哀沢カナトがやってくる。 作者/ハネダ

《13:~みんなのおもい2~》



「哀沢カナト! ……くん!」
勇ましく声を出して、クラウドさんが立ち上がった。でも、ちょっとへっぴりごし。
「なんですか?」
「どうしてきみは人を食べるんだ。悪い人だって生きているんだ。勝手に排除するのは許されることじゃない。そうだろ?」
哀沢カナトはしばらく「んー」と考えていたが。
「確かにそうだね」
あっさり同意した。
「じゃあ……」
「もう食べるのはやめろ、って言うわけ? それは出来ないよ」
ゆるゆると首を振る。
「どうして!」
「だって、それを望んでいるのはきみたちなんだもの」
クラウドさんが、言葉を失う。

「ぼくは、みんなのおもいから生まれたんだよ? 嫌な奴がいなくなればいい。誰かが消し去ってくれればいいって。おもっているのはきみたちなのに、どうしてぼくが責められなきゃいけないのさ?」