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ダンガンロンパF 第1章 〜希望の知識と絶望の運命〜【完結】
日時: 2014/05/06 19:04
名前: ランスロット (ID: QNd6qtAW)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode=view&no=26534

どもです、はじめまして。ランスロットと申します。
この作品は、「ダンガンロンパ」のオリジナルシリーズとなります。
他の作者様方みたいに、「この小説」では超高校級の生徒達は募集いたしません。
この作品と「繋がりのある」シリーズを投稿した際に、募集をかけたいと思います。どうかご了承をお願いいたします。


原作の、スーダン及びゼロのネタバレが出てくるので、ネタバレが嫌な人はブラウザバック推薦です。
なお、原作のキャラは「モノクマ以外は」出てきません。原作キャラを「模したアイテム」は出てくるかもしれません。
ちなみに、作者が好きなキャラは石丸クンと田中クンです。


軽くキャラ紹介を挟み、本編へと参りたいと思います。
小説なんてほとんど書いたことがない初心者なので、文章に矛盾があったり、推理が強引だったり、トリックが雑だったりしますが、温かい目で見てやってください。どうかお願いします。

感想・ご意見などがございましたら、ぜひ書き込んでください。お願いします。

※作者の体調不良が続くため、更新がやや遅くなるかと思われます。ご了承をお願いいたします。


(10/10追記)500参照!!ありがとうございます本当にありがとうございます(土下座)
これからもダンガンロンパFをよろしくお願いします!!

(10/29追記)せ、1,000参照ですか?!ありがとうございます本当にありがとうございます!!
まさか参照数が4桁超えるなんて…。凄すぎますよ本当に!!
これからも、ダンガンロンパFをよろしくお願い申し上げます!

(11/22追記)せ、1,500参照突破しましたよ奥さん!こんな駄文に付き合ってくださっている皆様本当にありがとうございます…orz
これからもどうかよろしくお願いします!

(12/7追記)に…2,000突破…。本当にありがとうございます…orz
ここまで来れたのも皆様のおかげです。これからもよろしくお願いします!

(12/26追記)2,500突破おめでとうございます!ありがとうございます!まさかここまで付き合ってくださっている皆様がいるなんて…!本当に感謝したりないです…。
これからもよろしくお願いいたします!

(1/18追記)3,000突破ありがとうございます…。どれもこれも皆様のおかげでございますアブアブアブ…←
これからもどうかよろしくお願いいたします!

(1/29追記)さ、3,500突破ありがとうございます!!これも皆様のおかげでございます…。
物語も終盤に入ってきましたが、どうかお付き合いくださいませ。
これからもどうかよろしくお願いします!

(2/8追記)ぎ、ぎにゃああああああああああ4,000参照突破ですかああああああ?!本当にありがとうございます!!
これからもよろしくお願いいたします!

(2/16追記)4,500突破しました!!ありがとうございます!!これからもダンガンロンパFをよろしくお願い申し上げます!!
ま、まさかここまで来れるとはなぁ…。しかも間隔短くなってる気がするから…読んでくださる作者様増えていらっしゃるのですよね?う、うれしい…。

(2/23追記)5,000突破しましたウワアアアアアアアアア(泡吹いて気絶)
ほ、本当にありがとうございます!!これからもどうかよろしくお願い申し上げます!!

(3/6追記)5,500…突破です!!!ありがとうございます!!!
これからもよろしくお願いします!!!

(3/17追記)6,000突破…だと…?!おいどういうことだ説明しろ苗木!!← 冗談ですww
まさかここまで読んでくださっている方がいることに驚きの連続でございますwww 本当にありがとうございます!!

(3/26追記)まさかの6,500突破でございます!!ありがとうございます!!
1章は無事完結いたしました。ポップンロンパ、F神崎を通して2章へと進んでいこうと思います。是非そちらもお願いいたします!!


目次になります。
読みたい話数が分からない際にどうぞ。

chapter00 〜絶望職場体験・スタート〜
>>5 >>6 >>7 >>8-12 
>>14-15 >>18-20

chapter01 〜!ロエコリノヲシ〜 (非)日常編
>>22 >>23-24 >>26-30 
>>31 >>32-33 >>34-35

chapter01 〜!ロエコリノヲシ〜 非日常編
>>36-37 >>40 >>44-45 >>46

chapter01 〜!ロエコリノヲシ〜 学級裁判編
>>47-48 >>49-50 >>53 >>56(おしおき編)
>>57-58

chapter02 〜モウ一度俺ニ愛ヲ下サイ〜 (非)日常編
>>60 >>61-62 >>63 >>67-68
>>69-71 >>72-73 >>74-75

chapter02 〜モウ一度俺ニ愛ヲ下サイ〜 非日常編
>>76-78 >>81

chapter02 〜モウ一度俺ニ愛ヲ下サイ〜 学級裁判編
>>83-84 >>85-86 >>87 >>91(おしおき編)
>>95-96

chapter03 〜We are so Zetsubou〜 (非)日常編
>>100 >>103-104 >>105-106 >>108-109
>>110-111 >>112 >>115-117

chapter03 〜We are so Zetsubou〜 非日常編
>>118-120 >>122 >>124

chapter03 〜We are so Zetsubou〜 学級裁判編
>>125 >>128-130 >>131 >>135(おしおき編)
>>138-140

chapter04 〜大モノクマ帝国倶楽部〜 (非)日常編
>>142 >>147 >>150-151 >>154-155
>>159-162 >>163

chapter04 〜大モノクマ帝国倶楽部〜 非日常編
>>164-166 >>169

chapter04 〜大モノクマ帝国倶楽部〜 学級裁判編
>>173-174 >>175-176 >>182 >>183(おしおき編)
>>188 >>191

chapter05 〜キオクのウタ〜 (非)日常編
>>193 >>194 >>195-196 >>199-200
>>203-204 >>211 >>213-214 >>215-216
>>217-218

chapter05 〜キオクのウタ〜 非日常編
>>219-221 >>222

chapter05 〜キオクのウタ〜 学級裁判編
>>224-225 >>226-227 >>228-229 >>232(おしおき編)
>>233-234

chapter06 〜叫べ!希望の彼方へ〜 非日常編
>>236 >>237-238 >>239-242 >>243-244
>>246-248 >>249

chapter06 〜叫べ!希望の彼方へ〜 学級裁判編
>>252-255 >>258 >>260-262 >>263-267 >>268

chapter Epilogue 〜サヨナラ、モノクマシティ〜
>>282-283

キャラクター紹介編 〜モノクマの部屋〜
第1回「神谷春子」 >>13
第2回「冥雅雪斗」 >>21
第3回「村上一夜」 >>25
第4回「chapter01被害者」 >>41
第5回「chapter01総評・解説」 >>59
第6回「chapter01クロ・企画お知らせ」 >>64
第7回「chapter02被害者」 >>82
第8回「chapter02総評・解説」 >>99
第9回「chapter02クロ」 >>107
第10回「chapter03被害者その1」 >>121
第11回「chapter03被害者その2・記念企画お知らせ」 >>123
第12回「chapter03総評・解説/予想・人気投票お知らせ」 >>141
第13回「chapter03クロ」 >>156
第14回「chapter04被害者」 >>172
号外「これは凄いことだね!名誉だね!」 >>181
第15回「chapter04総評・解説」 >>192
第16回「chapter04クロ」 >>206
第17回「chapter05被害者」 >>223
第18回「chapter05総評・解説」 >>235
第19回「chapter05クロ」 >>245
第20回「ネタバレ1」 >>256
第21回「chapter06総評・解説」 >>269
第22回「生き残りその1」 >>270
第23回「生き残りその2」 >>271
第24回「生き残りその3」 >>272
第25回「生き残りその4」 >>273
第26回「モニャン/ネタバレ2」 >>274
EXTRA「黒幕」 >>279
第27回「あとがき」 >>284
号外2「超高校級の日常に参加している小説紹介」>>288

※本日より上記URLより外伝小説『僕達委員トリオ!』にジャンプするようになりました。
 読者参加型スレッドです。よかったら参加をお願いします。

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Re: ダンガンロンパF 第1章 〜希望の知識と絶望の運命〜 ( No.3 )
日時: 2013/09/20 00:01
名前: ランスロット (ID: zHNOEbBz)

>>魔女の騎士 様
どもです、これからよろしくお願いします。
神谷さんは霧切さんというよりは「{苗木+霧切(+七海)÷3}」というような性格になっています。冷静で頭がいいですが優しくお人よしです。

モニャンはモノミちゃんが出てきた辺りからずっと構想していたキャラクターでして。彼もモノミちゃんばりの活躍がさせてあげられるように頑張って文章を考えたいと思います。


originalダンガンロンパ、近日中に拝見したいと思います。
物語の構想の参考にさせていただきますね。

chater00 〜絶望職場体験・スタート〜 ( No.5 )
日時: 2013/09/20 22:47
名前: ランスロット (ID: VaYZBoRD)

…私は、今暗闇の中にいる。
そして、目の前にはモノクマ。私達にコロシアイを強要した張本人。
閉じ込められた18人のうち、15人はモノクマに惑わされて殺人を犯してしまった。
動機も色々。早く外に出たかった人、コロシアイの緊迫感に耐え切れずに殺してしまった人、挙句の果てには「絶望」に堕ちてしまい、殺人を犯してしまった人もいた。


…でも。なんで?目の前には、また二人の死体があった。
白い髪の青年と、帽子をかぶった茶髪の少年。二人とも私を信じて共に戦ってくれた大切な仲間だったのに。
どうして?どうしてよ。目を覚ましてよ。
不意に、目の前の敵がこう言った。


「うぷぷ、殺しちゃったんだね。キミが大切にしていた『仲間』をさ」


…え?あなた、何を言っているの?殺したのはモノクマじゃないの?
急に襲ってきた悪寒を必死に抑えながら、私は自分の右手を見た。


右手には包丁。赤くなった右手。 え? え? え? え?
私が殺したの?うそようそ。これもモノクマが仕組んだんだわ。
だって、私が絶望しそうになった時も「諦めるな」と励ましてくれた人達だったのよ?ころせるはずがないわ。


「自分のやったことを信じられないみたいだね。でも、二人はキミが殺した。それは、紛れもない真実だよ」


モノクマからの言葉が突き刺さる。モノクマは血液が一滴もついていない。でも私は全身血まみれ。モノクマの言っていることは…本当だった。


うそ。うそよ。これはゆめなんだわ。そうこれはきっとゆめ。ころされたひとも、ころしたひとも、ゆめをみているんだわ。このふたりだって、きっといきているんだわ。ゆめなの。ゆめ。ゆめ。
ゆめゆめゆめゆめゆめゆめゆめゆめゆめゆめゆめゆめゆめゆめゆめゆめゆめゆめゆめゆめゆめゆめゆめゆめゆめゆめゆめゆめゆめゆめゆめゆめゆめゆめゆめゆめゆめゆめゆめゆめゆめゆめゆめゆめゆめゆめゆめゆめゆめゆめゆめゆめゆめゆめゆめゆめゆめゆめ


「あああああああああああああああああ!!!!!!!!!」



私の、視界は、真っ暗に、なった。
きっと、モノクマに、殺されたんだろう。
これで、良かったのかしら。
いや、良かったのよ。
だって、私、もう、


希望なんて信じられないんだもの。



「神谷さん。絶望に…」



「堕ちちゃいなよ」



血まみれのまま倒れた少女の傍で、モノクマはうぷぷ、と笑みを漏らした。

chater00 〜絶望職場体験・スタート〜 ( No.6 )
日時: 2013/09/20 23:25
名前: ランスロット (ID: VaYZBoRD)

「ここが、希望ヶ峰学園…ね」


その巨大な学園は、都会のど真ん中の一等地にそびえ立っていた。
まるで——、そこが世界の中心でもあるかのように……。


『私立 希望ヶ峰学園』


そこは、あらゆる分野の超一流高校生を集め、育て上げることを目的とした、政府公認の超特権的な学園。
『この学園を卒業すれば、人生において成功したも同然』とまで言われている。
何百年という歴史を持ち、各界に有望な人材を送り続けている伝統の学園らしい。
国の将来を担う"将来"を育て上げることを目的とした、まさに、"希望の学園"と呼ぶにふさわしい場所。


この学園への入学資格は二つ——。

"現役の高校生であること"
"各分野において超一流であること"


新入生の募集などは行っておらず、学園にスカウトされた生徒のみが入学を許可される。
そんな常識はずれな学園の校門の前に———私は立っていた。


私はパンフレットを片手に、悠々とそびえ立つ建物を眺める。
想像していたよりも遥かに大きい。恐らく、世界各国でここまで大きな教育機関は存在しないだろう。
…私にはあまり実感は湧かないんだけどね。別に修羅場をくぐってきたわけでもないし、かといって特定の分野で活躍したわけでもない。


 そう思いながら、私はパンフレットとともに届けられた招待状を見る。
それは先週、学校から帰ってきた私の元に届けられた一通の手紙だった。


『神谷 春子様。貴方を『超高校級の知識』として希望ヶ峰学園に入学することを許可する』


自己紹介をしなければならないわね。まぁ、「自己紹介」って言っても何を言えばいいか毎回迷うんだけれど…。


私の名前は神谷春子。つい昨日まで、普通の高校生活を送っていた普通の高校生よ。…え?肩書で疑わしいって?…普通に生活してたつもりなんだけど…。いつか特別なことでもしてたかしら?
…で、今回この学園の選抜理由にもなった『超高校級の知識』についてなんだけど…。ごめんなさい、実はあまり心当たりがないのよ。
強いていえば、小さい頃から謎を解き明かすことが好きで、何でも調べて回っているうちに膨大な知識を手に入れていた…って感じね。
昔から記憶力は他の人よりも良かった自信はあった。1回覚えたことは絶対に忘れないから、小学校のテストも毎回高得点だったっけ…。
中学生の時に両親と世界一周旅行にも出かけて、色んなことを知ったわ。書物や文献だけでは知らなかった真実が見えて、とても面白かった。もちろん、今でも全部覚えてるわよ。
まぁ、私の自己紹介はこんなところかしら?


「はぁ、他の人たちとうまくやれたらいいんだけど」


希望ヶ峰学園に選ばれる生徒達は本当に、その分野では知らない人はいないほどの超一流高校生ばかりで、興味もあった私はその選抜メンバーについて、インターネットを使って調べていた。
実際に色々調べてみたところ、やはりどの選抜者も平均値から大きく飛びぬけた知名度も実力も高い"超高校級"の面々ばかりだ。


例えば、大人気音楽ゲームシリーズに楽曲を提供し、世界でも注目を浴びている「超高校級のDJ」や…

務めたアルバイト先の売上をうなぎ登りにさせ、数々の店の営業危機を救ってきた「超高校級のバイトマスター」…

彼女がリポートした場所や食べ物はすぐさま人でいっぱいになって「人気スポット」と化したり、販売直後に完売してしまう「人気メニュー」になるなど、テレビでも大人気の「超高校級のリポーター」…

他にも、「着ぐるみ職人」「女形」「パティシエール」「弓道部」「マジシャン」「ディーラー」「映画監督」「スキーヤー」「ダンサー」「図書委員」「科学部」「ハッカー」「美化委員」とそうそうたるメンバーがそろっている。…着ぐるみ職人、ちょっと気になるかも。


「…そろそろ行かないとね」


現在、時刻は7時を少し回ったところだろう。
予定では入学式の開催は9時からなので、まだ時間に余裕がある。
…例の「着ぐるみ職人」、探してみようかしら。


入学初日ともあって、私はついつい軽い気持ちで希望ヶ峰学園への第一歩を踏み出した。
それが、間違いだった。


「…えっ!?」


急に眩暈が起こり、目の前の風景が飴細工のようにとけてぐにゃりと歪む。それは、あっという間に他の景色とどろどろに混じり合って……。
気が付いたときは真っ暗闇の世界で、私は完全に意識を失ってしまっていた。


このとき私は気づくべきだった。
これが、日常とかけ離れた"殺人ゲーム"の始まりだということに。

chater00 〜絶望職場体験・スタート〜 ( No.7 )
日時: 2013/09/21 00:09
名前: ランスロット (ID: VaYZBoRD)

……私は一体何を……


確か希望ヶ峰学園の校門にいたはず……


でも、急に目眩がして……


なにが…あったの…かしら…


「…のー、……ぶー?」


声…?


その声に顔を上げてみると、白い髪の青年が私を心配そうに見ていた。
私が顔を上げたことに、青年はほっとしたのか表情を崩した。


「よかった…目覚めなかったらどうしようかと心配だったよ」


くにゃりとした笑顔で私を見る。青年曰く、この場所で倒れていた私を見つけて、目覚めるまでずっと見守ってくれていたそうだ。
…後でお礼を言わないとだめね。


そういえば、ここはどこなのかしら…。辺りを見回すと、クリーム色が私の目に飛び込んできた。学校って、クリーム色の壁だったかしら。…いや、パンフレットに書いてあった教室の壁の色は白。クリーム色じゃなかったはず…。じゃあ、ここはどこ…?
頭の整理がつかないうちに、青年が私に向かってこう行った。


「とりあえず、みんなのところまで行こうか」


みんなのところ…?ここにいるのは私と彼だけじゃないってこと…?
まぁ、行ってみれば分かることだわね。私は黙って彼について行くことにした。


廊下を歩き始めて数分。青年が私に向かって話しかけてきた。


「あ、自己紹介がまだだったね。オレの名前は冥雅雪斗。『超高校級の幸運』として希望ヶ峰学園に入学するんだ」
「私は神谷春子よ。これからよろしく」


冥雅くんが自己紹介をしてきた。私も同じように自己紹介を返す。そう、彼は私の同級生になる人だったのね…。
超高校級の幸運…。そういえば、インターネットを調べていた時にそれらしきことが書いてあった。私は頭の知識の倉庫から一つの情報を取り出す。
超高校級の幸運は、全国中の一般の高校生から抽選で選ばれる、「毎年存在する特別枠」…だったはず。


「オレの家に招待状が届いたときはみんなビックリしてさ。家族総出で学園に電話をかけたよ…。何回かけたんだろうなぁ」
「でも、貴方の家に招待状が届いたってことは、凄い幸運の持ち主なんじゃない?すごい才能じゃない」


私の言葉を聞いて冥雅くんは「いやいや!」と答えた。そして、こう切り返してきた。


「全然大したことないよ…。招待状が届いたときに、オレが今まで運が良かったのか考えてみたんだ。でも、心当たりが全然なくてさ。『買い物に付き添ったときにやる福引で毎回1等を当てたり』、『友達と一緒に何回か行った遊園地の来場人数が毎回オレで丁度キリ番だったり』、といったことはあったけど…こう『これだ!』って決め手はないんだよな」


…まさか、冥雅くん…。自分が幸運の持ち主だって、自覚がないの…?
福引で毎回1等を当てたり、遊園地で毎回来場者数がキリ番になったり、って相当な運の持ち主じゃなきゃ出来ないことなのに…。


「いや、とんでもないわ…」


思わず本音が声に出た。

冥雅くんと談笑しているうちに、彼がふっと目の前を向いた。


「着いたよ」


私の目の前で、16人の少年少女が私達を見つめていた。

chater00 〜絶望職場体験・スタート〜 ( No.8 )
日時: 2013/09/21 09:05
名前: ランスロット (ID: UbyZEBNe)

ホテルのロビーに着いて、16人の少年少女がいた。
そして、隣にいる冥雅くんは「超高校級の幸運」として学園に入学する…。
恐らく、この人たちも「超高校級」として学園に入学する生徒なんだろう。
しばらく考えていると、金髪の小柄な少女が冥雅くんに確認を取り始めた。


「冥雅、そいつでラスト?」
「うん、そうだよ。他にも回ってみたけど、彼女意外は見つからなかったし」


間髪入れずに、動きやすそうな服装をした青年が私に話しかけてきた。


「じゃあキミ、名前教えてくれよ。俺達自己紹介終わっちゃったから、後はキミだけなんだ」


もう自己紹介は終わってしまったらしい。彼らのことについては後で個別に話しかけることにしよう…。


「分かった。私の名前は神谷春子。『超高校級の知識』ってことで学園に入学することになったわ。よろしく」


「知識…?なぁお前、聞いたことあるか?」
「さぁ…。でも冥雅の『幸運』だってネットに載ってなかったんだし、そういう肩書が合ってもおかしくないよ」


ざわざわと数人が話し始めた。どうやら私の情報はインターネットに載ってないらしい。…そりゃそうだ、私は別に特別なことはしてないんだもの…。
でも、みんなに話しかけるチャンスかもしれない。まずは、左に群がっているあのグループから話しかけてみよう。

私は、くるくる巻いたポニーテールが特徴的な女子に近づいた。


「どーも、村上一夜です!よろしくね〜!!」


村上一夜。彼女がリポートした場所や食べ物はすぐさま人でいっぱいになって「人気スポット」と化したり、販売直後に完売してしまう「人気メニュー」になるなど、テレビでも大人気の『超高校級のリポーター』だ。
テレビでも何回か見たことがあるけど、やっぱり明るくて元気な雰囲気を感じる。


「ねぇねぇ、神谷ちゃんの住んでいる町のおススメスポットを教えてよ!あたしがリポートして人気スポットにしてあげるからさ!!」
「え?でも…私の住んでいる町はあんまりそういうのないから…大丈夫よ。お気持ちだけ受け取っておくわ」
「そうなんだ…残念。…あ!でも神谷ちゃんをリポートすればあなたを訪ねて全国から人が集まるんじゃない?!『ありえない記憶力の持ち主!世界の理を知り尽くした少女!!神谷春子特集』って感じでさ!」
「いや…それは…遠慮しておこうかな…」


…この子、放っておけば私を取材しかねないわ…。
私で町が活気に溢れるのはいいんだけど、プライベートをさらけ出されるのは流石に嫌だもの…。
私は村上さんと軽くあいさつをして、バンダナを巻いた金髪の男性の方に顔を向けた。


「僕、星野梓沙っていいます。これからよろしくね!」


星野梓沙。『超高校級の美化委員』として、国から功労賞を貰った経験のある男子高校生だ。彼に掃除をさせると、どんなに汚れたものでもたちまち新品同様になって戻ってくるらしい。
薄紫のバンダナがよく似合ってる、爽やかそうな男子だと感じた。


「神谷さんは、普段から部屋の掃除はしてる?」
「なるべくするようにはしてるけど、忙しいときは掃除をしないこともあるわね」
「神谷さん。忙しくても、毎日の掃除だけは怠っちゃだめだよ。掃除には運気も関わってくる。部屋が汚いと幸運の神様も逃げて行っちゃうから。流石に、冥雅くんの幸運は逃げないと思うけど…」
「へぇ〜。気を付けてみるわ」


星野くんから掃除の心得について少し話し合った。
本当に掃除が大好きなんだなぁ…私はそう感じた。掃除のことを話す星野くんはとても楽しそうだった。
次に、金髪の小柄な少女の方に顔を向けた。


「雨宮くるみ!『千変万化のコスプレイヤー』くるみんとはくるみのことだー!!!」


雨宮くるみ。全国のコスプレイヤーの憧れの的で、彼女に衣装制作を頼めば、最高の出来で仕上がると言われている『超高校級の着ぐるみ職人』だ。
本人も自作の衣装を着てイベントにも参加したことがあるらしい。
まるで小学生を思わせるような小柄な少女だった。


「神谷ー、神谷はコスプレとかするのか?」
「え?私?したことないけど…」
「なんと!もったいないぞ神谷!お前ほどのぷろぽーしょんなら、露出の高い衣装だって着られると思うぞ!後で着てみるか?」
「うーーん…興味はあるけど…また今度ね」


露出度の高い衣装がすごく気になるけど、嫌な予感しかしないのでやんわりお断りしておいた。
そういえば、過去に「超高校級の同人作家」と言われた人と合同でイベントに参加して、新作の同人誌とコスプレ衣装を完売してしまったらしいのよね…。
…やっぱり露出度の高くないものなら来てみようかな。


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