哀沢カナトがやってくる。 作者/ハネダ

《9:~ラーメン、その後~》
カガミさんは、哀沢カナトにあいたいといった。
でも、わたしは……
「やっぱり、ちょっと怖いよ……」
ラーメンを食べて帰る道すがら、アスカはぽつんと呟いた。
カガミさんは、そんなアスカを見やって、
「でも、彼のお陰で、あなたは助かったんじゃない」
「そうだけど……私はカガミさんほど危険だったわけでもないのに……」
「ね、きみたち、もしかして哀沢カナトに会ったことがあるの?」
突然後ろから声をかけられて、アスカとカガミさんは振り返った。
背の高い男の人が立っていた。メガネをかけた若い、茶髪の男性。
「……誰?」
不信感たっぷりに警戒して、カガミさんが鋭く問う。
女子中学生の迫力に、二十代半ばの男の人が慌てた。
「僕は怪しいものじゃないよ! これっ……」
わたわたしながら、鞄や尻ポケットに手を突っ込み、最終的に胸ポケットから、名刺を取り出した。
白い四角い紙を見つめ、アスカとカガミさんは声に出して読む。
「都市伝説チャンネル・パーソナリティー……」
「空野クモオ……?」
そろりそろりと見上げると、男の人は、えっへんと言わんばかりに胸を張った。
「って、誰?」
アスカが尋ねると、ガックリうなだれた。

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