二次創作小説(映像)※倉庫ログ
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜
- 日時: 2016/05/10 22:19
- 名前: ウルワルス (ID: LF8j4K3p)
〜第一部〜 目次
主要登場人物紹介 >>01
第1章 初めての友達 >>02 >>03 >>04
第2章 組分け >>05 >>06 >>07 >>08 >>09
第3章 魔法史と いも虫 >>10 >>11
第4章 ハグリッドの小屋にて >>12 >>13
第5章 飛翔 >>15 >>16 >>18
第6章 クィディッチ >>19 >>20 >>21
第7章 クリスマス休暇 >>22 >>23 >>24 >>25 >>26 >>27 >>28 >>29
第8章 蛇と蠍 >>30 >>31 >>32 >>33 >>34
第9章 禁じられた森 >>35 >>36 >>37
第10章 序曲終了 >>38
あとがき >>39
第二部 >>40
第三部 >>153
訂正>>132 >>135 >>136 >>145
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32
- Re: 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜 ( No.97 )
- 日時: 2013/04/14 14:39
- 名前: ウルワルス (ID: f3VBH/TD)
アルバス・ポッターは、飛行訓練場へと急いでいた。
ボーバトン魔法アカデミーに在籍するようになったスコープは、1週間に1度、自分とローズ宛に手紙を書き送ってくれていたが、ローズは1度も返事を書いていなかった。彼女は、スコープがカトリーヌ・デラクールと友達になったことが気に入らないのだと、この手のことに敏感とはいえないアルバスにも予想できた。だがスコープには分からないらしく、彼からの手紙には毎回「何故ローズは返事を書いてくれないのか」という意味の問いが含まれていた。アルバスは最初のうち、「ローズは勉強で忙しい」「体調が優れないらしい」というように適当にお茶を濁していたが、スコープは納得していないようだったので、自分の予想を書いた手紙を昨日ヤドヴィガに託したばかりだった。もっとも、彼にローズの感情が理解できるとは思っていないが。
ローズが朝食の途中で、スコープからの手紙を受け取ったジェームズの後を追ってから、アルバスは彼女の姿を見ていなかった。朝食後、談話室でジェームズから聞いたところ、ローズは手紙の一部にショックを受けた様子でどこかに行ってしまったとのことだった。アルバスがその手紙を読んだ限り、問題の箇所は確かにローズにとってきつい内容だと思えた。多分スコープは、ローズが返事を書いてくれないものだから、腹いせにあんなことを書いたのだろう。
ローズがどこに行ったかについては、大体見当がついていた。スコープに関することが原因で傷心したのならば、彼との幸せな思い出が詰まった飛行訓練場に行くか、逆に、読書に集中して一時的に彼を忘れるため図書室にいくか、どちらかだろう(女子トイレに籠もって泣いている可能性もあるが、その場合はお手上げだ)。
ローズが飛行訓練場にいる場合は、「透明な怪物」に襲われる危険性がより高いように思われるので、先にそちらに向かうことにした。
早くローズを見つけて寮に連れ戻さないと・・・(寮内で誰かが襲われたことはない)
飛行訓練場に着いたアルバスは、芝地の端で仰向けに倒れているローズを見つけた。既に襲われた後かと一瞬思ったが、彼女の体はどこも出血していなかった。近付くと、呼吸も正常であることが分かった。
一応医務室に運んだ方がいいだろう。そう思い、杖を出して「モビリコーパス(体よ動け)」と唱えようとした時、ローズが目を開けた。
「アル・・?」
- Re: 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜 ( No.98 )
- 日時: 2013/04/14 15:49
- 名前: ウルワルス (ID: f3VBH/TD)
彼女の目は少し赤かった。泣いていたせいで充血したのかもしれないが、それだけではなさそうだった。白目の部分が赤いだけでなく、瞳孔が微かに赤い光を放っているからだ。
「君が寮を出てどこかに行ってしまったと兄さんが言うから、ここにいるかもしれないと思って探しに来たんだ。起きていてもいつ襲われるか分からないのに、どうしてこんな所で寝てたんだい?」
アルバスは言った。
「分からないわ。横になった覚えなんてない・・」
ローズが、上半身を起こしながら言った。
「寮内でジェームズと・・その・・ちょっとした言い争いになって、それで、気分転換にここに来たの。それから、ヴァレンティン・レストレンジが来て・・彼とちょっとした口喧嘩をして・・。その後も少しの間ここにいたんだけど・・。分からないわ。なんで意識を失うことになったのかが・・」
「一応、医務室に行った方がいいんじゃない?」
「大丈夫よ。別に体調は悪くないから・・気分は最悪だけど・・」
「・・そうか。じゃあ、早く寮に戻ろう。ここは危険だ。」
アルバスは歩き出そうとしたが、ぎょっとして足を止めた。ローズが掌と膝を地面につけ、獣のように四つんばいで進み始めたからだ。
「ローズ! 何やってるんだよ!?」
「え?・・・!」
ローズは自分の行動に初めて気付いたらしく、顔を真っ赤にして立ち上がった。
「やっぱり医務室に行くべきだよ。それか、ルーデンベルク先生の所に行くかだ。レストレンジが呪いをかけたのかもしれない・・」
「大丈夫、もう何ともないから・・。それより、わざわざ迎えに来てくれてありがと。」
ローズの瞳の赤い光は、いつのまにか消えていた。
- Re: 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜 ( No.99 )
- 日時: 2013/04/29 16:39
- 名前: ウルワルス (ID: f3VBH/TD)
第18章 シャルル・ドランペルージ
いかにしてアマリエ・グローメルの部屋に潜入し、真実薬を入手するか・・・
具体的にどのような防御が施されているのか分からないため、カトリーヌが父親に頼んで、シャルル・ドランペルージとグローメルの会話が記録された件の「盗聴虫」を送ってもらった(スマートフォンが普及しているとはいえ、こういう時には梟便が使われる)。
それによると、ドランペルージがグローメルに「武器」を預けた際、彼には「ラキー」という名の連れがいたことが分かった。ドランペルージとのやりとりから察すると、ラキーは屋敷妖精で、主人が屋敷に帰る際には同行せず、「武器」を守るためグローメルのもとに残されたようだった。
「屋敷妖精って、どんな生き物?」
スコープ、カトリーヌと共に、誰もいない男子寮の寝室で「盗聴虫」の記録を聞いていた時、アイサムは尋ねた。彼はマグル生まれなので、屋敷妖精の存在すら知らなかった。スコープは屋敷妖精について知っていることをアイサムに教え、彼らは強い魔力を持っているそうだから(父ドラコが言っていた) 用心しなければならない、と言った。
結局、屋敷妖精以外にどのような防御が施されているのか分からなかったため、実際にグローメルの部屋に出向いて調べることにした。それを実行するにはクィディッチ試合の日がうってつけだった。試合の観戦のため、ボーバトン城内はほとんど空になるからだ。グローメル自身も、お気に入りの生徒であるジュール・ドランペルージの活躍を見るため部屋を空けることになるだろう。
そういう訳で、スコープがバロンデュール・クィディッチチームのシーカーとしてジュールと対戦し、カトリーヌがディオールシアン寮付きゴースト「血みどろの貴婦人」の監視の下トロフィー磨きをさせられる間、アイサムはグローメルの部屋を調べることになった。
出来る限りアイサムの安全を確保するため、スコープはホグワーツのジェームズ・ポッターに、透明マントを貸してくれるよう手紙を書き送った。自分達の計画(計画と呼べるほどのものではないが) や、アイサムが部屋を調べているところを捕まった場合は、自白して自分が彼の代わりに退学になるつもりだということも書いておいた。大切な物を借りる際には、きちんと理由を書いてその重要性を示すことが、先輩に対する礼儀だと思ったからだ。
- Re: 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜 ( No.100 )
- 日時: 2013/04/14 17:46
- 名前: ウルワルス (ID: f3VBH/TD)
この計画をローズに知らせないよう書いておくことも忘れなかった。スコープと友達になって以来、それ以前ほどには規則を重視しなくなったとはいえ、ローズは基本的に真面目な優等生タイプの子だ。教師の部屋をこっそり探り、あわよくば盗みを働こうという試みに良い感情を抱くことはないだろう。
それに、スコープは既にホグワーツを退学になっている。スコープは、自分の退学処分が決定した時、ローズがどれ程衝撃を受けていたかを思い出した。自分がまた、退学につながるようなことをしでかそうとしていることを知れば、彼女は死ぬ程心配するかもしれない。
ただ、それとは別にローズに関して気になることがあった。
スコープは週に1度、アルバスとローズ宛(連名)の手紙をホグワーツに書き送っていたが、ローズは1度も手紙をよこさなかった。アルバスはその理由を毎回手紙の中で述べていたが、どれも納得しがたいものだった。それくらいのことで、ローズが親友とのコミュニケイションを放棄するだろうか?
しまいにはアルバスは、「ローズは、君がカトリーヌと友達になったことが気に入らないんだ。」という、意味不明な理由を書き送ってきた。スコープがジェームズへの手紙を出してから、2日後のことだった。
だが、それでスコープは確信した。ローズは「紫息病」に罹っていて、手紙を書ける状態ではないに違いない(ホグワーツで「紫息病」が流行っていることはそれまでのアルバスからの手紙で知っていたし、フランス魔法界の「ノートルダム新聞」もこのことを報道していた)。アルバスは、自分を心配させないためにあれらの妙な理由を書き送ってきたのだろう。
ペットの闘蛇・ジェレイントの例から、ホグワーツを離れると病状はそれ以上悪化しないことが分かっていた。スコープはすぐに、アルバスが嘘を吐いてきたことを指摘する手紙を書き、まだローズがホグワーツにいるなら、すぐに聖マンゴなり自宅なりに送るよう学校側に求めろ、とも書いておいた。3日後、「君が書いた通りにした」というアルバスからの返事が来て初めて、スコープは一安心した。これでローズが死ぬことはないだろう。聖マンゴの癒者達が、早く治療法を見つけてくれるといいのだが・・・
- Re: 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜 ( No.101 )
- 日時: 2016/03/19 00:19
- 名前: ウルワルス (ID: nLJuTUWz)
2月の第三土曜日がやって来た。寮対抗クィディッチ杯のバロンデュール対ディオールシアン戦のため、ボーバトン城内は殆ど空になった。
アイサム・ムウィレレは、スコープがわざわざホグワーツから取り寄せてくれた「透明マント」を身に着け、人気のない廊下をグローメルの部屋に向かって走っていた。制服のポケットには、スコープの先輩(ブリテン魔法界最高の英雄の1人、ハリー・ポッターの御子息だそうだ)がマントと一緒に送ってくれた「インスタント煙幕・ダークネス」「囮爆弾」「騙し杖」が入っていた。加えて、透明マントの下には「盾のマント」を着用していた。
驚いたことに、グローメルの部屋の前には2つの人影があった。1人はすらりとした長身の人物で、もう1人はとても小さく人間のようには見えない。アイサムは走るのを止め、出来るだけ足音を立てないように歩き始めた。
「・・では、防御網を解除するのだ。」
長身の人物の言葉が聞こえた。ライトブラウンの髪をした男性で、同じ色の短い口髭を生やしていた。
「かしこまりました。」
小さい方がキーキー声で答え、部屋の中に入った。今のが屋敷妖精に違いない。ということは、あの男性がシャルル・ドランペルージか・・
「もう入っても大丈夫でございます。」
屋敷妖精はすぐにそう言い、ドランペルージも部屋に入った。アイサムは部屋の扉へと急いだ。
じきに、ドランペルージは美しいネックレスを持って出て来た。どんな力があるかは分からないが、そのネックレスがグローメルに預けていた「武器」であることは間違いない。わざわざ取りに来たということは、今晩にでもそれを使って魔法省に対するクーデターを起こすつもりなのかもしれない。アイサムは、真実薬を盗むことよりドランペルージを阻止することを優先する気になった。
証拠となる物品と合わせてドランペルージの身柄を押さえ、魔法省に突き出せば、多額の懸賞金が貰えるかもしれない。そうなれば競技用箒を買うことが出来るし、バロンデュール生達は真実薬を使わなくとも自分を見直すだろう。それに、魔法省に勤めるカトリーヌの父親から良い評価が得られるだろうし、カトリーヌ本人も今までとは違う目で自分を見るようになるだろう・・
ちなみに、屋敷妖精に気を付けろというスコープの忠告は、この時のアイサムの頭から欠落していた。アイサムは、このような小さく弱々しい生き物が脅威になるとは思えなかった。
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32
この掲示板は過去ログ化されています。