..盆踊り。 作者/桃花

-第7話- ウソ -



(・・・学が私のことを・・・?)

そのことを思うと少し元気がなくなる。

(私が啓を好きだってこと知らないんだもんなぁ・・・)

「はぁ・・・・」

誰かがドアをノックする。

(入る時にノックする人は・・・学しかいないよね?)

「入るよ」

(やっぱ学じゃん・・・・)

「体の調子はどう?」

そういいながら学はそこらへんの椅子に座った。

「うん。平気。」

「・・・あのさ?昨日の返事聞きに来たんだ。」

(こんなことをいう時啓なら頭の後ろをかきながら、言うんだろうなぁ・・・)

「学・・・本当にごめんね。」

「なんで。」

「私好きな人がいるの!!やさしくて・・・おもしろく

て・・・・でもおっちょこちょいで・・・そんなヒトな
の。」

学はちょっとイライラモードだ。

「それは誰なんだよ!!!啓か?そーかーやっぱり香奈枝は

啓がよかったんだな!!俺が告白した時に迷惑とか

おもってたんだろうな!!!!!!」

学はそこらへんにあった机をたたいた。

バシンッと隣の病室に聞こえるくらい叩いたらしい。

「ご・・・ごめん。学・・・・。私は啓がすきなの!!

お願い!!啓にはいわないで・・・・・」

そういった瞬間、下を向いていた学の顔がなんとなく

笑っているように見えた。

「く・・・くく・・・ぷ」

いきなり、学が笑い出す。

「・・・・学?」

「ぷ・・・・も・・・・う・・だめ・・・・」

「ギャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」

学はとても大きな声で大笑いした。

「なんで笑うの!?」

「ん?あ、いけないやぁ~ま、いっかぁ~どうせばれるしぃ~」

(・・・・・)

「いままでのねぇ~全部、『うそ』。

香奈枝が啓のこと好きなのかなぁ~~って気になってたのぉー」

「うそついてまで聞きたい?ふつう。」

「気になるヨォ~~」

きずけば学はアニメ声に戻っていた。

「でーー芝居をしてていってくれるのをまってたの」

「で?私が言ったってわけね・・・・。」

「そうなのぉ~~うそついてごめんねぇ~~」

ちょっとガクッ

「じゃぁもうかえるねぇ~~ばいば~~い」

「ばいばい!」

学は病室から静かにでた。

(ふう・・・・・・なんだぁウソかぁ。

ちょっとがっかりかも。)

そのとき学は外から香奈枝のいる病室を見ていた。

「僕ね・・・。本当は香奈枝のことずっと好きなんだよ・・・。

啓のこと好きっていわなければ、

つきあってって言うところだった。

でも香奈枝は啓のこと好きだったんだ・・・。

香奈枝の笑顔を僕はいつも見ていたいよ。

バイバイ・・・・。

お幸せに―――――」

学はそういうと帰っていった。


学の恋は誰にも覚られず風に乗って、消えていきました――――