二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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神様のノート 二冊目※打ち切り
日時: 2016/02/11 06:06
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: 0zbVOBmK)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode=view&no=28346

ひょんな事から授けられたノートもついに二冊目。
新たな仲間も増え、そして、新たな物語の可能性も増えた。

さて、そんな奇妙奇天烈な世界の物語、今一度、書き綴ってゆこう…。

昴「それと、前と同じようにキャラ紹介をここのURLに張り付けましたので、キャラがつかめない場合は是非ご一読ください。」


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☆一冊目へのリンク
 ・一冊目への道しるべ >>1

☆料理対決
〔第四回・男女混合料理対決地獄編〕
 ・賢者に自愛を、愚者には罰を 愚者編

〔第五回・宝石所持者の料理対決!〕
 ・通算九回目の固定審査員の始まり始まり(By昴) >>474-482
 ・実食
  一番&二番 >>490-494 三番&四番 >>499-504
  五番&六番 >>509-514 七番&八番 >>604-614
  九番&十番 >>629-633 十一番&十二番 >>638-644
  十三番 >>648-656 十四番&三番 >>660-665
 ・結果発表…!? >>681-689
 ・裏回

〔番外編・審査員一新!? 選抜メンバーの料理対決!〕
 ・


☆学力対決
 ・成績不振から始まる物語 >>158-163
 ・テスト本番! その前に。 >>242-250


☆ノートの世界のTwitter事情
〔本編〕
 ・その九 >>728-732

〔物語リメイク〕
 ・その一 >>738-740 new!

〔番外編〕
 ・異世界の料理対決
  その二 >>181-189 その三 >>225-234 その四 >>363-372


☆マヨナカテレビ事件
〔烈編〕
 ・諸注意 >>2
 ・懺悔の菊 >>3-14
 ・クマにできるコトしたいコト >>23-26
 ・運命の船出 >>32-37
 ・悪魔の歯車 >>52-57
 ・手を延べる悪意 >>61-66
 ・見守る星々 >>89-94
 ・茜色の焔 >>200-208


☆時空越の勇者
 ・壊された平和 >>126-129
 ・仲間との別れ 姫との出会い >>136-140
 ・賞金稼ぎとの邂逅 >>143-145
 ・仲間を求めて >>292-295
 ・あの人の為に >>303-309
  ・少年の思い >>333-339
 ・亜空軍との戦い >>446-451


☆神様・悪夢相談室
 ・神様:ケース「緑谷 凪」 >>413-416
 ・神様:ケース「リュータ」 >>692-695
 ・悪夢・番外編:ケース「奏月 昴」 >>698-792


☆牡丹博士のSCP講座
 ・SCP-Lie
  第一弾 >>537-544 第二弾 >>580-587


☆ある神様の聖誕祭
 その一 >>98-104 その二 >>148-153
 その三 >>214-220 その四 >>256-265


☆うちの13班
 ・設定 >>621-624
 ・小話 その一 >>625-628


☆もしももしものちいさなおはなし
 ・料理対決りばーす >>169-170


☆林間学校
 ・いざ、林間学校へ >>346-350
 ・飯盒炊さんと温泉の時間 >>356-360
 ・林間学校の終わりに >>377-383


☆セブンスエンカウント
 ・セブンスエンカウンター >>550-566
 ・ノーデンスエンカウンター >>570-576


☆パロディ
 ・アンジャッシュパロ
  その1 >>440-441 その2 >>456-460 その3 >>522-531

 ・日和パロ
  その1 >>670-673


☆短編
 ・プチネタつめつめ >>18-20
 ・続・ほのぼの日和 >>43-45
 ・小ネタ >>60
 ・ある日の為の打ち合わせ >>71-74
 ・あるアイドルの一日 >>75-85
 ・続々・ほのぼの日和 >>122-125
 ・唐突に思いついた料理対決案コーナー >>197
 ・テストネタ・問題案 >>273
 ・秋の長雨 >>279-282
 ・逃走中未完成案 >>288
 ・夏休み残り一週間の聖域にて >>315-317
 ・Welcome to Lapistoria Academy >>320-328
 ・黒翡翠の逆襲 >>390-395
 ・神と猫の集会場 >>591-601
 ・忘れないでね〜 >>677-678
 ・烈とリリィの橙代替品探し。代替大体大成功! >>706-711
 ・年末出店祭り >>714-722
 ・年初め 波乱万丈 いつもの日 >>723-727
 ・今後加入予定メンバーの設定 >>743


★募集中の事柄
なし

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通算九回目の固定審査員の始まり始まり(By昴) ( No.474 )
日時: 2015/09/09 21:05
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: oesNKOCg)

それは、夏休み後半のある日の事。

「昴、料理対決しようぜ!!」
「テメェ、あっちで死にかけた記憶はどこに葬り去った?」

いきなり神の部屋に来いとMZDに呼び出された昴はその宣言を受け、冷たく突き放した。ちなみに昴の言うあっちとは、彼が固定審査員として審査をしていた番外編の事だろう。

「それはそれ、これはこれだ! つか、ここで仕事すんのもつまんねぇから何かイベント的なのやりてぇの!」
「まずその書類の山を片付けてから言えこの馬鹿。つか何でイベント的なのでそれをあげる。別の奴あげろよ。」

ジェダイトから出されたお茶を飲みながら、厳しい言葉の雨霰を浴びせる昴。余程やりたくないと見た。まぁ、当たり前だが。

「ねぇ、昴さん。何でそこまでやりたくないの? 何か楽しそうだけど…。」
「…ジェイド、お前はあの恐怖を知らないからそう言えるんだ。」

昴はぴしゃりと、ジェイドに向けて言い放つ。そして、懐からあるディスクを取り出した。
表面には、

“クトゥルフの記録・録画:アイギス”

とマジックペンで書かれていた。昴は何も言わず、ジェイドの前にあったパソコンにそれを勝手に入れ、そして、再生した。
そこに映し出されたのは、第二回で猛威を振るった荒ぶるクトゥルフラーメンモドキ。そう、昴達が初めて遭遇した、生物料理の映像だった。

「」

初めて見る生物料理に、ジェイドは絶句。後ろでこっそりと見に来たジェダイトも絶句。

「まぁ、無理もないよね…。」

影はそんな二人を見て、あはは…と乾いた笑いを浮かべていた。

「…昴さん。これは…いわゆるコンピューターグラフィックス、略してCGでは…?」
「ジェダイト、気持ちはわかるがこれより更に酷くなったものを影も見ているしそこの馬鹿はそれが原因で死にかけた上に世界崩壊の危機に陥った。なぁ、そうだよな、馬鹿神。」
「あぁ、うん。思い出させないでほしかったんだがそれを。」

昴の話を聞いている間に、番外編の事を思い出したのか、MZDは机の上に突っ伏してしまっていた。

「お前、またあんな目に遭いたいのかよ。」
「え? オレ、また審査員させるの?」
「当たり前だろうがこのボケ。発案者はテメェなんだからしっかりとテメェも審査し」
「絶対に嫌だ!! もうあんな目には遭いたくねぇよ!」

完全に拒否するMZD。あ、昴の額に青筋が浮かんだ。

「…まぁ、その時はその時で僕が何とかしておくよ。もしやったならね。」
「頼む、ジェイド。」

その青筋の浮かんだ顔を見たのか、ジェイドがそうこっそりと昴の耳元で囁いた。

通算九回目の固定審査員の始まり始まり(By昴) ( No.475 )
日時: 2015/09/09 21:10
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: oesNKOCg)

「で? もしやるとなったら誰がやるんだよ、誰が。」
「あ、考えてなかったな。でも、いつもやってる面子だともうありきたりだしなぁ…。」

確かに、今まで正式に四回の料理対決をしてきたが、全て同じメンバーだ。一回違うメンバーで行い、その際に昴と風花が料理をしたが、それでもありきたりだ。

「丁度、デニー達来たし、やらせてみっか? あいつらに。」
「あそこに毒物生成師いるの忘れてんのかよ。」
「うん、やめよう。」

危険人物の名前を出した途端、あっさりと引くMZD。いや、確かにそいつに料理を作らせると生命沙汰になるもんね。うん。

「となると…。」

そこでちらりと見たのは、ジェイド。

「ジェイド、やってみっか? お前ら二十二回目のパーティーで初参戦した組で。」
「ラピストリアのパーティーで? となると…。僕とジェダイトに、イオとロアに…まぁ、後で抜き出そうか。…って、ちょっと待ってよMZD。思い出した限りでどう考えても料理しないし生の食材出しそうなメンバーいるんだけど。」
「あぁ、ヴォルフガングとハーピア…。」

昴はジェイドの言葉に納得する。確かにどう考えても生の食材を出しそうな人(?)達だ。
だが、他にも危険人物はいる。

「それに、ファントムとエクリプス。彼らがまともな料理を作るとは思えないんだけど。」
「エクリプスはそもそもあの体からして料理が必要かわからないから、絶対に料理はした事ないと思うよ。」

ジェイドの言葉に続いた影の言う通り、この二人(?)はどう考えても料理に何かを混ぜたり、そもそも料理という行為を必要としなさそうな人達なので、危険度は大きく跳ね上がる。

「…逆にうまくできそうなのはいるか?」
「…茜くらいじゃん?」

MZDの言葉に、昴は答えるも、それ以外は出てこない。
そう、なんか考え付いた辺りでは茜以外誰も料理ができなさそうな気がするのだ。いや、いるのだろうが、ぱっと考え付く限りでは思い浮かばない。

「…こりゃあいつらも加えた方がいいかな?」
「あいつらって?」

MZDの呟きに反応した影が訊ね返すと、彼はニッと笑った。

「今回のポップンでメインストーリーを担当した烈達だよ。正直風雅と氷海が不安だが、残りの二人は最悪でも普通レベルの料理人だろ? 一人は色んな料理対決で優勝をかっさらってる実力者だし。」
「まぁ、そうだな。あいつらも加えるか。危険回避のために。」

そんなこんなで、何だかやるという雰囲気に持っていかれた昴達でした。

通算九回目の固定審査員の始まり始まり(By昴) ( No.476 )
日時: 2015/09/09 21:18
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: oesNKOCg)

翌日、BEMANI学園に緊急招集されたラピストリア組とつぎドカ!メンバーは、教室に集まっていた。

「話って一体何だろうね?」
「ねぇ、僕は嫌な予感がするんだけど。」

首を傾げながら言う鈴花に、風雅は顔を真っ青にさせながら呟いた。

「奇遇だな、俺もだ。」
「私もよ。」

烈と氷海も、何かしら嫌な予感は感じ取っているようだ。

「何が始まるのかな? ワクワクしてくるね、弓弦君。」
「いや、僕はどっちかっていうなら嫌な予感かな。タクト君は?」
「僕も嫌な予感に一票。(シャルは?)」
『嫌な予感。シャルも、感じてる。』

何故かワクワクしている二コラを他所に、弓弦もタクトも、タクトの後ろにいるピアノの精霊・シャルも、嫌な予感をひしひしと感じていた。

「な、なぁ、氷海。まさかと思うが、うわっ!!」
「会長ー! 何が起こるんでしょうねー!?」
「離れてくれる? 烈、大丈夫?」

烈との会話を中断させ、即座に彼を押しのけて飛びついてきた美結に、氷海は冷酷に言い放ちつつぐいぐいと押しのけ、突き飛ばされた烈を助け起こした。
そんな時、呼び出した張本人であるMZDがやってきた。後ろからは昴、ジェイド、ジェダイトもついてくる。

「おいっすー! 待たせたな!」

ウキウキ気分でやってくるMZDに、これは流石に全員嫌な予感を醸し出した。

「集まってもらって悪かったな。んじゃ、さっそく本題に入るぜ!」

と言ってMZDが黒板にチョークで何かを書き、それを見たつぎドカ!メンバーが青ざめた。

「第五回、料理対決! 開催ずるぜ!」
「よーし馬鹿神、ちょっとこっち来ようか。」

MZDの宣言の後、烈は指をボキボキ鳴らしながらMZDを引き連れて出て行った。あぁ、大人の話し合いをするのね。

「…えー、すまんがこれ、決定事項だ。つぎドカ!の四人は知っていると思うが、これ、かなり死ぬ危険性があるんだ。」

烈がいないまま、話を進める昴。その間にも、つぎドカ!メンバーの顔色が青く染まる。それを見た他の一行も、ほとんどが何かを感じ取ったのか騒然とし始めた。

「…ちょっと待ってくれんか。」

そんな中、茜がそっと手を挙げて、訊ねた。

「何だ、茜。」
「昴、お主はその料理対決において色々な恐怖を味わっておるのじゃろう? わしも異世界の料理対決で出た料理をちらりと見たが、恐怖しかなかった。…何故に止めんかったのじゃ?」
「なぁ、茜。俺が止めなかったと思うか?」
「うむ、思わん。」

どうやら何故こうなったかを知りたかったのだが、あの馬鹿神相手で止めても無駄だとすぐに理解したのか、引き下がってくれた。

「キャハハ! 料理で対決とか面白そうじゃん! 何で止める必要なんかあるのさ?」

茜との話が終わったところで、誰かの声が聞こえた。

「…ファントム、お前、経験者のつぎドカ!メンバーや茜の表情を見てなんとも思わないのか?」
「全然! こいつらノリが悪いんじゃね?」

悪魔のような出で立ちをした少年のような風貌を持つ存在—ファントムの無責任で明るい振舞いに、昴とつぎドカ!メンバーは盛大に溜息をついた。

「とにかく、経験者は知ってるだろうが、これは生半可な覚悟でかかるべき代物じゃない。命が惜しい奴は参加しなくて構わない。参加するしないは、お前達が決めろ。」
「えー、面白そうだしここにいる全員で参加すればいいじゃん!」

ファントムの完全なる無責任さ満点の言葉に、昴の額に青筋が浮かぶ。

「ねぇ、ファントム。何でそんなみんなでやりたいのさ。」
「面白そうだからだよ、何でわかんないかなー? ガキンチョ。」
「(ガキ…?)ごめんねー。僕、よくわかんないよー。無責任な悪ガキ君の言い分なんか。」

あーあ…反論してくれたジェイドの言葉にファントムが突っかかったせいで、ジェイドの眉間にも青筋が…。
まさに一触即発、そんな状態だった。

「悪いけど、この場から誰も逃がさねぇぜ!」
「え?」

そんな時、指をパチンと鳴らす音が聞こえたと同時に、廊下へと続くドアも、窓も閉まった。

「うわっ!」
「烈! 大丈夫!?」
「へ、平気だけど…なんでこれなんだよおぉぉぉぉぉっ!!」

更に、MZDをフルボッコにしていた烈がいきなり転移してきたので、氷海は慌てて彼を受け止めた。え? 何で? お姫様抱っこで。現在、烈のプライドがガラガラと音を立てて崩れ落ちて行っています。

「この力は…あの神か。」
「はぁ…。ロア、俺達、従う神様間違えたかな。」
「それは言うな、イオ。今からでも遅くない。昴様につかないか?」
「いや、ごめん、鏡達で十分だから、俺も気持ちだけは受け取っとくわ。」

力の正体を感じ取ったのか、長身長髪眼鏡の男—ロアが、快活そうなちょっとムキムキな青年—イオと共に頭を押さえて溜息をつきつつ、主人を変える事を相談していたものの、その当の相手はそっと断った。

「閉じ込められたってか…。待ってろ! 今からオレがドアをぶっ壊してやる!」
「え、ちょっと待ってお兄ちゃん! ここで能力なんか発動したらまた学園崩壊に」
「うおぉぉぉぉっ!!」

大牙が何かしようとしたので、鈴花がすかさず止めるも、大牙はお構いなしに床を殴りつけた。
だが、いつものように床は割れず、ただ、大牙の拳を痛めただけだった。

「い、いつつ…! 何で壊れねぇんだ!?」
「…。」

何度も地面を殴る大牙。だが、何度能力を発動させてもひび一つ入らない。

「このっ! このっ! 壊れろよっ!」
「やめて。」
「はぎゃっ!」

諦めの悪い大牙のお尻を、鈴花は蹴飛ばして転ばせた。

「ねえ、お兄ちゃん。ラピストリア学園だけじゃなくてここも壊す気? この学園を壊したら、どこにも通えなくなるんだよ? 今回は未遂で終わってよかったけど、みんなへの迷惑も考えてくれない? また理事長先生が泣くよ?」
「スミマセンデシタァッ!!」

鈴花の威圧を感じたのか、大牙は土下座で謝罪をした。

「いつもの鈴花じゃない…。」
「ああ、鈴花は兄貴がしでかした時は“いつも”こんな感じだ。」

フードのようなものをかぶった悪魔の子—ゼルハルトが怯えて烈にしがみ付いてきたので、烈はよしよしと撫でながら、そう言っておいた。

「死ぬのは一人じゃ怖いからな。みんなで一緒に死のうぜ!」
「ふざけないで。」
「もぎょんっ!」

突如上空に現れたMZDに、鈴花が茜並みの跳躍を見せ、MZDの上に回り込み、踵落としを食らわせた。

「ねぇ、MZD。そろそろ料理対決に関して懲りてくれる? みんな嫌なの。みんな料理対決にトラウマ持ってるの。料理対決でトラウマができたの。そろそろそれを理解して、一生そんな事をほざかないでくれる? 次ほざいたらトリカブトの根で縛り付けるよ? ジュネスを巻き付けるよ?」
「ず、ズビバゼン…! け、けど、この面子で料理対決するのは捻じ曲げねぇぞ!」

地面に墜落し、落ちてきた鈴花に背中を踏みつけられたまま、MZDは謝罪をするも、どうやら料理対決をするのは決定事項であり、逃がすつもりもないらしい。

「はぁ…。鈴花、そういう事だから悪いけど、諦めてくれ。俺だって止めた。けど無駄だったんだ。」
「うぅー…。もうあの辛いのは嫌なのにー…。」
「私もあの辛いのは絶対に嫌よ。」
「二人はまだ辛いのだからいいじゃん! 僕なんて毒物だよ!」
「こっちなんかクトゥルフだぜ!? しかも遺言残すほどの!」

被害者であるつぎドカ!メンバーが口々に何かを言うも、

「お前ら、それを固定審査員を通算八回もやった奴を目の前にして言えるか?」
「スミマセンデシタァッ!!」

昴のこの一言で全員土下座する羽目になった。ちなみに過去四回が自分のところ。残り半分が異世界での料理対決である。

通算九回目の固定審査員の始まり始まり(By昴) ( No.477 )
日時: 2015/09/09 21:22
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: oesNKOCg)

「さて、本題に入る。そこの馬鹿神のせいで始まった料理対決だが、今回のテーマは『パン』だ。」
「それってりゅーとさんの所の三回目と一緒なのか? 俺達も関わった。」

そう、初の異世界での料理対決でのテーマと同一かと思った烈は質問してみたが…。

「いや、違う。確かにパンだが…正確に言えば、『パンに合う料理』だ。」

昴は案をまとめた紙を集まった一同に配る。

「系統としては、こっちの第二回の方が近いと思う。今回はパンへの細工は禁止で、お前達にはパンには一切触れさせない。お前達が作っていいのは、パンに合う料理、もしくはジャム系、スープ系の一品。つまりは、パンに味をつけるための料理を作ってくれ。あ、パンは理乃達に頼んで色んな種類を作ってもらうから安心しろ。」
「じゃあ、今回作るのはパンの付属品、かな? メインのパンに合う何かを作って、昴さん達がそれを理乃センパイ達が作ったパンで食べる感じ?」
「その通りだ、鈴花。」
「でも、いまいちピンと来ぃへんね…。昴はん、何か具体例あげてーな。」
「あぁ、悪い、ラズリ。そうだな…。」

商人風の褐色の女性—ラズリが問いかけると、昴は少し考えた。

「パンに合う料理と来ればステーキとかハンバーグかな。ジャムはもちろんリンゴとかイチゴとか。スープはカレーとかかな。後はシチューとか。」
「結構バリエーションは豊富だね。ねぇ、昴さん。もしもだけど…サンドイッチとかハンバーガーとかを出したい場合もあるとは思うけど、そういう時はどうするの? そもそも禁止?」

タクトの質問に、昴は笑みを見せた。

「いい質問だ、タクト。もちろん、サンドイッチとかハンバーガーも作っていいぞ。ただし、具材だけな。」
「じゃあ、そのあとはどうするの?」
「今回もまた風花に伝言役を頼もうと思っているが、風花に伝言を頼め。そしたら俺達審査員の方でトーストなり挟むなりするさ。具を挟んだりとかの簡単な調理をするくらいなら、別に大丈夫だからな。とにかく、具材だけ提供して伝言を残してくれればいい。」

お題としては禁止はしないが、きちんと伝言を残す事を条件として加えるようだ。簡単な調理くらいならば、昴達審査員も苦ではないだろう。

「ねぇ、昴さん。提供する時ってどうしたらいい? お皿とか容器、一人一人に分けた方がいいかな?」
「え? いや、そのつもりだったけど、どうかしたのか?」

ジェイドの質問に、面食らう昴。

「ううん、何でもない。ちょっとね。」
「…まぁ、いいや。そうだな、それもはっきりしておこう。料理とスープは審査員一人に対し一皿ずつ。ジャムは瓶に詰めろ。みんなで使うから。で、挟むものがある場合はバットを用意して挟んでほしい具材を具材ごとに取り分けておけ。」
「バット? 野球の道具の事か? 或いは、蝙蝠か?」

バットという言葉を聞いて、ツインテールで武人風の女子—乱麻は首を傾げた。

「いや、違う。確かにそっちが出そうだけどな。…そうだな、例えば、ビュッフェ会場で料理が入った入れ物があるだろ? それが想像できない奴は給食でよくご飯とか入ってたのを想像してくれ。あれがそう。つまりは、大きな入れ物を用意して、具材を個別に分けてくれ。」
「それはわかったけど、今回は何人分作るんだ?」

経験者である烈が、そう訊ねると昴はんー、と考え込んだ。

「固定審査員四人分、変動審査員一人分。それから…協力を仰げたらあいつに協力を仰ぎたい。そいつの協力を取り付けられたら、更に一人分追加で。」
「あいつって誰?」
「ブラッティ・ガイスト。」

その言葉だけで、烈は何故彼に協力を仰ぐか理解した。

「ああ、なるほど。アンドゥか。」
「ああ。アンドゥだ。」
「アン、ドゥって、確かフランス語で1と2でしたわね?」
「安藤?」

今度は、生徒会書記で氷海のストーカー…もとい、女の子の美結と、弓道男子の弓弦が首を傾げた。

「まぁ、確かに美結の言う通りの意味はある。あと弓弦、安藤じゃなくてアンドゥ。だが、ガイストの使うスキル・アンドゥは“なかった事にさせる”能力だ。例えば、怪我をした相手の傷を“なかった事”にさせて治療したり、ある呪文で封印された扉の封印を“なかった事”にさせて不法侵入したりな。」
「なんや、オープンセサミなしで財宝パクれるんかいな。盗賊の苦労が水の泡やな。」

ラズリは感心し溜息を吐いた。

「まぁ、限度はあるみたいだけどな。で、そんなわけだから、ガイストに料理をした過程を“なかった事”にさせ、食材の状態に戻す。」
「おはぎの場合は、小豆ともち米と砂糖に戻るということでしょうか。」
「そうだな。簡単に説明するとそんな感じ。」

ロアの質問に、昴は頷いた。

「アイギスに食べさせて成分分析させてもいいが、完全にアウトなのがあってアイギスがぶっ壊れたら困るし…。ガイストが来てくれたから、あいつに材料分析を任せようかと思ってさ。つまり、食材じゃないもの入れたら一発でわかるから、覚えとけよ? 特にそこの悪魔と死神。」

あからさまにアウトなのを入れそうな二人に、昴は念を押した。

「多分入れないから安心しなよ! キャハハハハッ!」
「あと黒魔術とかも禁止だからなー。したらお前ぶん殴る。」

念には念を入れ、更に念を入れてファントムに忠告する昴。果たして聞き入れて貰えるか…。

「取り合えず一通りざっと説明したが、質問ある奴いるか?」
「あ、あのー、昴さん。」

そっと手を上げたのは、風雅だった。

「どうした、風雅。」
「えっと…。れ、レトルト食品って、使ったらダメ?」
「あー…。」

そうだ、レトルトについて説明していないと思い出した昴は、苦い顔をした。

「今回、レトルトは許可する。勿論、お湯入れてできる即席品とかもな。」

それを聞いた人達の一部は、笑顔を浮かべた。

「ただし、レトルトをそのまま使用するのは禁止。温めるだけっていうのは流石に反則だろ。」
「そ、そうだよね…。」

次の瞬間言われたこの言葉に、その笑顔を浮かべた人はがっくりと項垂れた。

「レトルト用品を使ってはいいが、何か一手間加える事。それが条件だ。」
「えっと、例えば何っすか?」

探偵のような格好をした少女—翠理の言葉に、昴は頭を捻る。

「カレーだったら鍋で温めてチーズ等本来入っていない具材を入れたり、ハンバーグならソースを変えたり、焦げ目をつけたり、かな。とにかく、レトルト食品をそのまま温めての提供は厳禁。何か形状を変える事。他に質問は?」

昴はそう訊ねるも、誰も答えない。これ以上質問はないようだ。

「なさそうだな。じゃあ、準備期間はいつも通り一週間。その間に新学期が始まるが、何とかやりくりしろ。じゃあ、解散!」

この昴の宣言で、一同は散っていった。

通算九回目の固定審査員の始まり始まり(By昴) ( No.478 )
日時: 2015/09/09 21:28
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: oesNKOCg)

解散後、昴が向かったのは、ブレイブリー組の集まる寮。

「ガイストさんお願いします。俺達と一緒に死んでください。」
「藪から棒に私の死を乞うとは、どういう心算か。心中を欲するか?」

そこで即座に血塗れ法衣の男—ガイストを呼び出し、彼が来るなり土下座した昴。いきなりの無理難題に、ガイストは目を丸くした。

「いや、すまん。だが、あながち間違ってもないんだ。言い方が悪かった。俺達と一緒に生きるか死ぬかの戦場に来てくれ。」
「戦とは、常に命のやりとりをする場ではあるが、この平和な世界でそのようなものが起こるとは信じられぬ。正確な情報を欲する。」

確かにそれはそうだと昴は頷く。

「いやな、また料理対決をする事になってさ…。」
「料理の腕を競う場か。毒を盛る者でも現れるとでも?」
「…毒くらいなら、まだ可愛いさ。まだ、な…。」

急に遠い目を浮かべて明後日の方向を向く昴。その顔には、哀愁が漂っていた。

「…酷い奴は…普通の材料で生物を産み出すんだ…。」
「生物だと!? 信じられんな…。」
「そんなガイストにはこちらをプレゼント。」

そう言って昴はジェイドにも見せたアイギス録画のディスクを、ノートの力で出したDVDプレーヤーに入れて再生した。はい、第二回のあの映像です。

「…これは、人造生命術か?」
「いえ、料理です。本人曰くラーメンです。」
「認めん…! このような悍ましい魔物が、ラーメンなどと…!」
「安心しろ、それが普通の感情だ。ちなみにだが、他にも生物料理のバリエーションはあるぞ? 聞くか?」
「できれば、見聞きした事をなかった事にしたいが…そうもいかないのだろう?」

半分諦めの様子で、ガイストは昴に聞いてきた。昴は頷く事しかできなかった。

「まぁ、何だかんだで食っても今まで死んでないから大丈夫さ。俺が証人だし。」
「まあ、いい。頼みとは、生物料理の被害をなかった事にする事か?」
「いや、まぁ、それもあるけど…やってほしいのは、作られた料理の材料を分析してほしい。お前の力、アンドゥで調理行程をなかった事にし、材料だけにしてほしいんだ。」
「まるでクレイj」
「言 う な 。」

ガイストが何かを言いかけたが、即座に昴がストップをかける。

「とにかく、不審なものが混入していないかを確認するのが、私の役目なのだな?」
「その通り。あ、当日は武器持ってこい。襲われないとも限らないしな。」

何故料理を作り、それを食べるだけで武器が必要なのかと問いかけたくなるガイストだが、そこは先程見た映像を思いだし、グッと堪えた。

「じゃあ、一週間後にまた。あぁ、そうだ。なるべくならそっちで回復魔法やらスキルやらを使える人間を総動員させてくれ。あの映像見せていいから。」
「分かった。善処しよう。」

そんなこんなで、ガイストにお願いをしにいった昴は帰っていった。

「さて、買収と説得の準備を始めるか…。」

首を縦に振らざるは石像の如く。それが目に見えているガイストは、強引な手段を取る事を厭う気持ちを、なかった事にした。


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