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†執事ゲーム†
日時: 2010/04/04 12:12
名前: 朝倉疾風 (ID: BLbMqcR3)

シリアスなのかギャクなのかパロディなのかコメディなのか分からないけど、多分・・・・全部。

<登場人物>

音葉サク──15歳 見た目は少年だが少女 まりあ家の守護者として契約された 『日本刀』

真白ノエル──16歳 根は優しい 幼い頃からまりあ家に仕える 『炎』

園崎ちの──15歳 負けず嫌いで頑固 誰に対しても敬語 『花』

菅野ナトリ──19歳 物静かで穏やか 執事の中では最年長 『水』

野沢ヒロヤ──16歳 自信家でナルシスト つっぱしっては失敗する 『風』

まりあナデハ──15歳 まりあ家次期当主 無口で淡々と喋る 

イルベーヌ──外見は十代半ば。 アプサの女王で全ての災厄の元凶。

アプサメンバー>>87  用語説明>>102

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Re: †執事ゲーム† ( No.95 )
日時: 2010/03/23 17:29
名前: 朝倉疾風 (ID: BLbMqcR3)

          †


菅野家は代々、『水』 の守護者としてまりあ家の執事を務めてきた。

次期当主となるまりあナデハの執事は、菅野家の長男であるナトリだと決まっていた。

「ナトリ、本当にまりあ家に行かないのか?」
「はい。 すみません、父さん。 付き合いだとは言え、僕はあまり気が乗りませんので……」

申し訳なさそうにパーティの誘いを断るナトリ。
まだ11歳だというのに、丁寧な口調だった。

「そうか。 じゃあ私は今から行くから」
「いってらっしゃいませ、あなた」
「じゃーねー、お父さん」

ナトリの父親がまりあ家に行くのを見送ってから、ナトリが溜息をつく。

「ナトリも行けばよかったのに」
「僕は、あまり得意じゃないんです、珠洲姉さん」
「私が行きたかったんだけどさ、私はほら。 守護者じゃないから」

菅野家の長女・珠洲(スズ) が残念そうに俯く。
そんな珠洲を、母親はそっとなだめる。

「珠洲は珠洲よ。 余計な事は考えないの」
「ぬぅ……私も水とか操ってみたいっ」

3つ上の幼い姉を優しく見つめながら、ナトリが、

「姉さんは、そのままでも素敵ですよ」

そっと頭を撫でた。



           †



「ナトリっ! すぐ支度をしてっ」

夜。 夕食が終わり、自分の部屋で読書をしていたナトリが母親の慌ただしさに驚く。

「どうかしました?」
「今、電話が入ったのっ。 まりあ家が、ヨーテに襲撃されたって……っ」
「っっ」

脳裏に映るのは、数週間前顔を見合わせた小さな主人。
そして、自分と同じ境遇の幼い執事たちの顔だった。

──ナデハ様と、ノエルくんが……。

「珠洲はここに居てっ、ノエル! 行くわよっ」
「は、はいっ」

無事を祈りながら、ナトリたちは夜の道を急ぐ。
じっとしていると震えが来そうだった。

──どうか、無事でいてくれ……。


 
         †


そこで見たのは、ある意味地獄だった。

燃え盛るまりあの屋敷。 夜の空に、それはあまりにも明るく見えた。
遠くにいるだけでも熱く感じる。

「なんて……酷い……っ」 「っっ!!」

ナトリは絶句し、母は思わず手で口を塞ぐ。

「あなた……あなたぁっ」 

泣きじゃくる母親を無視して、ナトリはただただ、屋敷が燃えるのを見ていた。
やがて、炎が小さくなり、もはや屋敷の跡などどこにも無くなってきた頃、

ようやく、ナトリは近くに小さな人影がある事に気づく。

「……ナデハ様?」 小さく呼ぶが、聞こえていないのか反応はない。
「ナデハ様っ」

駆け寄ると、それは確かにナデハとノエルだった。
二人ともぼんやりとどこかを見つめている。

「ナデハ様、ノエルくん。 分かりますか? ナトリですっ」

ナトリがどれだけ肩を揺すっても、精神的ショックのせいか二人に反応はなかった。

「でも、無事でよかったっ。 無事でよかっ、」
「ぎえぇぇぇぇぇええぇぇぇえぇぇぇえぇぇぇえええぇぇぇぇぇえぇぇえぇぇぇぇぇぇぇぇぇえええぇぇぇぇぇぇぇぇええぇぇぇえぇっっ!!」

ナデハの奇声に、ナトリが思わずビクつく。
両手で頭をかかえ、まるでとりつかれたかのように叫びまくる。

「うぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅうぅぅぅぅぅぅぅぅぅうぅぅぅぅぅうぅぅぅぅぅうううぅぅぅっっ」

「ナデハ………様……?」

Re: †執事ゲーム† ( No.96 )
日時: 2010/03/23 17:40
名前: 朝倉疾風 (ID: BLbMqcR3)

幼いナデハにとって、あの壮絶な光景は心を抉られるような記憶だった。
涙を流しながら、今までの記憶を消そうとする。

「落ち着いてください、ナデハ様っ」
「うあ───ッッ!! うあっ、あぎゃっ、ぎゃ────ッ! がほっ、ああぁぁっ!」

暴れだすナデハを押さえつけようにも、その尋常じゃない苦しみと恐怖感を一気に爆発させたナデハを落ち着かせるのは、簡単な事じゃなかった。

すると、

「…………え」  いつの間にいたのか、一人の少女がそっとナトリの隣に現れた。

黒髪が腰以上にあり、白い素肌に、前裸体。
まるで人間ではないような美しさの少女が、腰を下ろす。

「あなた、は………?」

ナトリが訪ねると、少女は小さく首をかしげ、微笑む。
まるで、ナトリの言葉を理解していないかのように。

「……あー、あー……な、なで、は……」

そして、掠れた声でナデハの名前を呼んだ。
それは、少女があの暗い地下牢で過ごしていた時、いつも会いに来てくれたナデハの名前を覚えていたからだった。

「な、なで……なでは、」
「……うぅっ、うあっ……ううぅぅ」

泣きじゃくり、そして疲れたのかそのまま眠るナデハ。

その後、守護者の血縁者が駆けつけ、ナデハとノエルは保護され、

そのあと、妖刀である少女は───、





人間 音葉サクとして目を覚ました。







                   .

Re: †執事ゲーム† ( No.97 )
日時: 2010/03/24 16:37
名前: 羽鳥 (ID: uqhwXtKf)

おぉ、なんだか凄いです!!
人間として、目を覚ました瞬間!
名前を呼ぶところが、好きです^^

Re: †執事ゲーム† ( No.98 )
日時: 2010/03/24 18:28
名前: 朝倉疾風 (ID: BLbMqcR3)

まりあ家の過去編は正直
書くのが辛いシーンでした…。
名前の所好きと言ってくれてうれしいです

Re: †執事ゲーム† ( No.99 )
日時: 2010/03/24 18:30
名前: 朝倉疾風 (ID: BLbMqcR3)

もう少しで…
100なのだっ!


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