二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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神様のノート 二冊目※打ち切り
日時: 2016/02/11 06:06
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: 0zbVOBmK)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode=view&no=28346

ひょんな事から授けられたノートもついに二冊目。
新たな仲間も増え、そして、新たな物語の可能性も増えた。

さて、そんな奇妙奇天烈な世界の物語、今一度、書き綴ってゆこう…。

昴「それと、前と同じようにキャラ紹介をここのURLに張り付けましたので、キャラがつかめない場合は是非ご一読ください。」


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☆一冊目へのリンク
 ・一冊目への道しるべ >>1

☆料理対決
〔第四回・男女混合料理対決地獄編〕
 ・賢者に自愛を、愚者には罰を 愚者編

〔第五回・宝石所持者の料理対決!〕
 ・通算九回目の固定審査員の始まり始まり(By昴) >>474-482
 ・実食
  一番&二番 >>490-494 三番&四番 >>499-504
  五番&六番 >>509-514 七番&八番 >>604-614
  九番&十番 >>629-633 十一番&十二番 >>638-644
  十三番 >>648-656 十四番&三番 >>660-665
 ・結果発表…!? >>681-689
 ・裏回

〔番外編・審査員一新!? 選抜メンバーの料理対決!〕
 ・


☆学力対決
 ・成績不振から始まる物語 >>158-163
 ・テスト本番! その前に。 >>242-250


☆ノートの世界のTwitter事情
〔本編〕
 ・その九 >>728-732

〔物語リメイク〕
 ・その一 >>738-740 new!

〔番外編〕
 ・異世界の料理対決
  その二 >>181-189 その三 >>225-234 その四 >>363-372


☆マヨナカテレビ事件
〔烈編〕
 ・諸注意 >>2
 ・懺悔の菊 >>3-14
 ・クマにできるコトしたいコト >>23-26
 ・運命の船出 >>32-37
 ・悪魔の歯車 >>52-57
 ・手を延べる悪意 >>61-66
 ・見守る星々 >>89-94
 ・茜色の焔 >>200-208


☆時空越の勇者
 ・壊された平和 >>126-129
 ・仲間との別れ 姫との出会い >>136-140
 ・賞金稼ぎとの邂逅 >>143-145
 ・仲間を求めて >>292-295
 ・あの人の為に >>303-309
  ・少年の思い >>333-339
 ・亜空軍との戦い >>446-451


☆神様・悪夢相談室
 ・神様:ケース「緑谷 凪」 >>413-416
 ・神様:ケース「リュータ」 >>692-695
 ・悪夢・番外編:ケース「奏月 昴」 >>698-792


☆牡丹博士のSCP講座
 ・SCP-Lie
  第一弾 >>537-544 第二弾 >>580-587


☆ある神様の聖誕祭
 その一 >>98-104 その二 >>148-153
 その三 >>214-220 その四 >>256-265


☆うちの13班
 ・設定 >>621-624
 ・小話 その一 >>625-628


☆もしももしものちいさなおはなし
 ・料理対決りばーす >>169-170


☆林間学校
 ・いざ、林間学校へ >>346-350
 ・飯盒炊さんと温泉の時間 >>356-360
 ・林間学校の終わりに >>377-383


☆セブンスエンカウント
 ・セブンスエンカウンター >>550-566
 ・ノーデンスエンカウンター >>570-576


☆パロディ
 ・アンジャッシュパロ
  その1 >>440-441 その2 >>456-460 その3 >>522-531

 ・日和パロ
  その1 >>670-673


☆短編
 ・プチネタつめつめ >>18-20
 ・続・ほのぼの日和 >>43-45
 ・小ネタ >>60
 ・ある日の為の打ち合わせ >>71-74
 ・あるアイドルの一日 >>75-85
 ・続々・ほのぼの日和 >>122-125
 ・唐突に思いついた料理対決案コーナー >>197
 ・テストネタ・問題案 >>273
 ・秋の長雨 >>279-282
 ・逃走中未完成案 >>288
 ・夏休み残り一週間の聖域にて >>315-317
 ・Welcome to Lapistoria Academy >>320-328
 ・黒翡翠の逆襲 >>390-395
 ・神と猫の集会場 >>591-601
 ・忘れないでね〜 >>677-678
 ・烈とリリィの橙代替品探し。代替大体大成功! >>706-711
 ・年末出店祭り >>714-722
 ・年初め 波乱万丈 いつもの日 >>723-727
 ・今後加入予定メンバーの設定 >>743


★募集中の事柄
なし

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神と猫の集会場 ( No.594 )
日時: 2015/11/13 21:44
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: AOK.B8lR)

その頃、ノーデンス社外…。

「にゃーでんす! にゃーでんす!」
「にゃーでんす! にゃーでんす!」
「行ってみたいにゃ、にゃーでんすー!」

ミネットとリリィが鏡を間に挟みながら仲良く手を繋ぎながら、ノーデンス本社前にやって来ていた。ちなみにこの中の二人、十七歳です。
その後ろから、昴、凪、ジャン、烈が微笑ましい表情を浮かべながらついてくる。ふと、何かに気がついたのか、烈はジャンを見る。

「しかしジャン、お前、よくネコカフェなんかに行く気になったよな。」
「ミネットに連れてけってせがまれたんだよ。」
「ミネットって確か俺と同い年だよな。…パシリ?」
「それ以上言うと剣の錆にするぞ、烈。」

ヴェンデッタを取り出していい笑顔で微笑むジャンに、烈は「ごめん。」とすぐさま謝罪をした。
そんな戯れは置いておいて、社内の受付カウンターまで来ると、凪は一人離れた。

「じゃー、僕はカーソルさんに用があるから、帰りに合流するねー。」
「おう、なんの用かはわからないけど、気を付けてなー。」
「うん、昴さん達も楽しんできてねー!」

そして凪と別れた昴達は、にゃーでんすがあるという地下一階を目指そうとしたが…。

「おい、誰だよエレベーターのボタン壊したの。」
「うわー、ボタンがめり込んでるにゃ。凄いにゃ。」

なんと、エレベーターのボタンが破壊されており、現在使用不可能のようだ。しかも近くにいた社員に話を聞く限りだと、エレベーターの中も亀裂が入っており、今は完全に使えないそうだ。
これにはジャンも呆れたように肩を竦め、ミネットはまじまじと壊れたボタンを見るしかなかった。

「凄いね…。まるで力任せに連打したみたい。」
「何したらこんな風に壊れるんだしマジで。」

リリィと烈も怪訝そうに壊れたボタンを見ていた。

「仕方ないな。お前ら、非常階段から行こうぜ。」

エレベーターが壊れている以上、仕方のない選択だった。
地下へ降りていると、ミネットは何かを察知したのか立ち止まった。

「どうした、ミネット?」
「にゃにゃ…ねこねこネットワークに警報が発令されたにゃ! 場所は、ここの地下にゃ!」
「つまり、地下で猫がピンチなのか?」
「そうにゃ! 幸い、自主避難している猫もいるにゃ! でも、取り残された猫もいるにゃ! にゃーっ!」

いてもたってもいられないのか、ミネットは駆け降りた。

「あっ、おい!」
「俺達も追うぞ!」

ミネットに続き、昴達も階段を駆け降りた。

神と猫の集会場 ( No.595 )
日時: 2015/11/13 21:51
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: AOK.B8lR)

ベルと青年が猫を宥めようと四苦八苦していると、扉から勢いよく何かが飛び込んできた。

「な、何だ!?」

何か—ミネットは猫達を見てホッと安堵するも、すぐにベル達に向き直った。

「にゃにゃ! 猫達を怖がらせたのはお兄さん達なのかにゃ! きっとそうにゃ! ここにいるのはお兄さん達だけにゃ!」
「待て、俺た」
「問答無用にゃーっ!」

ミネットはどこからか魚の形をした斧、ジャガーノートを取りだし、青年に向けて振りかぶった。

「うおっ! 危ないなお前!」

青年は持っていた刀がしまわれた鞘でなんとかミネットの一撃を防ぐ。

「事情も聞かずにいきなり攻撃はないだろ!」
「猫達を怖がらせて何を言ってるにゃ! 大人しくミネットの斧のさびに」
『ミネット様ー! 違いますにゃー!』

ミネットが着地したところに飛び込んできた一匹の白猫が、ベルと青年、そしてミネットの間に立った。

「にゃにゃ? 違うってどう言う事にゃ?」
「? なんだ?」

猫の言葉が解らない青年は、同じく猫の言葉が解らないベルと共に首をかしげた。

『コイツら、居場所がなくなったオレ達を拾ってくれた恩人にゃんです! さっきもオレ達を襲ったブレイモノから守ってくれたですにゃ!』
「よく分からんが、すごく失礼なことを言われている気がする。」
「ううん、言葉は悪いけど、感謝してる。」
「へー、そう…うおっ!」

突然隣にいた浮遊する猫型生物—リリィに、青年は驚いて飛び退いた。

「だ、誰だお前! ま、マモノか!?」
「人の妹をマモノ扱いしないでくれっか?」

後から入ってきた赤毛の青年—烈が、ポキポキと指をならしながら自分を睨み付けていたので、青年は萎縮してしまった。

「す、すまない…だが、お前の妹?」
「お客様に対し失礼ですよ、ムラサメ。それより、貴方と彼女は同じ種族とは思えませんね。トウキョウでは珍しくないことなのでしょうか? それとも、貴方のご趣味ですか?」
「お前の方が余程失礼だ。」

青年ームラサメはベルにそうツッコミを入れると、ミネットの方を見た。驚くべきことに、先程まで隅で怯えていた猫達が、ミネットを中心に集まっていたのだ。

「よーしよしよし、もう安心していいにゃ。」

猫達を一通り撫でると、ミネットはムラサメの方を見た。

「お兄さん達の事聞いたにゃ。いい人達で安心したにゃ。うにゃっ!」
「おいミネット、まず言うべき言葉はそれじゃねぇだろ。」

いつの間にかミネットの近くにいたボサボサ髪の少年—ジャンが、ミネットを小突いた。
ミネットは小突かれた頭を押さえながら、ムラサメに向き直った。

「ご、ごめんなさいにゃ…。」
「誤解が解けてよかった。それよりも、折角来てもらったが、何匹か猫が逃げ出してしまったんだ。すまないが、しばらく待っていてくれ。片付けと…猫を捜さなければならないからな。」

猫があまりいないネコカフェなど、ネコカフェとは呼べない。ムラサメはそう言って一度ミネット達を外に出そうとした。

「そういうことなら、俺達も手伝わせてくれ。」

不意に、声が響き、更に黒服をまとった人物—昴が入ってくる。

「手伝いを? ですが、お客様の手を煩わせる訳には…。」
「うちのが知り合いらしい奴に事情を聴いて飛び出していっちまったし、どーせこうなった原因はそこ寝っ転がってるDQNだろ? そいつ、俺達の知り合いと思いたくない知り合いだから、こうなった責任もあるし…。」
「本当にうちの仲間の兄が申し訳ない。」

昴の死んだ目を浮かべながらの説明の後、関係者に程近い烈が深々と頭を下げて謝罪をする。流石大人の話し合いをしている最中に近所に頭を下げ慣れているのか、見ていて清々しい。

「そういうことでしたら、お言葉に甘えさせて頂きましょう。それにしても…。」

チラリと、大牙を見るベル。

「昨夜、ZONBIEということにして始末しなくて良かったですよ。DQNということであれば、いくら害虫でも問題になりますからね。」
「本当に申し訳ございません。後でこいつの妹に任せますんで。」

烈は再び深々と謝罪をする。その手には既に携帯電話が握られていた。あぁ、これここから出たら鈴花に報告する気満々だ。大牙の命日が確定した瞬間である。

「とにかく、猫探しをしないと。」
「幸い、この建物から出た猫はいないみたいにゃ。でも完全に怯えちゃって通気孔に入ったまま出てこない猫もいるみたいにゃ。ある程度の猫達は呼んでみるけど、そういった猫達はちょっとミネットも難しいにゃ…。」
「そっちはリリィに任せるか。」

とにもかくにも、猫探しに繰り出す一同だった。…大牙を昴が出したロープでぐるぐる巻きにした上に同じく昴が出した簀を巻いた状態で置いて。

「ベル、にゃーでんすにあんな物騒な物を置いていたのか?」
「いえ、そのような憶えはないのですが…。」

事情を知らないムラサメとベルは困惑するものの、不届き者を封じられたことに、ひとまず安堵した。

神と猫の集会場 ( No.596 )
日時: 2015/11/13 22:02
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: AOK.B8lR)

その頃、一人別行動していた鏡はというと…。

「何でオレサマが猫探しに付き合わなきゃならねえんだよ、マッタク…。」
「えー、でも、困ってるようだし…。」
「猫とかホントどーでもいいし、アイツ等腹が減ったら戻ってくるんじゃねーの? ほっといてもいいじゃねえかよ。」
「えー…。」

途中で出会ったナガミミをなかば強引に連れ出して猫探しをしていた。

「えーじゃない。オレは忙しいの!」
「そうは言っても手伝ってるナガミミちゃんもナガミミちゃんだよね。」

別行動していた澪が合流した時にポツリと呟くと、ナガミミの耳に入ったのか、澪を小突いた。

「いたっ。」
「大して痛くねえだろうが。いいか? 本来ならあの猫の溜まり場を管理するアイツラの仕事なんだぞ? 管轄外のオレにも面倒事を持ち込まれるのが嫌なんだ。面倒事はさっさと済ませるに限る。」
「えっと、こういうのって確か、“つんでれ”って言うんだよね!」

この後、鏡がナガミミに小突かれたのは言うまでもない。

「痛いよー…。」
「ちょっとナガミミちゃん! お客様まで手をあげちゃダメだよ!」
「客でも容赦しねえ。それにジュリエッタにやったみてえに顔面めり込ませてねえんだからまだいいだろうが。それとチビスケ。むやみにそんな言葉を使うんじゃねえ。」
「えー? だって、色んな人がよく使ってるし…。」
「はあ、これだからニンゲンは…。いいか、チビスケ。“多数派が正しいという考えこそが間違い”だ。交通ルールを破るニンゲンは数多くいるが、ヤツらが正しいとは思わないだろ?」
(ナガミミちゃんも今は人間だよね…。多数派が正しいとは限らないって言う話は同意するけど。)

澪はナガミミの言葉に何か言いたそうだったが、それを今、鏡に話しても首を傾げられるだけだと思い、これ以上何も言わなかった。

「そ、それよりも鏡君、猫ちゃん探そっ、ねっ?」
「うん!」

これ以上鏡が変な事に興味を抱く前に、澪はそう促した。

「うーん、でも、猫どこにいるんだろ…。あっ!」

鏡が何かを見つけたのか、とてとてと設置されていたテーブルへ走り出す。
澪とナガミミも慌てて追いかけ、そこで見たものは、プルプルと震えて踞る子猫だった。

「猫さん見っけ!」
「ちょ、ちょっと待って!」

澪は、子猫に手を伸ばそうとする鏡を、慌てて制止した。

「この子、怯えてる。驚かしちゃダメだよ。」
「首根っこ掴んで持ってったらダメなのか?」
「逆に警戒されて二度となつかなくなりそうだけどね。」

ナガミミの提案を、澪はスッパリと一刀両断した。

「うーん、じゃあ、これで出てきてくれるかな? 凪からもらったんだけど…。」

そう言って鏡がポケットから取り出したのは、ヨーヨーだった。

「ヨーヨーなんかで出てくんのかよ。」
「わかんないけど、いつも凪がこれをシャーってやって河川敷の猫を集めてたよ?」
「これで来てくれるかな…。」

物は試しに、と言わんばかりに、鏡は子猫から少し離れたところでヨーヨーを回し始めた。
くるくる回るヨーヨーを、子猫はじっと見つめていた。

「くるくるー。」
「…。」

子猫はまだじっとくるくる回るヨーヨーを見つめている。

「まどろっこしいなー。」
「ナガミミちゃん、しっ!」


今にも子猫に飛びかかろうとするナガミミを、澪はとどめる。
やがて、何故か安心したのか、子猫はとことこと鏡に寄って来た。

「にゃー。」
「にゃー♪」

面白そうなもの、害のないものと判断したのか、子猫はヨーヨーにじゃれついた。
軽く小突いてみたり、挟んでみたり。鏡は止められたその度に紐を巻き、子猫の前に落とす。
どうやらすっかり鏡に対しての警戒心は消え去ったようだ。それどころか、鏡に何かを期待するような目で見ている。ヨーヨーを落としてほしいのだろうか。

「凄い、鏡君。子猫を落ち着かせちゃった。」
「やるじゃねえか、あのチビスケ。」

鏡になついた子猫を見て、澪とナガミミは感心と驚きが混じったような顔をしていた。

「えへへー。さっ、みんなのところに帰ろー?」
「にゃー!」

パタパタと尻尾を揺らしながら、子猫は鏡の後ろをついていく。

「よーし、これで猫は見付かったな。オレは仕事に戻るぞ。」
「それがね…逃げ出しちゃった猫はまだいるんだ…。」

澪の言葉に、ナガミミは嫌そうな顔をした。ええ、あからさまに嫌そうな顔を。

「だったら、チビスケが一人でやれ。オレがいても役に立たんだろうが。」
「えー! そんなぁ…!」

鏡は悲しそうな顔をしてしょんぼりとうなだれてしまった。横では子猫が同じようにしょんぼりとうなだれている。

「…ああ、もう、そんな顔すんな! 後ろ髪引かれるだろうが! オイ、チビスケ。このナガミミ様を引きとめた代償はきっちり支払って貰うからな!」
「だ、代償…お小遣い足りるかな…?」
「そうじゃねえって! いいからさっさと猫を捜すぞ!」

ナガミミはちょっと乱暴にズンズンと進んでいった。

「素直じゃないなあ…。」

澪はそんなナガミミを、クスクス笑いながら見つつ、着いていった。

神と猫の集会場 ( No.597 )
日時: 2015/11/13 22:07
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: AOK.B8lR)

「怖くない。もう大丈夫。悪い人、いなくなった。」
『ほ、ほんとかニャ…?』
「ミネットさんも、呼んでる。一緒に、行こう?」
『わ、わかったニャ。ミネット様もお呼びですからいきますニャ。』

同じ頃、通気孔内に逃げた猫とリリィは会話していた。猫は怯えつつも、リリィに着いていった。
通気孔から一緒に出てきた猫とリリィは、プルプルと全身を震わせ、埃を落とす。

「おつかれ、リリィ。埃まみれだな。」
「真っ黒。烈君、後で一緒にお風呂はいろ?」
「ああ、体洗ってやるよ。」
「えっ…?」

ちなみに言うが、やましい意味は一切ない。だが、その会話をたまたま通りかかったジュリエッタが聞いてしまい、奇妙なものを見る目で烈とリリィを見ていた。

「あらやだ、アナタ達って、そういう関係だったの? 隅に置けないんだから♪」
「え、ちょ、違っ…! つかアンタ誰!?」
「あ、ジュリおじちゃん。」
「え? ジュリおじちゃん? リリィ、知り合いなのか?」

烈が訊ねると、リリィはひとつ頷いて答えた。

「うん。前に、ダーターでおおばんぶるまいしてくれた。」
「いまいちよく分からんが、いいや。リリィが世話になったみたいだな。俺は烈。こいつの…まぁ、兄貴みたいなもん。」
「アタシはジュリエッタよ。よろしくね、烈君。(この子、あの天使そっくりねー。あぁ、愛くるしい、撫でたくなる感じも似ているわー。部屋に連れ込んであーんな事やこーんな事をしたくなるわ。いや、ここには誰もいないし、あの可愛い子猫ちゃんもいるし、猫ちゃんもいる事だし、いっその事このままアタシの開発部長室に連れ込んで(※ここから先は自主規制))」
(…何か、寒気がした。あぁ、もしかしてこの人、牡丹とかと同類か?)

ジュリエッタから漏れだす、嫌らしい視線と思念を感じた烈は、ジュリエッタが妄想の世界に沈んでいる隙に、リリィと猫を伴ってそそくさとその場から逃げた。

「あっ、待って! アタシの天使ちゃん!」
「そこまでだ。」

天井からムラサメが降りてきて、ジュリエッタの首筋に刀を寄せた。

「通報を受けて来てみれば…またお前か。」
「ゲッ、ムラサメ…!」
「選ばせてやる。彼岸へ行くか、此岸に留まるか。」
「できれば生き残る方にしてちょうだい。」

きっぱりと訴えるジュリエッタに、ムラサメは、刀を収めた。

「ならば、衝動を抑えろ。できないなら、彼岸にすら行けないと思え。」
「えー。可愛い子を見たらキュンとするのが一般的でしょ?」
(どんな一般的だよ…。)

烈は会話を聞きつつ、そう思っていた。思うだけだったが。

「なら、望み通り魂ごと微塵に刻んでやる。」

流石に嫌な予感を感じ取った烈は、リリィと猫をつれて即座にその場から離れた。
その後、ジュリエッタの悲鳴が聞こえてきたのは、烈の気のせいにしておこう。

「ジュリおじちゃん達、どうしたの?」
「そのおじちゃんは今、お楽しみ中だ。邪魔しちゃ悪いから、早く行こうぜ。」
『そうニャ。お邪魔しちゃ悪いニャ。』
「うん。」

烈と猫に諭され、リリィは気にしないでいる事にした。

「さて、猫はどれくらいまで集まったかな。ちょっとミネットに連絡とってみるわ。」

そう言って烈は携帯を取り出そうとしたが、画面にあった着信表記に、思わずフリーズした。

「…? 鈴花さんから着信?」
「…メールの詳細を教えてほしいんだろうな。出来れば俺の口から。リリィ、猫連れて先戻ってろ。」
「うん。じゃあ、一緒に行こう。」

リリィは猫をつれて、先ににゃーでんすに帰っていった。
烈はとりあえず手近にあった椅子に腰掛け、震える手で通話に応じた。

「…もしもし。」
『ハァイ、烈君。うちのクソ兄貴、今度は一体何やらかしたの? 会社でもぶっ壊した?』
「(ヒイィッ! な、なんか上機嫌なのが逆に不気味なんだけど!)大丈夫だ。“会社”は壊れてない。正確には、一部を除いて、か。」

烈は大牙がにゃーでんすに至る道のりで、社内の設備をあちこち壊したこと。にゃーでんすの猫を怯えさせ、一部の猫が逃げ出したことを、簡潔に説明した。

『うんうん、ありがとー、烈君。よーくわかったよー。…あのクソ兄貴を即座に沈めた方がいいっていうのが。』
「ああ、説教部屋の予約を済ませろよな。時間は、昴さんと応相談な。」
『ハーイ。』
「それと、回収する時は、他の奴らに、その…気を遣えよ。」
『わかってるよー。じゃあ、烈君。“また後でね”♪』

その言葉を残し、鈴花は通話を切った。

(不安だ。俺達、巻き込まれないよな?)

烈は携帯を持つ手を震わせながら、今は何も映っていない画面を見つめていた。
その後、ミネットに電話をかけて猫が全匹戻ってきたのを確認したので戻ろうとしたが…。

(…足に力が入らねぇ…。)

鈴花のあの電話越しに伝わる気迫に押されてか、烈はしばらくその場から動けなかったそうな。

神と猫の集会場 ( No.598 )
日時: 2015/11/13 22:15
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: AOK.B8lR)

そして、にゃーでんすへとなんとか戻ってきた烈は、片付けられた部屋で寛いでいた。
その横では昴がガタガタと震えている。烈は直感で、鈴花から電話がかかってきたことを悟った。

「昴さん、俺達にできることは何もねぇし、ゆっくりしてようぜ。」
「あ、ああ、だな。…鈴花の奴、なんっつー殺気を…電話越しでも伝わるって相当だぞ…。」
「ああ、隣で聞いていた俺も思わずビビって昴の服の裾を握っちまったよ…。」

昴はおろか、ただ聞いていたジャンをもビビらす鈴花の殺気。余程末恐ろしいものと見た。
一方、受付付近では、迷い猫を届けて帰って来たクロノと、粛々と仕事をするベルが会話していた。

「ベル様。お客様の電話から、真竜よりも恐ろしい気を含む声が聞こえたのですが。」
「聞こえすぎるのも問題ですね。何が聞こえたか判りませんが、あれはお客様がたの問題なので気にしないでおきましょう。」
「関与しなくても良いとはいえ、震えが止まりません…。」
「俺の仲間がほんとにすみませんでした。」

クロノの呟きが耳に入ったのか、烈はクロノに向かって頭を下げた。
クロノはルシェ族故に、耳が良い。故に、多くの音を耳に入れてしまうのだ。ちなみに、“ルシェ族”はTodestriebの傲慢ちゃんとは何も関係がない。

「はー…。安らぎに来たのに何でここまで違うストレスためなきゃいけないんだよ…。」

昴は持ち込んだネコ缶(※ベルの検閲済み)を開け、用意された皿に盛り付け、目の前に置いた。猫達はこぞって群がり、はぐはぐと食べ始めた。

「…まぁ、いいか。可愛いし。」

猫に癒され、ご満悦の昴。ふと、この時、少し悪戯したくなり、ノートにこっそりと記述をした。

「ん? 昴、何出してんだ?」
「鍋。」
「鍋? おい、何出してんだよ。」
「中身は空だ。ほら、有名な写真があるだろ? 猫鍋。」

昴は目の前に鍋を置く。無論、ノートを用いて出現させたものだ。
狭いところが好きな猫が一匹、昴の出した鍋に入る。この時点でもう可愛い。が、何を思ったか昴は、そのまま蓋を閉めた。

「おい、何やってんだよ昴。」
「猫のお部屋ー。後で普通に蓋を開けるから心配すんなって。」

どうやら、あの有名な猫鍋に何故か蓋をしたくなったらしい。
が、ここで事件が起こった。なんと、その猫が自分から蓋を開けて持ち上げ、腰を降り始めたではないか! その様子はまるで、なんちゃら症候群で有名な、日曜日の長寿アニメの猫さながらだった。しかも入ったのが白い猫だからもう完全に再現しているんですけど。

「」

これには昴もジャンも烈も絶句。受付から遠目で見ていたベルとクロノも絶句。

「クロノ、これは一体…!」
「にゃーでんすの全ての猫は、私がしかと確認しました。皆、何の変哲のない猫です。しかし、あの猫は一体…!」

猫の突然の行動に、全員黙ってその様子を見る。猫は相も変わらず腰を降り続ける。

「これは、研究開発チームに調べて貰わなければなりませんね…。」
「今、お連れしますか?」
「お客様に危害を加える可能性が無きにしも非ずです。頼みましたよ。」
「分かりました。」

クロノは昴達の許へ寄り、猫鍋に手を伸ばした。

「失礼します。」

猫から鍋蓋を取り上げ、猫を抱きかかえると、クロノはそのままにゃーでんすを去った。

「申し訳ござりません。安全上の都合上で、あの猫は一時退避させます。」
「なんか言葉遣いおかしくねえか?」

動揺が滲み出ているのか、ベルの言葉遣いが、やや変になっていた。

「…失礼致しました。他の猫は、問題ない(筈)ので、引き続きお寛ぎ下さい。」
「お、おう…。」

昴は代表してそう答えると、やや複雑な表情でのんびりと寛いだ。

「…しかし、なんだったんだろうな、あの猫。」
「いきなりサ○エさんした時はびびったが、あれが普通の猫なのか?」
「ジャン、あんなのが普通の猫なら俺、この世界を理から創り直すぞ。」
「だよなー。(多分プレアもそう答えるだろうな。)」

きっぱりと、昴はそう訴える。世界の真実を知るジャンも昴の言葉に同意し、スバルの考えも読んだ。
そんな折り、クロノが猫を抱き抱えて帰ってきた。そして猫を降ろし、ベルへと向き直る。

「ベル様。この猫は検査の結果、“ごく普通”の猫と結果が出ました。なんら異常性のない、ただの猫だと…。」
「では、トウキョウの猫独自の特徴だと?」
「それは分かりません。ですが、件の話をしたところ、大変興味を持たれました。その様子から察するに、“ごく普通”の猫は、後ろ足で立って腰を振るような動作はしないと思われます。それがトウキョウの猫であれ。」

ベルとクロノの会話を盗み聞きしていた昴は、猫の理をどうしたものかと悩んでいた。取り合えず現実逃避のために、もう一度鍋を出し、猫を招く。
やがて、今度は茶色の猫が鍋に入る。そして蓋をする昴。

「にゃー。」

猫は蓋を開け、腰を振る。
一同、またも絶句。純粋組は感激のあまりキラキラとした目で見ていたが。

「直接、猫の言葉を聞くことが出来れば、理由が解るかもしれませんね。」
「あ、それなら…ミネット、ねこ使いのお前なら余裕だろ?(ああ、俺も理由が知りたい。)」

ベルの呟きに反応したジャンは、猫の言葉が理解できるねこ使いのミネットを頼った。

「キャットシッターミネットにお任せにゃ! …にゃんか知らないけど、できたっていってるにゃ。」
「なんか知らないけどでできるのかよ!」

どうやら猫達にもなぜこんな芸当ができたかわからないようだ。

「…取り合えず、考えないようにしよう。うん。」

昴達はもう、その件については考えないようにし始めた。…腰を振り続ける猫を、そっと見ながら。


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