複雑・ファジー小説

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コドクビワ、キミイゾン。【完結】
日時: 2013/01/06 17:00
名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: w1J4g9Hd)

+目次+
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参照100記念>>27  あ  コメント100記念>>100
参照200記念>>40  り  あとがき>>137
参照300記念>>52  が  桐への愛情度:低>>139
参照400記念>>62  と  孤独への愛情度:低>>141
参照500記念>>71  う  卓巳への愛情度:高>>142
参照600記念>>77  !
参照700記念>>88  
参照800記念>>103  
参照900記念>>113
参照1000記念>>126
参照1100記念>>131
参照1200記念>>138
参照1300記念>>140

Re: コドクビワ、キミイゾン。 ( No.118 )
日時: 2012/08/23 17:51
名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: w93.1umH)
参照: http://www.youtube.com/watch?v



+80+


「本当に来てくれたんだね」

体を起こしてベッドの中に居る卓巳の姿を確認して、私は立ち止った。でも、すぐに頭を動かして、スライド式の軽いドアを閉める。
卓巳の右目には、白い眼帯がつけられていた。あの日の赤を思い出して、私はすぐに目を逸らした。
この病室には四つのベッドがあって、そのうち三つが埋まっている。その中の一人である卓巳は、私をじっと見ていた。
私はベッドの近くまで行って、足元に視線を落とす。同じ部屋にいる二人は、私たちの様子をちらちらと見てきている。正直、鬱陶しい。

「座りなよ」

卓巳が苦笑いをする声が聞こえて、思わず肩が跳ねて、安っぽい緑の椅子に腰を下ろす。また、卓巳の言う通りになっている。癖かもしれない。
私は、顔を上げた。卓巳は、まだ私を見てくれていた。
青いパジャマの前が、少しはだけている。そこから除く鎖骨に、赤い印があって、思わず俯きそうになった。

「正直、不安だったんだよ。桐は、ボクのことが、っ、嫌いだろ?」

何が不安だったんだよ。お前が心配とか、不安になる要素が、どこにあるんだよ。どうして、そんな息を詰まらせながら、苦しそうな顔をしながらそんなこと言うんだよ。意味が分からない。

明かに、私への疑問の言葉なのに、私は頷くことも、首を横に振ることもしなかった。

Re: コドクビワ、キミイゾン。 ( No.119 )
日時: 2012/08/24 13:30
名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: w93.1umH)
参照: http://www.youtube.com/watch?v



+81+


前に会ったときは、自信に満ち溢れていた。少なくとも、それを行動と態度に現していたのに。
それを見て、私は弱くなったなぁっって思った。だけど、今は違う。安定したなぁって思う。言っていることは情けなくて、ネガティブなのに、それなのに、強くなったなぁって、成長したなぁって感じる。おかしいよね。これは、異常だ。私は、異常だ。
私は、なんて答えたら良いのだろう。私は、誰に決めて欲しいのだろう。答えずに、反応しない私を、卓巳はどんな目で見ているのだろう。何を、考えて。
相変わらず何を考えているのか分からない卓巳の瞳に、私が映っている。
情けない、顔。

「桐がどう思うか、なんて自由だ。でも、」

私が答えないと知ると、卓巳は話を続ける。
その手が、私の膝の上で固まっていた手を、包む。
初めてだった。掴まれたことも、握られたことも、切りつけられたこともあるのに、包まれたことは初めてだった。馴れない卓巳の熱を感じて、思わず振り払う。
卓巳は悲しそうに自分の手を一瞥して、シーツを握りしめた。

「ボクを見て、そんな悲しそうな顔、しないでよ」

Re: コドクビワ、キミイゾン。 ( No.120 )
日時: 2012/08/24 22:01
名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: w93.1umH)
参照: http://www.youtube.com/watch?v


+82+


私、そんな悲しそうな顔、してますか。どちらかというと情けない顔だと思うんですけど。誰か、鏡を下さい。でも、駄目だ。今動いたら、絶対、泣く。私がどうして泣かなきゃいけないんだ。でも、今すごく、泣きたい気分だ。誰かに包まれて。
あぁ、こんな時店長が居れば。私が言えば、店長はきっと抱きしめてくれる。迷惑そうな顔をしながらも、きっと、良いよって笑ってくれる。でも、そんなこと頼めない。店長には築が居る。見てしまった。築と店長が抱きしめあっているところを。それを見て、私は何だか申し訳なくなった。
少しだけ、分かってきた。
誰が悪いのか。誰が、原因なのか。誰が一番、分かっていないのか。

「桐、ごめんな」

「っぁ」

卓巳の口から、変な言葉が出た。私の口からも、声の残骸が出た。
卓巳から、絶対出ないと思っていた言葉だ。

「ボクが、もし、ボクが、やり直そうって言ったら、どうする?」

眉をひそめて、卓巳は私を見つめて来る。諦めたような表情を作って。
少しだけ、孤独に似ている。
卓巳、いろんな表情を作るようになった。もはや、もう卓巳じゃないみたいだ。
私は、答えない。何も、言わない。
病室の空気が、張り詰めた。二人はまだ私たちを気にかけている。

「——————僕は、茅菜が好きだ」

Re: コドクビワ、キミイゾン。 ( No.121 )
日時: 2012/08/24 16:49
名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: hTgX0rwQ)

ヤンデレがッ……デレたっ……!
卓巳くんにどきどきしすぎて心臓が苦しい蟻です。
ギャップにどきどき/// いつもこんなです。

店長の行動に愛を感じたり、
孤独くんとの関係に悲しくなったり、
卓巳くんのかっこよさに惚れてしまったり、
色々盛り上がってて素敵だなあと感じます。

がんばってください^^

Re: コドクビワ、キミイゾン。 ( No.122 )
日時: 2012/08/24 16:59
名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: w93.1umH)


おお、蟻さんこんにちは!お世話になっております!
ss大会お疲れ様でしたっ

でれましたねぇ、ふ、ふふふふはあはあはははあ((自重
今の卓巳君は頑張って普通の人に戻ろうとしています、愛しい

店長の行動を気に入っていただけましたか、嬉しいです!!
私も彼の行動は気に入っていますねw
孤独にはいろいろまだ頑張ってもらいます
頑張れー

も、も、ももりあがってますか!!!嬉しいです
かいているとどうしても読者視点で読めないのでそういっていただけると安心しますw

最終回に向かって頑張ります
コメントありがとうございました!力になります!(。・ω・)ノ゛


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