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- †執事ゲーム†
- 日時: 2010/04/04 12:12
- 名前: 朝倉疾風 (ID: BLbMqcR3)
シリアスなのかギャクなのかパロディなのかコメディなのか分からないけど、多分・・・・全部。
<登場人物>
音葉サク──15歳 見た目は少年だが少女 まりあ家の守護者として契約された 『日本刀』
真白ノエル──16歳 根は優しい 幼い頃からまりあ家に仕える 『炎』
園崎ちの──15歳 負けず嫌いで頑固 誰に対しても敬語 『花』
菅野ナトリ──19歳 物静かで穏やか 執事の中では最年長 『水』
野沢ヒロヤ──16歳 自信家でナルシスト つっぱしっては失敗する 『風』
まりあナデハ──15歳 まりあ家次期当主 無口で淡々と喋る
イルベーヌ──外見は十代半ば。 アプサの女王で全ての災厄の元凶。
アプサメンバー>>87 用語説明>>102
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- Re: †執事ゲーム† ( No.10 )
- 日時: 2010/03/01 18:14
- 名前: 朝倉疾風 (ID: 0N93rCdO)
姫で想像するものは、ピンクのドレスに扇子。 豪華なソファにふんぞり返って召使に命令しているワガママな少女。
サクは頭の中で色々とまりあ家のお嬢様を想像しながら着替える。
「あの、チョウネクタイが曲がってて」
「おう、出てきてくれ。 俺がやったる」
カーテンを開け、着替えたサクを見て、見とれる。
「・・・・・・・へぇ、けっこう似合うな」
「可愛いです、サクさん。 似合ってます」
「そうですか?」
「男みてー」 「・・・・・・・五月蝿いです」
鏡で自分を見て、サクが少しだけ微笑む。
「あ、サクさん。 チョウネクタイ直します」
「ありがとう」
「僕のことは、ちのって呼んでください」
曲がったネクタイを直してもらい、ちのの器用さに感心していたが、
「やっ、意味分かりません。 私はなんでここで働かなきゃいけないんですか」」
「その理由は、姫から聞け」
「ヒメって・・・・・・・誰なんだよ」
そう悪態をついたとき、
「おい、もうナデハが来てんだからちゃっちゃとしろ!」
廊下の先で、一人の少年が叫んだ。
背は小さく、サクと同じぐらい。
八重歯が特徴的な、翡翠色の瞳を持つ少年で、執事なのかタキシードを着ている。
「ヒロヤ先輩、大声出すんやめてもらえますか」
「大声出させてんのはお前だろ、ノエル。 ナデハが機嫌悪いのはヒャクパーお前のせいなんだからな」
「・・・・・・先輩の大声のせいじゃないっすか?」
ノエルの口調からして、ヒロヤの方が年上だとわかるが、そうは思えない。
ヒロヤは見慣れない執事が目に入り、
「あれ、新人?」
「ああ。 音葉サクっつーんです。 こんなナリでも女なんで、よろしくしてください」
「へぇ、女なのに執事なんだ?」
「いや、私は執事とかやる気ないですから!!」
急いで訂正を入れるサク。
「そーなん? いや、話は後。 先にナデハに挨拶しとけ。 おせぇんだよ、テメーら」
ヒロヤに急かされ、廊下を渡って大広間に出る。
そこには、二人の人間がいた。
一人は執事。 長身で、眼鏡をかけた茶髪の青年で、物静かで穏やかそうな顔をしている。
その傍らで、じっとこちらを見ているのが、
──まりあ家の・・・・ヒメ?
フランス人形を連想させるような、金髪碧眼の無表情な少女だった。
「すまん、ナデハ。 ちょい遅れた」
そんな彼女に軽口を叩いたヒロヤを、別に怒るワケでもなく、軽く頷く。
「音葉サクは?」 「ああ、コイツです」
いきなり指を指され、サクは首を傾げる。
「あの・・・・なんで自分が執事になれ、とか言われたのか全然分からないんですが・・・・・・」
「私の名前はまりあナデハ。 この屋敷の主で、お前の主人だ」
「だから、私は執事になった覚えも、あなたの事も知らないんですよ? 私を家に帰してくださいっ」
「・・・・・・・・・・・・・・・それはできない」
淡々と言い返し、サクを睨み付ける。
「お前は、もう既に私の所有物だ」
「はぁ?」
「アパートには戻れない。 もう売り払った」
「・・・・・え、何勝手に」
「お前に言い返す権利はない。 私の執事となれ」
──い、意味分からん!
「私はっ、ただバイトして一人暮らしして、両親がタヒんじゃったけど自分なりに生活しようとしてっ」
「お前が何を言おうが、今日からお前は私の執事だ」
「そんな・・・・・っ」
断固として譲らないナデハに、サクが口をつむぐ。
その肩に手を置いたノエルが、
「なぁ、何も知らないで執事っつーのもフェアじゃなくね?」
フォローのつもりなのかナデハにそう言った。
少しだけノエルを睨みながらも、
「・・・・・・・私の命令が聞けないなら、執事じゃない」
「ナデハ様、もうすぐで朝食でございます」
隣にいた長身の執事──菅野ナトリが口を挟む。
落ち着いた、穏やかな口調。
「ナトリ、すぐに用意しろ。 ちの」
「あ、はいっ」
「新人に仕事の内容を覚えさせろ」
「かしこまりました」
──ほ、本気で執事なんてやらないといけないわけ??
- Re: †執事ゲーム† ( No.11 )
- 日時: 2010/03/01 18:16
- 名前: 朝倉疾風 (ID: 0N93rCdO)
ありがとうございます
>牙s
- Re: †執事ゲーム† ( No.12 )
- 日時: 2010/03/03 20:16
- 名前: 嵐猫 (ID: Nij9sJrk)
アパート売り払ったって・・・・・・!!
すごいですね。
これからどうなるか、楽しみです^^
- Re: †執事ゲーム† ( No.13 )
- 日時: 2010/03/04 16:50
- 名前: 朝倉疾風 (ID: BLbMqcR3)
すごいですよねー
それぐらいの権力ほしいですよ、まったく
>嵐猫s
- Re: †執事ゲーム† ( No.14 )
- 日時: 2010/03/04 17:12
- 名前: 朝倉疾風 (ID: BLbMqcR3)
第二話
執事のおしごと
「嘘・・・・・じゃあ本当に私の部屋なくなってるんですか?」
大広間の片隅にある電話でアパートに確認を取ったものの、サクは愕然とした。
「そうですか………わかりました。 いえ、すみません」
見えない相手に向かってお辞儀をして、諦めたような溜息をついて受話器を置く。
大家さんの話で、完全にアパートの自分の部屋が空き部屋になっていると知らされた。
「どこよここ………お金持ちそうだけど、まりあ家なんて聞いたことない」
「それはそうでしょうね」
背後から声がして、ビクリと怯えながらも振り返る。
眼鏡をかけた、優しげな顔立ちの青年がいて、ナデハのすぐ傍にいた執事だと思いだす。
「菅野ナトリといいます」 「あ、音葉サクです」
「サク………いい名前ですね」
優しい微笑みを見せたナトリに安心したのか、肩の力を緩める。
「まりあ家って何なんですか? いきなり私をここに連れてきて、何がしたいんですか?」
「すべての質問に答えることは、残念ながら今の私にはできません……。 その時が来たら、必ず分ります」
その時───その言葉の意味が分らず、サクが怪訝そうな表情で、
「私………執事になんてなりません。 私を早く帰して下さい。 両親と過ごしたあの場所へ帰して!」
「………あなたは、知るべきです」
静かにそう言われ、サクは顔を上げる。
微笑んでいたが、どこか悲しげな表情のナトリをしばらく見つめ、
「なにを、知るっていうんですか」
「あなたの事です。 あなたはまず、あなたの事を知らない」
「? 私の、こと?」
ナトリは優しげな表情のままサクに近づき、短い髪をそっと撫でた。
温かいナトリの手。
「いずれ、知らなければならない。 あなたはそういう運命なんですから」
そっと頬から手を放し、去っていくナトリの後ろ姿をじっと見ながら、先ほど触れられていた個所を触る。
「不思議な人………」
込みあがった怒りや不安が取り除かれたような気がした。
錯覚なのかも知れないが、心が軽くなった。
──でも、私は私をちゃんと言ってるのに。
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