二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- ダンガンロンパF 第1章 〜希望の知識と絶望の運命〜【完結】
- 日時: 2014/05/06 19:04
- 名前: ランスロット (ID: QNd6qtAW)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode=view&no=26534
どもです、はじめまして。ランスロットと申します。
この作品は、「ダンガンロンパ」のオリジナルシリーズとなります。
他の作者様方みたいに、「この小説」では超高校級の生徒達は募集いたしません。
この作品と「繋がりのある」シリーズを投稿した際に、募集をかけたいと思います。どうかご了承をお願いいたします。
原作の、スーダン及びゼロのネタバレが出てくるので、ネタバレが嫌な人はブラウザバック推薦です。
なお、原作のキャラは「モノクマ以外は」出てきません。原作キャラを「模したアイテム」は出てくるかもしれません。
ちなみに、作者が好きなキャラは石丸クンと田中クンです。
軽くキャラ紹介を挟み、本編へと参りたいと思います。
小説なんてほとんど書いたことがない初心者なので、文章に矛盾があったり、推理が強引だったり、トリックが雑だったりしますが、温かい目で見てやってください。どうかお願いします。
感想・ご意見などがございましたら、ぜひ書き込んでください。お願いします。
※作者の体調不良が続くため、更新がやや遅くなるかと思われます。ご了承をお願いいたします。
(10/10追記)500参照!!ありがとうございます本当にありがとうございます(土下座)
これからもダンガンロンパFをよろしくお願いします!!
(10/29追記)せ、1,000参照ですか?!ありがとうございます本当にありがとうございます!!
まさか参照数が4桁超えるなんて…。凄すぎますよ本当に!!
これからも、ダンガンロンパFをよろしくお願い申し上げます!
(11/22追記)せ、1,500参照突破しましたよ奥さん!こんな駄文に付き合ってくださっている皆様本当にありがとうございます…orz
これからもどうかよろしくお願いします!
(12/7追記)に…2,000突破…。本当にありがとうございます…orz
ここまで来れたのも皆様のおかげです。これからもよろしくお願いします!
(12/26追記)2,500突破おめでとうございます!ありがとうございます!まさかここまで付き合ってくださっている皆様がいるなんて…!本当に感謝したりないです…。
これからもよろしくお願いいたします!
(1/18追記)3,000突破ありがとうございます…。どれもこれも皆様のおかげでございますアブアブアブ…←
これからもどうかよろしくお願いいたします!
(1/29追記)さ、3,500突破ありがとうございます!!これも皆様のおかげでございます…。
物語も終盤に入ってきましたが、どうかお付き合いくださいませ。
これからもどうかよろしくお願いします!
(2/8追記)ぎ、ぎにゃああああああああああ4,000参照突破ですかああああああ?!本当にありがとうございます!!
これからもよろしくお願いいたします!
(2/16追記)4,500突破しました!!ありがとうございます!!これからもダンガンロンパFをよろしくお願い申し上げます!!
ま、まさかここまで来れるとはなぁ…。しかも間隔短くなってる気がするから…読んでくださる作者様増えていらっしゃるのですよね?う、うれしい…。
(2/23追記)5,000突破しましたウワアアアアアアアアア(泡吹いて気絶)
ほ、本当にありがとうございます!!これからもどうかよろしくお願い申し上げます!!
(3/6追記)5,500…突破です!!!ありがとうございます!!!
これからもよろしくお願いします!!!
(3/17追記)6,000突破…だと…?!おいどういうことだ説明しろ苗木!!← 冗談ですww
まさかここまで読んでくださっている方がいることに驚きの連続でございますwww 本当にありがとうございます!!
(3/26追記)まさかの6,500突破でございます!!ありがとうございます!!
1章は無事完結いたしました。ポップンロンパ、F神崎を通して2章へと進んでいこうと思います。是非そちらもお願いいたします!!
目次になります。
読みたい話数が分からない際にどうぞ。
chapter00 〜絶望職場体験・スタート〜
>>5 >>6 >>7 >>8-12
>>14-15 >>18-20
chapter01 〜!ロエコリノヲシ〜 (非)日常編
>>22 >>23-24 >>26-30
>>31 >>32-33 >>34-35
chapter01 〜!ロエコリノヲシ〜 非日常編
>>36-37 >>40 >>44-45 >>46
chapter01 〜!ロエコリノヲシ〜 学級裁判編
>>47-48 >>49-50 >>53 >>56(おしおき編)
>>57-58
chapter02 〜モウ一度俺ニ愛ヲ下サイ〜 (非)日常編
>>60 >>61-62 >>63 >>67-68
>>69-71 >>72-73 >>74-75
chapter02 〜モウ一度俺ニ愛ヲ下サイ〜 非日常編
>>76-78 >>81
chapter02 〜モウ一度俺ニ愛ヲ下サイ〜 学級裁判編
>>83-84 >>85-86 >>87 >>91(おしおき編)
>>95-96
chapter03 〜We are so Zetsubou〜 (非)日常編
>>100 >>103-104 >>105-106 >>108-109
>>110-111 >>112 >>115-117
chapter03 〜We are so Zetsubou〜 非日常編
>>118-120 >>122 >>124
chapter03 〜We are so Zetsubou〜 学級裁判編
>>125 >>128-130 >>131 >>135(おしおき編)
>>138-140
chapter04 〜大モノクマ帝国倶楽部〜 (非)日常編
>>142 >>147 >>150-151 >>154-155
>>159-162 >>163
chapter04 〜大モノクマ帝国倶楽部〜 非日常編
>>164-166 >>169
chapter04 〜大モノクマ帝国倶楽部〜 学級裁判編
>>173-174 >>175-176 >>182 >>183(おしおき編)
>>188 >>191
chapter05 〜キオクのウタ〜 (非)日常編
>>193 >>194 >>195-196 >>199-200
>>203-204 >>211 >>213-214 >>215-216
>>217-218
chapter05 〜キオクのウタ〜 非日常編
>>219-221 >>222
chapter05 〜キオクのウタ〜 学級裁判編
>>224-225 >>226-227 >>228-229 >>232(おしおき編)
>>233-234
chapter06 〜叫べ!希望の彼方へ〜 非日常編
>>236 >>237-238 >>239-242 >>243-244
>>246-248 >>249
chapter06 〜叫べ!希望の彼方へ〜 学級裁判編
>>252-255 >>258 >>260-262 >>263-267 >>268
chapter Epilogue 〜サヨナラ、モノクマシティ〜
>>282-283
キャラクター紹介編 〜モノクマの部屋〜
第1回「神谷春子」 >>13
第2回「冥雅雪斗」 >>21
第3回「村上一夜」 >>25
第4回「chapter01被害者」 >>41
第5回「chapter01総評・解説」 >>59
第6回「chapter01クロ・企画お知らせ」 >>64
第7回「chapter02被害者」 >>82
第8回「chapter02総評・解説」 >>99
第9回「chapter02クロ」 >>107
第10回「chapter03被害者その1」 >>121
第11回「chapter03被害者その2・記念企画お知らせ」 >>123
第12回「chapter03総評・解説/予想・人気投票お知らせ」 >>141
第13回「chapter03クロ」 >>156
第14回「chapter04被害者」 >>172
号外「これは凄いことだね!名誉だね!」 >>181
第15回「chapter04総評・解説」 >>192
第16回「chapter04クロ」 >>206
第17回「chapter05被害者」 >>223
第18回「chapter05総評・解説」 >>235
第19回「chapter05クロ」 >>245
第20回「ネタバレ1」 >>256
第21回「chapter06総評・解説」 >>269
第22回「生き残りその1」 >>270
第23回「生き残りその2」 >>271
第24回「生き残りその3」 >>272
第25回「生き残りその4」 >>273
第26回「モニャン/ネタバレ2」 >>274
EXTRA「黒幕」 >>279
第27回「あとがき」 >>284
号外2「超高校級の日常に参加している小説紹介」>>288
※本日より上記URLより外伝小説『僕達委員トリオ!』にジャンプするようになりました。
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- chapter05 〜キオクのウタ〜 (非)日常編 ( No.214 )
- 日時: 2014/02/04 18:27
- 名前: ランスロット ◆/.5aaSlLPY (ID: lqhOUyMm)
そんな中、みんなの話を聞いて何かを考えていた神崎くんがこう切り出す。
「そっか…。その映像…共通点があるな」
「どういうこと?」
「ほら、映像の中の俺達はみんな『誰かに』襲われて、『自分が瀕死』になっていたんだろ?」
「そういえばそうだ!でも…どうしてそんなことが…?」
「……多分……この映像の出来事は……全部近い時期に行われてる……そう思う……」
「それによォ…。映像に映っていた奴ら、みーんなデータベースに載っていた奴らばかりだったぜェ?あれは…えっと、恐らく『77期生』のメンツだッたな」
———みんなの意見を合わせると…。みんなが見た映像の中には、『瀕死の状態の私達』、それから『自分達を襲っている77期生』が映っていた。秦野くんの言うとおり、一連の出来事は『ほぼ同じ時期』に起こったことと考えていいだろう。
…でも、あれが本当だったら…。今いる私達は何者なのかしら。どうやらみんなも同じことを思っていたらしい。
「ねぇ、じゃあ今の僕達何なんだろう。怪我もないし、ピンピンしてるよね…」
「…まさか…私たちも冥雅くんと一緒で…あの映像で死んで、絶望で生き返ったのかなぁ…」
「そう…かもしれない…。そうじゃなきゃ…記憶の説明もつかないし…」
…自分も『絶望』で生き返った存在。冥雅くんと同じような存在なのかもしれない。それしかなかった。私達が行き着く答えは……、そこしかなかったのだ。
———しかし、偶然にも現れた『執事』は、それを否定しにかかる。
「違います」
「モニャン!話聞いてたの…?」
「はい。貴方様がたは…絶対に、絶望で生き返るなどという恐ろしい実験には参加されていません。
…大丈夫、本人様です。貴方様がたは貴方様がたです」
「で、でも…」
「確証はどこにもありません。しかし…気付いているはずです。貴方様がたと、冥雅様との『決定的な違い』を…。それを、信じてください」
「『決定的な違い』…」
確証はない。だけれど、彼の目は真剣そのものだった。嘘など———ついて、いなかった。
私達と冥雅くんとの決定的な違い———『学園生活の空いた記憶に、違和感があるかないか』という違い、か…。
でも、私もそう思っていた。自分達が絶望にかかっていたのなら、その記憶さえもまっさらになっているはずなのだ。
そして……『彼』は、私達にこう言ってのけるのだった。
『大丈夫です。神谷様達は…必ずや、私が救い出してみせます』
———そう言った一瞬の出来事だった。私には…モニャンがいつも通りの猫の姿には見えなかった。
私と同じ、髪をした…執事服の男性……そんな風に見えたのだった。
- Re: ダンガンロンパF 第1章 〜希望の知識と絶望の運命〜 ( No.215 )
- 日時: 2014/02/05 21:13
- 名前: ランスロット ◆/.5aaSlLPY (ID: VbOSBaFR)
モニャンによって勇気づけられた(のかは知らないけど)後、私達は自由行動をすることになった。DVDの件の考えを整理したい人、気分を落ち着かせたくて散歩に行った人…。本当に、要件は様々だった。
それで、私はというと…。
「冥雅くん…」
———冥雅くんの部屋の前に立っていた。
アルターエゴに言われた通り、1回冥雅くんと話し合っておこうと決めたのだ。DVDのことも言わなければならないし、それに……。彼に笑顔を取り戻させたい。その気持ちが、私の身体をここまで突き動かしたのだった。
でも…こうして来てみると、いわれのない緊張感が襲う。———今さら何を怖がっているのよ。
意を決してインターホンを押すと、しばらくの沈黙の後『彼』は出てきた。
真実を知った時と変わらない、青白い表情で。
「神谷…」
「一人になりたいって言ってたのにごめんなさい。入っても、いいかしら?」
「で…でも…」
「冥雅くんと話がしたいの。お願い、部屋に入れてもらえないかしら」
私は彼を怖がらせないように、不安な気持ちを胸に抑えて表情を変えるのを最大限防いだ。
———少しの間の後、冥雅くんは俯きながらも私を部屋の中に入れてくれた。
部屋の中は———食堂や花屋から持ってきたのだろう、ハーブティーの茶葉であふれていた。
「冥雅くんらしいわね、ハーブティーに囲まれているなんて」
「閉じ込められてたとはいえ…ハーブティーは美味しいからね…」
「ふふ、そうね」
彼に隠して持ってきたティーポットを見せて、「お茶、入れましょうか」と言ってみる。すると、彼は少し顔を和らげて、黙って頷いた。
私は何も言わず、ただ黙って自分と彼の分のハーブティーを注ぐ。お茶が注がれる度に、香ばしい香りがテーブルの周りを包んだ。
そして、お茶を飲みながら黙って過ごしていると、ふと冥雅くんが口を開く。
「オレ……クラスメイトじゃ…なかったんだね。クラスメイトどころか希望ヶ峰の人間でもなくて…ただのゾンビ、だったんだね…」
「…………」
「ねぇ?オレ、分からないよ。自分のことが何もかも。豊島の事件が起こる前、モノクマがオレ達に『オマエラには1年間失った記憶がある』って言ったことがあったよな?」
「えぇ。言っていたわね」
「…その時から…よく分からないんだけど…。変な感触がオレの頭の中に入ってきてさ…。『お前はクラスメイトじゃない』って、囁くんだ。
違うって否定したさ。だけど…本当だって知った時、もうどうしたらいいか分からなかった。だって…違うってずっと言い続けてきたものが、『本当』だったんだもんな…!
それに…しかも…オレの正体が…ゾンビ…だったなんて…!!」
話しながら、冥雅くんは涙を浮かべていた。…そうか、あの時から…。彼は、ずっと悩まされていたのだ。『自分は私達とは違うのではないか』って。
その涙が、彼の本当の『恐怖』を、映し出している気がした。
「オレ…いないほうがいいのかな…」
「……え……?」
「一回死んで…希望ヶ峰の実験なんかで生き返って…。そんなオレは…みんなといる資格なんかないよ…!!」
「違う!!そんなこと……」
「ないわけないよ!!!」
初めて聞いた、彼の心からの叫び。目を見開き、私の胸倉を掴んで、彼は必死に叫んでいた。
「オレだって死にたくない!!!だけど…!!!オレはみんなとは違う!!!違うんだよ!!!だから…一緒にいる権利なんて…あるはずがないんだ!!!」
「そんなことないわよ!!!」
「だから……!!!オレはここで死ぬべきうんめ………」
パチンッ!!!!!
自分でも分からなかった。無意識の中で、私は冥雅くんの頬を平手打ちしていた。そして、自分が目に涙を浮かべていたことに気付く。
彼はそれに気付いて、私の服を離す。
———死ぬって、言っちゃダメ。ダメ、なんだから…………。
「…神谷…」
「冥雅くんの正体がなんであれ、冥雅くんは冥雅くんよ。たとえ私達の記憶にキミがいなくても…今こうして一緒に過ごしている冥雅くんは、れっきとした『私のクラスメイト』。そうでしょ…?」
「う…うう…いいのか…?オレは…みんなと一緒にここを出て…いい…のか…?」
「当たり前じゃない。キミは確かに一回死んでしまった。だけど、今ここにこうして立っているじゃない。こうして、私に本音を話してくれたじゃない。
一緒に、出ていきましょ。こんな、ふざけた街から…」
そう言って、私は精一杯の笑顔で彼に手を差し伸べる。当たり前じゃない、彼もれっきとした『クラスメイトの一員』なんだから。
そう思って手を差し伸べると……、彼は、今まで抑えていた涙を流し、自分がそこにいるを確かめるかのように……大きな声で泣いたのだった。
- chapter05 〜キオクのウタ〜 (非)日常編 ( No.216 )
- 日時: 2014/02/05 21:30
- 名前: ランスロット ◆/.5aaSlLPY (ID: VbOSBaFR)
……しばらくして。彼は落ち着きを取り戻し、声もいつもの調子に戻る。
よかった。これで…もう大丈夫ね。そう思って私はほっと胸を撫で下ろす。
———そう、思ったのが間違いだったのかもしれない。
急に視界が暗くなり、耳の近くで『彼』の優しい声が響いてきた。
——————ぎゅ
「……めめめめめ冥雅くん?!こ、これは何」
「…ありがとう。オレ、頑張るから。もう…『死ぬ』なんて言わないから」
「近い近い近い近い近い!!」
「……神谷。オレ……お前のことが好きだ」
———一瞬、思考が真っ白になる。そして、戻ってきた記憶に混乱を深める。
彼は何を言ったの?わ、私に『好き』って言ったの?……え?これは?ま、まさか?
……こく、はく……?!
頭から煙が上っていたようで、冥雅くんは慌てて私から離れる。
「あ、あのさ…。今じゃないと伝えられないと思って…。こ、困らせたならごめん!」
「急に言われたからびっくりしたわよ…。あ、もしかして…冥雅くん、私のこと驚かそうとしたの?」
「オレは本気だよっ!!神谷にこうやって伝えるのも…勇気がいることだったし…。でも、結局は出来事の力借りちゃったし…」
「本気…なのね…」
冥雅くんは顔が赤くなり、目をそらしつつそう答える。
———その一瞬が、かっこよく見えたのは気のせいだろうか。
……いや、気のせいではない。…そっか、私も彼に『惚れていた』んだ…。
コロシアイ職業体験の場でなければ、最高の告白のタイミング。でも、そのコロシアイでなければ、言われることもなかったであろう言葉———。
自分でも彼を思う気持ちに気付き、思わず手を胸にあてる。
「…振られることは前提だから…さ、気持ちだけでも伝えたくて…」
「今分かったの。私も…キミに惚れていた、ってことがね。記憶がなくても一生懸命なキミに惹かれてたんだって。
こんなふざけた街から出たら…お付き合い、してもいいわよ?」
「…本当?!」
赤くなりながらも返答を求める彼に、私も笑顔で頷いて返す。冥雅くんは緊張の糸が解れたように、やった、やったと繰り返していた。
———あぁー、顔が熱い。きっと…これが『恋』なんだわ。
そう思った途端、彼を無性に抱きしめたくなった。
そして。
「…か、神谷?!」
びっくりする冥雅くんの胸の中で。彼に気づかれないような小さな声で。
私は確かに、自分の気持ちを伝えたのだった。
『———大好きだよ、雪斗くん。』
- chapter05 〜キオクのウタ〜 (非)日常編 ( No.217 )
- 日時: 2014/02/07 18:30
- 名前: ランスロット ◆/.5aaSlLPY (ID: UXIe.98c)
〜神崎 side〜
———軽く軽食を取ろうと食堂にやってきてみると、何やら冥雅と神谷が仲良く話をしていた。
恐らく神谷が冥雅を元気づけた、と解釈していいんだろうが…。なんというか、それ以上に踏み込んでしまった感じがする。
冥雅が神谷に気があることは既に知っていたが、まさか神谷もそうだったとはなー…。リア充爆発しろ。永遠に幸せでいろよ。
ラブラブムードたっぷりな2人の空間をぶち壊すのもあれなので、俺はロビーで過ごすことにした。
「…はぁ」
やや硬めのソファーに腰を下ろすと、思わずため息が漏れる。
———ほとんどの記憶を思い出したとはいえ、まだ俺には知らなくちゃいけないことがある。『石丸清多夏』が俺にとって『どんな存在』であったか。いま、その彼は『どこで何をしている』のか。
写真館に彼らしき写真が貼ってあったが、まさか———死んでいるわけ、ないよな?一番ありえない可能性を考えては否定する。ここ数十分、ただそれを繰り返していた。
考え込んでいると、ふと白と黒のぬいぐるみが俺の隣に座った。
———何故、ここに来た?いやいや無視しよう。そう思いつつ彼を視界から追い出した。…だが、無情にも『そいつ』は俺に話しかけてくる。
「神崎クン、コロシアイ起きないねぇ?」
「…何が言いたいんだ?」
「そりゃそうだもんねぇ、神谷さんと冥雅クンはあんなことになっちゃうし、他のみんなも少しずつ希望を持ち始めてる。もちろん、その『他』にはオマエも入るよ。
だから〜、ボクは退屈で退屈で仕方ないのです!」
「———だから何が言いたいんだ」
「知りたくないの?オマエの『大事な奴』の居場所」
ふとそいつから紡がれた言葉の糸に、俺はあっさり引っかかってしまう。なぜ俺が考えていたことをさらりと言ってしまうんだ?
———ただ、こいつの言っていることは嘘ではない。冥雅の件、それからあのDVD…。『本当』がいくつも重なっている今、こいつが嘘をいうわけはなかった。
「知ってるのか」
「うん。だってボク学園長だから。でもねぇ、それをはオマエに誰かを殺してもらわなきゃ言ってあげないもーん」
「ならいい。情報のために人殺しなんて、もってのほかだ」
「ちぇ、ノリ悪いの〜。じゃあいいよ。オマエを罠にはめて殺してやるから」
「コロシアイはもう起こさないんじゃなかったのか?」
「ううん、動機を提供するのをやめただけだよ。オマエラを『真の絶望』に叩き落とす為には、ボク自身が動かなきゃダメだってことに最近気が付いたんだよ!
だから———オマエも、死ぬ準備をしておいたほうがいいよ?」
「今ここで殺すのか?」
身体の奥から湧き上がる恐怖心をポーカーフェイスで抑え、モノクマにそう問う。目の前のぬいぐるみは黙って首を横に振り、こう切り返してきた。
「———もう、罠にかかってるんだから。オマエは」
「……何?!」
「うぷぷぷぷ、明日が楽しみだねぇ…!!」
「お前っ…待てよ!!!」
俺の制止も無視し、モノクマはとてとてと音を立てながらロビーを立ち去って行った。
———残ったのは、だだっ広いロビーを通る風、それから……妙な不安が胸の中に生まれた、俺自身だけだった。
「『罠』…。どういうことだ…?」
———分からない。足りない頭をフル稼働して考えるが———納得する答えは、見つからなかった。
「…明日、か。何が起こるんだろう…」
思わず口に出す。俺が既にかかっているという、俺の知らない『罠』。
———もしかしたら、他のみんなも同じなのかもしれない。……なら、俺が守らないと。
そう気合を入れ、一旦部屋に戻ることにした。———まぁ、その後冥雅に偶然会って皮肉を込めたお祝いを言ったら怒られてしまったのだが。
堂々とイチャイチャしてた仕返し…だっつーの。はぁ…俺何考えてんだろ。
俺は…みんなを死なせたりはしない。あんな悲しい出来事…。止めてみせる。絶対に…。
『大切な仲間を、死なせるわけにはいかない。命を賭してでも…守ってみせる』
- chapter05 〜キオクのウタ〜 (非)日常編 END ( No.218 )
- 日時: 2014/02/07 19:08
- 名前: ランスロット ◆/.5aaSlLPY (ID: UXIe.98c)
【コロシアイ職業体験 21日目】
『希望ヶ峰学園職業体験実行委員会がお知らせします。オマエラ、おはようございます。朝です。朝ですよー!今日もはりきっていきましょー!』
「う……」
モノクマのアナウンスで、私はいつも通り目が覚めた。
あの後、冥雅くんに『じゃあ…恋人らしい練習しよう!』と悪びれもなく言われ、食堂で一緒に食事をとったり、俗にいう『恋人つなぎ』でそれぞれの部屋に戻ったり、と周りから見たら思いっきり恥ずかしいことをしていた。……うん、今思い返してみればものすごく恥ずかしい。誰かに見られていないかしら…。はぁ、見られていたとしても嫌味は素直に受け入れましょう…。
嬉しい気持ちと悲しい気持ちが複雑に混ざっている変な感情を胸にしまい、私は食堂へと足を運んだ。
「おはよう、神谷さん!よかったね、へへへ!」
「神谷さん!おめでとう、本当におめでとう!!私結婚式用のレタービデオ制作手伝ってあげるね…!」
「式用のケーキ作りならまっかせなさ〜い!!」
「…………」
私よりも先に起きていた星野くん、白戸さん、安西さんが笑顔で私に挨拶をしてきた。…珍しいな、神崎くんが遅く起きるなんて。
何やらニヤニヤした表情が私の顔に突き刺さる。———ど、どういうことしら。
念のため尋ねてみると、どうやらモノクマが冥雅くんが思いを伝え、私が受け入れたことを変に捻じ曲げてみんなに話してしまったらしい。
———てか結婚って、どうしてそんなところまで話が飛躍しているの?!……あんの白黒パンダ、後で覚悟してなさい……!!
結局、怒りの表情を瞬間的に顔に出してしまい、白戸さんにおびえられてしまった。うん、その分も文句言ってやろ。
みんなの誤解を解きながら残りの人を待っていると、神崎くんと冥雅くんが食堂に現れた。何やら冥雅くんは神崎くんに悪態をつかれていたらしい。…あぁ、彼もそれか…。
「おはよう、神谷」
「あっはは…、思いっきりばれちゃった」
「モノクマのおかげでみんなにもバレバレよ…」
「性質が悪いにも程があんだろ」
「ま、まぁ別にオレはいいけどね!」
「私が駄目なのよ!!」
———はぁ。朝から疲れるわ…。
そういえば、羽柴くんが来ていない。秦野くんは今日も更衣室でアルターエゴの強化に勤しんでいるはずだし、彼が遅れてくるはずがない。そもそも彼は『低血圧』のため、私よりも早く起きているはずだ。———思い出してみても、殆どの時間帯で私よりも早く起きていた。
「羽柴くん、来ないね…」
「具合が悪いのかなぁ」
「でも、『超高校級の科学部』だよ?風邪はひかないように勤めてるはずじゃないかなぁ」
「まだ寝てるとか?」
「いえ、彼は低血圧で早起きのはず。私よりも遅く、しかも最後に起きてくるなんてありえないわ」
「じゃあ…どうしたんだろう…」
———ふと、突然胸の奥に小さな不安が現れる。…まさか、もうコロシアイは起きないはずなのよ…?
そう、思ったその瞬間だった。
ドッカーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!!
———爆破音?!音は…厨房からだわ!!
「ねぇ、今の爆発音なに?!」
「僕にも分からないよー!」
「とりあえず様子を見に行きましょう!厨房にはモニャンがいたはず!!」
私達は厨房へ走った。そして、中をのぞいてみる。
———そして、焦げ臭い匂いと大量の煙ともに現れたのは……。
「モ………ニャン………」
——————黒焦げになって倒れている、モニャンの姿だった。
「モニャン!モニャン!しっかりして?!」
「駄目だよ、全身焦げちゃってる…。もう、モニャンは…」
「でもモニャンもぬいぐるみなんでしょ?!だったらスペアみたいなのがモノクマみたいに…」
モニャンは全身が黒く焦げていて、顔も見られない状態だった。
———まさか。モノクマはモニャンまで狙ったの…?……違う、まだ、何か…………
考えたくなかった、私の嫌な予感は見事に的中することとなった。
ガタン!!!
———すぐに訪れる暗闇。恐らく、電気のブレーカーが落ちたのだろう。朝からの停電……。何か、まさか、本当に……?
「俺、ブレーカー探してくる」
「気を付けてねー」
「えっと……あった。これだ」
神崎くんがブレーカーを上げて、暗闇に光が差し込む。
偶然の停電だったのかしら……。モニャンの爆発と伏せて、何かつながりがあるとしか思えない。
モノクマは……私達に何をさせたいの…?
「と、とりあえず食堂に戻ろうよ。ここにいても…何もできないよ」
「そうね。戻りましょう」
そう思って私達は食堂にもど——————
「…………え?」
———しばらくの沈黙。そして、今の状況を理解するのに、少しの時間を要した。
目の前に飛び込んできた恐ろしいこと。夢であってほしかった。彼が起きて、『科学の実験ドッキリだった』って言ってほしかった。
———でも、そんなことはない。
起こってしまった。5度目の殺人が。起こらないと信じていた、殺人が。
私は、目の前で——————
『超高校級の科学部』 羽柴陸斗くんの、変わり果てた姿を、
ただ、言葉も発せずに見つめていた。
———そして、女性2人の悲鳴とともに、『あのアナウンス』は響き渡る。
『死体が発見されました!死体が発見されました!一定時間の自由時間の後、学級裁判を行います!
もう一度、お伝えします!死体が発見されました!死体が発見されました!』
———何故?分からない。どうして?分からない。
私はひたすらに、彼の亡骸を見ながら自問自答を繰り返していた。
<死亡者>
「超高校級の科学部」羽柴陸斗
ホテル内の1F食堂で発見。
身体をロープで縛られ、頭から血を流している。
<生き残りメンバー> 残り:7人
「超高校級の知識」神谷春子
「超高校級の幸運」冥雅雪斗
「超高校級のパティシエール」安西桃花
「超高校級のDJ」神崎満月
「超高校級の映画監督」白戸佳織
「超高校級のハッカー」秦野吟也
「超高校級の美化委員」星野梓沙
chapter05 〜キオクのウタ〜 (非)日常編 END
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