二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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神様のノート 二冊目※打ち切り
日時: 2016/02/11 06:06
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: 0zbVOBmK)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode=view&no=28346

ひょんな事から授けられたノートもついに二冊目。
新たな仲間も増え、そして、新たな物語の可能性も増えた。

さて、そんな奇妙奇天烈な世界の物語、今一度、書き綴ってゆこう…。

昴「それと、前と同じようにキャラ紹介をここのURLに張り付けましたので、キャラがつかめない場合は是非ご一読ください。」


1/31 更新


☆一冊目へのリンク
 ・一冊目への道しるべ >>1

☆料理対決
〔第四回・男女混合料理対決地獄編〕
 ・賢者に自愛を、愚者には罰を 愚者編

〔第五回・宝石所持者の料理対決!〕
 ・通算九回目の固定審査員の始まり始まり(By昴) >>474-482
 ・実食
  一番&二番 >>490-494 三番&四番 >>499-504
  五番&六番 >>509-514 七番&八番 >>604-614
  九番&十番 >>629-633 十一番&十二番 >>638-644
  十三番 >>648-656 十四番&三番 >>660-665
 ・結果発表…!? >>681-689
 ・裏回

〔番外編・審査員一新!? 選抜メンバーの料理対決!〕
 ・


☆学力対決
 ・成績不振から始まる物語 >>158-163
 ・テスト本番! その前に。 >>242-250


☆ノートの世界のTwitter事情
〔本編〕
 ・その九 >>728-732

〔物語リメイク〕
 ・その一 >>738-740 new!

〔番外編〕
 ・異世界の料理対決
  その二 >>181-189 その三 >>225-234 その四 >>363-372


☆マヨナカテレビ事件
〔烈編〕
 ・諸注意 >>2
 ・懺悔の菊 >>3-14
 ・クマにできるコトしたいコト >>23-26
 ・運命の船出 >>32-37
 ・悪魔の歯車 >>52-57
 ・手を延べる悪意 >>61-66
 ・見守る星々 >>89-94
 ・茜色の焔 >>200-208


☆時空越の勇者
 ・壊された平和 >>126-129
 ・仲間との別れ 姫との出会い >>136-140
 ・賞金稼ぎとの邂逅 >>143-145
 ・仲間を求めて >>292-295
 ・あの人の為に >>303-309
  ・少年の思い >>333-339
 ・亜空軍との戦い >>446-451


☆神様・悪夢相談室
 ・神様:ケース「緑谷 凪」 >>413-416
 ・神様:ケース「リュータ」 >>692-695
 ・悪夢・番外編:ケース「奏月 昴」 >>698-792


☆牡丹博士のSCP講座
 ・SCP-Lie
  第一弾 >>537-544 第二弾 >>580-587


☆ある神様の聖誕祭
 その一 >>98-104 その二 >>148-153
 その三 >>214-220 その四 >>256-265


☆うちの13班
 ・設定 >>621-624
 ・小話 その一 >>625-628


☆もしももしものちいさなおはなし
 ・料理対決りばーす >>169-170


☆林間学校
 ・いざ、林間学校へ >>346-350
 ・飯盒炊さんと温泉の時間 >>356-360
 ・林間学校の終わりに >>377-383


☆セブンスエンカウント
 ・セブンスエンカウンター >>550-566
 ・ノーデンスエンカウンター >>570-576


☆パロディ
 ・アンジャッシュパロ
  その1 >>440-441 その2 >>456-460 その3 >>522-531

 ・日和パロ
  その1 >>670-673


☆短編
 ・プチネタつめつめ >>18-20
 ・続・ほのぼの日和 >>43-45
 ・小ネタ >>60
 ・ある日の為の打ち合わせ >>71-74
 ・あるアイドルの一日 >>75-85
 ・続々・ほのぼの日和 >>122-125
 ・唐突に思いついた料理対決案コーナー >>197
 ・テストネタ・問題案 >>273
 ・秋の長雨 >>279-282
 ・逃走中未完成案 >>288
 ・夏休み残り一週間の聖域にて >>315-317
 ・Welcome to Lapistoria Academy >>320-328
 ・黒翡翠の逆襲 >>390-395
 ・神と猫の集会場 >>591-601
 ・忘れないでね〜 >>677-678
 ・烈とリリィの橙代替品探し。代替大体大成功! >>706-711
 ・年末出店祭り >>714-722
 ・年初め 波乱万丈 いつもの日 >>723-727
 ・今後加入予定メンバーの設定 >>743


★募集中の事柄
なし

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セブンスエンカウンター ( No.554 )
日時: 2015/10/31 22:32
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: j62VnjSr)

中に入るなり、左右違う長さの金髪ツインテールの少女が凪達に近寄ってきた。ノーデンスの社員なのか、フリル付きのスカートと黒タイツが特徴的な制服をまとった可愛らしい女の子だ。

「ようこそ、セブンスエンカウント試遊会場へ。お客様はチケットをお持ちですか?」
「持ってるよー。はい。」

凪はチケットを少女に渡した。横ではフランシスと由梨も、少女にチケットを差し出していた。

「はい、確かに試遊会のチケットですね。では、プレイヤーの方はこちらへ。見学にいらした方は二階へとお上がりください。」
「じゃあ、私は二階だね。」

風花はそう言って一同から離れようとしたが…。

「ところで、ナビゲーションはどうしますか?」
「ナビゲーション?」

全員、こてんと首を傾げる。

「どうやら皆さん、チケットの裏をよくお読みになっていらっしゃらないようですね。このセブンスエンカウントでは、一チームに一人、ナビゲーションをつける事ができます。なので、チケットには最大四人までのプレイヤーが参加する事が可能、と書かれていたのですが…。」
「実際にプレイするのは三人で、一人は外で地形やモンスターの強さをナビゲートするって事?」

凪が聞くと、少女は頷いた。

「一枚で三人プレイできると書いてあったから、ナビゲーションをつけられるなんて知らなかったぞ。」
「昴さんやりせも誘えばよかったな。アイツ等、それ専門だし。」

フランシスも由梨も、難しそうな顔をして困り果てていた。ナビがいるのといないのとでは、探索や戦闘においてかなりの違いが生まれる。

「今から呼ぶって手もあるけど、時間もないし、残念だけど今回は呼べそうにないね。」

紅刃は頭をバリバリ掻きながら、ちらりと風花を見る。風花は紅刃の言いたい事に気づいたのか、小さく頷いた後、少女を見た。

「あ、あの。」
「なんでしょう?」
「私がこの九人のナビをするのは可能でしょうか?」
「あ、そっか。風花もナビ専門だっけ。」

そう、りせ以上の力を持つ風花に、三組のナビゲーションをさせようと考えたのだ。

「申し訳ありませんが、ナビゲーションは一人一組しかできません。」
「では、九人一組はどうでしょうか? 丁度マシンも九台分ありますし…。」
「申し訳ありませんが、プレイヤーは一組三人となっておりまして…。」

どうにか風花一人で三組のナビゲーションをさせようと考えたが、どうにもならなさそうだ。

「いいじゃないの。想定人数自体は超えてないのでしょう?」

そこへ、鍔付き帽子を被った癖っ毛とちょび髭が特徴的な“おじさん”がやって来た。

「チッ…。元はといえば、テメエがきちんと、応募サイトにナビの事がはっきり書かれているのを確認しなかったのがいけねぇんじゃないのか、十郎太。」
「ちょっとナガミミ! 今は営業モードよ! あとそっちの名前で呼ばないでくれる? ジュリエッタでお願いと何度言えば」
「あー…コホン。お話の続きは後ほどお願いします。つか、後にしやがれ。」

めんどくさそうに、ナガミミと呼ばれた少女は話を打ち切る。それに十郎太…いや、ジュリエッタは何かを言うも、ナガミミは一切無視した。

「コホン…。まぁ、仕方がないでしょう。こちらの、主にこの馬鹿の不手際でしたからね。それでは、今回は特別に九人一組で参加いただくという事でよろしいですか?」
「まだ素が残ってるし! と、とにかく、その通りよ。サポートにバディ、ユニゾンシステムのテストも完璧だしね。」
「やや不安ですが、特例として流しておきましょう。何か問題が発生した場合は、彼を殴って結構ですから。では、あちらのマシンで職業の登録を行ってください。ナビの方はこちらへ。ノーデンス社随一のナビから説明がありますので、お聞きになってお待ちください。ジュリエッタ、テメエはソイツ等を案内してやれ。」
「わ、わかりました。じゃあみんな、また後でね。」
「ナガミミ、ちゃんと営業モードに戻りなさいってば!」

最後まで素のモードを出すナガミミに、ジュリエッタは何かを言うも、彼女はさっさと風花を連れて行ってしまった。

「まったくもぅ…。ごめんなさいね、バタバタしちゃって。アタシはジュリエッタ。このセブンスエンカウントの開発者で、ノーデンス社の取締役よ。」
「よろしくねー、十郎太さん。」
「んもう! 可愛い顔して意地悪なんだから! ジュ・リ・エッ・タ! ジュリエッタよ!」

凪がわざとらしく間違って言ったあと、ウインクなんかしながら言うもんだから、由梨とフランシスは背筋が凍るような寒気を感じた。

「はーい、じゅう…じゃなかった、ジュリエッタさん。」
「と、とにかくさっさと職業決めようぜ。」

由梨はこれ以上話すと純粋組が変な興味を持ってしまう可能性を危惧し、さっさと次に進もうとしたが…。

「ジュリエッタさん、男の人なのに女の人みたいな言葉遣いするの、なんで…?」
「ボク知ってる! あれ、“オネェ”っていうんだよね? 初めて見た!」
「いいから、早く決めるぞ!」

時既に遅し。リリィとローズが興味を示してしまった。フランシスが制止するも、

「へー、あーいうのがオネェなんだ!」
「オカマとは違うのでしょうか?」

更に犠牲者が二人生まれました。鏡も理乃も、初めて見るオネェに興味津々のようだ。

「はいはい、オカマとかオネェ談義は後にして、まずは職業決めようねー。」
「はーい!」

が、更なる興味を持たれる前にすかさず紅刃が先に進むよう促したので、純粋組は彼についていった。

(ナイスこう兄!)
(ただのシスコン馬鹿かとおもったら、ああいう気配りができるんだな。流石は妹の面倒を見てきただけはあるか。)

そんな紅刃に、由梨とフランシスは心のそこから感謝しつつ、凪やオネェについて説明をしようとしたが凪に殴られて止められた牡丹と共についていった。

セブンスエンカウンター ( No.555 )
日時: 2015/10/31 22:37
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: j62VnjSr)

「じゃあ、職業について簡単に説明するわね。職業はサムライ、エージェント、ゴッドハンド、デュエリスト、ルーンナイト、フォーチュナー、メイジ、バニッシャーの八つがあるの。それぞれの特徴は、この簡単にまとめた説明書を見て。」

登録用のポットの前に来た時、ジュリエッタは凪達に紙を渡しながら説明をする。
その紙には、


サムライ
・武器は刀。一刀(一刀流)と双剣(二刀流)があり、それぞれ使えるスキルが異なる
・攻守のバランスがとれた剣士

エージェント
・武器は二丁拳銃
・身を隠しながら射撃をしたり、【ハッキング】で敵の弱体化や同士討ちを誘発したりできる

ゴッドハンド
・武器は拳
・特定のスキルにより敵に付加させるゴッド深度によって繰り出す技と、カウンター技を主軸として戦い、簡単な回復スキルや補助スキルも扱える

デュエリスト
・武器はカード
・毎ターン追加される手札のカードを使って戦う為、やや運要素が絡む

ルーンナイト
・武器は短剣
・色々な効果を持つ魔法を短剣に宿らせて攻めたり、全体回復スキルや味方への攻撃を自身へ引き付けるスキルで味方を守る

フォーチュナー
・武器は鎌
・状態異常攻撃が特徴。また、補助スキルも豊富

メイジ
・武器は杖
・様々な属性魔法攻撃や体力や状態異常を回復させる魔法を覚える、魔術のスペシャリスト

バニッシャー
・武器は機甲槍(槍と臼砲を併せ持つ槍。簡単に言えば、槍のついたバズーカ砲のようなもの)
・爆薬を消費して、高火力の攻撃を繰り出す事が可能


と書かれていた。

「ふむ、九人だから、一人一つの職に就いたら、一人誰かが被るのか。」
「だったらサムライを二人に分けたらいいんじゃないかなー? 丁度一刀と双剣で分かれてるみたいだし。」

紅刃の提案に、全員頷く。

「なら、紅刃さんと由梨さんが一刀と双剣のサムライになりますの?」

剣術道場出身の野上兄妹がサムライに決定するかと思いきや…。

「いや、俺はバニッシャーやろうと思うんだー。」
「へ? 意外。双剣の使い手である兄貴なら双剣サムライになると思ったのに。」
「いやー、確かに慣れてる獲物は持ちたいけど、たまには別ので大暴れしたい気分なんだよねー。それにこの機甲槍っての、面白そうだし。」
「この兄貴は…。じゃあ、双刀サムライはどうするんだよ。」

なんと、紅刃が辞退したのだ。
一刀は自分がやるとして、双剣が辞退した以上、別の誰かがやるしかない。由梨は前にいる一同に訊ねた。

「あ、あの、オレやってみたい! この中でなんか、できそうなのってサムライくらいだろうし…。」
「他のもできそうな気がするけど、じゃあ、双刀サムライは鏡に、一刀サムライは由梨さんに任せよっかー。じゃあ、他のはどうするー?」

ここでサムライは鏡と由梨に、バニッシャーは紅刃に決定したので、他のをどうするか一同に凪が訊ねた。

「あのさ、どう考えてもメイジとゴッドハンドは一択だと思う。」
「意義なし。」

全員、由梨が見た方角を見る。そこにいたのは、理乃と牡丹。これには全員納得してしまう。

「納得されると断りきれないですね…。わかりました。メイジは私が引き受けますね。」
「ゴッドハンドは私ですわね。」

そんなこんなで、メイジは理乃に、ゴッドハンドは牡丹となった。

「あとは…エージェントにルーンナイトにデュエリストにフォーチュナーかなー。」
「理乃がメイジをやるならば、エージェントも一択になるだろ。」
「誰にー?」

フランシスが言うと、凪は首を傾げてしまう。どうやらわかっていないようだ。

「お前だ、凪。理乃がメイジをやる以上、機械に長けているのはお前しかいないからな。」
「それもそっかー。じゃあ、残りはそっちで決めちゃってー。」

凪が言うと、フランシスは頷いて紙とにらめっこをした。が、

「ボク、デュエリストやりたい!」
「私、フォーチュナーやりたい!」
「意外にも即座に決定したなおい。」

即座にリリィとローズが立候補したので、フランシスは余ったルーンナイトになる事になった。
まとめると最終的に、


鏡:サムライ(双剣)
凪:エージェント
牡丹:ゴッドハンド

フランシス:ルーンナイト
リリィ:フォーチュナー
ローズ:デュエリスト

理乃:メイジ
紅刃:バニッシャー
由梨:サムライ(一刀)


となった。

「あらあら、きちんと分かれたわね。さて、それじゃあ次はこれを三チームに分けて貰いましょうか。」
「あれ? 九人一組じゃないの?」

凪が聞くと、ジュリエッタは首を横に降った。

「残念だけど、前衛で戦えるのは三人までって決まっているの。他の二組は、前衛のサポートをお願いするわ。」
「じゃあ、前衛は変えられないの? ダメージを受けて戦闘不能が近くなった時とか。」
「チームメンバーを変える事は不可能だけれど、戦闘中でない時に前衛のチームを変更する事は許可するわ。暴れたくなったら前に出してもらうもよし、体力がなくなったから休ませるもよし。そこは、アナタ達の采配次第ね。それと、前衛が全滅したら、後衛が元気でもゲームオーバーよ。」

どうやら、チームメンバーは変更できないが、一チームで前衛後衛を変える事はできるようだ。もっとも、戦っている最中は許可できないようだ。

「じゃあ、職業を登録したら、チームメンバーの登録も一緒にしちゃって頂戴。」

ジュリエッタはそう言ってひとまず凪達から離れた。

セブンスエンカウンター ( No.556 )
日時: 2015/10/31 22:43
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: j62VnjSr)

「チームメンバーの登録する前に、リリィ、擬人化した方がよくないかなー?」

いざ、チームメンバーの登録となった時、凪がそうリリィに提案した。

「どうして?」
「リーチの問題だろう。俺は刃を浮かせる事ができるし、ローズも多分カードを浮かせて操る事になるだろうが、流石に鎌を浮かせられないだろう?」

首を傾げるリリィに、フランシスが説明した。
この中で唯一擬人化できるリリィならば、少しでもリーチは長い方がいいとフランシスは判断したようだ。

「擬人化?」

話を聞いていたのか、ジュリエッタが首を傾げて訊ねる。

「見ればわかるよー。リリィ、僕もそうした方がいいと思う。」
「わかった。」

そしてリリィの体が煙に包まれ、ぽんっ、と音を立てると、擬人化リリィが現れた。これにはジュリエッタもびっくりだ。

「え、さっきの子猫ちゃんは!?」
「さっきの子猫ちゃんです。」

戸惑うジュリエッタに、リリィがはーいと手をあげて宣言する。

「まぁ、慣れている私達からすれば普通ですが、初めて見た方は驚きますよね…。」
「え、ええ。かなり。(ビックリしたわ…。でも、リリィちゃん、だったかしら。擬人化した後もする前も可愛いわね…。あの擬人化の仕組みも調べてみたいけど、何より…。)」

理乃にフォローを入れてもらったジュリエッタは、改めて理乃達を見る。

(あのローズって子も従順な子供みたいで可愛らしいし、理乃ちゃんって子も知的な感じを見せているけど、何か振る舞いが純粋な子供みたいだし、そして何よりあの鏡って子…!)

どこか恍惚な表情を浮かべながら、純粋組を値踏みするように見つめるジュリエッタ。その視線が、鏡に止まる。

(犬耳猫耳ウサ耳なんでもござれな愛くるしい表情なんかしちゃってっ! あぁ、もう我慢できない。その頭をナデナデしたい…! 後ろからギュッと抱き締めてナデくり回したい!)

おーい、脳内でかなりヤバイ事考えてるぞこのおっさんー。

(はっ、ダメよ、ジュリエッタ。今は営業モードの時間よ…。)

ブンブンと首を振るも、再び鏡に目を移した瞬間、プルプルと何かを堪えるように震える。

(あぁぁ…。でも、ウサミミつけてナデ回したいわ…!)
「ジュリおね…おじちゃん?」

様子がおかしいジュリエッタに気がついたのか、鏡、リリィ、ローズの純粋組がジュリエッタの顔を覗き込んだ。

「ん、あぁ、どうしたの? カワイコちゃん達。」
「チーム分け、終わったよー! こうなった!」

そう言って、鏡はジュリエッタをぐいぐいと引っ張り、登録用マシンの前までつれていった。
その画面には、


1st:鏡、リリィ、ローズ
2nd:フランシス、紅刃、由梨
3rd:理乃、凪、牡丹


と映し出されている。


「うまい具合に分けられたわね。じゃあ、全員そのポットの中に入ってね。」
「はーい!」

全員、人一人分横になれそうなポットに寝そべる。

「ナビの子は後で合流するから、先にそっちで待っててね。じゃあ、行くわよ…。セブンスエンカウント、ログイン!」

ジュリエッタの言葉を最後に、全員の意識が遠退いた…。

セブンスエンカウンター ( No.557 )
日時: 2015/10/31 22:48
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: j62VnjSr)

その頃、風花は…。

「とまぁ、ナビの役割はこんな感じです。」
「ありがとう、澪ちゃん、分かりやすかったよ。」
「風花さんこそ、理解が早くて凄いです!」
「えへへ…。ナビなら慣れてるからね。」

別室にて、緑髪の小柄な少女…那雲澪から説明を受けていた。

「コムスメにしちゃ上出来じゃねぇか。こりゃ、ナビの仕事が板について来たか?」
「あ、ナガミミちゃん。」

一通りの説明を受けた後、ナガミミが部屋に入ってきた。

「駄目だよ、お客様の前なんだからそんな言葉遣いしちゃ。」
「うっせーな。もう営業モードは疲れたんだよ。何だよ客の前では愛想笑いとか丁寧な言葉遣いとか。やってらんねーぜ。」
「あ、あはは…。澪ちゃん、私は気にしてないよ。」

もう何度かナガミミの素を見ているからか、こんなものだと思ってもう何も気にしない事にした風花に、澪は申し訳なさそうに「すみません…。」と謝罪をした。

「あっちも多分終わった頃だろ。コムスメ共、本番、行くぞ。」
「もうっ、ナガミミちゃん、私はいいけどお客様を小娘扱いはまずいって!」
「本人が気にしてねえんだから、いいだろーがよ。オレサマにとってはお前もそっちのもコムスメだっての。」

澪とナガミミのじゃれ合いに、風花は思わずクスリと笑ってしまう。
普段、ペルソナを使用してのナビゲートをしているが、ここでは勝手が違う。そのせいか、知らぬ間に緊張していた事に気づいたが、どうやらそれがこのやり取りで緩和されたようだ。

(ゲームとは言え、ナビの重要性は私が一番よくわかってる。いい加減にしちゃ、みんなに迷惑がかかっちゃう。大丈夫。ペルソナ無しでも、ナビゲートはできるはず。)

風花はポケットに入れていたお守りがわりに持ってきた召喚器にそっと触れる。

「早くいかないと、あの野郎、客に何するかわかんねぇからな。」
「うん、ごめん、ナガミミちゃん。それには私も同意。というか何であっちについてかなかったの。」
「一応アイツを信じたんだけど、今更ながらやっぱり滅茶苦茶不安になってきやがった。あっちには何かアイツのこう、性癖を刺激しそうなのがちらほらいやがったからな。」
(あぁ、あの人、そういう人だったんだ…。)

ナガミミと澪の会話を聞いて、風花は遠い目を浮かべる。
それを聞いてしまったからには、風花も自然と急ぎ足になった。やがて、凪達のいるポットに到着するも…。

(あぁぁ…。眠っている姿も可愛いわ! ここで見てるしかできないのが残念…。)
「」

いの一番に飛び込んで来たのは、鏡のいるポットにベッタリと張り付いて息を荒くするジュリエッタの姿だった。
これには澪と風花は完全にドン引き。一方のナガミミはというと…。

※しばらくお待ちください。

「おい。営業モードはどうした営業モードは。変態モードしか出してねぇじゃねぇか。客までドン引きしてるぞ、この変態。」
「人聞きの悪い事言わないで頂戴! アタシはカワイイ子の寝顔を愛でているだけよ!」
「ちったあマシな言い訳を考えろ。変態度が加速してんぞ。」

どこからか出したウサギのようなぬいぐるみでジュリエッタを殴り付けました。ぬいぐるみにはわずかに血が滲んでます。

(あのぬいぐるみ、どれだけ重かったのかな?)

風花はそう思うも、それ以上ツッコミを入れたら終わりな気がしたので、思うだけにしておいた。

「ご、ごめんなさい、風花さん。うちの重役がその、とっても変わり者で…。悪い人じゃないんですけど、いわゆる、変態で…。」
「ちょっとミオちゃん! 変態じゃないわよ! アタシはただカワイイ子に弱いだけよ! カワイイ子やカワイイ猫ちゃんとか見たら後ろから抱き締めてナデ回したいだけよ!」
「行動に移す事が問題なんです! 度が過ぎると捕まっちゃいますよ! 身内だけでなくお客様にまで手を出すなんて…!」
「失礼ね! まだ指先すら触れてないわよ!」

そういう問題じゃない、と風花は思うも、突っ込んだら負けな気がしたので、思うだけにしておいた。

「その辺りの話は後で議題にして吊し上げてやるから、今は客の案内をするぞ。」
「あ、とと、そうだったね。他の皆さんはもうログインしちゃったみたいだね。風花さん、こっちに。」
「うん。」

澪に指示された場所につくと、風花はひとつ息を吸い込んで、吐いた。
モニターには、見知った姿が映し出されている。既にもう、暴れたくてウズウズしているのが約三名。他は辺りを見回していた。

「みんな、お待たせ。」

風花は、そんな一同に声をかけた。
同時に、自分の仕事が始まったと、実感した…。

セブンスエンカウンター ( No.558 )
日時: 2015/10/31 22:53
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: j62VnjSr)

赤黒い花が咲き乱れる世界。
目の前には見慣れた感じのタワーがある。

『みんな、お待たせ。』

ここがどこなのか、どのような敵が出るか、早く戦闘したい等、各々考えていると風花の声で通信が入った。

「ふー姉、ここはどこ?」
『ここは東京スカイタワーって所だね。ひとまずその正面に見える入り口から中に入ろっか。』

風花の指示に、全員中へと入る。
中にも赤黒い花が咲き乱れていた。

「綺麗な花だよね。でも、なんで建物の床にも咲いているの?」
「…亀裂とか入っているならまだしも、普通だったら考えられませんわね。でも、この花…どこか、普通ではない感じがしますわ。」

花を扱う能力を持つ牡丹がその花に何か感じ取ったのか、手を翳して少し苦しそうな表情を浮かべる。

「確か、サイトには『終焉の象徴の花、フロワロが咲き乱れる世界』と書いてあったね。」
「終わりの象徴か。綺麗で恐ろしい世界観だな。」
『何だか悲しいね…。滅びの象徴の花が咲いてるって事は、この世界はもう滅びちゃったって事だよね?』
「“予兆”の可能性もあるけどねー。ゲームなんだし、あんまり気にしなくてもいいんじゃないかなー。」
「そうだ! とにかく暴れてとにかく敵を蹴散らせばそれでいいじゃないか!」

凪がサイトで見た情報を話していると、フランシスと風花が悲しい気持ちになるが、すぐに凪がフォローをし、紅刃がワクワクした表情で機甲槍を振り回していた。

「このバトル馬鹿兄貴は…。」
「そういう由梨も既に抜き身で剣を握ってるじゃないか。」
「フランシスだって完全にナイフを浮かせてるその手がワキワキしてるじゃねぇかよ。」
『(あはは、みんな戦いたいんだね…。)っ、みんな、敵が来るよ!』

風花のこの言葉に、先程までワクワクしていた一同が一斉に目を輝かせるも…。

『あのー、楽しみにしてるところ悪いけど、今回戦うのは、今1stユニットになってる鏡君とローズ君とリリィちゃんだからね?』
「そうだったあぁぁぁぁぁっ!!」

すぐにまるで心を読んだかのように告げられた風花の言葉に、ワクワクしていた三人ががっくりと項垂れた。

「まあまあ、途中で交代しながら進んでいこうよ、ね?」
「今は赤羽さん達を応援しましょう。へこまないで、ねっ?」
「それに、ユニゾンというのを行えば、私達も攻撃に参加できるのでしょう?」

励ましをかける凪と理乃の言葉には耳を貸さなかったが、牡丹の言葉に再び三人の目が光る。

「Let’s ユニゾンタイム! カモン!」

あぁ、生気を吹き返したかのようにまたうるさくなった…。

『おいチビスケ共、あれらうっさいから一ターンで撃破しろ。』
「い、いきなり無理難題言わないでよー…。」

通信に乱入してきたナガミミに、鏡は困り果てるも、敵は目前に迫っていた。
目の前に現れたのは、出っ歯のウサギのような敵が二体だ。

『敵、ラビ二体。大丈夫、鏡君達なら勝てるよ。初めてだし一ターン撃破は無理かもしれないけど…。』
『まぁ、少なくともユニゾンできるまでには片付くだろ。』
「時間かけてもいいんだぞ?」
「よーっし、ローズ、リリィ、いっくよー!」
「おー!」

由梨の訴えを無視し、鏡達は戦闘態勢に入る。

「まずは私がっ!」

先に動いたのは、リリィだった。

「おやすみなさい。えいっ。」

リリィは一方のラビに向かって鎌を叩きつけ、敵一体を眠らせる技である【レベレーション 眠】を発動させた。
うまくいったのか、ラビの一体は眠りについた。

『ラビの一体、睡眠状態を確認! リリィちゃん、ナイスだよ!』
「うまくいった…。」
「次はオレが繋げるね!」

そう言って鏡は残りの一体に向かって剣を構えながら走った。
何が来るか予測できたのか、ラビは後ろに下がってしまった。

「逃げたつもり?」

ラビを上空に打ち上げるように切りつける、【飛天斬り】を使った。手応えが大きい。
が、反撃と言わんばかりに、ラビはローズに向かって突っ込んできた。

「うわっ!」
「ローズ、大丈夫!?」

いきなりの反動にローズは怯むも、そこまで大きな怪我ではなさそうだ。

「お返しだーっ!!【召喚:雷のマモノ】!」

ローズは浮かせていたカードの中から雷のカードを手に取り、掲げた。
するとカードが光り輝き、黄色い羽を持つ蛾のような蝶のようなモンスターが現れた。

「雷パワーだー!」

ローズがモンスターに命じると、モンスターは痺れ粉を飛ばしつつ羽ばたく。それをまともに吸い込んだラビは、プルプルと体を震わせたあと、花弁を散らせながら消え去った。

「やった、倒せた!」
「油断なさらないで! 眠っているとは言え、もう一体います!」

勝利の余韻に浸っていると、後ろから理乃の激が飛ぶ。そう、相手は眠っているとは言え、まだあと一体残っているのだ。
その言葉に、鏡達は再び各々の武器を握る。

『ラビ、未だに睡眠状態。大丈夫、さっきみたいにやれば勝てるよ!』

風花の言葉に三人は頷き、もう一度同じ攻撃を繰り出した。
当然、先程のラビのように即座に花弁を散らせながら消え去っていった。

「やった、勝った!」
『お疲れ様。さぁ、探索に戻ろう!』

勝利の余韻もひとしおに、風花は先に進むよう促す。…項垂れる約三名を、一切無視して。

『特にこれといった障害物も見当たらないから、道なりに進んでも大丈夫だよ。』

風花のナビに、全員頷いて先へと進む。

「…。」

その道中、戦闘狂…もとい、2ndメンバーの三人は…。

「なー、次の戦闘で俺達にやらしてくれねぇ?」
「腕がなまっちまうよー。」
「頼む、俺達に戦わせてくれ。」

三人揃ってぶーぶーと不満を漏らしていた。

「仕方ないねー。鏡、前衛交代しよー。一回しか戦ってないけど。」
「うん、いいよ! フランシス達、そんなに戦いたかったんだね!」

そして鏡達は2ndに周り、戦闘狂の三人が前衛に出る。

「まだちょっとしか戦ってない…。」
「後でまた交代して貰おうね。」

あまり楽しめていない事に不満げなリリィだが、鏡に宥められて渋々下がった。
そして代わってもらった戦闘狂達はというと…。

「さぁ…。パーティーの始まりだ!」

あぁ、ギラギラ目を輝かせていますはい。

『敵、また来るよ!』
「よっしゃー!! ウサギ鍋にしてやらあぁぁぁぁぁっ!!」

その後、現れたラビ達は物の数秒、一ターンくらいで片付けられたとかいないとか。


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