二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜
- 日時: 2016/05/10 22:19
- 名前: ウルワルス (ID: LF8j4K3p)
〜第一部〜 目次
主要登場人物紹介 >>01
第1章 初めての友達 >>02 >>03 >>04
第2章 組分け >>05 >>06 >>07 >>08 >>09
第3章 魔法史と いも虫 >>10 >>11
第4章 ハグリッドの小屋にて >>12 >>13
第5章 飛翔 >>15 >>16 >>18
第6章 クィディッチ >>19 >>20 >>21
第7章 クリスマス休暇 >>22 >>23 >>24 >>25 >>26 >>27 >>28 >>29
第8章 蛇と蠍 >>30 >>31 >>32 >>33 >>34
第9章 禁じられた森 >>35 >>36 >>37
第10章 序曲終了 >>38
あとがき >>39
第二部 >>40
第三部 >>153
訂正>>132 >>135 >>136 >>145
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- Re: 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜 ( No.102 )
- 日時: 2013/04/29 18:10
- 名前: ウルワルス (ID: f3VBH/TD)
「お前達屋敷妖精は、ボーバトンの敷地内でも『姿眩まし』が可能だったな?」
ネックレスを首に掛けながら、ドランペルージが言った。アイサムは杖を抜いた。
「おっしゃる通りにございます。では・・」
屋敷妖精はドランペルージのローブの袖に手を伸ばした。
「ペトリフィカス・トタルス(石になれ)!」
アイサムはドランペルージに対し全身金縛り術を使った。しかし、「盾のマント」同様ドランペルージのローブに「盾の呪文」がかけられているのか、彼の呪文は光の壁に阻まれた。ドランペルージは驚いたようだったが、慌てた様子はなかった。一方、屋敷妖精は主人以上に落ち着いた様子でパチンと指を鳴らした。
「『透明マント』で身を隠した黒ん坊が、御主人様に杖を向けている!」
屋敷妖精は甲高い声で叫んだ。アイサムは思わず唇を噛んだ。こいつに透明マントは通用しないのか・・
「捕まえろ!」
ドランペルージが言った。同時にアイサムは屋敷妖精に対して全身金縛り術を放ったが、呪文を跳ね返された。「盾のマント」の御陰で、自分の呪文にかかることは免れたが。
屋敷妖精は右の人差し指を立て、自分の方に曲げた。すると、アイサムの杖は彼の手を離れ、宙を飛んで妖精の掌に収まった。さらに妖精は空いた左の掌をアイサムに向け、赤い光弾を放った。光弾は「盾のマント」をものともせずアイサムの体を直撃し、彼は意識を失った。
*
「くそっ・・」
他の選手達より高いところでスニッチを探していたスコープは、ディオールシアンがバロンデュールとの得点差を60に広げたことを告げる実況の声と、ディオールシアン生達の歓声を聞き、顔をしかめた。
技量の点でもチームワークの点でも、バロンデュール・クィディッチチームはディオールシアンに劣っていた。スコープが先にスニッチを捕ればいい話ではあるが、彼としては、アイサムがグローメルの部屋を充分調査することが出来るよう なるべく試合を長引かせたかった。それに彼は、味方がクアッフルを奪われる度にチェイサーとしての習性が疼き、スニッチを探すことになかなか集中できないでいた。
『どうも僕は、シーカーには向いてないみたいだな・・』
一方、ジュール・ドランペルージは優秀なシーカーといえた。彼はスニッチを探す傍ら、しばしば混戦の直中に身を投じ、敵チェイサーやビーターの間を縦横無尽に飛び回ることでこちらの連携を乱した。加えて、巧みな飛行の技術でスコープをマークし、彼の進路を度々変えさせた。
- Re: 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜 ( No.103 )
- 日時: 2014/04/11 11:10
- 名前: ウルワルス (ID: BgA0tTDI)
ディオールシアンが10回目のゴールを決め、両チームのスコアが100対30になった頃、遂にスコープは空中で微かに光を放つスニッチを見つけた。ドランペルージは、先程味方をフォローしてバロンデュールのチェイサーの邪魔をしていたばかりで、まだ気付いていない。
スコープはミラージュスウィフトを加速しかけたが、もう少し時間を稼げば、アイサムがグローメルの部屋の防御網を突破して真実薬とシャルル・ドランペルージの「武器」を盗むことが可能になるかもしれないと思い、結局方向転換した。
それと同時に、ドランペルージがスコープの横を弾丸のように飛び去っていった。彼は、スコープの動きを見逃さなかったのだ。
スコープはやむなく後を追ったが、ドランペルージの箒「レクレア3000」の加速力はミラージュスウィフトより上だったし、それでなくとも彼は飛行の名手だった。出遅れた以上スコープに勝ち目はなく、程なくしてドランペルージはスニッチを掴み、高々と掲げた。
結果は250対30。ディオールシアンは圧勝し、優勝杯も獲得した。
*
「エネルヴェイト(活きよ)!」
アイサムは、無理矢理意識を呼び覚まされた。目を開けると、シャルル・ドランペルージが立っているのが見えた。自分はというと、四肢を縛られてドランペルージの足下の冷たい床にころがっていた。彼らが今いる場所は、薄暗い室内だった。
杖は既に屋敷妖精によって奪われていたし、透明マントと「盾のマント」は剥ぎ取られていた。アイサムは、スコープとジェームズ・ポッターに申し訳なく思い、自分の愚かさがつくづく嫌になった。
「アイサム・ムウィレレ君だね?」
ドランペルージが冷たい声で言った。彼はなかなかの美男で、グローメルが惚れているのも肯けた。
「君のことは息子のジュールからよく聞いている。なにしろ、君は我が母校で唯一の有色人種だからね。おまけに『穢れた血』ときた・・・
さて、質問がある。君は何故あの場にいて、私を攻撃したのかね?」
「あなたが犯罪者だからです。」
アイサムは臆することなく言った。どうせ、黙っていても無事で済むはずがないのだ。
「ジュールが言っていたが、君はフランソワ・デラクールの娘と親しいそうだな。娘を通じて、やつの指令を仰いでいたのか?」
「いえ、娘さんは無関係です。」
アイサムは反射的に答えた。カトリーヌに危害が及ぶようなことがあってはならない。
「まあ、デラクールが一枚噛んでいることは間違いなかろうな。やつはこれまでも散々私の邪魔をしてくれた。学生時代から、ずっとだ・・」
ドランペルージは独り言ちた。
- Re: 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜 ( No.104 )
- 日時: 2013/06/02 17:15
- 名前: ウルワルス (ID: f3VBH/TD)
「僕をどうするおつもりですか?」
アイサムは言った。
「無論、死んでもらう。有色人種と『穢れた血』は、フランス魔法界から排除されねばならないからね。」
ドランペルージが言った。
「今晩、私は20名の同志と共に魔法省に対するクーデターを決行する。我々が権力を握れば、フランス魔法界は新たな時代を迎えることになろう。有色人種と『穢れた血』にとっては、苦難の時代となるだろうが・・」
「たった21人で、何が出来るというんです?」
アイサムは言った。
「デラクール氏を始めとする魔法省の方々が、警戒を怠っているとでも?」
「これがある限り、デラクールであれその他の誰であれ、私を止めることなどできん。」
ドランペルージは、服の下に隠されていた例のネックレスを引っ張り出した。
「君も体験した通り、これを持っている者は魔法を使ったあらゆる攻撃から守られるのだ。」
「どうやってそんな物を・・」 アイサムは愕然とした。
「君はもうじき死ぬ運命にあるのだから、教えてあげても構わないだろう。
このネックレスはゴブリンの手になる物で、ドランペルージ家に伝わる家宝の1つだった。君は知らんだろうが、ゴブリン製の品には別の物に備わっている魔力を吸収するという性質があるのだ。
そこで私は、このネックレスに強力な魔力を注ぎ込めば、武器として使えるのではないかと考えた。
ここで質問だ、ムウィレレ君。私が強力な魔力の供給源として注目したのは、何だったと思うかね? 君ならば分かると思うが。」
「まさか、ジン・・?」
言いかけて、アイサムは はっとした。
「1年次にヒッポグリフの雛を殺したのは・・!」
「いかにも。我が子ジュールの仕業だ。」
ドランペルージはあっさりと言ってのけた。
「ジンを召還して殺させたわけではないがね。我が家に仕える屋敷妖精の1人−−君の杖を奪ったやつだ。あれが最も有能なのでね−−にやらせたのだよ。君を美しき我が母校から排除するには至らなかったが。
さて、ネックレスに話を戻そう。私はジンを召還し、その魔力をネックレスに注がせることにした。一介のジンでさえ、この世界で最も強力な魔法使いを上回る魔力を持っているというからね。
私の前に現れたのは、フィアレンという名のジンだった。別に彼でも構わなかったのだが、念のため、最強のジンを連れてくるよう彼に命じた。暫くして、フィアレンはもう1人のジンを伴って再び姿を現した。」
- Re: 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜 ( No.105 )
- 日時: 2013/06/02 18:03
- 名前: ウルワルス (ID: f3VBH/TD)
ドランペルージは話し続けた。
「新たに現れたジンを前にして、私は、まるで自分が虫けらであるかのように感じた。彼が発する魔力の波動は、それ程凄まじいものだった。フィアレンも彼を恐れているようだった。彼は、『ジンの王・ヴァルガトレイオン』だと名乗った。
私が直接ヴァルガトレイオンを召還したのではなかったため、彼に命令を下すことは出来なかった。私はフィアレンを通じて、魔力をネックレスに注いでくれるよう頼んだ。
何故そのようなことを望むのかと私の思考を調べた−−ジンは皆『開心術』を心得ている−−ヴァルガトレイオンは、面白く思ったようだった。彼はネックレスに強大な魔力を注ぎ込んでくれた。私がフィアレンを解放すると、彼も消えた。
そういう訳で、このネックレスには膨大な魔力が備わり、持ち主に対する呪いを瞬間的に察知して悉く阻止するという機能を持つようになった。ヴァルガトレイオンを上回る魔力の持ち主に攻撃されたら話は別だろうが、この世界にそのような魔法使いなど・・」
ドランペルージが長々と話しているのを聞きながらも、アイサムは必死に現状打開策を練っていた。例のネックレスは、魔法を使ったあらゆる攻撃から持ち主を守るという。だがそれは、裏を返せば、魔法を用いない攻撃に対しては無力だということではないだろうか?
- Re: 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜 ( No.106 )
- 日時: 2013/06/09 16:01
- 名前: ウルワルス (ID: f3VBH/TD)
「死ぬ前に、1つお願いがあるのです、ムシュー・ドランペルージ。」
ドランペルージの話に一区切りついたところで、アイサムは言った。
「あなたは、そのネックレスは魔法を使ったあらゆる攻撃を防ぐとおっしゃいましたね?」
「そうだ。君の『全身金縛り術』も、難なく防いだだろう?」
「僕の呪文程度なら、ローブに『盾の呪文』を仕込んでおくだけでも防げるでしょう。それにあの状況であれば、あなたの傍にいた屋敷妖精がとっさにバリアを張ったとも考えられます。」
「君がどう考えようと知ったことではない。
それで、願いというのは何だね? なるべく苦痛を感じないように殺してほしいのかな?」
「僕は、そのネックレスにあなたが言ったような魔力が備わっているのか疑わしく思っています。だからそれを確かめるために、拘束を解いて僕にあなたを攻撃させてほしいのです。」
「よかろう。だが、君が年齢にそぐわない強力な呪いを使えるのだとしても、ネックレスが創り出すバリアを破ることは出来まい。
ああ、そうだ。ラキーを呼ばねばな。君の杖は あれが持っているから。」
「その必要はありません。」
アイサムは慌てて言った。屋敷妖精が来れば、計画がふいになってしまう。
「予備の杖がローブの内ポケットに入ってますから。」
「ほう。君の家に、杖を複数買えるだけの財力があるとは思ってもみなかったよ。」
言いながらドランペルージは杖を抜き、アイサムの四肢の拘束を解いた。アイサムは立ち上がり、「騙し杖」を取り出した。
アイサムは「騙し杖」をドランペルージの顔面目がけて投げつけた。アイサムが期待した通り、ネックレスは物理的な攻撃に対しては作用しなかった。騙し杖はドランペルージに当たった瞬間ぬらぬらとした特大のナメクジに変わり、彼の顔面にべったりと張り付いた。彼はくぐもった悲鳴を上げ、杖を取り落とした。アイサムはすかさず飛び掛かり、ドランペルージの首に掛かったネックレスを奪い取った。
バチン!
「御主人様、御無事ですか!?」
屋敷妖精が現れた。アイサムはとっさにネックレスを自分の頸に掛けた。一方、妖精はまずドランペルージの顔に張り付いているナメクジを消し去った。
「穢らわしい黒ん坊め! 御主人様になんということを!」
屋敷妖精は赤い光弾を放ったが、ネックレスが創り出したバリアによって跳ね返された。屋敷妖精は自分に向かってきた光弾をやりすごすと、今度はアイサムに向かって飛び掛かってきた。
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