複雑・ファジー小説
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- *Tarot-Labyrinth* コメ募集中><
- 日時: 2011/10/15 15:23
- 名前: 奏 (ID: mtBKxXTx)
はじめましての方ははじめまして。
二次小説で「悪ノ物語」というものを書かせていただいていた奏(かなで)です^^
そっちが完結したので、今度はオリジナルで書かせていただきます。
ちなみに、複雑・ファジーということなのですが、
80%がコメディ・ライトです。
あまり重い話はないですので、ご安心を´ω`*
■読む前に注意■
・奏のことが嫌いな方は回れ右
・荒らし、中傷目的の方も回れ右
・複雑・ファジーなのに重い展開少ねぇじゃん!ヤダ!って人も回れ右
・更新が休日だけだったりとかが嫌なかたは回れ右
・厨二的なものが受け入れられない方は回れ右
(↑実は一番重要)
基本金曜・土曜・日曜のいずれかの更新になるかもですが、
気長に待っていただけると嬉しいです。
キャラは多いのでここには書きません^^;
>>1 【主人公級キャラ】
>>2 【敵級キャラ】
>>3 【その他キャラ】
>>6 【用語説明】
- Re: *Tarot-Labyrinth* コメ募集中>< ( No.130 )
- 日時: 2011/11/06 15:08
- 名前: 奏 (ID: xJuDA4mk)
ちょっと詰まったのでここで色んな説明を挟みます。
●タロットカード
物語の中心。作った者の思いが強く、特別な力が宿ってしまった。
それ故、託された子孫たちはそのカードを忌み嫌っていたが
うかつに燃やして捨てることもできず金庫の中で保管していた。
しかし力が宿ったカードは金庫から抜け出し、様々なところへ飛び散ってしまうようになった。
(精霊の意思ではなく、精霊自身にもどうにもできない。)
カードを揃えると願いが叶うと言われている。
その願いは何でも叶うので、世界を変えることも可能。
●主人公たち
幼馴染グループ+α。
カードを揃えて元の場所に戻そうとする者たち。
●敵(closs)
カードを揃えて自分たちの願いを叶えようとする者たち。
年齢は主人公たちより低い者が多いが、能力は劣らない。
それぞれがとある人物に拾われ、
その人のためと自分たちのためにカードを狙う。
●精霊
カードに宿る精霊。
だが自分の意思でカードを操ることができない。
素質のある人間と契約してカードを集めさせる。
あまり人前に姿を現すことがないが、その姿は小さな人間の姿をしている。
●世界
カードの中で最も力が強い。
これを得るだけでとてつもない力を得ることができる。
●審判
カードの中で唯一戦いに関わらないもの。
どちらの味方でもどちらの敵でもない。
カードと関係のない人間を巻き込まないように、
戦闘している人間たちを別の空間に飛ばしたりする。
・・・とりまこんな設定です。
まだもうちょっとあるんですが
書くとネタバレになる部分があるのでやめておきますw
- Re: *Tarot-Labyrinth* コメ募集中>< ( No.131 )
- 日時: 2011/11/06 15:48
- 名前: 奏 (ID: xJuDA4mk)
本編続き
* リーダーside
しばらく経った後、台所でぼーっと本を眺めていた俺の所に、琥乎が盆を持って歩いてきた。
その盆の上に並べられた皿は、全て綺麗に空になっていた。
俺はそれを見て少し微笑む。
「どうだった?」
俺がそう聞くと、琥乎はわずかに首を傾け、ぼそりと呟いた。
「・・・おいしかったです。ごちそうさまでした。」
「そうか、ならよかった。
どうするんだ?出掛けてくるか?」
続いてそう尋ねると、そいつはふと時計と窓の外に目を移し、俺を見上げると小さく頷いた。
「・・・んー、じゃあちょい頼みごとがあるんだけど、いいか?」
「・・・?はい。」
「リゥもどこかに出掛けちまって・・・もし会ったら、昼飯の前に戻るように言ってくれないか?」
「あ・・・はい、分かりました。」
琥乎は答えると、長い髪を揺らして再び部屋に戻っていった。
特に何も用はないだろうが・・・あるとするなら開けてた窓を閉めに戻ったんだろう。
そんなことを考えながら食い終わった茶碗や皿を洗おうと
茶碗を水の中に突っ込んだとき、琥乎の部屋から微かに歌声が響いてきた。
あぁ、またか、と俺は思う。
琥乎は気分がいいとき、部屋に行っては窓を開け、
空を見上げながら同じ歌を歌っていた。
それは最近の歌じゃなく、古くから言い伝えられていそうな童歌のような、
それでいて子守唄のように優しいものだった。
前に「何の歌だ?」と聞いたこともあったが、
彼女はただ「幼い頃、母によく歌ってもらっていました。」としか言わなかった。
琥乎の歌は、正直言ってめちゃめちゃ上手いし
声も透き通っているから、聞いているだけで心地いいものだ。
あの真里亞でさえ、琥乎の歌を気に入っているらしい。
一通り歌い終わった後、部屋から出てきた彼女は、
真直ぐ玄関へ向かい、戸を開けた。
暖かい日の光が部屋の中に差し込み、
そして琥乎が戸を閉めた途端、それは閉ざされた。
* 式乃side
「都和、気分はどうですか?」
「・・・うー・・・あんまり良くないわ。」
「お薬買ってきたんですけど・・・効くんでしょうか・・・
で、でも、ちゃんと飲んでくださいなのですよ!」
「わー・・・分かってるわよ・・・。
あんまり大きな声出さないでくれる?頭に響くから。」
「あ、ご、ごめんなさいです。」
シキは慌てて口を押さえた。
布団に横たわる都和は本当にぐったりとしていた。
咳やくしゃみとかも出てないし、熱もそれほど高くないので
大丈夫だと思っていたのだけど・・・・・・。
実際の都和は起き上がる力もないようで、朝からずっと寝たきりになっていた。
「それにしても急ですね。
昨日の夜までは何でもなかったのに・・・。」
「本当よね、最近は特に多い気がするわ。」
「・・・きっと、疲れているだけなのですよ、ね?
さて、ご飯はシキが作りますから。何が食べたいですか?」
「任せるわ・・・。ていうか式乃、いいの?実体化させることになるわよ?」
都和は額の濡れタオルを取り、冷たい水の入った洗面器の中に放り投げるように入れた。
シキはそれを絞りながら答える。
「大丈夫なのですよ、それくらいなら。」
「・・・・・・・・・こんなときに真里亞たちがみんなを襲ったら、
大変なことになるかもしれないわね。」
「大丈夫ですよ、みんなもド素人ではなくなりましたし、
都和は自分の心配だけして休んでくださいね。」
シキがそう言うと、都和は掛け布団の中に顔をうずめて
こっちに背中を向けた。
「ご飯ができたら起こしますね。」
「・・・うん。」
「おやすみなさい。都和。」
シキは襖を閉め、台所へと向かった。
このときのシキは・・・
いや、柏葉式乃は気づいていなかった。
自分が大切にしていて、
今も心の片隅で想い続けている「あの子」が
すぐ近くに存在していたことに。
- Re: *Tarot-Labyrinth* コメ募集中>< ( No.132 )
- 日時: 2011/11/07 17:51
- 名前: 奏 (ID: x9KsUoDw)
- 参照: http://www.kaki-kaki.com/bbs_m/view.html?726514
今確認したんですけど
都和と禾音のキャラ絵が消えてるみたいですね・・・
なんでなんだろう・・・;;
とりあえずちとせのキャラ絵です。
消えてしまった2人の絵はまた後日書き直します
- Re: *Tarot-Labyrinth* コメ募集中>< ( No.133 )
- 日時: 2011/11/12 23:06
- 名前: 奏 (ID: 1SUNyTaV)
第61話 皇帝の迷い
* 冬弥side
「冬弥様、お友達がいらっしゃってます。」
休日の昼過ぎ、俺のところに顔を見せたのは舞姫だった。
「こんにちは。」
「よぉ。・・・どうしたんだ?」
「んー?ううん、別に大した用事じゃないんだけど・・・
どーしてもどーーっしても気になって夜も眠れないことがあって。」
「・・・・・・は?」
俺はとりあえず書斎に舞姫を通すと、ソファに腰掛けた。
「で?なんだよそれ。」
「・・・うーんとね、聞かないほうがいい気もしたんだけど、
そろそろ我慢の限界っていう・・・。」
「だ、だからなんだよ。」
舞姫は出された紅茶のカップに口をつけると、
一瞬ニヤリと笑って尋ねてきた。
「冬弥くん、あのこと蘭ちゃんに言ったの?」
「ぶはっ!」
思わず紅茶を吹き出しそうになる。
この光景を舞姫以外の誰にも見られなくてよかった・・・。
見られてたらはしたないとか怒鳴られるところだった・・・。
「あ、あのことって・・・?」
「・・・気づいてるくせに今更何言ってるのよ。」
「・・・・・・・・・くっそ・・・。」
俺がボソリと呟くと、舞姫は楽しそうに笑った。
こいつはどこぞのワイドショーのおばちゃんなんだろうか。
ついに俺が根負けして、
「・・・言ってないよ、あいつには。」
と言うと、舞姫はカップを受け皿においてため息をついた。
「・・・・・・だよねぇ・・・。」
「な、なんだよ!悪いかよ!!」
「悪いわよ。」
即答された。
「まったくもー!そんな草食じゃいけないよ?」
「・・・だって、俺が行動起こしたら他の女子が・・・。」
舞姫はあぁ、と納得したように頷いた。
「まぁ、確かにそれもあるかぁ・・・。
その女の子たちも発狂して、蘭ちゃんにまで被害が及ぶかもしれないしね。
モテる男って辛いんだね、冬弥くん。」
またも楽しそうに微笑みかける舞姫。
なんでこんなに楽しそうにしてるんだろう。
「お前に言われたかないんだがな。」
「・・・?どういうこと?」
「いや、別に。お前こそ、そろそろ人の気持ちに気づいてやったほうがいいぞ。」
「・・・さっきから何言ってるのか分からないんだけど。」
舞姫が首を傾げる。
誤魔化しているわけでもなさそうだ。
可哀相に。
まぁ、当の本人だって気づいてないかもしれないが。
「あーぁ、私がそっちに行ってたら、色々フォローできたんだけど。」
「・・・楓藍に来たかったのか?」
「まぁ、ちょっとはね。
でもあの冬のことは後悔してないし。」
「・・・・・・。」
「とーにーかーく!早く言わなくちゃ!あっという間に他の子にとられるよ!
・・・冬弥くん、まだカード使えてないんでしょ?
そのことも関係あるんじゃないの?」
確かに俺はまだカードを使用できない。
そういう場面にあまり出会わないってこともあるんだが・・・。
この間要と軽く練習したとき、ほとんど技が出せなかった。
確かに舞姫の言うように、そのことも関係あるのかもしれない。
ただ、それは半分の迷いだ。
もう半分は別にあると思う。
それが何なのかは分からないけれど、
ずっと昔から心の奥に引っかかってるものがある。
顔が思い出せない誰かのこと。
すごく楽しい日々を過ごしてたはずなんだけど。
「・・・冬弥くん、聞いてる?」
「うわっ!き、聞いてるよ。」
正気に戻った瞬間、すぐ目の前に舞姫の顔があってびっくりしてしまった。
「大事な子、守れるようにならなくちゃね。」
舞姫が笑いながらも真剣な目でそう言った。
確かにその通りだと思う。
いつまでもこのままじゃ、俺はただの足手まといにしかならないし
都和の力にもなれない。
そして、あいつの力にも。
「さて、今日はそれを言いに来ただけなんだ。
これから桜ちゃんに用事もあったし、ちょうどよかったよ。」
舞姫は皿をテーブルにコトンと置くと、ソファから立ち上がった。
「送っていこうか?」
「ううん。大丈夫だよ。
それより冬弥くんは、どうするのか考えたほうがいいね。」
にこっと微笑むと、舞姫は書斎の戸を開け、
・・・・・・再び閉じた。
「?どうした?」
「そうそう、冬弥くんには伝えておこうかな。」
「・・・?」
「蘭ちゃんにも要にも、まだ誰にも言ってないこと。」
舞姫はそう言うと、俺の耳元でこそっと“それ”を言った。
「・・・あぁ・・・ってえええぇええぇぇぇぇ!???」
思わず叫ぶ俺。
「冬弥様?」
戸の向こうの執事の声が聞こえる。
さすがにこんだけ叫べば・・・そりゃあな。
「わ、悪い、なんでもない!
・・・おい舞姫、それ本当か?」
舞姫は何も言わないまま小さく頷いた。
そうして、何も言わないまま書斎を出た。
書斎に一人取り残され、呆然と立ち尽くす俺。
舞姫が耳打ちした内容への驚きが頭の中で駆け巡っていた。
落ち着くためにソファに腰掛け、紅茶を啜る。
だが、俺が今考えるべきことはそこではないのかもしれない。
舞姫が言うように、
自分の気持ちを整理しなくてはならないかもしれない。
そう決意した休日だった。
- Re: *Tarot-Labyrinth* コメ募集中>< ( No.134 )
- 日時: 2011/11/14 18:34
- 名前: 奏 (ID: OHC2KpRN)
『・・・ゲホッ、ッハー・・・。』
『とーや、大丈夫かぁ?』
『・・・・・・うん。』
『ちゃーんと静かに寝てるんだぞー。』
『・・・・・・やだ。・・・兄ちゃんと遊びたい・・・ゲホッ。』
『とーやは熱あるんだから、今はがまんな。
その代わりここにいてあげるから。ね?』
・・・
「冬弥、ボール!!」
「・・・え?うわっ!!!」
バスケットボールが俺の頬をかすめた。
そうだった。
今はB組とC組男子の合同体育中だった。
「・・・っぶねー・・・おい冬弥、大丈夫か?」
要が転がったボールを拾い上げ、俺の元へ駆け寄ってきた。
「あ、あぁ・・・間一髪。」
「どうかしたのか?なんか今日ずっとボーっとしてるよな。」
「そ、そうか?いや、ちょっと考え事してただけ・・・。」
俺がそう言うと、要は少し不思議そうに首をかしげ、
ボールをクラスメートに回すと俺の前から姿を消した。
今はこうやって俺も思いっきり体を動かすことができているが、幼い頃はすごく体が弱かった。
それは、怜菜たちに出会ってからも同様。
体育はほとんど見学だったし、休み時間もずっと教室にこもっていた。
なんかの病気だったらしいが、ぶっちゃけあまり覚えていない。
完治はしていないが、発作も起きないから今は普通に生活している。
発作を起こすたび、周りの人間が心配そうな顔を浮かべたり、
あぁ、またかというような顔をしていたり・・・。
それを見るのが俺は大嫌いだった。
そんなときに、極端に心配するようでも、迷惑そうな顔をするでもない人物が現れた。
1つ年上の・・・今では名前も覚えていない。
その頃桐島家にいた執事の息子だということくらいしか・・・。
俺はその人と遊ぶのが好きだった。
体が弱い俺にいつも合わせてくれていた。
どこにいるのかも、今では知る術もない。
その執事は桐島家の物を盗んで捕まり、以来その少年も来なくなってしまったから。
そいつがいなくなってすごく寂しい思いをしたが、俺は決意した。
絶対、強くなろうって。
それは肉体的にも、精神的にもだった。
誰かを守れるくらい、強い人間に。
俺にとってのその「誰か」は、
もう決まりきっているのではないだろうか。
放課後。
「冬弥。」
「・・・あ、蘭か。どうかしたのか?」
廊下で俺を呼び止めたのは、教室から顔だけを覗かせている蘭だった。
周りをきょろきょろと見渡し、ほっと安堵のため息をつく。
大体やっていることは想像がつく。
他の女子・・・特になんかよく分からんファンクラブの女子がいないか確かめたんだろう。
「あの、大丈夫かなーって思って。」
「何が?」
「要が言ってたんだよ、冬弥の元気がないって。」
「いや、別にそういうわけじゃ・・・ただ考え事してるだけ。」
「そっか、なら・・・いいんだけど・・・。」
「あ、そうだ蘭。」
「ん?」
舞姫に耳打ちされた内容を話そうかと思ったが、
言葉が喉に突っかかって出てこなかった。
よくよく考えれば、言わないほうがいいのかもと思い、すぐに言葉を飲み込む。
「いや、なんでもない。」
「・・・?ねぇ、一緒に帰っていい?」
「他の奴らは?」
「怜菜とちとせは先に帰っちゃったし、要はバスケ。
都和はたしか今日バイトだったはず。」
「そっか・・・おう、いいぞ。」
俺がそう言い、蘭に背を向けて歩き出す。
蘭が後ろから、子犬みたいにとことこついてくるのを感じた。
この光景をファンクラブ女子に見せたら、
きっと蘭に被害が及んでしまうんだろうという焦りも感じながら。
そろそろ蘭が別の道に入っていくというところで、
ソレは起こってしまった。
出会いたくない人物がそこにいた。
要に話を聞いたことがある『道化』と、
いつぞや見たことがある『死神』だった。
2人は俺たちに聞こえるかどうかの声で話した。
「うー・・・頑張るのよー!」
「僕はただ子守に来ただけですからね。
戦うのならお一人でお願いしますよ。」
「分かってるなの!」
誰かを守れるくらい強くなろうという決意を、
見せるときが来てしまったのかも知れない。
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