..盆踊り。 作者/桃花

-第6章- 本命は?―



「・・・・。ふぅ・・・」

香奈枝は病室の窓の外をみながらため息をついた。

(まさか葵が啓をすきだなんて・・・)

「はぁ―――・・・・・・」

(しかも私は啓が好き・・・・?)

「もうわけわかんないよー。」

「おーい?香奈枝らしくないなぁ?どうしたんだ?」

この声は・・・・

「啓いたの・・・・・?」

「いるわ!!!ずぅ~~~っと!!!」

(え・・・・なんだか啓がかっこよく見えるんだけど・・・!?)

香奈枝の顔が赤くなっていた。自分でもわかるくら

に、胸がドキドキなっている。

「どうした?熱でもあるのか?」

そういいながら啓は香奈枝のひたいに手をあてた。

「ッや!!!」

香奈枝は啓の手を叩き、跳ね返した。

「・・・・ごめん。」

啓が下を向いて誤る。

「え・・・・・いやべつに啓は悪く・・・・・」

香奈枝がいってるあいだに啓は病院をでていってしま

った。

(なんで・・・。あんなこと・・・・。いっちゃったんだろう・・・・)

そのとき窓の外でふいと気になったものがあった。

「葵と啓!?」

そうなんだ。あの葵と啓が一緒に歩いていたのだ。
       ・・
しかも啓は香奈枝といた時よりも楽しそうに。

誰かがドアをノックする。

「はい。どうぞ・・・」

ノックの音と共に入ってきた学。

「あ!!学・・・。久しぶりだね!」

学は香奈枝の言葉を無視して窓際に立った。

「ねぇ。香奈枝はあれを見てなにもおもわないの?」

「え・・・・。な、なんのこと?しかも学がアニメ声じゃ

ないなんてめずらしいねぇ?」

香奈枝は一応話をそらした。

「見てよ。」

でも学は香奈枝を無視した。

その学の行為にちょっと腹を立てた香奈枝。

「もう!!わかったよ!!」

そこにあった光景はみたくもない光景だった。

「あ・・・・・!?啓のお父さん・・・?」

葵が啓のお父さんとなにかはなしている。

笑いあいながら・・・・

「やだっ!!!」

その瞬間、学がカーテンをしめた。

そして香奈枝を抱きしめた。

「なっ!!学なにしてんの!?」

学の力は強かった。ふりほどこうと思ってもふりほどけない。

「僕ね、香奈枝のこと好きなんだよ。ずっとうらやま

しかった。啓のこと。」

「・・・・!?」

「いつも香奈枝のそばにいて。でも僕だって振り向い

てもらえるようにがんばった。」

(え・・・。学が・・・?)

「啓は僕に香奈枝のこと好きだって教えてくれ

た。だから無理かなっておもった・・・。」

「学・・・・」

「でもあれをみただろ!?僕は・・・僕は・・・あんなやつ

に香奈枝をとられたくないんだよ!!!」

香奈枝はその強い口調に驚いた。

「・・・・。ごめん。かえるね。返事は次来たときに。」

学が出て行った。

「学・・・・啓・・・・葵・・・私は・・・・どうしたらいいの?」


その日、わけもないのに香奈枝は泣いた。

なぜこうなったんだろうと。

あのころに戻りたいと、皆きっとねがっていただろう。

大親友で悩みなんかなかったあの頃の自分達に――――