複雑・ファジー小説

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*Tarot-Labyrinth*  コメ募集中><
日時: 2011/10/15 15:23
名前: 奏 (ID: mtBKxXTx)

はじめましての方ははじめまして。
二次小説で「悪ノ物語」というものを書かせていただいていた奏(かなで)です^^
そっちが完結したので、今度はオリジナルで書かせていただきます。

ちなみに、複雑・ファジーということなのですが、
80%がコメディ・ライトです。
あまり重い話はないですので、ご安心を´ω`*

■読む前に注意■
・奏のことが嫌いな方は回れ右
・荒らし、中傷目的の方も回れ右
・複雑・ファジーなのに重い展開少ねぇじゃん!ヤダ!って人も回れ右
・更新が休日だけだったりとかが嫌なかたは回れ右
・厨二的なものが受け入れられない方は回れ右
 (↑実は一番重要)


基本金曜・土曜・日曜のいずれかの更新になるかもですが、
気長に待っていただけると嬉しいです。


キャラは多いのでここには書きません^^;

>>1 【主人公級キャラ】
>>2 【敵級キャラ】
>>3 【その他キャラ】

>>6 【用語説明】

Re: *Tarot-Labyrinth*  コメ募集中>< ( No.110 )
日時: 2011/10/10 21:51
名前: 奏 (ID: 57sibd8B)


>>109 木塚s

初コメありがとうございます!!

絵は暇つぶし程度で描いてますので・・・ww
おそらく話はくっそ長くなると思います^^;
今の時点でまだまだ序盤なのでww

のんびり頑張っていこうと思います

Re: *Tarot-Labyrinth*  コメ募集中>< ( No.111 )
日時: 2011/11/11 19:53
名前: 奏 (ID: 7EYM.IE5)

続き

* 怜菜side

その翌日のことだ。

現在、蘭と一緒に下校中。

「へぇ・・・そんなことがあったんだ。

 全然気配に気づかなかったよ・・・。」

私が昨日のことを話していると蘭はうんうんと頷いていた。

「まぁ、大和くんが都和のことを助けてあげたらしいし、

 カードも守りきったらしいから、結果的にはよかったんだけどね。」

「・・・あ、そういえば告白は?」

「あぁ・・・それは・・・えっと・・・。」

私は続けて、昨日あったことを話した。

あの時、私はわざと部屋を出て、大和くんと都和を2人きりにした。

それは元々告白させるためであり、

大和くんにも事前に告白するように促していた。

これは、あとで大和くんに聞いた話だ。

告白するタイミングを見計らい、それなりに覚悟を決めていたが、

どうしても本番になると緊張してしまうタイプらしく、

あんなに素直になる特訓をしたにも拘らず

遠まわしな表現での告白をしてしまったらしい。

もちろん、そういうことに関して専ら鈍感な都和は

それを告白だということにも気づかず、軽く受け流してしまったようで・・・

答えがYESなのかNOなのかも分からないまま、

大和くんの片想いはまだまだ続きそうなのだという。

「ふーん・・・残念。都和が鈍感なのも問題だけどね。」

「まぁ、都和にとっては今恋愛は必要ないって事でしょ。

 ・・・きっと無関心なんだよ。大和くんには悪いけどね。」

「そうだね、ゆっくり距離をつかめていけばいいけど。

 ・・・あ、戦車のカードは回収したの?」

「ううん、それはまだみたい。

 都和が大和くんに聞いてみたらしいんだけど、本人はまだ戦車が必要だって言ったらしくてね。

 でもいずれ必ず返すからって。」

「そっか。・・・マリアを追い返せるくらいの力があるなら、

 まだ仮封印しなくても大丈夫そうだね。」



すると、目の前に大和くんが歩いているのが見えた。

「大和くん?」

「・・・あ。」

大和くんがゆっくり振り向く。

その顔は、どことなく以前よりやわらかくなっていた。

「どうしたの?大和くんの家、真逆じゃなかったっけ?」

「あぁ・・・まぁな。ただちょっと・・・。」

「ん?」

「柏葉に場所聞いて・・・その・・・お前たちの家に行こうと・・・。」

「私たちの・・・どうして?」

大和くんは、斜め下を見ながらもじもじと答えた。

「ちょっと・・・お礼とお願いを・・・。」

「え・・・なに?」

「その・・・今まで特訓ありがとう。

 まだ結果出せてないけど・・・その・・・これからも頑張るから、

 だから、また時間があるとき、特訓・・・してもらいたいんだけど・・・。」

私と蘭はそれを聞いて顔を見合わせ、

同時にプッと吹き出した。

「いいよ、もちろん。

 いつでも付き合うから、そのときは言ってね。」

そう言うと、大和くんはやわらかい微笑を浮かべた。


ふと、その後ろに都和が見えた。

「・・・あ、大和くん、後ろ。」

「・・・・・・柏葉。」

「行って来なよ。家までは遠くなっちゃうけど、

 ちょっとくらいならいいんじゃない?」

「・・・そうだな。」

大和くんは少し駆け出し、再びぴたりと止まると、

私たちに手を振りながら、笑顔で言った。

「ありがとう!水名月先輩!反田先輩っ!」

私たちは目を丸くする。

それをチラッと見ながら、大和くんは都和の元へ駆け寄った。

一瞬驚いた都和だったが、

普通に大和くんと接し、普通に笑いあっていた。

「“先輩”だってさ。」

「あはは、似合わないね、なんか。」

「そうだね。・・・それにしても、結構あの2人、お似合いなんじゃない?」

「・・・・・・かもね。」

「冬弥も油断してられないって事なのかな。」

蘭が笑いながらそう言った。

「蘭の恋も、上手くいくと良いね。」

「ちょっ・・・怜菜あぁあぁぁ!!」

ちょっと“普通”とは違うけど、それなりに平穏な日々。

それはそれで楽しいと思えてきた。

だが・・・私たちの知らない場所で、

さまざまな出来事が繰り広げられているのは事実であり、

私は、身近な幼馴染たちのことでさえ、よくわかっていないことが多い。

例えばほら、

すぐそこで、大和くんに笑顔を向けている都和の秘密・・・とかね。


Re: *Tarot-Labyrinth*  コメ募集中>< ( No.112 )
日時: 2011/10/13 22:58
名前: 奏 (ID: mtBKxXTx)

第58話 式乃

* 都和side

「・・・ただいま。」

私はしんと静まり返った家へ足を踏み入れた。

私がここに住んでいるということを知っているのは、

思いつく限り神主さん夫婦だけだ。

怜菜たちにも教えたことはないし、これから先も教える気はない。

鞄を投げ捨てるように床に置くと、

「ソイツ」は襖を開けて私の元へ来た。

・・・・・・いや、開けたという表現は正しくないのかもしれない。

だってソイツは物体に触れないんだから。

・・・触れたとしても、それは人間の「器」になったときだけだ。

「あんた、今日はずっとここにいたの?」

私が訪ねると、ソイツは頷き、“久々に神社で猫さんとお話していました”と言った。

「・・・そう、それで珍しく学校にも付いて来なかったわけね。」

ソイツは嬉しそうに笑った。

不思議な奴だ・・・今知ったことではないが。

まぁ、普通の人間ではないのだから、猫と話そうがなんだろうが、別に不思議じゃないんだけど。



* 怜菜side

「・・・そういえばさー・・・都和の家ってどこにあるの?」

私が突如発したその言葉に、幼馴染全員が目を丸くして、

互いに顔を見合わせていた。

「た・・・たしかに・・・場所知ってる奴っているのか・・・?」

「どうなんだろう・・・聞いたことないけど・・・冬弥、知らないの?」

「う・・・き、聞いたことないな・・・。」

都和を昔から妹のように可愛がってきた冬弥でさえ知らないことを知ると、

みんながみんな腕組をした。

「ね、都和の家、知りたくない?」

私がそう言うと、ちとせが徐に口を挟んできた。

「知りたいけど・・・どうやって知るわけ?

 今まで都和に聞いたこと何度かあるけど、誤魔化されたじゃない?」

「うーん・・・後つけるとかさ。」

「・・・いや、都和って結構神経鋭いとこあるから・・・

 後つけてるのなんかすぐにバレると思うぞ。」

要が言った。

「じゃあ、冬弥。」

「え、俺?」

「うん。冬弥の家の人ならなんとかできるんじゃない?」

「・・・うーん・・・まぁ・・・できないことはないだろうけど・・・。」

冬弥が頭を掻きながら答えた。

動揺しているときにこうするのが冬弥だ。

すると、再びちとせが言った。

「でもさ、人のプライベートに踏み入っていいのかな。

 ・・・今まで家を教えなかったのも、何か理由があるのかもよ?」

「・・・でも、私知りたいよ。

 昔からずっと一緒にいる仲良しなのに、家も連絡先も知らないなんて。」

「そうだけど・・・さ。」



結局、この件については冬弥の家でどうにかしてくれることになった。

そうして数日後、

運よく都和の家の場所を知ることになり、

早速訪れてみることになった。

ちとせと要は、やはり罪悪感があるというのでパスした。


都和の家は、神社とそれほど離れてはいなかった。

しかし、その家はどこか孤立していて周りに家はなく、

外観は綺麗にもかかわらず、

家庭の「温かみ」というものを感じることができなかった。



* 都和side

台所に煮物の匂いが充満している。

聞こえる音は、自分が包丁で葱を刻む音だけ。

「都和〜。」

床に触れるほど長い髪を引きずるように揺らしながら、

ソイツは弱弱しい声で私の名前を呼んだ。

「何?忙しいから大したことないなら後でにしなさいよね。」

「違います〜・・・お腹空きました・・・。」

「はぁ・・・?あんた今実体化してないじゃない。」

「でもたまには人間の食も恋しくなります。

 ・・・それに、そろそろシキのお腹の虫も鳴き始める頃なのですよー。」

『シキ』というのはこいつの名前だ。

本当の名前は『柏葉 式乃』である。

「そろそろできるから、もう少しだけ待ちなさい。」

「・・・うー・・・はぁーい。」

式乃はしぶしぶと言った様子で椅子に腰掛けた。

腰掛けるといっても、物体に触れられないのだから

楽な体勢で浮いている、というほうが適切だ。


そのとき、家のチャイムが鳴り響く。

「・・・?珍しいのですね。神主さんでしょうか。」

「さぁ・・・?式乃、見てきてもらえる?

 今手が離せないのよ。」

「はい・・・あ、実体化したほうがいいですか?」

「いや、いいわ。居留守使う場合もあるだろうから。

 誰がいるかだけ見てきてちょうだい。」

式乃はそれを聞くと

玄関のドアに向かって駆けていった。

そしてそのまま、ドアに触れることなく、ソレをすり抜ける。



しばらくして戻ってきた式乃は、

困惑した表情で私の隣にくっついた。

「誰がいたの?」

「・・・あぅ・・・その・・・都和がいつも一緒に学校に行く・・・。

 女の子2人と、金色の髪をした男の子・・・なのです。」

「・・・!?」

女の子2人、というのはともかく、

金色の髪っていうのは、確実に冬弥のことだろう。

私は1度深いため息をついた。

「居留守使えないかしら。」

「その・・・実は外まで煮物の匂いがしてまして・・・

 中に誰かがいるということは知られているかと・・・。」

「・・・・・・・・・・・。

 式乃、すぐ戻るから鍋見てて。

 吹き零れそうになったら実体化で火止めるのよ。」

「・・・都和。」

「ん?」

「・・・招き入れるのですか?ここに。」

「・・・今日は入れないわよ。

 でも、さすがにそろそろ逃れられないかもね。」



Re: *Tarot-Labyrinth*  コメ募集中>< ( No.113 )
日時: 2011/10/13 22:58
名前: 奏 (ID: mtBKxXTx)

私はそのまま式乃に背を向けると、玄関の扉をほんの少し開いた。

「あ、都和!」

そこにいたのは、怜菜、蘭、冬弥の3人。

「誰にここを聞いたのですか?」

「き、聞いたっていうか・・・。」

なるほど、最近誰かにつけられてた気がしていたが、

そういうことだったのか。

「・・・冬弥、ですね?」

「悪い・・・。でも、お前の家が知りたくて。」

「・・・はぁ・・・確かに、そろそろ隠し切れなくなってましたし・・・いいです。」

「じゃ、じゃあ!」

「・・・ですが、今日は中には入れません。

 忙しいので、申し訳ないですが、今日は帰ってください。」

「・・・そ、そっか・・・ごめんね。」

「それと、後日ボクの家に来たとしても、何も詮索しないようお願いします。

 必要なことは、全てボクが話します。

 ボクの話を全て信じてくれると、約束してくれるなら。」

「・・・する。するに決まってるじゃない。」

「そうですか・・・じゃあ、失礼します。」

私はそれだけ吐き捨てて扉を閉めた。

式乃は、鍋の前で中腰になって、ひたすらに鍋を見つめていた。

「式乃。」

「え、はいっ。」

「また後で怜菜たちが来るわ。

 そのときは、あんたのことも話さなくちゃいけない、

 長時間実体化できるように、体力はつけておくんだよ。」

「わ、分かりましたですっ!」


Re: *Tarot-Labyrinth*  コメ募集中>< ( No.114 )
日時: 2011/10/14 19:42
名前: 奏 (ID: mtBKxXTx)

続き

* 怜菜side

数日後、放課後、都和が中等部の門で待っていた。

話によると、今日は家に来てもいい、という。

都和が許可をくれたことにより、パスしていたちとせと要も参加することになった。

家への移動中、

都和は何度か隣を見ていた。

まるでそこに『誰か』がいるかのように。



「・・・狭いですけど、どうぞ。」

都和がゆっくりと家のドアを開き、先に靴を脱いで床を踏む。

私たちも続々と靴を脱いでは揃えて家の中へと入った。

都和が通してくれた部屋は、一番手前にあった部屋——所謂茶の間っていうやつかな。

でも・・・そこに入った私たちは目を丸くした。

そこは、畳と机だけで、他には何もない。

テレビや本棚、電話も、何もない場所だった。

「・・・・・・狭いって言うか・・・むしろ広・・・。」

要がぼそりと横で呟いた。

「・・・まぁ、何もないところなので・・・。

 適当に座ってください、お茶持ってきますから。」

都和は襖の奥へ消え、私たちは言われるがままに腰を下ろした。

「・・・・・・・・・都和・・・。」

微かに、私たちの誰のものでもない声が、都和を呼んだ気がした。


都和がおぼんに乗せたコップを机へコトン、コトンと並べた。

「あ、ありがとう。」

都和は笑顔を見せることもなく、ただ俯いて、無表情のままだった。

それにしてもこの家、私たち以外の人の気配がしない。

みんな仕事なのだろうか?

しばらくの沈黙の後、ちとせが小さく、遠慮がちに口を開いた。

「あの・・・家の人は・・・?」

「いませんよ。」

都和は小さな声で即答した。

「えっと、共働きとか・・・なの?」

ちとせが言うと、都和は横に首を振った。

「違います。両親はいません。

 ずっと、ずっと前から、楓藍に入る前から、家族はいません。」

私たちはみんな耳を疑った。

こんな小さな子が、平気でそんなことを口にしていることに。

幼い頃から、一人暮らしだった事実に。

「・・・じゃあ、ずっと1人で・・・?」

「いえ・・・今日の本題はソレなんですけど。

 同居人はいるんです。」

「え?・・・ど、どこに?」

都和はゆっくりと自分の横を指差した。

そこには何もない。

だが・・・

「・・・・・・式乃。」

都和がそう呟いた瞬間、都和の横に人の形らしきものが現れ、

それはたちまち都和と同い年くらいの、髪の長い女の子になった。

「え!?」

式乃と呼ばれた少女は、恥ずかしそうに俯いていた。

「は、初めまして・・・柏葉式乃・・・と申します・・・です。」

「初めましてっていうか・・・結構前からボクらと一緒にはいましたけどね。」

「と、都和、これは・・・いったい・・・。」

私がそう言うと、

都和は5ミリくらい、微かに首をかしげて言った。

「式乃は、ボクの同居人で・・・唯一の家族です。

 ・・・が、人間ではありません。もう何百年も前に亡くなっています。」

「・・・幽霊・・・ってこと?」

式乃ちゃんは、もじもじとしながら背を丸めて、

申し訳なさそうにこっちを見ていた。

「幽霊・・・間違ってはいませんが、本人はそう呼ばれるのを嫌ってます。」

「え、あ、ご、ごめんね!・・・えっと・・・で、どうして都和と一緒に住んでるの?」

都和はしばらくもじもじしている式乃ちゃんを眺めると、

私たちに向き直り、徐に口を開いた。

「・・・ボクが生まれたとき、もう傍には式乃がいました。

 両親よりも、親戚よりも、友人よりも、ボクは式乃と一緒にいました。」

都和がそこまで言うと、

式乃ちゃんは手をわたわたと動かして言った。

「し・・・シキは、都和の先祖なのです・・・。

 とある強い思いで・・・死んでから今までここにいます・・・。

 それで、その・・・自分と血のつながりのある都和と・・・ずっと一緒にいますです。」

つまり、血縁関係があるから、一緒にいる、と・・・。

「・・・あ、ついでに式乃もカードの使いです。」

「ふーん・・・ってえぇ!?」

あまりにも当たり前のように言われたので一瞬流してしまった。

「た、ただし・・・実体化してるときだけなのです・・・。

 ・・・あ、実体化っていうのは、『人間』の器になることなのです。」

式乃ちゃんはそう言うと、ポケットから1枚のカードを取り出した。

「それ・・・運命の輪?」

要が言う。

都和と式乃は同時にこくりと頷いた。

「ただし、攻撃には参加しませんし、できません。」

「・・・あ、そっか。運命の輪ってたしか・・・治癒だけだったっけ。」

「です。怜菜たちが使いになる前は、

 いつも式乃の治癒能力で助かっていました。」





中断


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