複雑・ファジー小説
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- *Tarot-Labyrinth* コメ募集中><
- 日時: 2011/10/15 15:23
- 名前: 奏 (ID: mtBKxXTx)
はじめましての方ははじめまして。
二次小説で「悪ノ物語」というものを書かせていただいていた奏(かなで)です^^
そっちが完結したので、今度はオリジナルで書かせていただきます。
ちなみに、複雑・ファジーということなのですが、
80%がコメディ・ライトです。
あまり重い話はないですので、ご安心を´ω`*
■読む前に注意■
・奏のことが嫌いな方は回れ右
・荒らし、中傷目的の方も回れ右
・複雑・ファジーなのに重い展開少ねぇじゃん!ヤダ!って人も回れ右
・更新が休日だけだったりとかが嫌なかたは回れ右
・厨二的なものが受け入れられない方は回れ右
(↑実は一番重要)
基本金曜・土曜・日曜のいずれかの更新になるかもですが、
気長に待っていただけると嬉しいです。
キャラは多いのでここには書きません^^;
>>1 【主人公級キャラ】
>>2 【敵級キャラ】
>>3 【その他キャラ】
>>6 【用語説明】
- Re: *Tarot-Labyrinth* コメ募集中>< ( No.94 )
- 日時: 2011/08/30 20:59
- 名前: 奏 (ID: WjKDVeep)
消えた・・・。
長文消えた・・・。
すいません、、書き直す気力が戻るまで
数十時間お待ちください←
途中放棄はしませんので
気長に待っていただけると嬉しいです。
- Re: *Tarot-Labyrinth* コメ募集中>< ( No.96 )
- 日時: 2011/08/31 19:10
- 名前: 奏 (ID: o14VJDmT)
第51話 椿
* リーダーside
あれから、真里亞はなかなか出てこようとしなかった。
食事も扉の前に置き、しばらくして戻ると
半分ほど残された食事がポツンと取り残されている。
珍しいことに扉は鍵がかかってるし、
ノックしても呼びかけても返事は全く聞こえてこない。
そんな感じだった。
「・・・マリア、本当に体壊しちゃうの・・・。」
俺の隣で、璃雨が心配そうに呟いた。
「確かにな・・・中の様子もわかんねーから、なおさら心配だな。」
「ねぇ、リーダー・・・?」
「ん?」
「どうしてみんな、本当の名前を捨てちゃうの?」
いきなりの質問だった。
確かに、真里亞は犬養真奈という名を持つし、璃雨に関しても、近枝瑠璃という名がある。
俺にも本名以外に名はある。
ほとんど「リーダー」呼びだからその偽名を使われないけど。
俺が答えないままでいると、
階段に腰を落ち着かせていた禾音が立ち上がり、ゆっくり歩いてきた。
「・・・過去を忘れるため。新しい自分を始めるために、ですよ。」
「・・・過去を忘れて、いいことなんてあるの?」
「辛いことも苦しいことも捨てることができる。
・・・リゥ、貴女にはないんですか?捨てたいと思うことが。」
璃雨は一瞬肩を震わせると、
さきほどよりも落ち着いた口調で話し始めた。
「ある・・・けど・・・折角もらった名前を捨てようなんて思いたくない。」
「・・・・・・強いですね、リゥは・・・。」
禾音はそれだけ言うと、
俺に向き直った。
「ところで、マリアのことなんですけど。
少し、調べさせてもらいました、昔のこと。」
「し、調べるって・・・どうやって。」
禾音は人差し指を立て、こめかみにトンと当てた。
「死神の能力。全人類のデータが入った図書館みたいなものが存在するんです。
もちろん物体としてじゃなく、使いの頭の中に。
そこからマリアのデータだけ覗かせてもらったんです。」
「・・・どうだったんだ?」
「マリア・・・いや、犬養真奈に姉が1人いたんです。
名を犬養椿。・・・享年12歳。」
思わず耳を疑う。
「享年・・・って・・・死んだってことかよ・・・!?」
禾音が白い髪を揺らし小さく頷いた。
禾音が話した内容はこうだ。
犬養真奈、当時8歳。
姉が一人、名を犬養椿、当時12歳。
この姉妹は優劣があったらしく、
劣っていると見られた真奈は、家族の中で浮いていたという。
また、8歳の真奈の口調は現在の変なお嬢様口調とあまり変わらず、
両親はそれを気味悪がっていたらしい。
そのせいもあり、
両親は椿を猫かわいがりし、真奈を除け者にしていた。
父親に至っては、暴力もふるうことがあったという。
自分を痛めつける両親と、可愛がられる姉を
憎むことも少なくはなかったらしいが、
暴力や罵倒から庇ってくれた姉を、いつからか慕うようになった。
だが、豪雨に見舞われたある日。
椿にもらった髪飾りを落とした、と一人飛び出していった真奈が
心配になり、椿は後を追いかけるように飛び出した。
その矢先。
豪雨のせいで周りの音が聞こえづらく、
傘のせいで視界も狭まり、頭の中に不安という感情しかなかった椿に、
トラックが迫っていた。
そのまま、椿が妹を迎えに行くことも、
会うこともなかった。
今まで庇ってくれた姉を亡くした真奈は、
以前より酷い罵りを受けるようになった。
それに耐え切れなくなった真奈は1年後、
突然家を飛び出した。
「で、現在に至る・・・と。」
「はい。」
「でも、それとこれとでなんの関係が・・・?」
禾音はおもむろにいつものノートを広げて見せた。
そこにあったのは、1人の少女の写真。
「“太陽”の使い・・・清野有花。」
「・・・あぁ、マリアが回収してきたアレか。」
「この子、法王の妹です。
・・・カードを奪ったあの日、法王もそこにいたそうです。」
あぁ、ちょっとだけ分かってきた。
その兄妹が互いを思いやってるところを見て・・・
今まで無理やり抑え付けてきた姉への想いが、
今になって爆発してしまった・・・ということかな。
「・・・お姉ちゃんが死んだの、自分のせいだと思っちゃってるのかな・・・。」
「・・・だろうな。
・・・これじゃあ、直接姉と会わせるしかないだろ・・・。
そんで説得してもらうしか・・・。」
「え、でも・・・死んじゃってるのに・・・。」
璃雨がそう言うや否や、
禾音はノートを閉じ、俺の後ろにかかっている
真っ黒い帽子を奪うように取った。
「・・・じゃあ、行って来ます。」
「っておい!どこに・・・!?」
禾音は表情一つ変えずに続けた。
「・・・境界。生と死の、狭間。
マリアのお姉さん・・・連れてきますから。」
「連れて・・・?」
「そう。実体はないけど・・・呼び出すくらいならできますから。
・・・だから、行って来ます。
戻るまで・・・マリアのこと頼みますね・・・。」
そう言って、
禾音は立ち去ってしまった。
- Re: *Tarot-Labyrinth* コメ募集中>< ( No.97 )
- 日時: 2011/09/02 21:13
- 名前: 奏 (ID: Fjgqd/RD)
- 参照: http://www.kaki-kaki.com/bbs_m/view.html?701252
禾音のキャラ絵です。
また合成後描くの忘れた・・・;
禾音の後ろ髪は
帽子の中に入ってると思ってください。
- Re: *Tarot-Labyrinth* コメ募集中>< ( No.98 )
- 日時: 2011/09/04 02:29
- 名前: 奏 (ID: ZEtdBFlK)
第52話 向かい合う姉妹
* リーダーside
禾音がいなくなって3日後。
どれだけ落ち込んでいるのか、真里亞は未だに部屋から出てこない。
さらに、禾音がいないせいで部屋が余計に静かだ。
といっても、元々口数少ない奴だからあまり変わんねぇけど。
・・・でも、ノートにペンを走らせる音はいつもしていたから・・・その音の存在は意外と大きい。
そんなことを思いながらソファに身を預けていると、
奥の廊下から、よたよたと歩いてくる人影が見えた。
「・・・カノン!!」
それは、疲労困憊といった様子の禾音だった。
俺はソファから離れ、代わりに禾音を座らせる。
「・・・大丈夫か・・・?」
「・・・え?・・・あぁ、平気です・・・。マリアは・・・どうですか?」
「まだ部屋から出てこない。」
そうですか、と禾音は呼吸を落ち着かせるようにゆっくりと肩を動かす。
「で・・・連れてきたのか?」
「・・・・・・まぁ、一応は。いつでも呼び出せるようにはしてあります。」
「じゃあ、マリア呼んでくるから——・・・」
俺がその場を離れようと背を向けると、
小さな力で服の裾を引っ張られた。
「・・・僕が行きます。」
「え?・・・でも、お前は休んでたほうが・・・。」
禾音は帽子をソファの上に投げ捨て、真直ぐな瞳を向けた。
「・・・リーダーの呼びかけに、あの子は応じますか?」
「・・・・・・じ、自信はないけど・・・。」
俺がそういうと、禾音はおぼつかない足取りで真里亞の部屋へ向かった。
俺も、その後ろをゆっくり付いて行く。
まずはノックを2回。
「・・・マリア、話があるので出てきてくれませんか?」
しばらくの沈黙。
ゆっくりとした口調で返事が返ってきた。
「・・・話なら・・・そこからお願いできませんこと?」
声はどこか沈んでいるが、
体を壊して倒れている、とかいうことはないようだ。
「こんなところじゃできない話です。・・・とても大事な。」
「・・・・・・・・・・嫌だと言ったら?」
どうやら、普段の真里亞だけでなく、
落ち込んだ真里亞もしつこさは変わらないようだった。
だが、禾音にも引き下がる気配はない。
いつもの無表情のまま、強めの口調で言い放った。
「つべこべ言わずに早く出てきてください、マリア。」
その迫力には、隣にいた俺もびっくりする。
しばらくして、扉がギギと音を立てて開き、
髪を結ばず、裸足のままの真里亞が姿を現した。
「・・・何ですの・・・?」
「マリアは、姉が亡くなった事、自分のせいだと思ってるんですか?」
「・・・・・・えぇ。」
「それでへこんで、今になって引き篭もっている、と?」
「・・・・・・嫌な言い方ですわね・・・間違ってないですけど。」
禾音はチラッと俺を見た。
そして、真里亞に背を向け、さっきまでいたリビングへ向かう。
きっと、俺に、真里亞を連れて来いってことなんだろうな。
俺は真里亞と共に禾音の後についた。
「で・・・何をする気なんですの?」
「・・・マリアに会わせたい人がいます。」
「会わせたい人・・・?」
禾音は背丈に似合わない鎌を構えると、目を閉じ、ゆっくり深呼吸をした。
「・・・犬養椿、死神の呼びかけに応えよ。」
真里亞が硬直する。
そうか、真里亞は今までの流れを知らないんだもんな。
突然死んだはすの姉がどうのってなったら誰でも驚くわな。
長い沈黙。
2分ほど静かな空間が続いたと思うと、
禾音の隣に、ツインテールの少女が現れた。
見た目は真里亞よりちょっと上くらいに見える。
これが犬養椿・・・真里亞の姉・・・か。
中断。
- Re: *Tarot-Labyrinth* コメ募集中>< ( No.99 )
- 日時: 2011/09/04 23:36
- 名前: 奏 (ID: ZEtdBFlK)
続き
「う・・・ぁ・・・。」
真里亞が横で声を漏らしていた。
ただ、それは声というより、呻きのようにも聞こえる。
ツインテールの少女、椿は、ゆっくりと目を開き、優しく微笑んだ。
「・・・お・・・お・・・お姉・・・?」
「久しぶり、真奈。大きくなったね。」
真里亞は俺を振り向いた。
「どういう・・・ことなんですの?」
「・・・説明はあとでしますから、とにかく今は2人で話をしてください。
・・・リーダー、行きますよ。」
俺の代わりに、禾音が応える。
そして、立ち去る間際にもう一言付け足した。
「椿さん、あのソファ、使っていいですからね。」
「え・・・あぁ、ありがとう。」
「盗み聞きとは・・・いい趣味じゃねーか。」
別の部屋に移動した俺たちは、能力を使って盗聴をしていた。
ついでにこの能力は俺のものだ。
仕組みはよく分からん。
「人聞き悪いこと言わないでください。
・・・マリアのお姉さんが急に消えてしまったりすることもあり得るんです。
そんな時にすぐ対応しなくちゃいけないので・・・準備は必要ですよ。」
禾音の白い髪が揺れる。
俺たちは、椿と真里亞の会話に耳を傾けた。
「聞いたよ、何となくは。
真奈は、私がこうなったこと、自分のせいだと思ってるの?」
「・・・だって・・・私が、1人で何もしようとしなかったから・・・
いつもいつも、お姉に頼ってばかりで・・・何もできなかったから・・・
だから、そんな甘えが・・・お姉を・・・。」
「・・・・・・違うよ。それは、違う。
私の不注意だもん。真奈も、私を轢いたトラックの運転手さんも、何も悪くない。」
「なんで・・・だって、お姉だって悪くないし・・・。」
「悪いとか、悪くないとか、そういうことなのかな?
私の注意力が足りなかっただけだよ。」
「・・・お姉は・・・悲しくないんですの?辛くないんですの?」
しばしの沈黙。
「・・・正直、真奈に会えないことが悲しいくらい。」
「・・・・・・・。」
「でも、どうして今更そんなこと気にしてるの?」
「・・・ある兄妹に会って・・・お互いがお互いを強く想っている光景に・・・
自分を重ねて・・・そしたら・・・・・・・。」
「そっか。でも私は、今でも真奈を想ってるからね。」
「・・・!!私も・・・ですわ。」
「ていうか、真奈。お父さんとお母さんのところ、出てきたんだね。」
「えぇ・・・。それも、逃げっていうんでしょうか。」
「ううん、偉いよ。自分で行動できたじゃない。
私は、それでよかったと思う。それが『正解』だと思うよ。」
「正解・・・?」
「うん。だって真奈には今、家族がいるでしょ?とても大事な。」
「家族って・・・あ・・・。」
真里亞が押し黙った。
俺の隣で膝を抱え座る禾音がポツリと言う。
「随分大人な考えをする人ですね。」
お前が言うことかとつっこみたくなるが、ここは抑える。
しばらくすると、真里亞の声より先に椿が口を開いた。
「だから、今の家族を大事にしなよ。
あの人たちは、みんな真奈のこと大切に思ってるから。」
「・・・え?」
「だってそうでしょ?真奈に元気になってほしくないなら、
わざわざ私を呼び出しに来ないよ。・・・危険な目に遭ってまでね。」
「危険な目って?」
「それは・・・まぁ、言わないでおくよ。
本人も言ってほしくないだろうしね。」
そう椿が言った瞬間、禾音が立ち上がった。
「どうした?」
「そろそろ・・・時間が来ます。」
「もう少し一緒にいさせることはできないのか?」
「それは・・・。」
そこまで言うと、禾音はバランスを崩し尻餅をついた。
その目は、どこか焦点が合っていないようにも見える。
「・・・僕がこんな状態ですから・・・時間が過ぎれば椿さんは戻れなくなる。
・・・そうなったら、椿さんは「真奈の姉」という存在ではなくなります。
それはただの“悪霊”。」
「・・・・・・そっか。」
できる限り2人を長くいさせてあげたかったが、
目の前のこいつを見ると、そうはできなくなった。
「ちゃんと話せたみたいだな。」
俺の言葉を聞くと、椿のほうはにっこりと微笑んだ。
「じゃあ・・・真奈、私は戻るね。」
「・・・・・・お姉、もう会えないんですの?」
「たぶんね・・・。でも、それが普通なんだと思う。
今の私たちが、奇跡なんだと思うよ。」
「・・・私は、一人ぼっちじゃないんですよね?」
椿が、真里亞の手をとる。
「うん。私は真奈を見守ってるし、それに、今の貴女にはみんながいる。」
「・・・うん・・・うん、そうですわね。」
真里亞も小さく微笑んだ。
椿が俺たちに向き直る。
「真奈のこと、よろしくお願いします。」
そう言い深々とお辞儀をすると、
禾音に向けて「お願い」と声をかけた。
禾音は鎌の柄を椿に向け、目を閉じた。
「let ring」
椿の体の周りに、大きな黒い輪が現れる。
すると、足元から姿が薄くなっていった。
「・・・・・・お姉・・・。」
「真奈、幸せにね。真奈が幸せじゃなかったら・・・私も悲しいから。
私の分も、ちゃんと生きてね。」
それを最後に、椿は姿を消し、黒い輪だけが床に落ちた。
真里亞は口をへの字に結び、嗚咽をもらした。
「・・・ぅ・・・ぐ・・・。」
腕で目を隠すと、そのまま自分の部屋に駆けて行った。
また逆戻りか・・・とか思っていた矢先、
ドアが音を立てて開き、靴下を履き、髪を結んだ真里亞が姿を現した。
「さて、いつまでも泣いていられませんわ!
カノンはソファに座って大人しく休んでくださいませ!
リーダーは買い物行ってきてください、今日は私がお夕飯作りますから!」
てきぱきと動く真里亞は、いつもどおりの明るい少女だった。
ぽかんと口を開ける俺を引きずり、買い物メモを俺に握らせる。
「うわ、ちょっ!」
その引きずられていく光景を見た禾音が、
本当に微かに微笑んだように見えたのは、
きっと、俺の気のせいだろうな。
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