二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜
- 日時: 2016/05/10 22:19
- 名前: ウルワルス (ID: LF8j4K3p)
〜第一部〜 目次
主要登場人物紹介 >>01
第1章 初めての友達 >>02 >>03 >>04
第2章 組分け >>05 >>06 >>07 >>08 >>09
第3章 魔法史と いも虫 >>10 >>11
第4章 ハグリッドの小屋にて >>12 >>13
第5章 飛翔 >>15 >>16 >>18
第6章 クィディッチ >>19 >>20 >>21
第7章 クリスマス休暇 >>22 >>23 >>24 >>25 >>26 >>27 >>28 >>29
第8章 蛇と蠍 >>30 >>31 >>32 >>33 >>34
第9章 禁じられた森 >>35 >>36 >>37
第10章 序曲終了 >>38
あとがき >>39
第二部 >>40
第三部 >>153
訂正>>132 >>135 >>136 >>145
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- Re: 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜 第一部 ( No.7 )
- 日時: 2012/09/02 15:02
- 名前: ウルワルス (ID: AzyLAkTK)
「分かったかい? 僕達の親と君の母親とでは、血統が違うんだよ。」サウロスが言った。
「それにしても、『穢れた血』を娶るなんて、君の父親はどうかしている。もっとも、昔からウィーズリー家には妙な連中が多かったらしいねえ・・」
「さっきから私の家族を馬鹿にして! いい加減にしなさい!」
サウロスは馬鹿にするように笑ったが、次の瞬間、彼の笑いは凍り付いた。ローズが素早く杖を抜き、サウロスの鼻先に突きつけていた。数人の女子生徒が悲鳴を上げた。
「あんたの鼻をいぼだらけにするくらいのことは、できると思うわ。」
サウロスは「ヒッ・・」と、情けない声を発した。サウロスが怯える様子を見て、スコープは溜飲が下がる思いだった。同時に、ローズのことを少し見直した。
「組分け儀式がまもなく始まる。」ロングボトム先生が戻ってきた。ローズは慌てて杖をしまった。
「一列になって、ついてきて。」スコープ達4人は、フランク、スコープ、アルバス、ローズの順に並んだ。1年生達は玄関ホールに戻り、二重扉を通って大広間に入った。
ロングボトム先生は先生達が座っている上座のテーブルのところまで1年生を引率し、4つの長テーブルに着いている上級生の方に顔を向ける格好で並ばせた。1年生の前にはボロボロのとんがり帽子が置かれていた。
不意に、帽子は歌い出した。
「僕はきっとグリフィンドールに入れないよ。」帽子がグリフィンドール生の資質について歌っているとき、アルバスは小声でスコープに囁いた。「『勇猛果敢な騎士道』なんて、僕には無理だ・・」
「大丈夫、君は充分勇敢だよ。自分よりだいぶ背が高いヴァレンティンを前にしても、怯まなかったじゃないか。」スコープは励ました。
「静かにしなさいよ。」ローズが小声で言った。
歌が終わると、ロングボトム先生が長い羊皮紙の巻紙を手にして進み出た。「ABC順に名前を呼ばれたら、椅子に座って帽子をかぶってください。」
ついに組分けが始まった。
「アンダーソン、ラウル!」
茶髪の少年が前に出てきて帽子をかぶった。5秒ほどして帽子は叫んだ。「グリフィンドール!」
組分けは進み、スコープの番が近づいてきた。
「レストレンジ、ヴァレンティン!」
「スリザリン!」
ヴァレンティンがスリザリン・テーブルに近付いていくと、スリザリンの女子生徒の一部がキャーキャー言い、ヴァレンティンは彼女らに対し優雅な微笑を以て応えた。11歳にしては大人びた風貌のヴァレンティンは、上級生から見ても魅力的なようだった。
「ロングボトム、フランク!」
「グリフィンドール!」フランクは父に向かってガッツポーズをし、ロングボトム先生も笑顔で応じた。
「マクミラン、ジュリアン!」
「ハッフルパフ!」
「マルフォイ、サウロス!」
サウロスは名前を呼ばれるとふんぞり返って前に進み出た。
「スリザリン!」サウロスは満足げにヴァレンティンの隣の席に着いた。
「マルフォイ、スコーピウス!」
スコープは特に緊張もせずに前に進み出た。どこに入れられるかは明らかだったからだ。スコープが帽子をかぶるやいなや、帽子は高らかに叫んだ。
「グリフィンドール!」
- Re: 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜 第一部 ( No.8 )
- 日時: 2013/01/14 14:41
- 名前: ウルワルス (ID: e22GBZXR)
大広間はしんとなった。拍手しかけたフランクも、周りの空気を読んでやめた。
マルフォイ家は何百年もの間スリザリン生を輩出しており、教師も上級生の多くもそのことを知っていた。彼らの多くは、組分け帽子が「老いて耄碌した」のではないかと思わざるをえなかった。
不意に、グリフィンドール・テーブルから2発の花火が打ち上がり、火花で描かれた"Welcome into Gryffindor!"という文字が空中に現れた。 そして、2人の少年が自分の椅子の上に立った。
「どうしてみんな拍手しないんだ?」そのうちの1人で、ビクトワールに似たところがあるシルバーブロンドの少年が言った。
「グリフィンドールは、『勇気ある者が集う寮』だ。」もう1人の、アルバスによく似た黒髪の少年が言った。「どこの家の出身かなんて、関係ないだろう?」
不意に、小さな拍手が生じた。
「よく言ってくれたわ。ルイス、ジェームズ。」ビクトワールだった。「グリフィンドールへようこそ。スコーピウス。」
これを合図に、グリフィンドール・テーブルから盛大な拍手が湧き起こった。
呆然としていたスコープは、ほっとしてテーブルに向かって歩き出した。『いい雰囲気じゃないか、グリフィンドールって。』
「ミスター・マルフォイ。帽子をかぶったままだよ。」ロングボトム先生の声がとんだ。
組分けが再開された。
「ノット、マヌイル!」
「スリザリン!」
「パラックス、アーノルド!」
「レイブンクロー!」
「ポッター、アルバス!」
アルバスがやや青い顔をして進み出た。
「ポッターだって?」
「ハリー・ポッターの息子さん?」
「ジェームズ、君の弟だよな?」
上級生達はひそひそ話し始めた。
「アル! グリフィンドールに入れなかったらどうなるか、分かってるだろうな!」
ジェームズと呼ばれた、先程真っ先にスコープを歓迎してくれた黒髪の少年が野次を飛ばした。
アルバスの心配は結局杞憂に終わった。
「グリフィンドール!」
帽子は高らかに叫び、盛大な拍手の中をアルバスはテーブルに進んで、スコープの隣に座った。
「やったな、スコープ、フランク! 3人ともグリフィンドールだ!」アルバスは先程までとは打って変わって、喜色満面で言った。
やがて、まだ組分けがすんでいないのは、ローズと、黒人の少年だけになった。
「ウィーズリー、ローズ!」ローズは待ちきれないようにグイッと帽子をかぶった。
「グリフィンドール!」
最後に名前を呼ばれた黒人の少年アローズ・ザビニはスリザリンに決まり、組分けは終わった。
「新入生諸君、はじめまして。ホグワーツ校長のフィリウス・フリットウィックです。」上座のテーブルから小さな老人が立ち上がった。
「上級生諸君、お帰り。君達の元気な顔を今学期もこうして見ることができるのは、この上ない喜びであります。
さて、諸君もご存じの通り、『闇の魔術に対する防衛術』担当のブラウドフット先生は、先学期で引退された。今学期から我がホグワーツは新しい先生をお迎えすることになる。
ご紹介しよう。アダルベルト・ルーデンベルク先生です!」
生徒達から見てテーブルの右端で、ブロンドの青年が立ち上がり、頭を下げた。
ルーデンベルク先生は非常にハンサムな顔立ちをしており、上級生の女子の一部が騒ぎ始めた。だが、スコープは彼を見たとたん、戦慄を覚えた。まるで、蛇を前にした蛙になったような気分だった。なぜそのように感じるのかは、まったく分からなかった。
「ルーデンベルク先生はドイツの出身で、この夏にダームストラング専門学校を首席で卒業されました。」フリットウィック先生が紹介を続けている。「母校ダームストラングを始め、ドイツやロシアの魔法省など、就職先は引く手あまただったのですが、長い歴史と伝統を誇り、アルバス・ダンブルドアやハリー・ポッターなど偉大な魔法使いを輩出したこのホグワーツで教鞭を執ることを、ご決断なさったのです。」
盛大な拍手が起こった。
拍手がおさまるのを待って、フリットウィック先生は言った。「では諸君、好きなだけ『かっこみ』なさい!」
たちまち各テーブルの上の大皿が食べ物でいっぱいになり、歓迎会が始まった。
- Re: 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜 第一部 ( No.9 )
- 日時: 2012/09/02 18:02
- 名前: ウルワルス (ID: AzyLAkTK)
だが、スコープが最初の一口を食べようとしたとき、不意に一筋の光が大広間の端から端までを、目の眩むような明るさで満たした。そして、広間の二重扉がゆっくりと自然に開き、半透明の覆いがかかった大きなカップのようなものが、神々しいと形容するしかない光を放ちながら広間の空中を進んできた。カップはグリフィンドールのテーブルの上を進み、スコープの前に来ると、何故か5秒間ほど静止した。
それからカップは再び進み出し、教職員テーブルを通り越し、広間の突き当たりまで進むと、唐突に消え失せた。カップが大広間にある間、誰もが おし になったように口を利くことができなかった。
「ジェームズ、ルイス。今のは君達の『余興』かい?」2年生の誰かが言った。
「・・違う。いくら僕達でも、あんなことできるもんか。」ジェームズが言った。「先生方じゃないんですか?」
「いいや。こんなことは予定していなかった。」フリットウィック先生が答えた。「そもそも、あのような状況を作り出せるほどの魔法の使い手は、この私も含めて先生方の中にもいないだろう・・」他の先生達もうなずいた。
「しかし、闇の魔術でないことは確かです。」ルーデンベルクが言った。「歓迎会を再開してもよろしいのでは?」
「・・そうですな。」フリットウィック先生も気を取り直して言った。「ではもう一度。諸君、好きなだけかっこみなさい!」
生徒達も再び食べ始めた。
「でも、不思議だな。どうしてあのカップはスコープの前で止まったんだろう?」アルバスが言った。
「さあ、何でだろうね・・」
答えながらも、スコープは誰かの強い視線を感じ、上座の方を見やった。ルーデンベルクが非常な興味をたたえてスコープを注視していた。まるで、獲物を見つけたドラゴンを思わせた。スコープは再び体中に戦慄が走るのを感じた。
- 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜 ( No.10 )
- 日時: 2014/04/01 13:01
- 名前: ウルワルス (ID: BgA0tTDI)
第3章 魔法史と いも虫
語句紹介
・イエス
紀元前後に生きたユダヤ人魔法使い。
魔法を使って貧しいマグルに救いをもたらしたが、彼らはイエスが意図しなかったにも関わらず彼の周りに集まり、救世主として崇めるようになった。そのためユダヤ教の祭司や立法学者に敵視され、処刑された。
逃げようと思えば魔法を使って逃げることもできたのだが、彼には誰かの上に立って指導者になるつもりはない以上、生き続けても貧民達に無駄な希望を抱かせるだけだと考え、死を受け入れた。
しかしイエスの意図とは裏腹に、マグルはその死後も彼を崇拝し続け、「キリスト教」を旗印に、異教徒に対する虐殺・奴隷化などを行ってきた。
・アーサー・ペンドラゴン
5世紀後半から6世紀初めにかけてブリテンを統治した魔法族の王。
魔法界だけでなくマグル界にも君臨し、両界に平和をもたらした。しかし、マグルは魔法族に隷属すべきだと考える息子モルドレッドと対立し、538年の「カムランの戦い」でモルドレッドと相討ちになり、戦死。彼の死後、ブリテン魔法界に王が立つことは2度となかった。また、それ以後魔法界とマグル界は徐々に疎遠になっていった。
一部の者達は、今でもアーサー王の末裔が生きており、彼によって魔法界とマグル界は再統一されるであろうと、信じている。
・ジャンヌ・ダルク
15世紀前半に生きたフランスの魔女。
「元気が出る呪文」(原作第3巻を参照)の達人で、この呪文を使ってフランス軍の士気を高め、英仏百年戦争をフランスの勝利へと導いた。
歓迎会の翌日から早速授業が始まった。
1・2時限目は、ルーデンベルク先生が担当する「闇の魔術に対する防衛術」だった。スコープは前日のこともあってあまり気が進まなかったが、何事もなく授業は終わった。
3・4時限目は、スコープが楽しみにしていた魔法史だった。しかし、授業はおそろしく退屈だった。
『全部知ってることじゃないか。こんな初歩的な内容だなんて・・・』
周りを見ると、他の生徒は皆眠たそうにぼうっとしていた。授業の内容がこれでは、それも当然だとスコープは思った。
スコープはこれ以上授業を聞く気にならず、参考になるかもしれないと思って教科書と一緒に持ってきていた『魔法族とマグルの交流の歴史』という本を、暇潰しに読み始めた。
「スコーピウス、今は授業中よ。ちゃんと先生の話を聞いて、ノートをとりなさい。」
いくらも読み進まないうちに、隣で放心状態になっているアルバスの横から、ローズが小声で注意してきた。ローズは他の生徒とは違い、ちゃんと先生の話を聞いてノートをとっているようだった。
『ということは、この授業の内容はみんなにとって必ずしも既知のことではないのか?』
もう一度周りをよく見てみると、皆時折はっとしたように放心状態から覚め、急いで黒板に書かれた人名・地名や年号を写し取っていることが分かった。どうやら、授業の内容が初歩的なのではなく、スコープの知識が深すぎるだけのことらしい。スコープは何だかいい気分になった。
「私の言うことが聞こえなかったの? さっさとノートをとりなさいよ。」再びローズが言った。
「その必要はないよ。全部知ってることだから。」スコープは小声で答えた。もっとも、魔法史担当のビンズ先生の様子からすると、小声になる必要もなさそうだった。
「魔法史の授業は今日が初めてなのに、何を言っているの!?」
スコープは、答えるのも面倒になってきた。サウロスに対して杖を突きつけた時は気骨のある子だと思ったが、今となってはやはり、お節介なガミガミ屋としか思えなかった。
「君のそのお節介、どうにかならないのかい?」スコープは辛辣な口調で言った。
「何よ、その言い方! 後でノートを写させてくれと言っても、見せてあげないから!」
ちょうど放心状態から覚めたアルバスが、自分の両隣で口論が発生していることに気づき、困ったように2人の顔を交互に見やった。
「全部知ってるって言っただろう? 仮に知らなかったとしても、君に頼んだりするものか。」
スコープはそう言い放つと、再び読書に戻っていった。
- 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜 ( No.11 )
- 日時: 2014/04/01 13:09
- 名前: ウルワルス (ID: BgA0tTDI)
「またローズと喧嘩したのかい?」
4時限目が終わって、魔法史の教室から昼食のため大広間に向かう途中で、アルバスがスコープに言った。
「あいつが僕を見下してお節介を焼くからだよ。」スコープは答えた。
「君は今日の魔法史の授業内容を全部知ってることだって言ってたけど、本当かい?」
「僕は日頃から歴史の本をよく読んでるからね。なんなら、試してみるかい? 魔法史の教科書のいちばん後ろに年表があるから、そこから問題を出してみて。」
アルバスは歩きながら教科書を開き、問題を出した。
「西暦30年に起こった出来事は?」
「イエスの処刑。」スコープは即答した。
「538年に起こった出来事は?」
「カムランの戦い、及びアーサー・ペンドラゴンの死。」
「1429年。」
「ジャンヌ・ダルクの初陣。」
「1689年。」
「国際機密保持法の制定。」
「1945年。」
「アルバス・ダンブルドアとゲラート・グリンデルバルドの決闘。」
「すごいや。」アルバスは感心して言った。「ローズが聞いたら、きっと君のことを見直すよ。」
午後の2時限は、変身術だった。魔法史の授業とは打って変わって、とても難しかった。
まず最初にさんざん複雑なノートをとらされたが、スコープはよく理解できなかった。その後でマッチ棒を針に変える練習が始まった。
どれだけ杖を振って呪文を唱えても、スコープのマッチ棒はまったく変化しなかったが、他の生徒も同じような状態だったので、スコープは少し安心した。
「おお、素晴らしい! グリフィンドールに10点!」
突然、変身術担当のアンソニー・ゴールドスタイン先生が感心したように言った。
「皆さん、この針をご覧なさい。 ミス・ウィーズリーが変身させた物です。」
先生はローズが変身させた針を皆が見ることができるように、皆の机の上を順々に回した。確かに、マッチ棒は完璧に針に変わっていた。針が皆の机の上を回っている間の、ローズの得意げな顔といったらなかった。
練習が再開されたが、相変わらずスコープのマッチ棒には何の変化もなかった。スコープは次第にいらいらしてきた。
「cambire(変われ)!」スコープは乱暴な口調で呪文を唱え、乱暴に杖を振った。
ついにマッチ棒は変身した。ただし針にではなく、何故か10センチほどもある巨大ないも虫に・・。
巨大いも虫はスコープに向かって、いも虫のくせに跳躍した。
「うわあぁぁぁぁぁぁ!!」スコープは悲鳴を上げて床に倒れ込み、必死で後ずさった。いも虫はくねくねと身をよじらせながらおそろしい速さでスコープに接近し、靴にとりつき、さらに脚を伝って這い上がってきた。
「ひいぃぃっ!」スコープは再び悲鳴を上げ、近くにいた誰かの脚にしがみついた。
スコープはいも虫が大の苦手だった。
スコープが4歳の時に、親戚の集まりのためサウロスの父トード・マルフォイの屋敷を家族で訪れたことがあった。その時の食事の席で、息子にせがまれたトード・マルフォイが、スコープのマカロニグラタンに変身術をかけ、マカロニをいも虫に変えたのだった。
ただでさえ純血主義をめぐってトードと対立していた父ドラコは、この件で決定的に気分を害し、親戚の集まりには出席しなくなったが、それ以来スコープは いも虫を見ただけで非常な恐怖に襲われるようになった。
「フィニート!」
ゴールドスタイン先生が呪文を唱え、いも虫はマッチ棒に戻った。
「ちょっと。いつまでしがみついてるつもり!?」
かなり険悪な声がした。なんと、スコープがしがみついていたのは、よりにもよってローズの脚だった・・。
「ご、ごめん・・!」
スコープは慌ててローズから離れ、立ち上がった。
「まったく。馬鹿で、情緒不安定で、本当にどうしようもない『お子ちゃま』だわね? スコーピウス。」ローズが嘲るように言った。
スコープは頭に血が上るのを感じた。サウロスやヴァレンティン以外の人間を、ここまで憎いと思ったことはなかった。
「ローズ。君、感じ悪すぎだよ! スコープに謝れ!」アルバスが咎めた。
「あら、どうして私がこんな子に謝らないといけないの!? それより、アル。こんな子と仲良くするのはやめた方がいいわよ。悪影響を受けてしまうわ。」
「口論はそこまで! 授業中だぞ。」ゴールドスタイン先生が言った。
「ミス・ウィーズリー。先程の君の発言は辛辣すぎる。相手の気持ちも考えたまえ。勉強ができることだけがすべてではないんだよ。」
ローズは、注意されたのはあんたのせいだと言わんばかりに、スコープを睨み付けた。
「気にするなよ、スコープ。」アルバスは、すっかり意気消沈してしまったスコープに言った。
「誰にでも苦手なものはあるし、初めてのことで失敗するのも、誰にでもありうることさ。」
「今の発言は素晴らしいね、ミスター・ポッター。グリフィンドールに1点与えよう。」先生が言った。
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