複雑・ファジー小説

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コドクビワ、キミイゾン。【完結】
日時: 2013/01/06 17:00
名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: w1J4g9Hd)

+目次+
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参照100記念>>27  あ  コメント100記念>>100
参照200記念>>40  り  あとがき>>137
参照300記念>>52  が  桐への愛情度:低>>139
参照400記念>>62  と  孤独への愛情度:低>>141
参照500記念>>71  う  卓巳への愛情度:高>>142
参照600記念>>77  !
参照700記念>>88  
参照800記念>>103  
参照900記念>>113
参照1000記念>>126
参照1100記念>>131
参照1200記念>>138
参照1300記念>>140

Re: コドクビワ、キミイゾン。 ( No.18 )
日時: 2012/06/10 20:50
名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: ae8EVJ5z)



+13+


先輩は、素敵な人だ。
このバイトが決まってまだ時間が経っていない時は、無愛想な人だと思った。全然笑わないし、何に関しても面倒くさそうにやるし。
なんで、こんな仕事をやっているのか聞いたら、答えてくれなかった。我ながら、くだらない質問だと思った。
月日が流れて、いろんな事を教えてくれる先輩のことを、もっと知りたいと思うようになった。どこに住んでるのかなーとか、誕生日は何時なのかなーとか、血液型はなんだろうなとか。
何故か血液型だけは答えてくれて、そうしてから朝の占いで、先輩の血液型のところも見るようになった。そっちに気を取られて、自分のを見るのを忘れるのがほとんどになるくらいに。
学校でも、先輩のことを考えるようになった。クラスメイトが学校の先輩の話をしていて、『先輩』と言う度に、なんだか心臓がきゅってなるようになった。
しばらくして、理由が分かった。
俺、先輩が好きになってたんだ。
知ってしまうとその感情は爆発して、毎日バイトが楽しみになって、先輩に会えば嬉しくて仕方がなくて、先輩をできるだけ褒めるようにした。女の人は褒められるのが好きだって、聞いたことがあったから。そんなことをしたら先輩も俺の事を見てくれると思った。
でも、違くて。
先輩は俺の言葉に全く反応しない。そんな先輩にぞくぞくしちゃうようになって、もっと欲しくなった。

気が付けば、先輩のことで頭がいっぱいで。
俺はもう戻れないくらいに、先輩の物なんだよ。

Re: コドクビワ、キミイゾン。 ( No.19 )
日時: 2012/06/11 22:07
名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: ae8EVJ5z)



+14+


少し遅れて待ち合わせ場所に行くと、すぐに卓を見つけた。懐かしいその姿に、涙が滲んで来そうになる。でも必死に堪えた。
私は平然を装いながら、彼に近づく。
私がすぐ傍まで来て、やっと彼は私を見下ろすように、視線を移す。
そして、ほほ笑んだ。

「久しぶり、桐」

声が出なかった。一瞬、夢じゃないかって、思うほど。奇跡なのだろうか。もう会えないかと思っていたのに。それなのに、彼はまた私の前に現れてきてくれたのだ。
唇が震えるけど、喉の奥から声を絞り出す。

「……なんか用」

まるで、『来てやった』みたいな言い方をする私。嫌な奴だな。
そんな私に、ほほ笑んでくれる、卓。
卓だけだよ。私を求めてくれるのは。私に必要なのは。
あれ。なんだろう。突っかかる。卓の顔と同時に、違う顔もちらつく。
本当に、卓だけ? 私を必要としているのは、本当に、卓だけだっけかな。なんか、違う気がする。なんだろう、この違和感。

「それ聞くだけなら、電話で聞けば良かったじゃん。ねぇ、桐」

私の手をさりげなく握る彼の手を、振り払うことができない。耳に唇を近づけてきて、吐息を感じる。息が、乱れる。ダメだ、こんなんじゃ。ポーカーフェイスが保てない。

「ボクに、会いたかったんでしょ?」

Re: コドクビワ、キミイゾン。 ( No.20 )
日時: 2012/06/13 17:46
名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: ae8EVJ5z)



+15+


そんなことない。そんなことない。
そんなことない。そんなことない。

そう言いたいのに、喉が詰まる。空気を通すだけの機能しか、喉は果たしてくれない。
そんな私に笑いかける卓の手を、私は握り返してしまう。
あぁ、私は。私は、愚かだ。言いたい事も、言えない。自分のしたいことが分からない。見えない。何も見えない。卓しか見えない。頭の中には卓しか居ない。私の世界には卓しか居ない。

「ボク、彼女と別れんたんだよねー」

声を聞くたびに、鼓動が早くなる。足元から視線を上げたくない。視界は卓で埋まっているから。これ以上鼓動が早くなるなら、私は死んでしまう。卓に殺されてしまう。

「桐、ボクのことまだ好きなんでしょ」

「ぇ」

そう思っていたのに、卓の言葉に思わず声を漏らし、視線を上げる。立ち止まる卓に合わせる。
なぜか不安そうな卓の顔。まるで、親を待つ子供みたい。
相手に自分の答えを言ってほしい、自分からは答えを言いたくない、そんな表情。卓はいつも自信に満ちているような顔をしているのに。妙だ。

「そうでしょ?」

黙る私の手を、痛いほどに握る卓。

本当に、子供みたい。
それに、私みたい。

Re: コドクビワ、キミイゾン。 ( No.21 )
日時: 2012/06/13 23:13
名前: いりこの頭の部分 ◆l9KMyKcLrg (ID: in0tr.0M)

更新お疲れ様です。
いりこです。こんばんはーっ。


ついにヒロインちゃんの名前出ましたね…!桐ちゃんでしたか!

突然登場なさった卓さん。
最初は「誰だね君は孤独くんの敵か?敵なのか?よろしい、大戦だ。」なんて思っておりましたが…何この子いけめそ…!
耳の傍で囁いてくるところとかかなりグッとくるものがありました。さりげなく手を握ったところもです。
桐ちゃんと以前に何か関係があったのでしょうが…なんだ、恋人か…?なんて想像したりしながらつい楽しんでしまいます。
でも彼女と別れたって言ってるしなー…うーん……

ただ、やはり孤独くんの先輩に対する想いとかそういうのを見ると孤独くんが可愛くて可愛くて。
純愛だなーなんて思ったりします。僕は孤独くんを応援しているよ!


いやあ今回も長文になってしまった。
いつもすみません(´・ω・`)すごく読みにくいことでしょう。

次の更新もお茶飲みながら楽しみに待ってます。



参照数がなんだかすごい。
おめでとうございます(・ω・)!

Re: コドクビワ、キミイゾン。 ( No.22 )
日時: 2012/06/15 20:10
名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: ae8EVJ5z)


いりこさん!いらっしゃいませ!

いやいや、コメを面倒なんて思ったことは一度たりともありません!
いりこさんの感想はとても私嬉しいです!読んでほしいところを読んでくれていて、感じてほしいことを感じてくれているのです!趣味が合いますね!わーい!

桐、という名前ですが、苗字にしようかな前にしようか悩み中です……たぶん苗字かと。
卓さんは突然出てきましたね、誰だコイツ。孤独の敵、かな、多分そういう見方で間違ってないですw
ビワ孤独 イゾンキミ なんておかしな名前にする案も自分でありましたが、孤独が孤独なんて派手な名前なのでヒロインちゃんは普通にしたいということで凡人的名前になりますね

参照!
嬉しい限りです!
なんか企画やろうにも……何を……

あ、いりこさん、あの、失礼なんですが、スカイプID持っていますか……?ずうずうしくてごめんなさい、答えたくないならスルーでいいです


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