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- †執事ゲーム†
- 日時: 2010/04/04 12:12
- 名前: 朝倉疾風 (ID: BLbMqcR3)
シリアスなのかギャクなのかパロディなのかコメディなのか分からないけど、多分・・・・全部。
<登場人物>
音葉サク──15歳 見た目は少年だが少女 まりあ家の守護者として契約された 『日本刀』
真白ノエル──16歳 根は優しい 幼い頃からまりあ家に仕える 『炎』
園崎ちの──15歳 負けず嫌いで頑固 誰に対しても敬語 『花』
菅野ナトリ──19歳 物静かで穏やか 執事の中では最年長 『水』
野沢ヒロヤ──16歳 自信家でナルシスト つっぱしっては失敗する 『風』
まりあナデハ──15歳 まりあ家次期当主 無口で淡々と喋る
イルベーヌ──外見は十代半ば。 アプサの女王で全ての災厄の元凶。
アプサメンバー>>87 用語説明>>102
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- Re: †執事ゲーム† ( No.110 )
- 日時: 2010/03/26 12:35
- 名前: 朝倉疾風 (ID: BLbMqcR3)
第13話
無力
キヨネの葬儀に、ナデハは出席しなかった。
いつもより明らかに静かな時間が流れている。
「だーもうっ。 なんだこの静かすぎる時間はっ」
「ヒロヤさん、それ何回目言うんですか」
「サクは暇じゃねーのかっ。 ナデハもいつも以上にぼんやりしてるしっ」
サクが掃除している手を止め、溜息をつく。
もうかれこれ三日ぐらいナデハと会話してない。
元から無口なせいか、ナトリと二言三言。
「ノエルも元気ねぇしさー」
「そっすか?」
「ん。 自分では分からんすね」
ノエルがうんうんと頷く。 サクは少し伸びた髪を弄りながら、
「ヨーテも、現れなくなりましたね」
執事たちは思っていた事を口にした。
- Re: †執事ゲーム† ( No.111 )
- 日時: 2010/03/26 15:31
- 名前: 羽鳥 (ID: QCq09XZU)
くはぁ、ちのさん良いお方ですね!!!(←
ナデハちゃん……、大丈夫でしょうか。
- Re: †執事ゲーム† ( No.112 )
- 日時: 2010/03/26 21:50
- 名前: 朝倉疾風 (ID: BLbMqcR3)
ナデハも思うところが
あると思います。はい。
- Re: †執事ゲーム† ( No.113 )
- 日時: 2010/03/26 22:11
- 名前: 朝倉疾風 (ID: BLbMqcR3)
人形のような部屋で、ナデハがぼんやりと呟く。
「非力な私に何ができるのか、そればかりを考えていた」
ナトリが気づいて顔を上げる。
それは、ナデハの独り言か、ナトリに向けられたものかは分からなかった。
迷ってナトリが何も言わずにいると、ナデハはそのまま続ける。
「でも……非力だからといっても、何もできないわけじゃない」
「そのとおりです」
今度はきちんとナトリも肯定した。
ナデハは窓の外を見ながら、
「ノエルや、お前達はそれを気付かせてくれた」
淡々と感謝の意を示す。
ナトリは静かに微笑みながら、そっと会釈した。
†
英国。 人里離れた丘の上にて。
壁一面、ガラスだった。
塔のようなそれの最上階からは、丘一面が見渡されるほどの絶景が見えていた。
そこに、赤髪の小柄な少女が足を踏み入れる。
ジフだった。
「起きてるんでしょ? イルベーヌ」
一人しかいないはずなのに、誰かにそう声をかける。
ガラスで外から遮られている空間のはずなのに、風が吹いた。
ジフの髪を優しく揺らす。
そして。
「久しぶりね、ジフ姉さま」
無邪気な少女の声がジフの耳に届く。
ジフがそちらに目をやると、白いソファに一人の少女が座っていた。
年齢は十代半ばごろ。
黒く艶やかな長髪を腰まで垂らし、透き通るような白い肌をしている。
瞳はアイスブルーで、外見は美しかった。
「やっぱ起きてたんだ♪」
ジフが嬉しそうに駆け寄り、少女に抱きつく。
少女も嬉しそうにジフに頬ずりした。
「ジフ姉様、久しぶりね。 とても嬉しいわ」
「その呼び方止めろって言ってんだろー」
呆れた口調でジフが言ったが、少女は満面の笑みで手を動かす。
「なまっているけど、とても気分がいいわ。 何年ぶりかしら。 ジフ姉さまとこうやってお話できるなんて」
「8年ぶり」
そうだったわね、と少女が呟く。
「あの時、私がアプサに変えた坊やたちは? 私の子供たちは?」
「屋敷にいるよぉ。 ノイズは僕の家に居る」
「ふふふ。 会うのが楽しみ。 ノイズと出会ったのは、彼が11歳の時に会ったんだから」
ジフを降ろし、小躍りする少女。
この少女こそ、200年前人類初のヨーテとして誕生し、その血は人間をアプサと化やす悲劇の血を持つ。
紅の惨劇の元凶者。
そして、アプサの女王。
イルベーヌだった。
- Re: †執事ゲーム† ( No.114 )
- 日時: 2010/03/26 22:31
- 名前: 朝倉疾風 (ID: BLbMqcR3)
†
「「今、なんて?」」
ナデハの言葉に、ノエルとヒロヤがかぶって聞き返す。
サクも思わずポカンとしてしまった。
「英国に飛ぶ」
「なんで!?」
今度はヒロヤだけだった。
ナデハは決意したように、口を開く。
「まりあの研究所があったのが英国だ。 そこに行って、ヨーテに関する情報を洗いざらい調べる」
「……完璧に分かってるんじゃなかったのか?」
「先代は、幼い私に全てを残してはくれなかった」
吐き捨てるようにそう言い、ナデハがコートを羽織る。
「別に、行きたくないのならそれでもいい。 お前らだって、家族が、」
そこでナデハが発言を止めた。
サクには家族がもういないと分かっていたからだ。
「そんな事、ないです。 僕らはナデハ様を護る為にあります。 一緒に行かせて下さい」
ちのがしっかりと言い切る。
「俺もだ」 「ま、いってやろうかなー」
「私も、ここまで来て今更戻れないです」
ノエル、ヒロヤ、そしてサクも頷く。
「無力な私に……命を預けるというのか?」
「アッホ。 無力なんかじゃねーよ、ナデハは」
ヒロヤがポンッとナデハの頭を軽く叩く。
少しムッとしながらナデハが軽くヒロヤを睨む。
ヒロヤは気にせずに、ニカッと笑い、
「だって、俺ら笑ってられてるじゃん」
「……………」
ナデハの頬が少し染まる。
その姿に昔を思い出したのか、ノエルが静かに微笑んだ。
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