複雑・ファジー小説

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*Tarot-Labyrinth*  コメ募集中><
日時: 2011/10/15 15:23
名前: 奏 (ID: mtBKxXTx)

はじめましての方ははじめまして。
二次小説で「悪ノ物語」というものを書かせていただいていた奏(かなで)です^^
そっちが完結したので、今度はオリジナルで書かせていただきます。

ちなみに、複雑・ファジーということなのですが、
80%がコメディ・ライトです。
あまり重い話はないですので、ご安心を´ω`*

■読む前に注意■
・奏のことが嫌いな方は回れ右
・荒らし、中傷目的の方も回れ右
・複雑・ファジーなのに重い展開少ねぇじゃん!ヤダ!って人も回れ右
・更新が休日だけだったりとかが嫌なかたは回れ右
・厨二的なものが受け入れられない方は回れ右
 (↑実は一番重要)


基本金曜・土曜・日曜のいずれかの更新になるかもですが、
気長に待っていただけると嬉しいです。


キャラは多いのでここには書きません^^;

>>1 【主人公級キャラ】
>>2 【敵級キャラ】
>>3 【その他キャラ】

>>6 【用語説明】

Re: *Tarot-Labyrinth* ( No.29 )
日時: 2011/05/14 00:25
名前: 奏 (ID: 6OlyY266)


第16話 続会議

* 冬弥side

都和は、一通りカードの生い立ちや、

カードを集める者と奪う者の話をし終えると、

長いため息をついてソファの背もたれに体を預けた。

「つまり・・・私たちはカードを集めればいいんだよね?」

そう言ったのはちとせ。

さすがに飲み込みが早い。

俺や蘭は未だ何がなんだかって感じなんだがな。

「・・・えぇ、そうですね。

 正確には、奪う者たちの手から護りながら、ですけど。」

都和がそう言うと、その横に座る怜菜が、

都和に向かって言った。

「その、“奪う者”ってのは、具体的にどれくらいいるの?」

困惑した表情を浮かべながらも、

冷静な態度で都和は答える。

「・・・それは、よく分かりません。まだ使いのないカードも多いでしょうし・・・。

 ボクが会ったことあるのはマリアだけですが・・・

 きっと、他にも何人かと、率いる何者かがいると思いますです。」

正直言って、よく話してる内容が分からないが、

少なくとも、俺たちが何をすればいいのかだけは分かったような・・・

そこまで考えると、要が「あ。」と声をあげた。

「都和、まだアレ言ってないよな?」

「・・・?アレ、と言いますと?」

「実行と合成の違いと条件について。」

それを聞くと、都和も「あぁ。」といったように

軽く視線を上げ、俺たちのほうに向きなおった。

「では、話しましょう。

 実行というのは、使いであればほとんど何の条件も必要としないまま使用できます。

 怜菜、マリアがフォークだけ出したの、覚えてますか?」

「え、あぁ、うん。」

「それが実行です。使用が簡単な代わりに、威力は半減になります。

 次に合成。コレについては複雑なので、覚えておいてください。」

ここから、都和の初等部5年とは思えないほどの説明が始まった。

なぜこれほど詳しいのかが不思議ではあるが、そんなこと今は問題ではない。

都和の言ったことを簡単にするならば、

合成とは、実行よりずっとカード自体に近づいた姿であり、

衣服までもが変わってしまうのだという。

そして、合成になると一般人、つまりカードに関連のない人には見えなくなる。

能力の強さは半端ではなくなるが、「合成」自体をすることに条件があって、

その条件は都和の知る限りでは以下の通り。

・精霊が、使いに「合成させてもよい」と判断すること

・使い自身、「自分」を完成させること。

・願いをはっきりさせること。

「・・・2番目のは、どういう意味なの?」

蘭が途端に口を開く。

これに対しても、都和の話が続く。

これも俺が簡単にまとめさせてもらおう。

自分を完成させるということは、3番目の「願いをはっきりさせる」こと、

「迷い、未練を断ち切ること」「自分に自信をもつこと」だという。

これらの条件が、「合成」をするために必要なことだ。

そう言う都和の表情は、真剣そのものだった。

「カードについて、教えてくれる?」

次に怜菜からの質問だった。

「・・・えぇ、魔術師、法王、節制、正義、女教皇、皇帝はボクらが持っていますね。」

「そうだね・・・。」

「悪魔はマリアが持っていますし・・・他5枚ほどは使いが決まっていると思います。

 とにかく、審判を除くカードは奪い合いをしなければいけなくなりますね。」

「審判?」

「はい、審判は基本、どちらの味方でもありませんし、戦いに加わったりもしません。

 何事にも平等にして、奪う側も奪われる側も条件は同じにする、そんな役目があります。」

「じゃあ、使いが決まってる5枚は何のカード?」

都和は少々躊躇いながらも、ゆっくり答えた。

「えっと・・・吊るされた男、死神、隠者、月、力・・・ってとこでしょうかね。

 使いになったのは分かるんですが、誰が使いなのかとか・・・そういうことは

 ボクでも分かりかねますです。」

全員が黙りこくった。

カードは一度手に入れると、なかなか手放したくなくなるものだ、と

都和は言っていた。

これだけ使いがいると、なおさら大変なことになるだろう。

そして、俺にとっても大変な出来事が起こる。







俺が、「吊るされた男」と「再会」するのは、

もっと、ずっとずっと後の話になる。

 

Re: *Tarot-Labyrinth* ( No.30 )
日時: 2011/05/14 18:17
名前: 奏 (ID: 6OlyY266)


第17話 雨

* ??side

薄暗い部屋の中、蝋燭の灯火だけで黙々と作業を続けるのは、禾音。

聞こえる音は、外の雨音だけ。

本来ならこの建物の中にも2人ほどいるが、

その2人は、寝ているか作業をしているかで、話し声なんかもしない。

不意に、ドアが開き、冷たい風が部屋の中に入って来た。

それと同時に、床に水の落ちる音がする。

禾音はそちらを見ると、引き出しからタオルを取り、

その人物の元へ駆けた。

「おかえりなさい、マリア。」

それは、雨でずぶぬれになった真里亞だった。

真里亞はタオルを受け取ると、髪飾りを外して頭の上にタオルをかぶせた。

「急に雨が降り出すんですもの。これじゃあ見回りなんてできっこないですわ。」

「傘・・・持っていかなかったんですね。」

真里亞は口をとがらせ、不満そうに言った。

「だって・・・今日の天気予報、雨が降るなんて言ってませんでしたわよ?

 そりゃあ傘なんて必要ないと思いますでしょう?」

たしかに天気予報は晴れだった。

それも快晴。

「っくしゅん!!」

「・・・大丈夫ですか・・・?早く着替えないと風邪ひきますよ?」

真里亞はタオルで髪や腕を拭き、箪笥からパーカーを出した。

「それにしても・・・カノンは何をされていたのですか?」

蝋燭の炎でかすかに明るくなっている机を見た真里亞は、

上着だけを脱いでハンガーにかけると、そう尋ねた。

「・・・いや、特にこれと言って何も・・・。

 ただ、今までで分かっている使いについて調べていて・・・。」

「なるほど・・・私たちが認知しているカードは何枚ですの?」

それを聞いた禾音は、机の上から一冊のノートをとり、

ページを捲った。

「・・・僕ら側が4枚、柏葉都和付近が6枚・・・ですね。」

「・・・・・・ま、そうですわよね、これと言って新しいカードも

 見つけていませんものね・・・。」

長いため息を吐いて、真里亞はそう言った。

そして、着替えてくる、とだけ言うと、自分の部屋へと入っていった。

残された禾音は、手に持ったままの小さめのノートを

服の内ポケットにおさめると、いつもの黒い帽子を被り、

傘も持たないまま、雨の中へと消えた。



* 蘭side

「・・・しまった・・・傘忘れた。」

自分の鞄の中を覗いて、一気に気分が落ち込む。

さすがにこの土砂降りの中、傘も持たずに帰るっていうのはマズいだろうし・・・。

「蘭ーっ」

「・・・あ、怜菜、ちとせも。」

「どうかしたの?」

「いや・・・傘忘れちゃってさ・・・。」

私がそう言うと、怜菜はいきなり顔を近づけてきて、

さらにニヤリと笑った。

「冬弥の傘に入れてもらえばいいじゃん?」

なんとなく言うだろうなーとは思ってたけど・・・。

「冬弥なら迎えが来て、もう帰っちゃったよ。」

私の代わりにちとせがそう言った。

怜菜はさも残念そうに肩を落とす。

「じゃあ私の傘貸すよ。」

怜菜が私に渡してきたのは、薄ピンク色の折りたたみ傘だった。

「怜菜は?」

「私はちとせの傘に入れてもらうからだいじょーっぶ!

 どうせ、帰るところは同じだからね。」

怜菜は笑顔でそう言い、

ちとせと共に校門を出て行った。

私は、土砂降りの中、ピンク色の傘をさして歩く。

足元は既に濡れてしまっているが、

傘をささずに全身びしょぬれになるよりは数倍マシだろうな。

「・・・?」

細い路地に入ったとき、数十メートル先に人影が見えた。

全身真っ黒の、小柄な人物。

上から下までびしょ濡れになりながら、とある建物の前で

立ち尽くしている、私の知る人物。

「かのっ———・・・!」

駆け寄りながら、名前を呼ぼうとした時、

その人物は、驚いたように私を振り返ったかと思うと、

すぐに他の路地に入ってしまった。

「ま、待って!カノンく—・・・」

呼び方は何でもいいと言われたのだが、

正直言って未だ性別が分からない。

僕って自分のこと言ってたから、男の子ってことで私の中では落ち着いているけど・・・

あ、でも都和も自分のこと「ボク」って言ってたっけ。


カノン君が入っていった先は、確か行き止まりだったはずだった。

でも、

私がそこに行ったとき、

そこには誰もいなかった。

思わず怜菜に借りた傘を手放す。

「・・・・・・私、また一人ぼっちになっちゃうのかな・・・。」



* 都和side

雨の日というのは、どうも気分が悪い。

精神的じゃなくて、身体的に。

いつからか、突然だ。

それでも雨の中を歩かなければ家に帰れないのだから仕方ない。

せめて足元の水たまりを踏まないよう、

下を見ながら歩いていると、

いきなり、あの感覚が襲ってきた。

「カードの気配」

それも使いの気配だ。

能力の強さは・・・真里亞と同じくらいだろうか。

歩きながら辺りを見回す。

目が悪くなくてよかったと思う。

私の視線の先には、大きな鎌を持ち、地上へとゆっくり降りてきた人物。

地に足をつけると、鎌を消し、逃げるように雨の中を走り出す。

上から下まで真っ黒の子供。

私とソイツの間には、植え込みと建物があり、

こちら側からあっちに繋がる道がある場所でないと、あの姿は見えない。

追いかけたとしても無駄だろう。

この雨と、私の今の体力じゃ限界がある。


だけど、1つだけ分かった。

アレは、


   「死神」


Re: *Tarot-Labyrinth* ( No.31 )
日時: 2011/05/17 22:17
名前: 奏 (ID: 5dLFZzqu)

第18話 体


* 真里亞side

外は未だに土砂降り。

家の中なのに蛙の合唱が聞こえてくる。

私は今、ソファに体を預け、うとうとしていた。

私が、髪を乾かし服を着替えて部屋を出たとき、

唯一の話し相手である禾音は、姿を消していた。

靴も帽子もなくなっているから、外へ行ったんだろう。

でも、傘は持ち出されていない。

と、いうことは・・・・・・・・・。

そこまで考えたとき、急に雨音が大きくなり、冷たい風が足元をすり抜けた。

そこにいたのは、

頭から足までを濡らし、俯きながら息を切らしている禾音だった。

「カノン!?どこへ行っていたんですの!?」

「・・・・・・ちょっと、用事があって・・・。」

禾音は、今にも消えそうなか細い声でそう言った。

「・・・どうして傘を持っていかなかったんですの?」

「別に・・・・・・邪魔、でしたから・・・。」

「なぜ、息を切らしているんですの?」

私がそう尋ねた途端、禾音は私から目を逸らした。

「・・・・・・魔術師に見つかった気がしまして・・・。」

魔術師、というのは、柏葉都和のことだ。

禾音はなぜか都和たちのことを名前で呼ばない。

「・・・大丈夫ですわよ、知られたところで問題はありませんわ。」

禾音はさも苦しそうに呼吸を静かに早めた。

おかしい、禾音は体力がないというわけじゃない。

これは・・・まさかいつもの・・・?

「・・・うっ・・・。」

一瞬唸ったかと思うと、いきなり禾音は喉と腹部を押さえ込み、

咳とせわしない呼吸を繰りかえした。

「・・・カノン・・・?カノン!カノン!!」

何度呼びかけたり、背中をさすったりしても、

禾音は苦しそうに体を丸めるだけだった。

ついに、びしょ濡れのまま膝から崩れ落ち、

腹部を押さえていたほうの手を床につけ、体を支えた。

私は、禾音の帽子をとり、びしょ濡れの上着だけを脱がせると、

どうにかソファまで連れて行き、仰向けに寝かせた。

「・・・・・・・・・マリア・・・。」

禾音が不意に口を開いた。

咳はおさまったようだ。

「・・・大丈夫ですの?また、力を使われたのですか?」

禾音は、天井だけを見上げたまま答えた。

「大丈夫ですよ・・・。力は・・・ほんのすこしだけ、実行、だけ。」

実行・・・

しかも、ほんの少しだけ・・・?

・・・そうか、もうそんなに・・・。

「・・・貴方は、自分の体を犠牲にしてまで、願いを叶えたいんですの?

 ・・・・・・・・死神さん。」

「・・・最初から、こうなることは知ってましたし、

 覚悟もしてましたから。」

抑揚のない声でそう言った禾音は、

じばらくの沈黙のあと、

私に聞こえるか聞こえないかという声量で言い放った。



「・・・僕、いつまで生きていられるのでしょうね。」



Re: *Tarot-Labyrinth* ( No.32 )
日時: 2011/05/18 20:32
名前: 夏茱萸 (ID: 2qC9xcD7)

お久しぶりです!

最近全然来れなくてすいません;
PC禁止令が出ていたもので…(笑)

カノンくん、謎ですね〜><

どうなっていくのか凄く楽しみです♪

でゎ☆
更新頑張ってください♪

Re: *Tarot-Labyrinth* ( No.33 )
日時: 2011/05/18 20:58
名前: 奏 (ID: dwViS6JR)


>>32 夏茱萸s

お久しぶりです^^

パソ禁ですか・・・
大変ですね;;

禾音は何もかも謎ってキャラにしましたw
蘭は「君」つけで呼んでますが、
未だ「性別不明」ということにしておいてくだしあw

ありがとうございます!

頑張ります><*


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