複雑・ファジー小説

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Quiet Down!!
日時: 2011/06/25 15:16
名前: 水瀬 うらら (ID: 5iKNjYYF)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode=form

皆さん、こんにちは。私、水瀬うらら(みなせうらら)と申します。
本日から不定期に小説を書かせて頂こうと思います。
この物語を書くきっかけになったのは、ずばり、小説を書くことを趣味の一環としていた私に、友人がリクエストをしてくれたからです。
いつかこの小説が、彼女に届く日が来ることを願います。
また、読者様からの感想やアドバイスなど、心よりお待ちにしております!

はちゃめちゃだったり、ぶっとんだ面も多々あるかと存じますが、
何卒、宜しくお願い致します!

第十八話『家族?それ、マイペースな団体のことですか?』 ( No.85 )
日時: 2012/03/13 16:50
名前: 水瀬 うらら (ID: G0MTleJU)

「着きました」
「お」
 水野さんが感嘆の声をあげる。別に凄くもないんだが。
「一軒家なんですか」
 目を丸くさせる霧島さんの言う通り、俺の家は一軒家だ。ベージュ色の普通の二階建てである。この大きさからして団体で住んでいることを推測するのは止むを得ないのだが。
「両親と弟は海外に旅行中だから、今は俺一人」
「弟さんがいらっしゃるのですか。意外ですね」
「あ、そうですか?」
 素直に言われ、瞬きをした。
「シノっち、その旅行っていつから?」
「入学式の直後」
 一瞬、辺りが静まり返る。それが普通の反応なのかもしれない。
 俺の両親は実に自分勝手な人で、弟が「せめて入学式の後に行こう」とすがりつかなかったら、上機嫌でそのまま旅行に行くような人達であると断言していい。もちろん手土産を持って帰ってきたりはない。
「そんな身勝手ファミリーの長男です」
 何故か真面目な顔で決め台詞を言いながら、傷だらけの鍵を鍵穴に差し込んだ。

第十九話『最終兵器は強し』 ( No.86 )
日時: 2012/03/13 16:59
名前: 水瀬 うらら (ID: G0MTleJU)

「ちょっと待ってください! 水野さん」
「敬語は止めてくれって、シノっち」
「話をややこしくしないでください!」
 水野さんは、「やれやれ」と首を横に振った。
「あたしの言っていることは、極々簡単さ。ウチに入れて」
「お断りします!」
 俺が「有り難うございました」と玄関の扉を閉めようとした瞬間に、自身の片足を扉の間に入れて閉めるのをブロックするだなんて……思いもしなかった。
「んーどうしても無理?」
「はい!」
 そう力強く頷くと、『じゃあ、最終兵器を送り込もう』とばかりに水野さんは俺に背中を向け数秒後、ある人を交渉人として引っ張り出した。
「えっと、あの、その」
 霧島さんである。
「私、篠原君のことが心配なんです。どうか、入れさせていただけませんか?」
 上目遣いで弱弱しくお願いするその姿は、蓮に言わせれば『愛らしい』感じである。
「う……」
「シノの始末は後のお楽しみ! ということでさぁどうぞ。みっちょん」
「その『レディファースト』精神、マジ引くわ」
 うろたえる俺を他所に、俺の腕の下からよいしょといとも簡単に自宅に侵入される。
「広いなー相変わらず」
 蓮は妬みなのか、そうぼやきながらリビングに置かれたダイニングテーブルの椅子に腰をかけた。
「病人の方に食べさせて良いものって、何でしょう?」
「さーねー」
「水野さん、病人という名の俺の手助けに来たんじゃなかったんですか?」
「そんなことあたし一言も言ってない」
「うわぁ……鬼畜」
「なんか言ったかい?」
「いえなんでもないです」
「そう。ならいいや。————あぁ!? しまった!」
 水野さんはその場で文字通り地団太を踏んだ。
「ノート、買うの忘れてた!悪い、燈兎!一緒に来て!」
「あ、うん!」
「飯、作っといてええええええええええええええええええええええええええええええええ」
 俺が事態に気づいた時には、玄関の扉は破れんばかりに音を立てて閉められていた。

第二十話『いつしか、判明されるだろう事実』 ( No.87 )
日時: 2011/07/25 12:40
名前: 水瀬 うらら (ID: JNIclIHJ)

「……行っちゃったよ、水野さん」
「あーいう女の子、って何て言うんだっけか?」
「…………天真爛漫、じゃないだろうか」
 蓮は、しばらく玄関の方向を見つめていたが、やがてじっとすることに飽きたのか、
「なぁ、メシ、作らねえ?」
 我が家の台所に、我が物顔でドスドス入っていった。
 至って普通の日常のように、冷蔵庫を開けられる。って、おい!勝手に開けんな!
「なんか、食べ物いねがー」
「なまはげと趣旨全然違う」
「んーカレーかなーじゃがいも、人参、玉ねぎもあるし」
「……主夫みたいなことをぬかすな、……まぁ、水野さん、夕食、用意しとけって言ってたしなぁ……なにかしら作らないと……」
 軽く自分の頭を押さえた。何故、病人が夕食を作らねばならないのか、大いに疑問である。霧島さん、突然の出来事で、ツッコんで、くれなかったし……。
「おーい、早く、作ろうぜ」
「はいはい、分かったよ」
 おざなりな返事をした後、俺は二階にいき、自室にある、黒いシックなエプロンを装着して、キッチンへ戻った。
 すると、
「やっぱ、料理出来る男子は、モテんのかな」
 俺のエプロン姿を半目になって、にらんでいた。どうしたら女の子にモテるか。コイツは四六時中、研究しているらしかった。
「知るか、そんなこと」
 俺が手を叩いて、クッキングに意気込んでいると、「頑張れ—」と蓮が口に両手を当てて、拡声器のようにし、エールを送ってきた。
「え、お前、作らないの?」
「ふっ、オレはたまにはお前を立てようかなと思ったまでだ!」
「素直に作りたくないって言えよ」
 俺の額に血管が浮き出そうになっているのは、恐らく、気のせいじゃないだろう。
 流しの下の引き出しから、包丁を取り出す。そして、野菜の皮を剥き始めた。
「それにしても、変わらないな。この家は」
「は?」
 辺りに野菜を刻む音が、テンポよく響き渡る。くっ、人参が、ちょっと硬い。
「前も、こんな感じで、草太と一緒に殴りこんだっけ」
 鶏肉を一口サイズにぶつ切りにしようと、腕にこめていた力が、極端に弱まる。
「?シノ、どうし……」
「な、殴りこんではいないぞ。草太は」
 同様を隠されないよう、俺はごまかした。蓮と、なるべく目を合わせないようにする。
 ————そう、草太は、ここによく、遊びに来ていた。といっても、蓮に無理やり、連れてこられて、だが。
「アイツ、どうしてんのかな……今」
 懐かしむようにポツリと言った、蓮の一言に、俺は、口をつぐんだ。
 言える、訳がない。
「さ、さぁさぁ、料理を始めますかね」
 俺は少しどもりながら、フライパンに火をつけた。
 蓮の不審な視線を浴びながら。

第二十一話『カレーライス』 ( No.88 )
日時: 2011/07/25 12:43
名前: 水瀬 うらら (ID: JNIclIHJ)

「意外と早く出来たなー、よく出来ましたよく出来ました」
「お前のせいで大分遅くなったんだ、これでも。いつもより」
「え?オレが眩し過ぎて?」
「……」
 ダイニングテーブルに四人分のスプーンや取り皿を用意する。
「あ、蓮。下にテーブルクロスを敷いといて」
「なんで」
「じゃなきゃ、食べるな」
「喜んでやらせていただきます」
 つくづく薄情な奴だ。
 ————ガチャ
 玄関の扉が開く音が聞こえる。鍵は開けておいたし。
「おぉ、みっちょん!燈兎さん!お帰り!寂しかったよ!」
 蓮が玄関の方に向かって、叫ぶ。
 ——「寂しかったって……あぁ、寒いぜ」
 ————「仕方ないよ、変態だから」
「俺に向かって、愛を叫んでいる全国の女の子!ありがとな!」
「誰も愛なんて叫んでないぞ、おい」
 靴を脱ぐ音。続いて、走ってくる音。
「よっしゃー!飯!」
 ビニール袋を手に提げながら、足で急ブレーキをかける、水野さん。フローリングは滑るからなぁ……。
「みっちょん!今日はカレーだよ!」
「待て。その言い方は、作った張本人である、俺が言うべき台詞だ」
「…………………………………………カレーだって?」
 なにかが落ちた音が聞こえる。振り向くと、水野さんがビニール袋を落としていた。顔面は、蒼白である。先程の笑顔は、消え失せた。
「みっちょん、カレー嫌いだった?」
「………………カレーだって?」
 水野さんは何故か、自分に言い聞かせるように、呟く。心なしか、左手は拳を作っていた。震えている。
「柚子」
 心配そうな顔の霧島さんが、水野さんの肩に手を置くと、水野さんは、なにかを頭の中から追い出すように、激しく首を横に振って、また、向日葵のような明るい笑顔を浮かべた。
「ん!なんでもないよ!カレー、大好き!さ、食べよー!」
 ……霧島さんは、そんな水野さんを、辛そう顔で、見つめていた。

第二十二話『人は……秘密を持つ』 ( No.89 )
日時: 2011/07/25 12:46
名前: 水瀬 うらら (ID: JNIclIHJ)

「もぐもぐもぐ……うまっ!おいしいよ!シノっち!」
「凄く美味しいですね!」
「有り難う」

「……うわぁこれ、滅茶苦茶まずーい。凄いまずーい。なにこれー料理じゃねえよなー」

 高評を俺に博する水野さん達を見て、むすっとわざとらしく、大きな声でしゃべる、蓮。そんなに女の子に褒められる男が憎いのか。
「あーあー、楽しくねーな—」
「お前はクレーマーか」
「お、面白そうなもの、発見」
 蓮がリビングの隅の引き出しの上に乗っている、写真立てに目を止める。スプーンを置いて、歩み寄り、手に取った。
「これ……俺たち三人の記念写真じゃんか」
「三人?」
 水野さんは聞き返す。そうか、水野さんたちには、話していない。……半ば、複雑な気持ちになる。そんな俺に気づかず、蓮は写真を指差した。水野さんが、写真を覗き込む。
 俺が座っているところからでも、見える。そこには、少し幼く見える、俺たちの姿が写っていた。家の前である。太陽が差し込んで、綺麗なその写真には、俺と草太の肩を無理やり、真ん中に立って、組み合う、蓮の姿。俺は嫌そうな顔をしている。
「この、童顔の男子は?」
 水野さんが、指をさす。
「みっちょん、コイツはね、草太って言うんだ。恥ずかしがり屋でさ」
 草太は……慌てふためいている。
「そういやぁ……昔は、ソウって呼んでたな」
「へー。」
 霧島さんは、しゃべり合う蓮達を、どこか遠い目で眺めていた、
「なぁ、ソウ、元気?」
 こちらを振り返る、蓮の何気ない一言。
「……」
「ん?」
「……今は、食事中だ。また今度な」
 そう紛らわすことしか、出来なかった。


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