二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜
- 日時: 2016/05/10 22:19
- 名前: ウルワルス (ID: LF8j4K3p)
〜第一部〜 目次
主要登場人物紹介 >>01
第1章 初めての友達 >>02 >>03 >>04
第2章 組分け >>05 >>06 >>07 >>08 >>09
第3章 魔法史と いも虫 >>10 >>11
第4章 ハグリッドの小屋にて >>12 >>13
第5章 飛翔 >>15 >>16 >>18
第6章 クィディッチ >>19 >>20 >>21
第7章 クリスマス休暇 >>22 >>23 >>24 >>25 >>26 >>27 >>28 >>29
第8章 蛇と蠍 >>30 >>31 >>32 >>33 >>34
第9章 禁じられた森 >>35 >>36 >>37
第10章 序曲終了 >>38
あとがき >>39
第二部 >>40
第三部 >>153
訂正>>132 >>135 >>136 >>145
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- Re: 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜 第一部 ( No.27 )
- 日時: 2012/10/13 16:49
- 名前: ウルワルス (ID: visZl1mw)
「ところで、スコープ。これからWWWに来てみないか? マルフォイ家のおぼっちゃまなら、金に不自由はしてないだろ?」 フレッドが言った。
「そうですね。これ以上買い物をするつもりはなかったんだけど・・・お邪魔させてもらいましょうか。」
WWWの店内では、様々な悪戯グッズが売られていた。
「いちばんのお勧め商品は、なんといっても『インスタント煙幕』シリーズの最新作・『ダークネス』だな。」
店内を案内しながら、フレッドが言った。
「効果範囲は半径500メートル、持続時間は『永久』だ。煙幕を消すには、本体のスイッチをオフにするしかない。このことはつまり、これまでの使い捨て式のものとは違って、何度も使用できるということでもある。」
「フレッド先輩は、父上のお店を引き継ぐつもりですか?」 スコープは尋ねた。
「ああ。親父のもとで、WWWは既に『ゾンコ』と『ギャンボル・アンド・ジェイプス』というライバル店を買収し、ブリテン各地に支店を構えるようになっている。俺はさらに海外に進出して、『ウィーズリー・ウィザード・ウィーズ』の名を世界に轟かせたいんだ。」
「大きな夢ですね。成功を祈ります。」
スコープは、皮肉でもなんでもなしに心からそう言った。
「『ダークネス』を買いましょう。何ガリオンですか?」
「今日は初回販売だから半額の5ガリオンで売ることになってるんだが、君はいいやつだから、さらに3ガリオンに負けてあげよう。
それにしても、俺の夢を『大きな夢』だと言ってくれたのは、君が初めてだよ。あの生意気な従妹だったら、鼻で笑うだけだったろう・・」
「生意気な従妹」とは多分ローズのことなのだろうと、スコープは思った。
*
スコープは帰宅すると、マルフォイ家が所有する梟のうちメルクリウスとガブリエルに、それぞれローズへのプレゼントとアルバスへのプレゼントを託した。スコープが2人の住所を教えると(前日ホグワーツ特急の中で教え合っていた)、2羽の梟は暗くなり始めた空の彼方に飛び去っていった。
- Re: 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜 第一部 ( No.28 )
- 日時: 2012/10/21 16:39
- 名前: ウルワルス (ID: visZl1mw)
ローズ・ウィーズリーが目を覚ますと、ベッドの足下に置かれた小さなプレゼントの山が目に入った。ローズは急いで寝間着から着替えると、プレゼントの包み開けに取りかかった。
両親からは新しい羽ペン、叔母夫妻(ハリーとジニー)とアルバスからは様々なお菓子、父方の祖母からは手編みのセーター、母方の祖父母からはハナハッカ味の歯磨き粉が贈られていた。最も楽しみにしていたスコープからのプレゼントは、「百味ビーンズ」一袋と、『アーサー・ペンドラゴンとその時代』というタイトルの歴史の本だった。ローズは思わず苦笑した。いかにもスコープらしい。
早速本を開いて読み始めると、ページの間から何か光る物が落ちた。それは、美しいブローチだった。ローズが手に取ってしげしげと眺めると、ブローチは次々と様々な色合いに輝いた。
スコープが、自分のことを友人としか思っていないことは分かっていた。このブローチにしても気軽な気持ちで贈った物で(マルフォイ家は資産家であるから、金銭的にも「軽い」気持ちだったろう)、特に他意はないのだろう。
それでも、このブローチを着け、綺麗なドレスを着てスコープとワルツを踊る3、4年後の自分を想像せずにはいられなかった。スコープは紳士的であるし、脚も長いから、燕尾服やタキシードがよく似合うに違いない・・
突然、誰かがローズの手からブローチを取り上げた。
「これ、誰から贈られてきたの? もちろん、姉さんのボーイフレンドからだよね?」
ローズが想像に耽っている間に部屋に入ってきた弟のヒューゴが、勝ち誇った顔付きでブローチを手にしていた。髪の色はローズと同じ栗色だが、顔立ちは姉とは違い、どちらかというと父親似だ。
「友達からよ。それより、そのブローチを返しなさい!」
「やーだよ! パパとママに報告してくるね!」
両親には、特に父親には、知られたくなかった。部屋のドアに向かって駆け出したヒューゴに対し、ローズは杖を向けた。
「ロコモーター・モル−−」
だが、「脚縛りの呪い」を唱えかけたところで、未成年者が学校の外で魔法を使うことは禁じられていることを思い出した。仕方なく、ローズは既に部屋の外に飛び出したヒューゴの後を追った。
ヒューゴは、両親がいるリビングに向かった。
「パパ、ママ! 見てよ!」
「ヒューゴ、いい加減にしなさい!」 ローズが後ろから言っても、ヒューゴにはどこ吹く風だった。
「姉さんが、ボーイフレンドからこんな物を贈られたんだって!」
「何だって?」
父は、興味津々でヒューゴの方に身を乗り出した。一方、母はヒューゴからブローチを取り上げ、その頬をぴしゃりと叩いた。
「人の物を勝手に取るのは、泥棒の始まりよ。それから、ある程度の敬意は払いなさい。ローズはあなたのお姉さんなのよ。」
母は、ローズにブローチを返してくれた。
「贈り主の名前くらいは、教えてくれてもいいんじゃないか?」 父が言った。
「確か、包み紙には『スコーピウス・H・マルフォイより』って書いてあったよ。」 まったく懲りていない様子でヒューゴが言った。
ガシャン!
父が、ティーカップを取り落とした。
「ローズ。お前、マルフォイの息子と付き合っているのか?」
「友達として仲良くしてるだけよ。」 ローズは答えた。
「前にも言ったが、マルフォイ家の連中とは仲良くしない方がいい。あの家門には色々と曰くがある。お前が仲良くしているスコーピウスにしても、その父と祖父は『例のあの人』に仕える『デスイーター』だったんだぞ。」
「少なくとも、ドラコは昔の彼とは違うわ。」 母が言った。
「一昨年トランシルヴァニアで純血支持法が撤廃されたことについて、国際魔法使い連盟特使としてのドラコの尽力が大きかったことは、あなたも知っているはずよ。」
「だが、あいつの父親も立派な世間体を取り繕っていたじゃないか。裏でどんな悪事をはたらいているか、分かったものじゃない。
現に、ソマリアの魔法省に対して私的に金をばらまいたという噂もあるぞ?」
「ソマリアの魔法族の子供達が、サウディアラビア国内にある魔法学校に通うためのポートシステムを建設する資金として、提供したのよ。資金の提供が私的にならざるを得なかったのは、マクラーゲンが『野蛮人に払う金はない』ことを理由に公的な資金提供を許可しなかったせい。
それに、思い出して。6年生の時、彼は『あの人』にダンブルドアを殺すよう命令されてたわね? ハリーによれば、失敗したら両親共々殺されるとも、言われてたそうよ。だけど結局、彼は自分ではダンブルドアを殺さなかった。自分と両親の命が懸かっていたにも関わらず。」
・ポートシステム
大人数を、1度に遙か遠くまで安全に、一瞬で移動させるシステム。空間自体を「ポートキー」にする魔法を自動でかける。
- Re: 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜 第一部 ( No.29 )
- 日時: 2012/10/21 17:50
- 名前: ウルワルス (ID: visZl1mw)
両親の話は、ローズにとって初めて聞くことばかりだった。自分の両親がスコープの父親についてここまで詳しく知っていることは、意外だった。だが、スコープの父親が「デスイーター」で、20世紀最高ともいわれる偉大な魔法使いダンブルドアを殺そうとした程の人物であるというのは、腑に落ちなかった。スコープは父親を尊敬しているようだったし、父親が悪人であるならそもそも息子があそこまで真っ直ぐに育つはずがない。母の言うように、スコープの父親の改心は本物なのだろう。
「7年次の『必要の部屋』での戦闘でクラッブが『悪霊の火』を使った時も、ドラコは何とかして気絶したゴイルを助けようとしていたわ。」
母が続けて言った。
「クラッブのことも、最後まで気にかけていた。このように、学生時代でさえ彼は根っからの悪人ではなかったのよ。」
「それに、例えお父さんがどんな人であれ、スコーピウスがいい人であることに変わりはないわ。」 ローズは言った。
「初めての飛行訓練の授業の時には−−−」 ローズは、箒から落とされた時にスコープが助けてくれたことや、箒での上手な飛び方を教えてもらっていることを、主に父に向かって話した。
「『オーグリーが不死鳥を生む』とは、このことだな・・」
ローズの話を聞き終わると、父もそう言わざるを得なかった。
- Re: 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜 第一部 ( No.30 )
- 日時: 2013/03/24 13:33
- 名前: ウルワルス (ID: MDrIaVE2)
「うわああぁぁぁ!」
クリスマスの朝、プレゼントを開けていたスコープは、思わず悲鳴を上げた。
その原因は、父からのプレゼントにあった。包みの中から現れたのは、しなびた人間の手だったのだ。
スコープは、「手」を持って父のもとに向かった。
「父上! これは一体・・」
「それは、『輝きの手』だ。蝋燭を差し込むと、『手』を持っている者にしか見ることの出来ない灯りが点る。WWWの『インスタント煙幕』でさえ、その灯りを打ち消すことはできない。
私が12の時、お前のおじいさんに買ってもらった物だ。何かの時に役に立つかもしれないから、是非学校に持って行くといい。
それから、できればこの休暇中にお前に伝授しておきたい呪文がある。」
朝食後、スコープは父と共に庭に出た。庭にある池では、縮小呪文を解かれて本来の大きさに戻ったジェレイントが気持ちよさそうに泳いでいた。ちなみに、家の周りに他に住居はなく、しかも家全体に強力なマグル除け呪文がかけてあるため、マグルに見られる恐れはなかった。
「サーペンソーティア」
父が呪文を唱えると、杖先が炸裂し、驚いたことに大きな錦蛇が出現した。
「ヴィペラ・イヴァネスカ」
今度は、錦蛇が跡形もなく消え失せた。
「これが、マルフォイ家に伝わる秘術だ。変身術で何かを変身させるのならともかく、何もない空間から生き物を発生させ、消滅させるのはとても難しい。普通の魔法使いであれば、小鳥を発生させるのがやっとだ。
だが、マルフォイ家の者には、蛇を発生・消滅させる能力が代々備わっていた。私も1年次のクリスマス休暇に、父からこの呪文を習った。」
「サウロスも、父親から教わるのかな?」
「父は、弟のティベリウス−−つまり、サウロスの祖父だな−−は習得に失敗したと言っていた。」
「つまり、その息子のトードも、孫のサウロスも使えないということですね。」
スコープは、俄然やる気になった。
「そう言えば、アーサー王の息子モルドレッドも、自在に大蛇を出したり消したりできたそうですね* 。」
「そうなのか?」
「歴史の本に書いてありました。」
「魔法史では、学年トップを取れそうかな? 友人のミス・ローズ・ウィーズリーにも勝てそうか?
学生時代、彼女の母上には試験では全教科で1度も勝てなくてね。お前には、その娘に一教科ぐらいは勝って欲しいものだ。」
「大丈夫。魔法史では誰にも負けませんよ。例えローズにでも。」
* 独自設定です。
- Re: 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜 第一部 ( No.31 )
- 日時: 2013/03/24 13:03
- 名前: ウルワルス (ID: MDrIaVE2)
西暦2017年12月26日、東アフリカ−−
深夜の森林の中を、黒いマントを羽織った1人の男が歩いている。フードを目深に被っており顔はよく見えないが、歩く様子は機敏であり、若い男であることが伺われた。
不意に男は立ち止まり、棒のような物を取り出した。
「スペシアリス・レヴェリオ」
男がそう言いつつ棒を振ると、男の頭上に張り出した木の大枝の上に、巨大な獣が姿を現した。体型は豹に似ているが、豹よりずっと大きく体長は4メートルほどもあり、毛色は銀灰色だった。
その獣は、低い唸り声を上げると、樹上から男に向かって飛びかかった。しかし男は、人間離れした身のこなしで獣をかわした。その際にフードが外れ、ブロンドの頭髪と端正な顔立ちが顕わになった。男は、手に持つ棒のような物を獣に向けた。
「ステューピファイ!」
男がそう言うと棒の先から赤い閃光が閃き、獣を直撃した。さしもの巨大な獣も、10メートル余り後方に吹っ飛んだ。それでも獣は、恐ろしい唸り声を発しながら何とか起き上がった。そして、現れた時と同様に唐突に姿を消した。
だが男にまったく慌てた様子はなかった。「レヴェリオ」と言いながら棒を振ると、再び獣の姿が現れた。獣は今にも男を鋭い爪で引き裂こうとしているところだったが、男が先程のように棒から赤い閃光を放つと、やはり後方に吹っ飛んだ。
獣は、かなり弱っているようだった。男は倒れた獣に棒の先を向け、言った。
「ベルレディウム(Beruledium)」
獣の動きがしばらく止まった。そして不意に起き上がり、犬が「おすわり」をするかのような体勢をとった。
*
クリスマス休暇はあっという間に終わった。1月1日の朝、スコープはホグワーツ特急に乗り込み、アルバスとローズを探した。2人がいるコンパートメントはじきに見つかった。まだ入ったばかりなのか、扉は閉められていなかった。不意にスコープは、新年の余興として2人を驚かせてやろうという気になった。
「サーペンソーティア(蛇出でよ)」
スコープは2人に見つからないようコンパートメントの陰に隠れて杖を取り出し、父から習得したばかりの呪文を小声で唱えた。杖先からヨーロッパヤマカガシが現れ、するするとコンパートメントの中に入っていった。
「ヤドヴィガ、一体どうしたんだ?」
アルバスは、ペットの梟・ヤドヴィガが急に籠の中でばたばたと暴れ始めたので、怪訝に思った。
「見て、蛇よ。」 ローズが言った。「スリザリンの連中の仕業じゃないかしら。」
「どうする? 当然ここから出さなきゃならないけど、できれば触りたくないな。」
「『浮遊術』を使えば、その点は問題ないわ。だけど、通路に出すっていうのもどうかと思う。誰かが気付かずに踏んづけたりしたら、その人は噛まれるかもしれないわよ。毒があったら大変でしょ?」
アルバスもローズもまったく驚いた様子がないので、スコープは拍子抜けした。しかしどうやら、蛇をどう処理するのか決めかねているようだ。ここで自分が登場し、蛇を跡形もなく消したなら、2人とも驚くに違いない。生き物を消滅させるのはとても難しいことだと、父上もおっしゃっていたことだし・・
「僕なら、その蛇を跡形もなく消すことができる。」
スコープはアルバスとローズの前に姿を現し、言った。
「やあ、スコープ。Happy new year」 アルバスが言った。
「新年おめでとう。」 ローズが言った。
「それから・・」 ローズは、何故か顔を赤らめた。
「プレゼント、ありがとう。とても嬉しかったわ・・」
「こちらこそ。君が贈ってくれた『イエス〜マグルに捧げたその生涯〜』は、とても面白かったよ。
では、蛇を消すとしようか。」
「どうやって? 『生命体消失術』は、とても難しいのよ。」 ローズが言った。「確か、学校で習うのは6年次だったはず・・」
「まあ、見てなよ。
ヴィペラ・イヴァネスカ(蛇よ、消えよ)」
スコープの宣言通り、蛇は消え失せた。
「すごいじゃないか。ローズでも使えない呪文を使えるなんて。」 アルバスが言った。
「どうやって習得したの!?」 さすがにローズも驚いたようだ。
「父上が休暇中に教えてくださった。何でも、マルフォイ家に伝わる秘術だそうだよ。」
「私に教えてくれる? それとも、『秘術』ということは、余所者が習得しては駄目なのかしら。」
「別に問題ないと思うよ。蛇を出したり消したり出来るからといって、それが秘匿するほどのことだとは思えないし。」
「『出したり』ってことは、蛇をつくり出すこともできるんだね。さっきの蛇も、君の仕業かい?」 アルバスが言った。
「ああ。『新年の余興』のつもりだった。」
「『生命体生成術』も使えるの!?」 ローズは、スコープに尊敬の眼差しを向けた。
「是非ご教授をお願いしたいわ。」
「『生命体』といっても、蛇に限るけどね。」
スコープは、さすがに照れた。
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