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†執事ゲーム†
日時: 2010/04/04 12:12
名前: 朝倉疾風 (ID: BLbMqcR3)

シリアスなのかギャクなのかパロディなのかコメディなのか分からないけど、多分・・・・全部。

<登場人物>

音葉サク──15歳 見た目は少年だが少女 まりあ家の守護者として契約された 『日本刀』

真白ノエル──16歳 根は優しい 幼い頃からまりあ家に仕える 『炎』

園崎ちの──15歳 負けず嫌いで頑固 誰に対しても敬語 『花』

菅野ナトリ──19歳 物静かで穏やか 執事の中では最年長 『水』

野沢ヒロヤ──16歳 自信家でナルシスト つっぱしっては失敗する 『風』

まりあナデハ──15歳 まりあ家次期当主 無口で淡々と喋る 

イルベーヌ──外見は十代半ば。 アプサの女王で全ての災厄の元凶。

アプサメンバー>>87  用語説明>>102

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Re: †執事ゲーム† ( No.125 )
日時: 2010/03/31 10:35
名前: 朝倉疾風 (ID: BLbMqcR3)

        第15話
        裏切り


けっきょく、サクとノエルと一緒の部屋にヒロヤが寝る事になった。

「ぜってーイビキ凄いだろ」  「お前、失礼な奴だなっ!」 「うるさいです、二人とも」

風呂から出てきたサクに、ノエルとヒロヤが目を奪われる。
いつもの活発そうな、少年のようなサクと違い、少女そのもののサクに見とれたからで。

──コイツでも………妖刀なんだよ、な。

「…………なんですか?」
「いや、なんでもっ」  「別にっ」

サクが不思議そうな表情をしつつ、ベッドに腰掛ける。
髪をタオルで拭いているサクを見ながら、

「なあ。 お前って女、なんだよな……?」
「えっと、妖刀だから性別はあまり関係ないってさっきメリッサさんから。 容姿が女ってだけで、性別は無いみたいです」
「でも、今まで女で育ってきたから、女なんだよな?」
「はあ……。 なんですか? ヒロヤさん」

少しヒロヤが顔を赤らめて、

「いや、なんかさ。 お前、男の中で女一人って抵抗ねえの?」
「ヒロヤさんが居なかったら、ノエルと二人だけだったんですよ」
「なっ!!」

まるで、ヒロヤがお邪魔虫のような言い方に、さすがにノエルも顔を赤らめる。

「おまっ………ノエルと、そんな仲だったのか」
「ちっげーよ! なんで俺がこんな女とっ!」
「なにがこんな女………っ」

サクの動きが急に止まる。 驚いたように目を見開き、首を傾げる。

「ん? なんだ、サク」
「いや…………なんでもない」

──なんだ? ………今の。 なにか、視界が霞んで……?

Re: †執事ゲーム† ( No.126 )
日時: 2010/03/31 13:45
名前: 羽鳥 (ID: zTHJAdPC)

何か起こりそうな……っ!
視界が霞んで…?!
気になる!

Re: †執事ゲーム† ( No.127 )
日時: 2010/04/02 13:31
名前: 朝倉疾風 (ID: BLbMqcR3)

気になってくれて
ありがとうござます^^

Re: †執事ゲーム† ( No.128 )
日時: 2010/04/02 13:48
名前: 朝倉疾風 (ID: BLbMqcR3)

           †



「じゃあ、研究所にいくのね」
「そこに行けば、ヨーテ化を防ぐ薬もあるのだろう?」

ナデハの問いに、静かにメリッサが頷く。
白い薄着に着替え、髪をドライヤーで乾かしながら、

「しかし、よく薬なんて作れたな」

ナデハがほんの少し感心を含んだ口調で言った。
メリッサは優雅に微笑み、

「ヨーテの死骸の細胞から色々実験をしてみたんです」
「…………」

ナデハの目が急に細くなる。
それに気づかず、メリッサは得意げに説明し始める。

「細胞を変形、強化、そして色々な抵抗力を生みだす為、ありとあらゆる年月と努力をかけて作りだしました。 まだ研究段階ですが、きっと──」
「何を使って、実験をした?」

ドライヤーの電源を消し、ナデハが鋭く声を尖らせる。
メリッサは少し首を傾げ、ナデハの次の言葉を待つ。

「───何を使って、その薬の実験をした?」

ナデハは逃がさないように、ナイフのようにメリッサを睨みつける。
メリッサはその質問の意図に気づき、やれやれというように肩を竦めた。

「さすが、まりあ家当主。 幼い子供とはいえ、その知性や敏感さは大人顔負けってとこかしら」
「質問に答えろ。 お前は、何を使って実験をした?」

凛として、気高い声が響く。

「そりゃあ………人間に決まってるでしょ」
「貴様……っ、どうしてヨーテが生まれたのか、分かっているだろうっ!」

ナデハが怒りをあらわにし、怒鳴る。

「人間を使っての実験は危険すぎるし、人権を害する! ヨーテがどうして生まれたのか忘れたかっ」

「覚えてますよー? 人間を何人も何人も何人も何人も檻に入れて、鎖に繋いで! 得体の知れない薬を何本も何本も何本も体内に注射して! 発狂して手首を掻きむしって死んでいく子供たちなんてお構いなしにっ」

肩で息をしながら、メリッサがニヤリと笑う。

「全部、あんた達まりあの人間がやった事っ!」
「だからこそ、もう二度と同じ誤ちは繰り返さない。 そう誓った!」

お互いにお互いを睨みつける。

「ねえ…………本当に私がメリッサだと思ってるのなら、それは何かの間違いだと思うわ」
「???」

怪訝そうな表情のナデハ。 それを楽しむように眺めて、メリッサが

「っ!」 「キヒヒヒ」

いつの間にかナデハの背後に回っていた。
振り返ると、右手をヨーテ化させ、振り上げている。

「終わりだよ。 まりあの王様♪」
「っ!」

その鋭い爪がナデハの肉体に食い込む──その時。

「なにっ!?」 「え?」

その腕が、血を噴き出しながら胴体から切り落とされた。
返り血を浴び、ショッキングな映像が視界に映るが、ナデハは微動だにしない。 状況を把握しようと、後ろを振り返る。


サクが、いた。


.

Re: †執事ゲーム† ( No.129 )
日時: 2010/04/02 14:06
名前: 朝倉疾風 (ID: BLbMqcR3)

         第16話
        強さの代償に


サクが、いた。

その手には血の付着している刀。 
目は紅に光り、メリッサを睨んでいる。

「ナデハっ、大丈夫か!?」  扉の方から、ヒロヤの声が聞こえた。
「大丈夫だ」 乾いた声で返事をし、ナデハがサクを見る。

「よかった」
一瞬、優しい笑みを浮かべたが、サクはすぐに険しい表情になり、刀を構える。

「おのれ………妖刀の小娘か」
「あなた………誰?」

よだれを垂らしながら、切り落とされた腕を抑えるメリッサに、サクは静かに、慎重に訪ねた。

「………キヒヒヒ。 まぁ、いーんじゃん? どーせ手ぇ無くしたんだしさ」

メリッサはそう言うと、静かに目を閉じて全細胞を創りかえる。
しなやかな体は、細身の青年のように。
顔立ちも妖艶な女性から、好青年に。

「お前はっ」  見覚えのある容姿に、全員が驚きを隠せない。

そこにいたのは、まりあ家の屋敷を襲撃したアプサの一人。
ジャネスだった。

しかし、容姿はジャネスだが、やはり腕は無くなっている。

「あーあ。 腕盗られちゃったよ」

片目が残念そうな表情になるが、すぐに恍惚を取り戻す。

「大丈夫ですか?」 「ナデハ様はっ」

別の部屋にいたナトリとちのも駆けつける。
ナデハを後ろに庇い、サクがジャネスを睨む。

「俺今チョー不機嫌だわー。 腕盗られたしさ」
「………お前は、ここで殺す」

サクが赤眼を光らせる。

「怖いねぇ。 んじゃー殺し合いしてみる? 多分勝利は俺のモンだと思うけどねー」
「あなたは片腕がない」
「ハンデじゃん。 そんなのさ」

ニヤリと笑い、物凄いスピードでサクの目の前に移動してきた。

「っ」 「あっまいんだよっ!」

ヨーテ化させた左腕でサクの華奢な体を吹き飛ばす。
サクは壁にぶち当たり、床に倒れた。

「サクさんっ」 「っの野郎!」

ヒロヤが白い翼を生やし、一気にジャネスに襲いかかる。

「咲いて、みんな」 ちのが願うと、そっとナデハの周囲に大きな花が咲き、ナデハを包んだ。

「ちのっ!?」 
「あなたまで、闇を受け入れる事はない」

静かにナデハをなだめちのが悲しげに微笑む。

「そんなに追いかけっこしたいの? 面白いっ」
「舐めんじゃねぇっ!」


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