二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜
- 日時: 2016/05/10 22:19
- 名前: ウルワルス (ID: LF8j4K3p)
〜第一部〜 目次
主要登場人物紹介 >>01
第1章 初めての友達 >>02 >>03 >>04
第2章 組分け >>05 >>06 >>07 >>08 >>09
第3章 魔法史と いも虫 >>10 >>11
第4章 ハグリッドの小屋にて >>12 >>13
第5章 飛翔 >>15 >>16 >>18
第6章 クィディッチ >>19 >>20 >>21
第7章 クリスマス休暇 >>22 >>23 >>24 >>25 >>26 >>27 >>28 >>29
第8章 蛇と蠍 >>30 >>31 >>32 >>33 >>34
第9章 禁じられた森 >>35 >>36 >>37
第10章 序曲終了 >>38
あとがき >>39
第二部 >>40
第三部 >>153
訂正>>132 >>135 >>136 >>145
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- 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜 ( No.2 )
- 日時: 2014/03/30 15:47
- 名前: ウルワルス (ID: BgA0tTDI)
第1章 初めての友達
登場人物紹介
ドラコ・マルフォイ
スコープの父。
学生時代は純血主義の信奉者だったが、純血主義の権化たるヴォルデモートの恐怖を身近で感じたり、純血主義とは無縁なハリー・ポッターらに命を救われたりしたことにより、改心。そのため、いまだに純血主義を信奉する親族達とは対立している。
ホグワーツ卒業後は魔法省国際魔法協力部に就職し、現在は国際魔法使い連盟ブリテン支部長を務める。
アステリア・マルフォイ
旧姓グリーングラス。スコープの母。
アナスタシア・マルフォイ
愛称ナターシャ。スコープの妹。
マルフォイ家やグリーングラス家などの純血家系は、長期にわたって血族結婚を繰り返してきたため(例えば、父ドラコと母アステリアは再従兄妹の関係でもある)、その悪影響で生まれつき病弱で、歩くことができない。ただし、外見や精神面での弊害は特に無い。魔法も使える。
サウロス・マルフォイ
ルシウスの弟ティベリウスの息子トードの息子。スコープの再従兄弟にあたる。髪はブロンド。
ヴァレンティン・レストレンジ
ベラトリックスの義弟ラバスタンの息子オーガスティンの息子。ハンサムな黒髪の少年で、女たらし。愛称ヴァリー。
マヌイル・ノット
セオドール・ノットとダフネ・グリーングラス(旧姓)の息子。痩身の茶髪の少年。スコープの従兄弟。
ビクトワール・ウィーズリー
ウィリアム・ウィーズリーとフラー・デラクール(旧姓)の娘。現在7年生。グリフィンドールに所属。首席兼監督生兼クィディッチチームのキャプテン。母似のシルバーブロンドの髪をした美女。
西暦2017年9月1日午前11時の少し前、キングズ・クロス駅の9と4分の3番線のプラットフォームは、別れを告げる魔法使いの家族で、例年通りにぎわっていた。
「では、行ってきます。」プラチナブロンドの髪に細面をした少年が、両親に別れを告げているところだった。
「体に気を付けるのよ、スコープ。」母親が言った。「それから、くれぐれも喧嘩はしないようにね。サウロスやヴァレンティンに挑発されても、相手にしてはいけませんよ。」
「できる限りそうするよ。」少年、スコーピウス・マルフォイは答えた。「だけど、あいつらは本当にむかつくんです。先日ダイアゴンで会った時も、ナターシャのことを『片端』だとか『一族の恥』だとか言ったんだ!」
ちなみにスコープの妹ナターシャは、昨夜になって急に発熱したため、今は家で屋敷しもべ妖精の看護を受けている。
「ナターシャが生まれつき歩くことができず病弱であることの原因が、自分達が信奉する純血主義にあることを、彼らも彼らの親達も理解できないのだ。」父親、ドラコ・マルフォイが言った。
「スコープ、お前はスリザリンに配属されるだろうが、できる限り他寮の生徒と仲よくしなさい。スリザリンには、『マルフォイ』の家名に惹かれて近づいてくる者達もいるだろうが、そういう連中におだてられていい気になってはいけないよ。」
「分かっています。」
「それから、もう1つ。」ここでドラコは、にやっと悪戯っぽい笑みを浮かべた。「ジェレイントのことが先生方にばれないようにするんだぞ。」
「分かってるよ。」スコープは笑い返し、列車に乗り込んだ。
スコープが乗り込んだ車両は、既に満員だった。隣の車両に行こうと扉を開けると、扉のすぐ近くの席に、親戚であり「敵」でもある3人の少年が座っていた。
「やあ、スコーピウス。」 その中の1人で、ブロンドの髪をした少年、サウロス・マルフォイが言った。「君のかわいい妹は、お兄様のお見送りに来てくれたのかい?」
「野暮なことを聞くなよ、サウロス。」 黒髪の少年、ヴァレンティン・レストレンジが言った。端正な顔に意地の悪い笑みを浮かべている。「あの虚弱体質のアナスタシアのことだ。熱でも出して、お屋敷でダウンしてることだろうよ。」
「黙れ。」 スコープは拳を握りしめた。別れ際の母の忠告は、早くも頭から消え去ろうとしていた。
「ところで、スコーピウス。僕達はサウロスから面白い話を聞いてたところなんだ。」 ひょろりとした茶髪の少年、マヌイル・ノットが言った。「スコーピウスにも聞かせてやれよ、サウロス。」
「いいとも。
これは父上から聞いた話なんだが、昔の日本のマグルの下層民の間には、「マビキ」という慣習があったそうなんだ。この「マビキ」というのは、虚弱な子が生まれると、養っても無駄だから生まれてすぐに水に浸けて窒息死させてしまうことなんだってさ−−」
その言葉が終わらないうちに、スコープはサウロスに飛びかかっていた。ヴァレンティンとマヌイルはただちにサウロスに加勢し、スコープは3対1で闘うはめになった。
- : 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜 第一部 ( No.3 )
- 日時: 2015/04/18 10:50
- 名前: ウルワルス (ID: rVkL8ucn)
車両の中ほどの席では、黒髪の少年と栗色の髪の少女とが、この様子を眺めていた。
「3対1なんてひどすぎる。止めないと・・・」少年、アルバス・ポッターが言った。一方、少女、ローズ・ウィーズリーの反応は冷ややかだった。
「入学もまだだというのに、もう喧嘩だなんて、なんて馬鹿な子達なの。あんな馬鹿な子達、放っておきましょうよ。関わり合いにならない方がいいわ。」
「だけど、このままだと、あのやられてる子は大怪我になっちゃうよ・・」
*
「喧嘩はやめなさい!」
突然車両の扉が開き、上級生らしいシルバーブロンドの髪をした美少女が入ってきた。ちょうど3人がかりでスコープを押さえつけ、殴りつけていたサウロス達は、慌ててスコープを放し、荷物を持って逃げ出した。
「あなた、大丈夫?」上級生の少女が声をかけてくれた。
「ばい、だいじょぶでつ。」スコープはなんとか立ち上がった。
「大丈夫じゃないみたいね。鼻と口から随分と出血してるわ。」
上級生は杖を取り出し、呪文を唱えた。
「エピスキー(癒えよ)」
たちまち、痛みと出血がおさまった。
「ありがとうございます。あなたは監督生なのですか?」
「まあ、そういうことね。ついでに名乗っておくと、グリフィンドールのビクトワール・ウィーズリー。」
「僕は、スコーピウス・マルフォイといいます。」
ビクトワールは少し驚いたような顔をしたが、すぐに「よろしくね、スコーピウス。」と言った。
「じゃあ、私はそろそろ次の車両に見回りに行かないと・・・。
あら、ローズにアル、そこにいたの?」ビクトワールは、車両の中ほどの席に従弟妹の姿を見つけた。
「ちょうどよかった。スコーピウス、あなたはあの子達と一緒の席に座るといいわ。あの子達も新入生だから。」
「マルフォイ君、僕の隣に座るといいよ。」アルバスが言った。
「ありがとう。」スコープは、いいやつだなと思いながら、着席した。
「そうそう、仲よくするのよ。それじゃあ。」ビクトワールは出て行った。
「僕はスコーピウス・マルフォイ。スコープと呼んでくれて構わない。よろしく。」
「僕はアルバス・ポッター。アルと呼んで。」
「ポッターだって!?」
スコープは思わず大声で言った。
「すると、君はあのハリー・ポッターの息子なのかい?」
「確かに僕の父の名前はハリーだけど、それがどうかした?」アルバスは、スコープがなぜ驚くのか分からないようだった。
「『それがどうかした?』って、ハリー・ポッターといえば、『例のあの人』を倒した英雄じゃないか!」
「『例のあの人』って、ヴォルデモートのことだよね? 確かに父さんはヴォルデモートと闘ったことがあるって言ってたけど、ヴォルデモートが死んだのは、やつが間違えて杖を反対に持ってたせいで、『死の呪文』が自分に当たったからにすぎないって言ってたよ。」
「君の父上は、強いだけじゃなくとても謙虚でもあるんだね。」スコープは感嘆して言った。
「ちょっと。」不意にローズが口をはさんだ。
「あなた達、私の存在をわすれていませんこと?」
「ごめん。・・君の名前は?」
「私はローズ・ウィーズリー。アルとは いとこの関係になるわ。」
「さっき僕を助けてくれた監督生さんもウィーズリーだったけど、親戚なのかい?」
「ええ。私の父とアルのお母さんとビクトワールのお父さんは、兄妹なの。」
「親戚仲がいいんだね。」
「それが普通だろ?」アルバスが言った。
「僕の一族はそうじゃない。さっき僕と喧嘩してたやつらは、いずれも僕の親戚なんだ。親同士仲が悪いし、それでなくともあいつらは鼻持ちならないやつだから。」
「親戚のあり方にもいろいろあるんだね。
ところで、その箱には何が入ってるんだい?」
アルバスが、スコープの膝の上に置かれ、黒い覆いがかけられた箱を指し示した。
- 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜 ( No.4 )
- 日時: 2015/04/18 10:54
- 名前: ウルワルス (ID: rVkL8ucn)
「この中には、僕のペットが入ってるんだ。」スコープは答えた。「見てみるかい?」
スコープが覆いを取り去ると、透明なケースの中に、2本の角が生えた黒っぽいトカゲのような生き物が入っているのが見えた。
「これは何?」アルバスが尋ねた。
「闘蛇だよ。日本の水辺に棲息する両生類さ。ちなみに名前はジェレイント。
3歳の誕生日に、日本に出張していた父上が、まだ卵だったこいつを買ってきてくださった。
本当は全長2メートルくらいあるんだけど、このケースにはいるよう縮小呪文をかけてあるんだ。」
「日本に出張って、君のお父さんはどんな仕事をしているの?」アルバスが訊いた。
「僕の父は魔法省の国際魔法協力部に勤めていて、今のポストは国際魔法使い連盟ブリテン支部長。」
「へえ、すごいや。何かかっこいいな。」
「あら、アル。あなたのお父さんは闇祓い局の局長なのよ。私はそっちの方がずっとかっこいいと思うわ。」不意に、再びローズが口をはさんだ。
「それから、スコーピウス。あなた、学校に持ち込んでいいペットは梟、猫、鼠、ヒキガエルだけだってことを知らないの?」
「もちろん、それは知ってるさ。」スコープは、嫌な子だと思いながら答えた。「だけど、こいつと僕は8年間ずっと一緒で、こいつは僕にとって弟みたいなものなんだ。」
「なんて情けない。あなたが言ってるのは、『今までずっと一緒だったから、お父さんお母さんと離れられない』って言うのと、同じレベルのことよ。」
「なんだと・・・」
「ローズ、言い過ぎだよ!」アルバスが諫めた。「初めての友達なのに!」
「私はこんな子、友達として認めないわ!」
「それはこっちの台詞だ!」スコープも言い返した。
「私はこれからビクトワールのところに行って、覚えた呪文をテストしてもらいに行くわ。スコーピウス、あなたもそんなトカゲもどきを見せびらかしてる暇があったら、基本呪文集でも読んでみたらどう!?」
ローズはさっさと荷物をまとめて、出て行った。
「何なんだ、あいつ。」スコープは憤慨して言った。「僕はあいつに対して礼を失した覚えはないのに、あんなことを・・・」
「ローズは悪いやつじゃないんだけど、少々規則を重視しすぎる傾向があってね。」アルバスが苦笑しながら言った。
登場事物紹介
闘蛇(とうだ)
日本の綺麗な川や湖に棲息する両生類。頭部に2本の角を持つ。泳ぐのも走るのも速い。表皮は黒っぽく、主食は魚類。成体は全長2メートルを超える。
前近代においては日本の魔法使いの乗り物であり、また、角や表皮が魔法薬の材料となるため、魔法生物に指定されている。
角をつかまれると、馴れていない場合でも従順になる。
- Re: 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜 第一部 ( No.5 )
- 日時: 2012/09/02 11:36
- 名前: ウルワルス (ID: AzyLAkTK)
第2章 組分け
新登場人物紹介
フランク・ロングボトム
ネビルとハンナ(旧姓アボット)の息子。スコープと同学年。
父から薬草学の才能を受け継いでいるが、父とは違って他の教科もある程度でき、飛行も上手い。
ジェームズ・シリウス・ポッター
アルバスの兄。現在2年生で、グリフィンドールに所属。黒髪で、目は茶色。
祖父ジェームズを思わせる天才児で、成績優秀、飛行も抜群に上手い。明るくひょうきんな性格。
ルイス・ウィーズリー
ウィリアムとフラーの息子。ビクトワールの弟。現在グリフィンドールの2年生。髪はシルバーブロンド。
明るくひょうきんな性格で、同年の従兄弟ジェームズと仲がよく、彼とのコンビは1世代前の「ジョージ-フレッド」コンビ、2世代前の「ジェームズ-シリウス」コンビと同じ立ち位置にある。
「ねえ、スコープ。」昼食の途中で、アルバスが尋ねた。「君は、どこの寮に配属されると思う?」
「僕は、スリザリンだろうな。マルフォイ家は代々スリザリンだから。」
「そうか。君がスリザリンなら、僕もスリザリンでいいな。」
「何言ってるんだよ。君はあのハリー・ポッターの息子なんだろう? グリフィンドールに決まってるさ。」
「そうかな・・・」アルバスは自信なさげだった。
「絶対そうだって。
それより、お互い別々の寮に入っても、僕とは友達でいてくれるかい?」
「もちろんだよ。」アルバスは、ようやく微笑んだ。
やがて、列車はホグズミード駅に到着した。外に出ると、よく通る太い声が聞こえてきた。
「イッチ年生! イッチ年生はこっちだ!」
背丈は普通の人の2倍、横幅は5倍はあるひげ面の大男が、ランプを持って怒鳴っていた。
「あの人、誰だろう?」大男について険しく狭い小道を歩きながら、スコープはアルバスに尋ねた。
「彼はルビウス・ハグリッドといって、ホグワーツの『魔法生物飼育学』の担当教師だよ。僕の父の友人でもある。」
「あんな怖そうな人と友達になれるなんて、さすがはハリー・ポッターだ・・」
「ハグリッドは、見かけとは違ってちっとも怖くなんかないよ。僕は来週の金曜日に、彼の家にお茶をよばれに行くけど、君も来るかい?」
「みんな、ホグワーツがまもなく見えるぞ。」その時、ハグリッドが言った。「この角をまがったらだ。」
狭い道が急に開け、大きな湖の畔に出た。向こう岸に高い山が聳え、その頂上に壮大な城が見えた。
「すごいや。さすがは1千年の伝統を誇る名門校だ。」スコープは思わず口に出した。
「本当にホグワーツには1千年の歴史があるの?」
スコープとアルバスの後ろで声がし、聞き覚えのある声がそれに答えた。
「正確には1024年ね。ホグワーツが設立されたのは993年だから。」
2人が振り返ると、ローズ・ウィーズリーと、背はさほど高くないが、がっちりとした体格をした黒髪の少年がいた。
「ローズ、フランク! すぐ後ろにいたのか!」アルバスが言った。
- Re: 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜 第一部 ( No.6 )
- 日時: 2012/09/02 13:41
- 名前: ウルワルス (ID: AzyLAkTK)
「君はそのプラチナブロンドの子と話してたから、声をかけづらかったんだ。」フランクと呼ばれた少年が言った。
「4人ずつボートに乗って!」ハグリッドが言った。4人は、ローズ、アルバス、スコープ、フランクの順に同じボートに乗り込んだ。
「はじめまして。」ボートが進み出すと、フランクがスコープに言った。「僕はフランク・ロングボトム。君は?」
「僕はスコーピウス・マルフォイだ。スコープと呼んでくれて構わないよ。」
「ねえ。その気取ったようなしゃべり方、どうにかならないの?」ローズが言った。スコープはムッとした。ウザい女だ。
「ローズ。頼むから、喧嘩になるようなことは言わないで。」アルバスが言った。
しばらくするとボート船団は、対岸の崖に空いた入り口へと進み、城の真下と思われる暗いトンネルを通って地下の船着き場に到着した。生徒たちはハグリッドについて岩の路を登り、城下にたどりついた。さらに石段を登り、巨大な樫の木の扉の前に集まった。
ハグリッドが扉を叩くと、フランクによく似た男性が現れた。
「ネビル、イッチ年生達だ。」
「ご苦労様、ハグリッド。ここから先は私が案内するよ。」それから、男性は生徒達に向かって言った。「こんばんは、1年生の諸君。私はホグワーツの『薬草学』担当教師ネビル・ロングボトムだ。では、ついて来て。」
「僕の父だよ。」フランクがスコープに囁いた。
ロングボトム先生は、生徒達を玄関ホールの脇にある空き部屋に案内した。先生は、組分けの準備ができたら戻ってくると言って、部屋から出て行った。
「おや、スコーピウス、生きていたのかい?」
先生が出て行ったとたん、サウロス・マルフォイ、ヴァレンティン・レストレンジ、マヌイル・ノットがスコープに近づいてきた。サウロスが続けて言った。「出血多量で助からないかと思っていたよ。上級生が通りかかってラッキーだったな。」
「その通りだとも。あのままやり続けていたら、君は死んでいただろう。」ヴァレンティンが言った。
「黙れ。このホグワーツで戦闘用の呪文を習得したら、必ずお前達と決闘して倒してやる!」
「フン。弱虫のくせに強がるのはやめるんだな。」ヴァレンティンはせせら笑った。
「君は、よくスコープのことを『弱虫』と呼べるね。」不意にアルバスが言った。「3人がかりで1人を攻撃し、上級生が来たらさっさと逃げ出す君達の方こそ、卑劣な弱虫だ。」
「へえ。初対面の相手に向かってそのような言辞を吐くとは、随分といい度胸をしてるじゃないか。
君、名はなんていう?」
ヴァレンティンは威圧するようにアルバスの前に進み出た。ヴァレンティンはアルバスより頭1つ分背が高かったが、アルバスは臆することなく相手を睨み返して言った。
「アルバス・ポッターだ。」
「ポッター」の名にヴァレンティンは怯み、アルバスから離れた。一連のやりとりを見守っていた周りの生徒達は、ひそひそ話し始めた。
「そもそも」今度は、アルバスの隣にいたローズが言った。「入学もまだというのに喧嘩をすること自体、子供じみてるわ。私に言わせれば、あなた達は『弱虫』である以前に『馬鹿なお子ちゃま』よ。」
スコープは、この言葉を聞いてヴァレンティンがキレるのではないかと思ったが、何故かヴァレンティンは興味深そうにローズを見やった。
一方、サウロスは嘲るような笑みを浮かべて言った。
「君は、ウィーズリー家の子だな?」
「それがどうしたというの?」
「やはりな。」サウロスの嘲笑はますます深くなった。「君は、『穢れた血』のハーマイオニー・ウィーズリーの娘だろう? 僕は新聞であの女の写真を見たことがあるけど、君はあの女によく似ている。」
ハーマイオニー・ウィーズリー。
スコープはその名に聞き覚えがあった。確か魔法省魔法法執行部に所属する役人で、純血支持法の撲滅に成功したとかで日刊予言者新聞に名前と写真が載っていた。父ドラコによると、彼女とはホグワーツの同級生だったそうで、聡明で成績優秀な女学生だったと言っていた。
ローズとサウロスの会話は口論に発展していた。
「『穢れた血』ですって!?」
「マグル生まれのことさ。僕らからすれば、マグル生まれの連中など劣等種でしかない。」
「私の母は立派な魔女よ! そういうあんたの親はどんな人達だと言うの!? 私の母と比べてどれだけ優れていると言うの!?」
「ああ、教えてあげるとも。僕の父は魔法界随一の名門マルフォイ家の出身で、母の方も、やはり名門であるレストレンジ家の出身だ。
ちなみにレストレンジ家といえば、こちらは僕の従兄弟のヴァレンティン・レストレンジだ。」
「よろしく。ミス・ウィーズリー。」
ヴァレンティンは、ハンサムな顔に笑みを浮かべ片手をローズの方に差し出したが、ローズは彼を睨み付けただけだった。ヴァレンティンは意外そうな顔をした。
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