたね。」

クスリ、と、笑って、男は名乗った。

「私の名はベル。今から少なくとも5000年程後の時代の者です。尤も、今やその時代の世界が存在するか判りませんがね。」
「えっ…!? ご、5000年後!?(確かに遠い未来だけど、私が想像していた未来の感じと全然違う…!)」

自分の想定していた未来図とは真逆の、まるで衰退したかのような服装に、理乃は驚きを隠せなかった。
だが、男—ベルの言葉には引っ掛かる点がある。

「ですが、今やその時代の世界が存在するか判らないってどういう事でしょうか?」
「そうですね。経緯は話すと長いのですが、結論だけ言うならば…。」

ベルは真顔で、理乃を見る。そして、衝撃的な言葉を口にした。

「この世界は、再構築されたのです。」

理乃には、何が何だかわからなかった。再構築とはいったい。それにこの世界で再構築なんかしたら、この世界の神様であるスバルが把握しているはずである。無論、そういった話を聞いた覚えがない。
いったい誰が、何故、どうやって、スバルにも気づかれないように再構築なんざしたのか…。

「…。」
「信じられない、と、いった顔ですね。それはそうでしょう。」

当たり前だ。未来から来たと言うだけでも正直疑いの余地はあるし、この世界が再構築されたのに自分達がその存在を知らないのもおかしい。

「この世界は、竜—天敵の存在が初めからなかった事になり、矛盾を抱える事となりました。ノーデンス社はただのゲーム会社となり、竜災害は別の災害に置き換わりました。そして、“竜を狩る者”である私達—13班は、再構築の成されたこの世界に、置き去りとなったのです。」
「…単なるテストプレイヤーではないのは、貴方の気配を読み取った時点でどことなく気づいていました。」

一通り話を聞いた理乃は、少し冷めたお茶を飲みながら、頭の中で話を整理しつつ、言葉を紡いだ。

「一般の人にはあり得ない力、魔力のようなものが、貴方から感じ取れました。先程会ったカーソルさんも、どこか戦いに慣れた戦士のような印象を抱きました。“狩る者”というからには、その手で何度も倒してきたのでしょう。貴方達が天敵と言う、竜…ドラゴンと。」
「…やはり、貴方がたは普通の者達とは違うようですね。」

ふぅ、と溜息を吐き、ベルは話を続けた。

「先程、私はこの世界が再構築されたと、そう言いました。しかしながら、私には僅かながら疑いの余地を見出しているのです。」
「疑い? 何をですか?」
「お訊きしましょう。今は、西暦何年ですか?」
「え? に、2015年ですけど…。」

おかしな事を聞くものだ、と思ったが、ベルの様子がおかしい。

「私達13班が活動していたのは“西暦2100年”です。時間移動により、2100年より過去と未来にも往く事もありましたが。」
「え、ええっ!?」

2100年と言えば、自分達が生活する今の時間よりもさらに先の未来。訳がわからなかった。だが、嘘を言っているようにも見えないのも確かだ。

「少なくとも、ノーデンス社は現在、即ち西暦2015年には設立されていない筈なのです。セブンスエンカウントも、現在の技術では実現し得ないシステムの筈なのです。」
「い、言われてみれば確かに現在の技術じゃあそこまでの体感型アクションゲームなんてできっこない…。何故気づかなかったのかしら…。」

機械には強い自分ならば、あのセブンスエンカウントはどこかおかしいと気づくべきだったはずだが、なぜか何の違和感もなくすんなりと受け入れられた。まるで、初めからこの世界に存在していたかのように。

「もしかして、再構築した際に私達の記憶にも僅かながら影響が出て、それでセブンスエンカウントもすんなりと受け入れられたのかしら…。」
「その可能性は否定できませんね。そして、疑いの余地を見出す、もう1つの要因…。」
「ま、まだあるんですか…。」

これ以上聞くのも怖いが、聞いておかないと後悔する気がする。

「噛み合わない年代。全く資料の存在しない種族。関連性なく追加された歴史。未知の術。…この事から、この世界が“再構築”されたのではなく、“統合”された可能性を疑っているのです。」
「!?」

ベルの出した言葉は、理乃にとっては衝撃的だった。

(確かに、この世界にあの人達の世界が“組み込まれて”もおかしくはない…。この世界があの人達の世界の“再構築”をきっかけに引き寄せられ、“組み込まれた”のだとしたら辻褄が合う…。)
「もし、“再構築”されたのなら、竜の存在しない矛盾や年代の誤りはあれど、全く新しい存在が追加される道理はない筈です。物語の世界に喩えるならば、世界観に合わない存在を無理矢理捻じ込むようなものですね。」
「そ、そうですね…。(どこまで感づいてるんだろう、この人。)」

これ以上まずい事を話してはいけないと思いつつも、油断なく身構える理乃。

「何か心当たりでも?」
「いえ、ないです。」
「ふむ…。」

理乃を見つめるベル。深淵をも見透かすような目が、理乃を捕らえて離さない。

「貴方、嘘が下手ですねえ。」
「嘘などついてませんよ。」
「…まあ、いいでしょう。」
「それがいいと思います。余計な詮索を女性の方にしたら、下手をすると消されますよ。」

無邪気な笑顔を浮かべ、動揺を隠しつつ、ベルを見続ける。

「“再構築”であれ、“統合”であれ、どちらでも一向に構わないのですよ。世界にとって噛み合わないあらゆる要因が、世界の崩壊を招くものでなければ、ね。私が最も案じているのは、それなのですよ。」
「…。」

その点に関しては、彼女が神様である以上、心配は要らないと理乃は察していた。

「大丈夫。世界は平和に周り続けていきますよ。これからも、ずっと。」
「貴方が自信を持ってそう宣言する根拠が判らないのですが、今はそう信じるしかないのでしょうねえ。…さて、そろそろお開きにしましょうか。お付き合い頂き、ありがとうございました。」
「ええ。お茶、ごちそうさまでした。」

理乃は席を立ち、みんなの気配を探りつつ、エレベーター前に向かっていった。

「…もう、いいですよ。」

ベルがそう言うと、少し経った後に、入り口から女が入って来た。
膝上がかなり見える丈の、ひらひらとした黒いドレス。バラの柄があしらわれた長い靴下。暗い赤のツインテールの頭には、角を思わせるカチューシャが着いている。
女はしかめっ面でベルに話しかけた。

「気付いていたか。盗聴器とやらは便利だが、気付かれれば効果が激減するな。」
「盗み聞きなど悪趣味ですよ、スカーレット。丁度、貴方にも聴いて欲しかったのですがね。」
「ふん。」

女—スカーレットはしかめっ面を崩さない。

「女子供を暗がりへ誘導し、逃げにくくする。兵士としてその行動は感心できないな。」
「盗み聞きをする貴方がそれを言いますか。それに、照明はきちんと点けましたよ。」
「まあいい。それで、彼女の言動と態度を見て、どう思う?」

ふむ、と、ベルは僅かの間考え、答えた。

「何かを知っていますね。私達の知らない何かを、或いは、私達ですら干渉できない何かを。」
「点在する小さな“停止した時間軸”。統一性のない“無秩序な存在”。継ぎ接ぎのような“不安定な空間”。世界の再構築が不完全だったか、あるいはお前の言う“統合”説が正しいのか。」
「いずれにせよ、観察は続けねばなりませんね。私達が願った世界。それが壊れないように。」
「その通りだ。」

真摯かつ勇敢なる戦士の目で見つめる二人。やがて、スカーレットはベルに背を向け、入口へと歩を進めた。

「スカーレット。」
「なんだ?」

ベルの語りかけに、スカーレットは背を向けたまま答えた。

「覚悟は、出来ていますね?」
「愚問だな。」

即答の後、スカーレットは部屋を出て行った。

「…さて。」

一人残されたベルは、どこか恐ろしげな不敵な笑顔を浮かべ、携帯電話を取り出した。

「仕事を再開しましょうか。」


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