複雑・ファジー小説
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- コドクビワ、キミイゾン。【完結】
- 日時: 2013/01/06 17:00
- 名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: w1J4g9Hd)
+目次+
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参照100記念>>27 あ コメント100記念>>100
参照200記念>>40 り あとがき>>137
参照300記念>>52 が 桐への愛情度:低>>139
参照400記念>>62 と 孤独への愛情度:低>>141
参照500記念>>71 う 卓巳への愛情度:高>>142
参照600記念>>77 !
参照700記念>>88
参照800記念>>103
参照900記念>>113
参照1000記念>>126
参照1100記念>>131
参照1200記念>>138
参照1300記念>>140
- Re: コドクビワ、キミイゾン。 ( No.73 )
- 日時: 2012/07/23 16:47
- 名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: 5VUvCs/q)
+44+
時が止まって、視線は、釘付けにされた。
思わず唾を飲み込んで、走り出す。人を押しのけて、見間違いかなんて考えずに、その人の腕を掴んだ。
前よりも、ずっとずっと細い腕。
「築っ……」
3日。たった3日。築は、大学に顔を出さなかった。もともと不安定な関係な俺たちだから、お互いのメールアドレスも知らない。だから、心配で仕方なかった。女々しいと言われるかもしれない。それでも、ずっと隣にいた存在が居ないと、不安だった。
築の姿を久しぶりに見た俺は、居てもたってもいられなくて。
「辰臣」
一瞬だけ、切なそうな顔をしたのを、俺は見逃さなかった。築は普通の表情を作ったつもりだろうが、失敗している。
「なんか、あったのか」
たった3日で、人はこんなに痩せられるのか。無い。絶対に無い。
絶対に何かあった。
「別に、何も無いよ。辰臣」
そして築は、それを俺に隠す。俺に心配を掛けたくないとか、そんなくだらない理由で。不安を話してくれない方が、よっぽど不安なのに。
俺がもっと問い詰めようとした時、築が俺の手を離して、そっと押した。
初めての、築の抵抗。
頭が真っ白になった。瞬きができない。目が乾く。
俺、何してんだ。俺は、俺は。
「今日は、一緒に帰ろうか、ね、辰臣」
結局、最初から最後まで、築は俺と目を合わせなかった。
これが、築と俺の日常が本格的に壊れ始めた時の話。
- Re: コドクビワ、キミイゾン。 ( No.74 )
- 日時: 2012/07/25 16:21
- 名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: 5VUvCs/q)
+45+
「今夜は一緒に居てください」
なんだか、よからぬことを頼んで居るような気分になる。
絶対、店長はそういう風には取らないだろうけど。
今、一人になったら壊れてしまいそうだった。
「うん、分かった」
店長は、何も聞いてこない。私たちの事を何も聞いてこない。それが何だか恐かった。
店長は、私のことを、孤独のことを、なんでか全部知っているようで。そんなはずないのに。だからこそ、遠慮なく弱みを見せられる。
「……明日、一緒に買い物行きませんか」
それに私はただ縋っているだけ。自分の居場所にしたいだけ。でも、店長は私の居場所にはなってくれない。私の居場所は、孤独だから。そして、孤独の居場所も私だけ。
孤独に会いたい。会って、謝りたい。できれば、私たちの関係を切ってしまいたい。
そうしたら、私の居場所も無くなるけど、でも、孤独が私の側に居たら絶対毒だから。
孤独がぐずっても、私は孤独にもっと自由になってもらいたい。
私は勝手にそう決めつけて、目を閉じた。
- Re: コドクビワ、キミイゾン。 ( No.75 )
- 日時: 2012/07/26 16:01
- 名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: 5VUvCs/q)
+46+
夢を見た。先輩がいる夢。夢見ちゃった。夢に先輩いるってことは、アッチは夢じゃない。俺が先輩を困らせたのは、夢じゃない。最悪だ。
お小遣い稼ぎのために始めたバイト。
店長の柔らかい笑顔とかで、いい職場なんだろうなって思った。ちょっとしたミスも店長は許してくれて、すぐに打ち解ける事ができた。
そうして、先輩。
先輩はあんまり笑わないけど、時々ご機嫌な時があって、そんなときは俺があいさつすると返してくれる。
ある日、俺は問いかけた。
少しずつ先輩への思いに気付いてきたときの話。
「先輩って彼氏いるんですか」
分かった。この夢は、昔の記憶だ。俺が、すべてが見えなくなった日のことだ。
そして、先輩が何て答えたのか、俺は今でも鮮明に覚えている。
あの日は小雨が降っていた、ちょっと蒸し暑い日のことだった。
先輩は幸せそうに笑って。そして。
「×××」
ねえ、聞いてよねーちゃん。
バイト先にさあ、好きな人ができたんだよ。いつも首になんか絞めたような跡がある人。うん。ちょっと髪染めてて。そんでそんでね、あんまり笑わないけど、笑うとすっげー可愛いの。なんていうの?守ってやりたくなるっていうか。
それでさあ、それでさあ。
その人、彼氏が——————。
俺、どうしたらいい?
教えて、ねーちゃん。
- Re: コドクビワ、キミイゾン。 ( No.76 )
- 日時: 2012/07/27 16:01
- 名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: 5VUvCs/q)
+47+
口の中の血はなかなか止まらない。生き残っていたコップで時々口の中をゆすぎながら、部屋を片付ける。その間忌屋はベッドに寝そべって、私の行動をずっと見ていた。
ベッドの上も酷い状態だったので、どいて貰う。
忌屋は意外にあっさりと床に座った。
引き裂かれたシーツを外して、ゴミ袋に突っ込む。枕は、もう駄目だな。というか、ずいぶんこの部屋の物が減った。綺麗に整頓されていて、落ち着いた部屋だったのに、残念だ。
「ねーぇ、おい」
振り返ると、座っているのにも飽きたのか、床に寝そべっている忌屋と目が合う。まだ、綺麗に床を掃いたりしていないから、ガラスの破片があるかもしれないのに。不用心な奴。
「何、どうかしたの」
「明日、お前暇?」
明日、か。別に暇だ。私は仕事には就いていないし。
まだ私はこの年にもなって、親の金で生きている。そろそろ何とかしたいけれど、仕事をする気にはなれない。
「う、ん」
「だろうね。ねえ、ボクと買い物行こう」
私の答えを聞いて、少しだけほっとしたような顔になる。
って言うか、私買い物行くつもりだったんだけど。家具が減りまくったし。忌屋1人じゃあやっぱり大変かなって思ってたし、忌屋が嫌じゃないなら普通についていくつもりだった。
まさか、忌屋から誘ってくるとは。
「お前の首輪も買わなくちゃ」
首を傾げる。忌屋の言っている事が、分からない。
そりゃあ、忌屋をまだそばで監視できるのは嬉しい。首輪も別に良い。
だけど。
私は、部屋の壁にかかっている赤い首輪を、指差した。
そこの周りの壁だけは、綺麗で傷一つついていない。
「あれで、良いじゃん」
私の指の先を見て、忌屋は私を睨んで、顔を床に向ける。そして、寝返りを打って私に背を向けた。
「……あれは桐のだから」
- Re: コドクビワ、キミイゾン。 ( No.77 )
- 日時: 2012/07/28 16:56
- 名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: 5VUvCs/q)
+参照600+
〜プロフィール3〜
小片 辰臣(おがた たつおみ)♂ 11月4生まれ B型
身長:168 体重:57
酒は結構好き タバコは煙さえ嫌
好きな物:お酒、飲み会 築 仕事
嫌いな物:辛い食べ物 自分より上の人間
成績:中の上
趣味:アウトドア
名称:築→築 茅菜→桐 孤独→孤独
+作者のイメージ+
あんまりシャベルとネタバレになる。だからあまり言わないけど、一途で、一人の人を大切にできる、現代社会には少ない性格派のイケメン。素敵なお父さんになりそう。怒ることは少ない。人に好かれやすい。
+おわり+
参照600かあ……
みんな間違えすぎだろ、だからここじゃなくて一個上だって、キミがクリックすべき小説は……
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