哀沢カナトがやってくる。 作者/ハネダ

《6:~カガミさん~》
あれから一週間が経とうとしている。
「女子中学生失踪事件」は、各メディアで大きく取り扱われたが、その熱も冷めようとしている。
警察の捜査も打ち切りになるらしく、山田セリカの行方は闇の中になりそうなのだとか。
佐々木アスカは、渡り廊下の窓からぼんやりと中庭を見下ろしていた。
山田さんが食べられてしまってから、二人の友達も学校に出てこなくなり、アスカはもうひどい目に遭わなかった。
哀沢カナトのお陰、なのだろうか。
「……でも、山田さんは……」
「山田さんが、どうかした?」
突然後ろから声をかけられ、アスカは驚いて振り替えった。
同じクラスの女の子が居た。白い肌に黒い髪。山田さんとは別の属性の、氷のようにきれいな人。
「あ……霧島さん」
「カガミでいいよ。それより、あなたは山田さんについて、何か知っているのかな?」
「……」
言っても、きっと信じられるはずが無い。アスカは黙った。
カガミさんは、すっとアスカの耳元で囁いた。
「もしかして、これには哀沢カナトが関わっているんじゃない?」

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