複雑・ファジー小説

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*Tarot-Labyrinth*  コメ募集中><
日時: 2011/10/15 15:23
名前: 奏 (ID: mtBKxXTx)

はじめましての方ははじめまして。
二次小説で「悪ノ物語」というものを書かせていただいていた奏(かなで)です^^
そっちが完結したので、今度はオリジナルで書かせていただきます。

ちなみに、複雑・ファジーということなのですが、
80%がコメディ・ライトです。
あまり重い話はないですので、ご安心を´ω`*

■読む前に注意■
・奏のことが嫌いな方は回れ右
・荒らし、中傷目的の方も回れ右
・複雑・ファジーなのに重い展開少ねぇじゃん!ヤダ!って人も回れ右
・更新が休日だけだったりとかが嫌なかたは回れ右
・厨二的なものが受け入れられない方は回れ右
 (↑実は一番重要)


基本金曜・土曜・日曜のいずれかの更新になるかもですが、
気長に待っていただけると嬉しいです。


キャラは多いのでここには書きません^^;

>>1 【主人公級キャラ】
>>2 【敵級キャラ】
>>3 【その他キャラ】

>>6 【用語説明】

Re: *Tarot-Labyrinth* ( No.64 )
日時: 2011/07/04 21:44
名前: 奏 (ID: GbuLJ8JA)


>>63 夏茱萸s

おや、璃雨ファンですかww

奏自身、何気に敵キャラみんなお気に入りなので
そう言っていただけると嬉しいです^^

そうですかw
真里亞は・・・もうツンデレでいいでs(ry

Re: *Tarot-Labyrinth* ( No.65 )
日時: 2011/07/04 22:43
名前: 奏 (ID: GbuLJ8JA)


第37話 対面

* ちとせside

「そういえば…まだまともに能力使ったことないな…。」

数学の課題ノートにペンを走らせつつ思ったことは、

無防備に手元に置かれている『女教皇』についてだった。

思えばこのカードを取得してからというもの、

怜菜があっという間に節制を使えるようになったり、

南由から隠者を回収したり、

小さな子供が敵だったり・・・・・・

本当に色々なことがあった気がする。

でも私は、いや、私だけではないんだけれど、

いまだに自分がどんな力を使えるのかも知らない。

いつまでも都和たちに頼りきりというのも、問題だろうし、

なにより使いになった意味がない。

『チトセ』

不意に、私を呼ぶ声が聴こえた。

これは前に1度聴いたことのある声だ。

「・・・女教皇・・・。」

気づくと、カードの上に

声の主——黄色い花を頭に飾り、黄色い服を纏った女教皇——が立っていた。

『あら、勉強中だったのね。お邪魔だったかしら。』

「ううん、平気だよ。」

『そう。』

そう短く返事をすると、女教皇は私のノートの上へ移動した。

いったい何の用で現れたのだろうか。

『ねぇ、チトセ』

返事をする間もなく、女教皇は、小さな容姿には不釣合いな

大きな青い瞳で私を見上げてきた。

『何か、思いつめていたようだったけれど?』

「え・・・あぁ、もしかしてそれが原因で現れたの?」

『まぁね、

 主である使いに迷いがあると、こちらとしても困るのよ。』

「困る?」

『そうよ。主に迷いがあるのなら、能力は使用不可能。

 特に、合成はね。』

迷い・・・。

ということは、今の私に能力を使えないのは、

何かしら迷いがあるからなのだろうか。

「・・・迷い・・・ってわけじゃないけど・・・引っかかることならあるよ。」

『・・・・・・』

「でも、それはほぼ生まれたときからだから、

 別段気にしてはいなかったけどね。」

『・・・でも、そのために合成できないってこともあるわよ。』

そうつぶやく女教皇の顔は、

まるで打ち明けてほしいとでも言うようだった。

「・・・言ってみたほうがいいかな。」

『私には何も助言できないかもしれないけど・・・

 言わないよりマシだと思うわね。』

私は一呼吸置いた後、遠まわしに女教皇に尋ねた。



「私に、苗字がないこと、知ってる?」


女教皇は、明らかに不思議そうな顔をした。

遠まわしすぎたかな。

『どういうことか分からないわ。』

「・・・だよね。

 学校では一応水名月ちとせで通ってるけど・・・。

 ちとせっていう名前だって、本名じゃないかもしれない。」

『・・・・・・ごめんなさいチトセ。

 やっぱりよく分かってないわ。』

まぁ、仕方ないだろう。

とりあえず、話せることは話しておこう。


「私は今現在、この家に居候してる。

 引き取られたのは・・・2歳くらいだった・・・はず。

 それからずっとこの家にお世話になってる。

 私は、ずっと、ずっと幼いころ、とある施設に預けられた。

 そのとき、親は名前だけを伝えて立ち去ったらしいわ。

 だから私は、本当の家族のことも知らないし、自分のことだってよく分からない。

 ・・・・・・このことを怜菜の両親から聞いたのは小学校のころだった。

 案外すんなり受け入れた気がするけど、

 どうしてもこれだけは気になってしかたなかった。


 私の本当の両親は、今どこで何をしているのか。



 なぜ、私のことを捨てたのか。



それが、私の心の中でずっと引っかかること。」



私と初対面のとき、

半ば強引に使いにさせた、あの強気な女教皇は、

私がひとしきり話し終えた後、

大きな瞳を逸らし、黙り込んでしまってしまった。


Re: *Tarot-Labyrinth* ( No.66 )
日時: 2011/07/04 23:04
名前: 夏茱萸 (ID: 7c/Vukd1)

女教皇の心配でわかったちとせちゃんのこと。

すっごくこの一話で感動させていただきました!

もう悲しいですよ…ちとせちゃーーん!!


話は変わるのですが、奏様は絵も上手ですね><
この前見たんですが、とても10分で描いたとは思えないくらいの高レベル…!!

しかも文才も長けてるってすごく尊敬します!

見習いたいものです><

Re: *Tarot-Labyrinth* ( No.67 )
日時: 2011/07/05 23:01
名前: 奏 (ID: GbuLJ8JA)


>>66 夏茱萸s

ちとせの生い立ちや家族については、
結構間をおいてから再度詳しく触れるつもりです^^

そうですねー、
ちとせからしてみれば12年怜菜の家にいるので
もう慣れっこだとは思いますが、ちとせを手放した本当の家族はry(ネタバレ)


そうですかね・・・?;
あまり自信がないのですが・・・ありがとうございます(´ω`*)

ちょっといろいろあって
描きなおす予定です;;

Re: *Tarot-Labyrinth* ( No.68 )
日時: 2011/07/06 00:08
名前: 奏 (ID: GbuLJ8JA)


第38話 怜菜と悩み


* ちとせside

沈黙に耐え切れなくなった私は、おずおずと口を開いた。

「・・・でも、それだけで能力が使えない、ってことは・・・

 ないと思うんだけどなぁ・・・。」

『・・・どうして?』

「・・・だって、私は両親を恨んでるわけでもないし、

 自分の中でそれに対しての迷いがあるわけでもないんだよ?

 ・・・いや、そもそも迷ったってどうにもならないことだもん。」

『・・・・・・』

女教皇は、再び黙ってしまった。

ただ今度は、かける言葉が見つからずに困惑しているのではなく、

何かしら考え込んでいるようだった。

『・・・貴女は、レイナの親友よね?』

「は・・・。」

いきなりすぎる質問に少々戸惑ってしまった。

「・・・親友、まぁ、そうだね。

 幼馴染であり親友であり家族ってところかな・・・。」

『レイナに対しての悩みや迷いなんかはないのかしら。』

怜菜に対して?

怜菜に対しての悩みならそりゃもう大量にある。

昔から振り回されてばかりなのだから。

ただ、それが能力使用不可の原因になるとも思えない。

迷い・・・。

迷い、か。

私が女教皇と出会ったあの日、

私は、真っ先に都和のもとへ向かってしまった。

もちろん、カードのことについては明らかに都和のほうが詳しいことは知っていたし、

そっちのほうが、なぜだか安心感というものがあった。

だけど、都和にも言われた。

“なぜ、身近にいる怜菜に打ち明けないのか”

これは、指摘されたとき、私が一番不思議に思った。

考えても分からなかった。

私は怜菜を信用していないわけじゃない。

12年一緒にいるのだ、信用しないわけがないだろう。

いくらそそっかしくて、見てるこっちがソワソワしてしまうような子でも、

怜菜の言うことは信じるつもりだし、必要なら相談だってするつもりだった。



だが、私はあの日、無意識のうちに怜菜を遠ざけていた。

なぜだか、相談してはいけないような気がした。


『・・・どうかしたの?』

うつむいていた私を心配するかのように、女教皇が声をかけてきた。

「・・・私は、怜菜とずっと一緒に過ごしてきた・・・けど、

 いざというとき、私は怜菜のことを頼れない。

 無意識のうちに、少しでもそっちの方面に詳しい人に頼ってしまう。」

『・・・あぁ、私たちが初めて会ったとき、

 神社にいた小さな女の子のことかしら。』

「うん。でも、その子にも言われたんだ、どうして身近にいる怜菜を頼らないのか・・・って。」

『・・・貴女はもともと、人に頼ることが苦手じゃない?』

女教皇は悪戯っぽい笑みを浮かべた。

・・・なんというか、正直言って図星だ。

私は、あまり人に頼ろうと思ったことがない。

思ったとしても、それは稀なことなので、詳しいことを知りたがる。

私はなぜかいつも頼られる側にいた。

なんでかは知らないけど・・・。

そのせいで委員長になりかけたこともあった気がする。

(面倒という理由だけで断ったが。)

『女教皇の使い、つまり、私が選ぶ人間はね、そういう人が多いのよ。

 いつもリーダーシップをとる、真面目な人。

 ただその代わりね、自分がお願いしたり、頼ったりすることが苦手なの。』

「・・・私も、そのタイプ、だと・・・。」

女教皇は小さく頷いた。

『一度頼ってみれば、そのあともすんなり頼れるようになると思うけれど。』

「そう・・・かなぁ。」

『えぇ、それに、レイナだって本当は頼ってもらいたいんじゃない?

 頼られるのを嫌がる人って、少ないと思うわよ。』

「・・・・・・・・・。」




「ちとせちゃーん。」

1階から、私を呼ぶ声が聞こえる。

怜菜のお母さんだ。

気づけば女教皇の姿はなく、カードに戻っていた。

カードを手に取り、1階へ降りた私に、

怜菜のお母さんはオーバーに頭を下げてきた。

「お願いがあるんだけどっ・・・お夕飯の買い物、行って来てくれないかな?」

「別にいいですけど・・・怜菜は?」

「それがね・・・さっきまでいたんだけど、出かけてくるって言って

 帰ってきてないのよ・・・。

 ついでに見つけたら、早めに帰るように言っておいてくれる?」

「はぁ・・・分かりました、伝えておきます。」


私は、カードと、買い物メモ、お母さんから渡されたお金を握り、

生暖かい、少なくとも爽やかではない風の吹く外へ出た。


さっきの会話でもわかるように、

12年という長い期間一緒でも、まだ私とあの家族の間には壁がある。

いや、家族からは「敬語は使わなくていい。」と言われているが、

私の癖で、いつも敬語になってしまうのだ。


本当の家族だったなら、

堅苦しい敬語など使わなくてもよかったんだろうか。


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