..盆踊り。 作者/桃花

-第9話- 新たに―



「香奈枝生きてるのかな・・・・」
葵は病室でポツーンとつぶやいた。
昨日の“あれ”はなんだったのか。
そう思えば思うほど......謎だ。
軽くドアからノックの音がした。
「はい。どうぞ..」
誰かがお見舞いに来てくれたのかな…?
ちょっと軽くドキドキしていた。
「おじゃまします。」
そういって入ってきたのは、なんとも綺麗な女の子。
鼻筋はすぅーっと通ってるし、肌はいい肌色だし…
なによりその目。茶色がかかったビー玉のように
きらきらと光ってる。
髪の毛は・・・・私よりも短いよ。
男の子みたいな髪型。でも髪がすこし赤っぽい。
「あの.....」
「あっ!はい?なんですか?」
つい、見とれてしまった。
「入院してるって聞いて... 花束です・・・・。どう
ぞ。」
その花がまた、私の腕よりもおっきいの。
私の足くらい。これでも168,2なんだから!!!
ちっちゃいって馬鹿にしないでよ!!!!
「あの…お名前は?」
「竜堂 朔良です・・・・・」
朔良ちゃん... 聞いたことないなぁ?
「へぇー竜堂 朔良かぁ!良い名前だねっ!!」
朔良はてれている。
「ありがとうございます...」
「これからは、わたしのこと葵ってよんで!」
見ると、朔良の顔が見る見る真っ赤に。
「…よろしく…葵・・・・・・」
葵はニッコリ笑って言った。
「じゃぁ、朔良ちゃんってよんでいい?」
「え…ちゃんですか?」
葵はきょとんとしている。
「女の子でしょ?呼び捨ての方がいいかな...?」
朔良はふるえている。
「麻倉さん!!!!僕は男ですと!!!!!!勘違いしないで
下さい!!!!!!!!もう!!!!!こっちは良い迷惑で
すと!!!!」
葵はその気迫に負けた。
「わ、わかりましたです...と...?」
「あっ!すみません!僕ったら僕ったら…」
(僕は...葵が好きなのに・・・・・素直になれないんだ。
今日だって・・・気持ちを伝えようとしていたのに
ぃ!!本当に僕のバカァ!!)
朔良はそういうと、自分を殴り始めた。
「朔良クン!?なにしてんの!」
朔良は自分の頬をグーでたたいた。
「いてっ!これで…」
頭をパーでビンタする。
「いたぁ!!…いいん・・・」
自分の足で、足をけった。
「ぅっ・・・・いいん・・・」
腹をグーでとどめのパンチッ!!!
「ォぇっ…で・・す…と…」
朔良は床に倒れた。
「朔良クン!?オーイ!!!朔良クーン!!!病院で
怪我してもシャレにもならんゎぁぁぁ!!!!!」
「・・す・・・み・・・ま・・・せん・・・・」
なんだかんだといいながら、楽しかった。

そう、トラブルの始まり―――――――