..盆踊り。 作者/桃花

【5】-第5話- 好き―――



「香奈枝!どうしたの?香奈枝が私を呼ぶなんてめずらしーじゃん?」

葵はニコニコしている。

「うん・・・。ちょっと聞きたいことがあって・・・。」

なんだかさらに葵はニコニコしている。

「勉強のこと、学校のこと、何のこと?」

すこし香奈枝はいいだしにくかった。

「あ・・あのさ!!葵って啓のこと好き・・・・・なの?」

「・・・・ッ!!」

葵がの肩がビクッと震えた。

「な、なにいってんの?わたしが啓をスキ?あははは

は!!そんなわけ・・・・ないじゃん。」

香奈枝は拾った桜貝を出した。

「あ!それは―――」

バッ!と葵が香奈枝の手の中の桜貝を奪い取った。

「葵・・・。啓のことすきなんでしょ?なんで?なん

でだまってたの?」

胸がズキンとなる。

「ねぇ、葵?」

さらに激しく胸がズキンッと叫ぶ。

「・・・。」

葵が口ごもり、やっと口が開いた。

「いいじゃんか!!私が誰を好きになろうと!!香奈枝に

は関係ない!!!!!!あ。もしかして香奈枝って啓のこと

好きなの?いきなり好きになられても困るよ?私は幼稚

園からずっと好きだった!!もし啓のこと好きだとして

も香奈枝なんかに渡さないから!!!!!」

ドンドンと足音を立て、ドアをバシッとしめて、

葵が病室から出て行った。

「啓が・・・・・好・・・・き?」

胸がドキンっとなった。

(え・・。も・・・もしかして私は啓のことを・・・?)

そう思った瞬間顔が真っ赤になった。

(私・・・。啓が好きなんだ―――)