二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜
- 日時: 2016/05/10 22:19
- 名前: ウルワルス (ID: LF8j4K3p)
〜第一部〜 目次
主要登場人物紹介 >>01
第1章 初めての友達 >>02 >>03 >>04
第2章 組分け >>05 >>06 >>07 >>08 >>09
第3章 魔法史と いも虫 >>10 >>11
第4章 ハグリッドの小屋にて >>12 >>13
第5章 飛翔 >>15 >>16 >>18
第6章 クィディッチ >>19 >>20 >>21
第7章 クリスマス休暇 >>22 >>23 >>24 >>25 >>26 >>27 >>28 >>29
第8章 蛇と蠍 >>30 >>31 >>32 >>33 >>34
第9章 禁じられた森 >>35 >>36 >>37
第10章 序曲終了 >>38
あとがき >>39
第二部 >>40
第三部 >>153
訂正>>132 >>135 >>136 >>145
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- Re: 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜 ( No.118 )
- 日時: 2013/09/01 15:59
- 名前: ウルワルス (ID: giYvI9uD)
昼食を済ませた後、子供達は決闘の練習に興じた(カムラン平原は強力な保護呪文によりマグルの目から隠されているので、思う存分魔法が使えた)。やはりジェームズが断トツに強かったが、スコープにはローズの調子が悪すぎるように思えた。ローズは、決闘を得意とするポッター兄弟はおろか、スコープ、アイサムにも勝つことが出来ないでいた。そういえば、彼女は今朝からどこか具合が悪そうだった。
スコープとの3度目の対戦の際、ローズは突然杖を取り落とし、地面に膝をついた。
「大丈夫かい!?」
スコープはローズに駆け寄った。彼女は わなわなと震えており、両眼から赤い光を放っていた。
「駄目・・」
ローズが呟いた。
「ローズ!?」
「スコープは、私の大切な・・」
そこまで言いかけて、突然ローズの表情が消えた。彼女は杖を拾い、ゆっくりと立ち上がった。
「一体どうしたの?」
それまで子供達を見守っていたウィーズリー女史が近付いてきた。しかしローズは母に応えることもせず、ゆっくりとスコープの胸に杖を突きつけた。
「ローズ、一体何を・・」
スコープは言いかけた。
「アヴァダ・ケダヴラ(息絶えよ)」
ローズは機械的な口調で「死の呪文」を唱え、同時にウィーズリー女史が無言で「武装解除呪文」を唱えた。ローズの杖は宙に飛んだが、杖先からは そのまま緑色の閃光が発射された。閃光は地面に当たり、その部分だけ芝草が枯れた。
ローズは僅かな間棒立ちになっていたが、不意に仰向けに倒れ込んだ。
「ローズ、どうして僕を・・」
スコープは今の出来事が信じられず、倒れているローズを見つめるばかりだった。その間にもウィーズリー女史は娘の状態を調べ、一方、ただならぬ気配を感じた親達とナターシャ、リリー、ヒューゴが集まってきた。
「ハーミー伯母さん。ローズは大丈夫なの?」
アルバスがウィーズリー女史に尋ねた。
「ええ。気を失っているだけ。」
女史は答えた。
「だけど、何故あんなことをしたのかは分からないわ。『服従の呪文』あたりをかけられていたとしか思えないけど・・」
「実は、学校で・・・」
アルバスは、ローズが飛行訓練場で倒れていたこと、目を覚ました直後に無意識のうちに奇妙な行動をとったことを話した。
「それは、まーるで・・」
アイサムが英語で言いかけたが、上手く言えなかった。
「スコープ、通訳してくれる?」
アイサムに頼まれ、半ば上の空でアルバスの話を聞いていたスコープは、彼の言葉をフランス語から英語へと訳していった。
- Re: 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜 ( No.119 )
- 日時: 2013/09/01 17:03
- 名前: ウルワルス (ID: giYvI9uD)
「それはまるで、僕が小さい頃に母から聞いた昔話みたいです。」
スコープは通訳した。
「その話は、母がタンザニア出身である祖母から聞いたものらしいんですけど、祖母が住んでいた村は、何百年も前に恐ろしい怪物に襲われたんだそうです。」
「ホグワーツと同じだ。ホグワーツでも『透明な怪物』が彷徨いてる。」
ジェームズが口を挟んだ。
「その怪物は、直接人を攻撃するだけでなく、誰かに取り憑くことで当人や周囲の人々に害を及ぼすことがあったといいます。」
スコープは続けて通訳した。
「取り憑かれた人は、ローズがそうだったように、自分にとって大切な人であっても傷付けようとしたそうです。しばしば獣のように四つん這いで歩いたとも聞きました。」
アイサムの次の言葉を訳す時、スコープは悪寒が走るのを感じた。
「取り憑かれた人の多くは、衰弱した挙げ句取り殺されてしまったといいます。」
「その怪物は結局どうなったんだ?」
ジェームズが尋ねた。
「『イグノトゥペル』という偉い魔法使いに退治されたそうだよ。」
スコープはアイサムの答えを伝えた。
- Re: 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜 ( No.122 )
- 日時: 2013/09/14 18:15
- 名前: ウルワルス (ID: giYvI9uD)
第20章 温故知新
ロナルド・ウィーズリー氏が気を失ったままのローズを、「付き添い姿眩まし」で聖マンゴ病院に運んだ。スコープも、ウィーズリー女史とヒューゴと共に聖マンゴに向かった。
聖マンゴの癒者は、ローズの行動の原因を突き止めることが出来なかった。そのことは、アイサムが語った昔話の信憑性を裏付けているようにスコープには思えた。
ローズが目を覚ましたのは、その日の夜だった。彼女はスコープを殺そうとしたことを覚えておらず、母親からそのことを聞かされて愕然としていた。
「本当なの・・?」
ローズは泣きそうな顔でスコープに問いかけたが、スコープは答えることが出来なかった。
「提案があるんだが・・」
ウィーズリー氏が言った。
「スコープ。君はローズが治るまで、ローズに近付かない方がいいんじゃないのか? また昼間のようなことがあったら・・。
まあ、どのみち君は明日ボーバトンに戻るわけだから、私が提案するまでもないと思うが・・」
父親の言葉を聞いて、ローズはうつむいた。スコープはローズに、毎週末には父か母にボーバトンの校門から「付き添い姿現し」してもらってブリテンに帰り*、彼女に会いに行く、と約束していた。
「ローズから離れるつもりはありません。」
スコープはきっぱりと言い切り、ローズとの約束にも言及した。
アイサムが語った昔話の、「怪物に取り憑かれた人の多くは、最後には取り殺された」という部分が、スコープの心に引っかかっていた。もしローズが程なくして死ぬ運命にあるのなら、危険を冒すことになろうと、少しでも長い時間を彼女と共に過ごしたかった。
「スコープ・・」
ローズから離れるつもりはないというスコープの言葉を聞いて、彼女は目頭を拭った。ウィーズリー夫妻も深く感じ入った様子だった。ただ、こんな時だというのにヒューゴがにやけていることが、スコープには気になった。
* 姿現しするのはボーバトン・パリ間。パリ・ロンドン間はポートシステムを使用。
ポートシステムは各国の主要都市に設置されている。
- Re: 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜 ( No.125 )
- 日時: 2014/03/14 16:08
- 名前: ウルワルス (ID: K.HEaMnc)
約束通り、スコープは毎週金曜日の夜にブリテンに帰り、土・日曜日はローズと共に過ごした。入院したところで意味があるとは思われなかったため、ローズは自宅に戻っていた。
ウィーズリー家を訪ねるのは、スコープにとって初めてのことだった。マルフォイ邸やグリモールド・プレイスのポッター邸のような大規模な屋敷ではなかったが、ウィーズリー家も快適な住居といえた。特にスコープの関心を惹き付けたのは、TVやPC、自動車のようなマグルの利器だった。イースター休暇明けに、ボーバトンでは3年次からの選択教科を決定するよう通達があったが、スコープは迷わず「マグル学」を選んだ。
ローズは、ホグワーツの閉鎖が解かれなかった場合に9月からボーバトンに編入できるよう、平日は自分で勉強を進めているとのことだった。スコープが、ボーバトンで出された宿題の分からない箇所について質問した時も、難なく教えてくれた。
とはいえ、ローズは次第に衰弱しつつあるようだった。5月の下旬には、ベッドから離れて歩くこともままならなくなっていた。
6月の第一土曜日、スコープはローズの部屋で学年末試験に備えて勉強していた。ウィーズリー夫妻は、ヒューゴが通っているマグルの初等学校に行っており(土曜参観だとのことだった)、留守だった。
ローズもホグワーツに入学するまでは同じ初等学校に通っていたそうなので、スコープはマグルの学校について色々と訊きたかったが、彼女の具合がこれまでになく悪そうであるため、訊きそびれていた。
「スコープ・・」
それまでベッドの上で上体を起こしたままぐったりしていたローズが、不意に言葉を発した。彼女に目を向け、スコープは戦慄を覚えた。彼女の両眼が、あの禍々しい赤い光を発していた。
「早く私から離れて・・・。このままじゃ、あなたのことを・・・」
「君から離れたりするものか。」
一時の戦慄の後、スコープは自分でも驚くほど冷静になっていた。同時に、何故か
『最初から、僕が週末だけでも会いに行っていたなら、ローズはこんな目に遭わずに済んだかもしれない。』
という気がしてならなかった。
「君が苦しんでいるというのに・・」
スコープはローズに身を寄せ、彼女の手を握りしめた。
「スコープ・・駄目・・逃げて・・」
彼女は身を震わせながら言った。まるで、頭の中に巣くう何かと闘っているかのようだった。
不意に、カムランで見たのと同じように、ローズは無表情になった。さらに彼女は、ベッドの端に腰掛けていたスコープを押し出すようにして覆い被さってきた。スコープはベッドから落ち、後半身が床に打ちつけられた。
- Re: 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜 ( No.126 )
- 日時: 2014/03/14 16:17
- 名前: ウルワルス (ID: K.HEaMnc)
ローズは、無表情なままスコープの腰のあたりに馬乗りになっていた。彼女はスコープの喉に爪を立てたが、むしろ彼は股間が圧迫されるのを強く感じた。
「!?」
こんな時だというのに、スコープは訳の分からない快感に襲われた。何が起こっているのかは分からないが、股間のあたりが窮屈になり、そして・・・
「やってしまった・・。僕は赤ん坊同然だ・・」
スコープは恥辱の余り、一時的に馬乗りになっているローズのことさえ忘れた。もうじき13になるというのに、「お漏らし」してしまうなんて・・
「スコープ・・」
ローズの声が聞こえ、スコープは はっとした。彼女は既にスコープの上をどいていた。
「私の頭の中で、何かが命令してた・・・あなたを殺すようにって・・・私はもう少しで完全に押さえ込まれてしまうところだったけど、その・・」
ローズは真っ赤になりながら続けた。
「私の下にあなたを感じた時・・」
非常に曖昧な表現だったが、今のスコープにはよく理解できた。あの時、自分はまさに「自分の上にローズを感じて」いた。
「何故か、頭の中の声が弱まったの・・それとも、私の意志が強まったのかしら・・ともかく、私は戻ってこれた・・」
言い終わると同時に、ローズは気を失った。
*
ウィーズリー夫妻とヒューゴが帰ってきた時も、ローズは気を失ったままだった。その息遣いは苦しげで、顔はやつれて見えた。
スコープは何があったかを説明した。無論、「お漏らし」したことは省略したが。
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