哀沢カナトがやってくる。 作者/ハネダ

《16:~がっこう:昼休み~》



哀沢カナトが、都市伝説チャンネルにでることになった。
わたしとカガミさんも、そのひラジオ局にいくことになった。

「ラジオ局なんて、私、行くの初めてだよ」
「私は前に一度。何の番組だったのかは忘れちゃったけど」
食堂のある学校第三棟の屋上で、並んで紙パックのフルーツ・オレ、百円の品を飲みながら、アスカとカガミさんは来週のとしネルについて話した。
「としネルって、そんなに有名なのかな」
「まあ、同じ時間帯に面白いものが無いみたいで、それなりにリスナーはいるらしいよ。あの空野クモオって言う人は声優もやっているし。知ってる?
 去年ヒットしたアニメ映画『夏猫』の主人公の声」
「……ほんとだ、同じ!」
クラウドさんは意外にすごい人だった。
「あれ、アカデミー賞にもノミネートされてたよね……すごいひとだったんだ。『誰?』って聞いちゃって、悪いことしちゃったな……」
「まあ、立ち直りは早そうだし問題は無いでしょ」

「それにしても、リスナーさんたちが哀沢カナトを哀沢カナトだって信じてくれるかが問題だよね」