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- †執事ゲーム†
- 日時: 2010/04/04 12:12
- 名前: 朝倉疾風 (ID: BLbMqcR3)
シリアスなのかギャクなのかパロディなのかコメディなのか分からないけど、多分・・・・全部。
<登場人物>
音葉サク──15歳 見た目は少年だが少女 まりあ家の守護者として契約された 『日本刀』
真白ノエル──16歳 根は優しい 幼い頃からまりあ家に仕える 『炎』
園崎ちの──15歳 負けず嫌いで頑固 誰に対しても敬語 『花』
菅野ナトリ──19歳 物静かで穏やか 執事の中では最年長 『水』
野沢ヒロヤ──16歳 自信家でナルシスト つっぱしっては失敗する 『風』
まりあナデハ──15歳 まりあ家次期当主 無口で淡々と喋る
イルベーヌ──外見は十代半ば。 アプサの女王で全ての災厄の元凶。
アプサメンバー>>87 用語説明>>102
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- Re: †執事ゲーム† ( No.20 )
- 日時: 2010/03/05 20:16
- 名前: 朝倉疾風 (ID: BLbMqcR3)
ここに来てから分からない事ばかりだ。
突然執事になれと言われ、拉致されてからその主人にナイフで襲いかかられ──
サクには意味が分からなかった。
自分は、ここに居ていいのだろうか。
帰ると言っても、アパートは売り払われている。
「………冗談じゃないっての」
何かを決意したように唇を噛みしめ、廊下を走る。
サクが考えたのは、逃走だった。
この屋敷から逃げ出して、後の事はそれから考えよう。
ワケも分からない人間の所で働くなんて嫌だ。
走り、
走り、
走り、
走る。
「どこ行くんだ、新人」 「っ」
その足が止まる。
振り返ると、ヒロヤが仁王立ちで構えていた。
「放っておいてください」 「ンなワケ行くか。 女がなんか困ってるのに、男が見捨てるワケいくかよ」
小さい身長を大きく見せようと、少々つま先立ちになりながらもサクに近づく。
「それに、仕事だってまだあるんだし」
「私は、家に帰りたいんです」
サクの弱々しい声を聞き、ヒロヤが心配そうな表情でその震える肩をみる。
「血の繋がりはないけど………あのアパートで私は育ったんです。 両親と一緒に………。 あそこに帰してください」
事故であっけなく逝ってしまった義理の両親の顔が浮かぶ。
ヒロヤは理解していた。 サクはもう、あの場所に戻る事はできない。
サク本人も知らない秘密を、自分達は知っているのだから。
でも、ここにいるサクは少女であり、人間だった。
「………ここ、そんなに嫌か?」
「え?」
「俺も最初はここが最悪だったけど………今では大切な、絶対になくしたくない場所だって思ってる」
サクと目が合い、ニコリと笑う。
「お前にとっても、ここがそんな場所になってくれたら、俺は嬉しいけどなっ」
「………ヒロヤさん」
泣き出しそうになった。
ヒロヤにとって大切な場所を貶してしまった自分が恥ずかしかった。
「………いつか、分かりますか?」 「あ?」
「私がここに連れてこられた理由………いつか、分かりますか?」
少し驚いた顔をしたが、すぐに優しい笑みになる。
「ああ。 きっと、分かるはずだよ」
できれば、何も知らないでいてほしいと願いながら──
- Re: †執事ゲーム† ( No.21 )
- 日時: 2010/03/05 20:42
- 名前: 嵐猫 (ID: Qx27qPYR)
覚醒?!
うわぁ、気になりますね。
すごい瞬発力ですね。
羨ましいです。笑
- Re: †執事ゲーム† ( No.22 )
- 日時: 2010/03/05 20:45
- 名前: 朝倉疾風 (ID: BLbMqcR3)
サクは私の理想の女の子です。
私なんてドッジで顔面いっぱいにボールを受け止めるんですから!
- Re: †執事ゲーム† ( No.23 )
- 日時: 2010/03/05 20:54
- 名前: 朝倉疾風 (ID: BLbMqcR3)
第3話
目覚めたサガ
11年前 『紅の惨劇』にて──
轟々と赤く燃え広がる屋敷の中、一人の少女が泣き叫ぶ。
喉が裂けるほど叫んで、泣いて、母親を恋う。
やがて炎は屋敷全てを包み込む。
焼け狂う炎の中、少女は力尽きて倒れた。
ここでタヒぬのだろうか。 何もできぬまま。
うっすらと開けた目。 視界に、黒ずくめの人間が映る。
こちらを睨んでいる。
──殺.サレル………
「はあぁぁああぁぁぁあぁぁぁぁあっっ!!」
しかし、その黒ずくめは背後から別の何者かによって刺された。
少女はその光景に絶句しながら唾を飲む。
倒れる、黒ずくめ。
そしてそれを殺.したのは、自分の母親だった。
「……お母、さん……?」
紅に目を光らせ、全身に返り血を浴び、手には日本刀をしっかり握る母親の姿に、少女は気を失った。
- Re: †執事ゲーム† ( No.24 )
- 日時: 2010/03/05 21:06
- 名前: 朝倉疾風 (ID: BLbMqcR3)
†
鋭い時計の音ではなく、美味しそうな甘い匂いでナデハは目を開ける。
起き上がり、辺りを見渡すとそこは自分の部屋。
その当たり前な事にホッと安心し、窓の外を見る。
今日も、始まる。
「……………」
いつ命を狙われるか分からない恐怖との戦いが。
まりあナデハが起床する2時間前。
与えられた自室で、音葉サクは両親との夢を見ていた。
幸せで、あたたかで、安心する。
しかし、そんな彼女の幸せは、
「起きろっ、サク!」 「っで!! 」
真白ノエルによって壊された。
「いっでででででっで!! 何するんですかっ」
「うっせー。 お前が起きねぇからだ」
抓られた耳をさすりながら、涙目でサクが訴える。
「もう少し起こし方を考えてください! あーもう、いたたた………」
「お目覚めのキスでもねだってんのか」
「冗談でしょ!!」
あわてて起き上がり、カーテンを開ける。
ナデハの部屋と比べれば、その差は歴然とする小さな部屋だったが、一人部屋としては十分だった。
「姫が起きる前に、あいつの着替えと朝食の準備だ」
「本当にお嬢様なんだ………」
「早くしろ」
髪をくしで梳かしながら、服を着替えようとしたが、
そこで待てよとサクは思う。
「? どした」 「………早く出て行って下さいよっ! 一応ここはレディの部屋なんですからっ」
「ああ………別にどうでもいいけどな。 お前なんか女らしくねーし」
──この人本当に失礼な人だな。
ぷんすかと怒っているサクを見ながら、ノエルも安心する。
──昨日、ヒロヤさんから聞いた時はどうなる事やらって思ったけど……
──元気そうだな、サク。
部屋の外で待ちながら、ふっとほくそ笑む。
「ガンバレよ、新人さん」
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