二次創作小説(新・総合)

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繋がる世界と未来の物語
日時: 2022/05/21 22:00
名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: jX8tioDf)

 ―――これは、"全てを元に戻す"物語。
 それが例え、紡いできた絆が離れる結果となったとしても……。


 どうもです、灯焔です。
 新シリーズ発足です。大変お待たせいたしました。プロットの詳細を決めている間に相当時間がかかってしまいました。
 サクヤ達がどういう運命を辿るのか。この終末の物語を、どうぞ最後までよろしくお願いいたします。
 この作品は版権作品同士の『クロスオーバー』を前提としております。
 また、オリジナルキャラクターも登場します。
 苦手な方はブラウザバックをお願いいたします。


※物語を読む前に必ず目を通してください※
【注意事項】 >>1
【取り扱いジャンル】 >>2


<目次>

Ep.00【舞い戻れ、新たな異世界】 完結
>>3-7 >>11 >>12-17

Ep.01-1【繋がりの王国】 完結
>>21-25 >>28-33 >>36-37

Ep.01-2【宇宙からの来訪者】 完結
>>39 >>40-48 >>49-53

Ep.02-1【強者どもの邂逅】 完結
>>55-56 >>57-59 >>60-63 >>66-67

Ep.02-2【黒と白と翡翠の車掌】 完結
>>70-73 >>74-76 >>77-78 >>79-81
>>82-85 >>86-89

Ep.03-1【ドルピックタウンにて最高のバカンスを!】
>>112-113 >>114-119 >>122-123


※サブエピソード※
Ep.01
【新たな世の初日の出】 >>38
【商人の魂百まで】 >>54

Ep.02
【夢の邪神の幸せなお店】 >>68
【襲来!エール団】 >>69
【線路はつづくよどこまでも】 >>90
【記憶はたゆたい 時をいざなう】 >>109-111


※エクストラエピソード※
Ep.02-ex【再度開催!メイドインワリオカップ】 完結
>>91-95 >>96-101 >>102-104 >>107-108


<コメント返信>
>>8-10 >>18-20 >>26-27 >>34-35
>>64-65
>>105-106
>>120-121


最終更新日 2022/05/21

以上、よろしくお願いいたします。

Ep.03-1【ドルピックタウンにて最高のバカンスを!】 ( No.119 )
日時: 2022/05/19 22:11
名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: jX8tioDf)

 一同がドルピックタウンに降り立って1日が経過した。朝日が窓から差し込む中、各々準備を進め今日の会議に備えていた。既に準備を終えた面子はロビーで待ち合わせることにしている。
 最後に出てきたピーチを出迎え、早速本題の会議に参加しにモンテ族の案内に従いついて行ったのだった。


 大会議室への扉を開くと、そこには彼らを取り囲むように沢山のモンテ族が座って会議の開始を待っていた。彼らの中央に、髭を生やした厳格な雰囲気のモンテ族がいる。
 恐らく彼が町長なのだろう。一応、確認の為にマリィがモンテ族に質問を投げた。



「彼が町長さん?」
「はい、そうです。我々が住む町ドルピックタウンを仕切る町長さんです。本当はとっても優しく穏やかな方なんですが…。ちょっと頭が固いところがありまして」
「ちょっとどころじゃないと思うけどね…」



 最初に聞いた話とどこか違う。そんな感想を持ったが、雑談をしている時間はなかった。モンテ族は皆早く会議を始めたそうな空気を醸し出している。
 左側にある空いている席に急いで移動し、案内係のモンテ族に感謝を告げた後彼らは椅子に座った。それを皮切りに、リレイン王国とドルピックタウンとの協力提携に関しての会議が幕を開けたのだった。



「それでは、これよりドルピックタウン、リレイン王国両国の協力提携に関しての会議を開廷いたします。本日議長を務めさせていただきます、"ココナ"と申します。どうぞよろしくお願いいたします」
「丁寧なごあいさつありがとうございます。ボクはマリオ。今回はリレイン王国と、ドルピックタウンとの協力提携の仲介人として参上しました。リレイン王国はとても良い国だ。だから、ボクとしてはドルピックタウンと連携することでもっと魅力が跳ね上がると考えているんだよ。
 ボクが聞いた話によると、町のみんなはボクと同じ考えを持ってくれているみたいだけど…」



 自分から"フォローをする"と言ってのけたからなのか、リレイン王国側はマリオを軸として話を進めていた。申し訳ない気持ちを胸に抱えながら、堂々とした口調でモンテ族と話を進めているマリオに心の中で感謝をした。
 マリオの言葉に、会議に参加していた大抵のモンテ族が頷く。彼が事前にドルピックタウンに赴き声を聞いた訳ではないのだが、彼らはリレイン王国という国に興味を持っていた。更に、自分達の街を一度救ってくれたヒーローであるマリオのお墨付きである。そう来れば、協力提携を結んでも問題ないと考えるのが普通だろう。
 モンテ族の答えは概ね"リレイン王国との提携に賛同する"というものだった。その言葉を聞き、マリオもほっと胸を撫でおろす。
 しかし、そんな答えを一蹴する怒号が響いた。案の定、町長のものだった。



「いかん!連携してはならん!!こんな余所者風情が集まった余所者の国など、どんな悪事を企んでいるか分からん!」
「ですが町長、マリオさんもああいっていることですし…」
「マリオはたぶらかされておるのだ!リレイン王国は過去に一度、大帝国の侵攻に負け無人だった時期があるというではないか!余所者を受け入れ絆を結ぶ、と言っておきながら、実のところ自分のいいように操り、性格を捻じ曲げていたのではないか?!町民に暴力を振っていたという噂もあったではないか!!」
「何ですかそれ…。光世、この噂全部流れてたんですか?」
「……俺もリレイン王国に降り立ったのは無人になった"後"なんでな…。ただ、王と姫の様子を思い出すに…相当酷い悪評を長い間流されていたらしい…」
「何それ。酷い」
「人間というものは、悪意に染まりやすい生物ですからね…。わたくしとしても心が痛みます」



 気付かれないようにネズ達は大典太にその時の様子を訪ねていた。しかし、大典太達がこの世界に来た当初、王国は既に無人になっていた。しかし、近くの村の村長や再起を図ると伝えた時の城下町の住民の戻ってくるスピードなどを鑑みると、悪評が真実だったという云われはない。事実無根なのである。
 前田も納得できなかったのか、マリオに加勢するように口を開いた。



「それに関しては、皇帝陛下自らが事実無根だと公表した筈です。その言葉をも貴方は"嘘"だと仰るのですか?」
「そうではない!しかし、いくら風の噂だったとしても"火のない所に煙は立たぬ"と言うだろう!つまり、何かやましいことがあったからこそ王国の悪評は広まり、一時無人となったのだ!」
「そんなの決めつけよ!悪魔の照明じゃない!」
「静粛に。席に座ってください」
「デイジー姫、怒る気持ちも分かりますわ。ですが、一旦落ち着いて」
「むぅ…!納得いかないわー!」



 町長のあからさまな決めつけに一同は頭を抱えていた。偏見や色眼鏡がどれだけ国に悪影響を与えるかは、今までの経験から痛い程に知っていた。だからこそ、彼らは色眼鏡を出来るだけ付けないように努めているのだ。
 憤慨するデイジーをピーチが宥め、会議は進む。流石に町長の独裁的な言葉には副町長も難色を示し、"秘密兵器"として住民に事前に募ったアンケートの結果を公表することにした。



「町長。ですが、住民の殆どが"王国のことをもっと知りたい。提携に賛成する"という意見です。街の総意としては、リレイン王国との提携を正式に行う方向として意見が固まっております」
「フン!いくら住民風情が束になって意見を一本化しようとも、結局最終決定権は私にあるのだ。私が提携しないと言ったらしない!それが答えなのだよ」
「町長!流石にそれは横暴が過ぎます!」
「我々もリレイン王国の住民と協力し合いたいです!」
「黙れ住民風情が!!貴様らは黙って私の言うことを聞いていればいいのだ!!」
「うわぁ…。町長さんどうしちゃんだろ…」
「随分と雰囲気違うね~」



 いくら副町長や住民が町長を説得しようとも、町長が意見を変えることはない。最終決定権は自分にあるのだと横暴に言葉を連ねている。更には住民すら罵倒をし始めていた。流石の彼の言動に、今まで笑顔を作っていたマリオとルイージも苦笑いをする。
 そんな彼らにも攻撃の矛先は向いた。町長は一同を指さしながら叫ぶ。



「それに!そのトゲトゲ頭に変なモミアゲ、おかしな髪型の男、陰気な奴らに子供まで引き連れて!奴らがリレイン城下町の町長の代理だと?常人のやることとは思えぬ!」
「失礼にも程がありますね」
「僕は子供ではありません!れっきとした刀剣男士です!」
「こいつと一緒に陰気扱いされるのは勘弁してほしいものだな」
「……いや、言葉自体は合って……いひゃいぞおにまゆ」
「これ以上被害を被りたくなかったら口を閉じろ」



 なんと、町長は一同に対して罵倒をしたのだった。常々トゲ頭と言われているネズや陰気だと告げられている大典太はともかく、全員に対して言われたことにネズは眉間にしわが寄った。どれだけこの町長は余所者を嫌っているのだと。見た目だけで判断したら大損することを常々諭している側からしてみれば、町長の発言はとんだ地雷原である。
 この発言には流石に副町長も黙ってはいられず、"それは偏見だ"と言い返す。しかし、町長は思ったことを言って何が悪い、といった表情で彼らを見ていた。マリオも黙っている訳にはいかず、町長に言い返すことにした。



「正直に意見を話すのは別に構わないけどさ。キミ、一度その勘違いのせいでボクのこと誤認逮捕したの忘れた訳じゃないよね?」
「むぐぐ…!」
「そうなの?」
「そうらしいよ。ボクは一緒に行けなかったから、兄さんの話でしか聞けてないけど…」



 マリオも初めてドルピックタウンに来た際、町を汚した犯人と決めつけられ一時的に逮捕されていた過去があった。その時もピーチが弁解をしようとしたものの裁判長が聞き入れず、彼は即刻有罪になってしまったのだ。その経験がある為、今の発言がマリオとしても許せなかったのだろう。
 彼の言葉に場の空気が変わるのを感じた。やはり、マリオを誤認逮捕した事実は尾を引いていたようだった。しかし、町長はまだ何か言うことがあるのか口を開こうと動く。


 それを、まっすぐ伸びる黒いコートが遮った。






『お話し中申し訳ございません。わたくしから今回の件に関し提案がございますので、発言を許してはいただけませんでしょうか』






 部屋によく響く凛とした声。ノボリのものだった。モンテ族がマイクをノボリに渡そうとするも、寸前でクダリが阻止した。"ノボリは地声でみんなに聞こえるくらいだから大丈夫"だと。過去の会合でもマイクを渡され、悪意無しに何度他の駅員の耳を潰したかは数え切れない。いつの間にかノボリが発言をする時はマイクを渡さないのが暗黙の了解になっていたほどだった。
 ノボリはモンテ族がマイクを持ったまま席に戻ったのを確認し、すっと立ち上がりモンテ族に提言を始めたのだった。



「わたくし、サブウェイマスターのノボリと申します。現在はリレイン王国にて、手伝いという形で在籍を許していただいております。今日は、発言の場を設けていただき誠にありがとうございます。

 確かに噂というものは真実にせよ、そうでないにせよ流れるものです。しかし、それだけを擦っていては時代は何も変わりません。ポケモンと人間が歩み寄ってきた歴史があるように、国と街同士が連携をしてこそ見えてくる未来、というものもあるのではないでしょうか?

 もし我々が信用できぬのであれば、我々が"悪人ではない"ことを、我々がこの街に滞在している間にご自分の目で判断してはいただけませんでしょうか。それでもし、我々を信用出来ないと結論を出したならばそう答えを出していただければいい。
 どうか、先走った判断はお控えいただければと、わたくしご提案の方をさせていただきます

 わたくしからの意見は以上になります。ご清聴、ありがとうございました」



 はっきりと言い切った後、ノボリは素早く椅子に座る。彼の真っすぐな意見にモンテ族はうんうんと頷いて納得している。口を開こうとしていた町長も、ノボリも言葉の圧に押し流され開いていた口を閉じ紡いでしまった。
 その様子を見ていたネズは思わずノボリに関心をしていた。飛行機に怯えていたあの男と本当に同一人物なのだろうか。クダリはネズにこっそりと耳打ちをした。



「ノボリ、こういう交渉事すっごい得意。どんな人も納得させる」
「言葉遣いも至極丁寧ですし、説明も具体的。そりゃ誰もが納得しちまう訳ですね…。見習わねぇと」



 2人が耳打ちをしている最中、町長はノボリの言葉に難しい顔でどう返すべきか考えていた。しかし、表情はやはり納得していないように見える。
 悩む仕草を暫く取った後、一同に聞こえるくらいの小さな声でこう答えたのだった。



「貴様らが帰る前日までに最終判断をする。そう言ったのなら、それに相応しい行動を取るのだな!!」



 吐き捨てるように言葉を残し、町長は会議室を出ていってしまった。慌てるモンテ族だったが、一応会議は"保留"という結論に行きつき、一応の閉廷となった。
 解散するモンテ族に遅れぬように、一同も会議室を後にしたのだった。
















 会議室前でマリオはノボリに向かって頭を掻いた。本来ならば自分がフォローすべき立場なのに、結果的には彼に頼ってしまった形になったと思っていたからだった。
 そのことを告げると、ノボリは首を横に振り"自分にできることをしただけ"とまっすぐに答えたのだった。



「恐るべき程に真っすぐな兄とそれをサポートする弟。だからこそ輝かしく見えるのかもねぇ。うん、ボク気に入った!これからも仲良くしてよ!」
「いやいや兄さん。兄さんも真っすぐすぎて暴走することよくあるからね?そろそろ自覚してね?」
「え?ルイージさんもお兄さんがそうなの?」
「そうなんだよ~!兄さん、かなり好奇心旺盛でさ!気になったものにすぐ突っかかるから、止めるのに一苦労で…」
「クダリとは正反対でございますね!クダリはわたくしの案も、何とかして実現させようと場を整えてくれるのですよ」
「ノボリが楽しいとぼくも楽しい。だから、ノボリが出した案はぼくが叶える!それがぼくの役目」
「えっ…? (もしかして、この双子どっちも"常識"がどこかに飛んでいっちゃってる…?)」



 サブマス双子に一瞬恐れを抱いたルイージだったが、ぶんぶんとその考えを飛ばすように首を振った。
 何とか町長に猶予を貰ったことにまずは安堵した。もしノボリの横やりが入っていなければ、恐らくそのまま強制的に会議を終わらせられ"協力提携をしない"と無理やり事案を進められていたことだろう。



「あのままだったら町長さん、絶対リレイン王国と提携取ってくれなさそうだった。猶予が出来ただけまだよしと考えるべきじゃないかな?」
「それでもあの町長、本当にムカつくー!何よあの態度!マリィちゃんを"子供"だなんて表現しちゃって!」
「まだ子供なのは事実でしょうに…」
「アニキ!だから子ども扱いしないでって言っとるやん!」
「とにかく。まだ結論はついておりませんわ。バカンスを楽しみながらも堂々としていましょう。きっと、わたくし達の気持ちも伝わりますわ」



 ピーチの言葉に各々反応を返し、これからどうしようかという話に移る矢先だった。副町長が申し訳なさそうな顔で一同に謝罪にやって来たのだった。
 彼は一同の前に立ち、町長が無礼を働いたことに対し頭を下げて謝った。本来ならばそうしなければならないのは町長本人であり、彼ではない。顔を上げてほしいと伝えると、曇った表情のまま副町長は顔を上げた。



「お前が謝る必要はないだろ。謝るべきはあの町長だ」
「実は…町長は元々、考え方は少し古い方ですが協力提携には乗り気だったんです。しかし、二週間前から急に人が変わったように"リレイン王国の悪口を言い始めた"のです。一応、伝えておこうと思いまして…」
「……急に、か。それは気になるな」



 副町長は続ける。大典太達がこの世界に到着する以前のリレイン王国を彼は知っていた。人と人との繋がりが暖かく、優しさに溢れた街だという思いを抱いていた。それもこれも、全て王国の王と姫が尽力して街を盛り上げていたからである。そんなリレイン王国に悪評が広まったなど、副町長も端から信じていなかったのだ。



「得体の知れないおれ達をも快く受け入れてくれたんですよ? その時点で悪い国な訳ないじゃねぇですか」
「どうか、ドルピックタウンのことを悪く思わないでほしい。そして…バカンスをめいっぱい楽しんでください。何かあれば、私が代理で要望にもお答えしますので」
「そこまでやって貰わなくてもいいですよ!副町長殿の誠意は充分に伝わりました。僕はそれでいいです。気を遣ってくださってありがとうございます」




 前田が代表して感謝の言葉を告げると、副町長は再び深く頭を下げホテルから出ていった。
 彼が見えなくなったころ、デイジーが気を取り直して、と手をぱちんと叩く。その顔には"早く遊びに行きたい"とありありに書いてあった。
 一同は早速バカンスを楽しむ為、各々準備をしに部屋に戻ったのだった。

Re: 繋がる世界と未来の物語 ( No.120 )
日時: 2022/05/20 13:00
名前: おろさん ◆cSJ90ZEm0g (ID: CE4YyNoS)

どうも。今日はある意味厄日なのかと疑いたくなるおろさんです。

・・・さて、メイドインワリオカップやヒスイどうこうの次はドルピックタウンの話ですか。バカンスかぁ。ちょっと行きたい←

何やら町長の様子がおかしいようで。何とか猶予を貰ったのでまぁ良かったですが、また邪神絡みじゃ無ければいいのですが。大丈夫ですかねぇ・・・

今回はこの辺で失礼します。それでは。

コメント返信 2022/05/20 ( No.121 )
日時: 2022/05/20 22:20
名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: jX8tioDf)

 どうもです。灯焔です。コメント返信です。


>>おろさん 様

 どうもです。コメントありがとうございます。
 メイドインワリオカップを通じてオービュロンと信濃が契約を果たしたり、キャプテンのノボリがパートナーのシャンデラと再会したり、と物語の進展がありました。アルセウス本編でも何かしらの救いを求めたいところです。

 ラルゴの依頼でバカンスに出発したはいいものの、町長がどうも余所者に厳しい人物のようで…。無事に協力連携を結ぶことが出来るのか不安になって参りましたね。
 果たして彼らに何が訪れるやら。どうなるんでしょうね。




 余談兼個人的な話になりますが、当作品投稿ペースが早い時は物凄く早いです。もたもたしていると物語が一気に進んでいる、なんてことが平気であります。感想は当スレッドだけではなくDMでも受け付けておりますので、気軽にいただけますと執筆のモチベーションに繋がります。
 暖かいコメントありがとうございます。執筆の励みになっております。これからもよろしくお願いいたします。

Ep.03-1【ドルピックタウンにて最高のバカンスを!】 ( No.122 )
日時: 2022/05/20 22:25
名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: jX8tioDf)

 さんさんと太陽が街を照り付ける真昼間のことであった。ネズは先に支度を済ませ、ホテルのロビーへと顔を出していた。他の3人はまだ準備に時間がかかるとのことで、ここで待ち合わせをする約束をしていた。
 ロビーには彼の他に大典太、鬼丸、前田、マリィ、ピーチ、デイジーの姿があった。刀剣男士達は着替える必要がなく、女性陣は既に準備が整っていたようだった。
 マリィがネズが現れたのに気付き、彼の前で身体をくるりと一回転させる。その表情はどこか上機嫌だった。



「アニキ、見て!」



 そう言いながら見せてきたのは、彼女に似合う淡い桃色のムームーだった。リレイン城下町には売ってなかった筈なので、恐らくピーチやデイジーに着せてもらったのだろう。マリィも相当気に入っているのか、珍しく笑みを零さずにいる。
 そんな彼女の様子を見て、ネズもふっと微笑んだ。



「似合っていますよ。着せてもらったんですか?」
「うん。どうせだから今日はこれにしろって言われた。あたしこれ気に入ったけん、帰りに買ってっていい?ドルピックタウンで売ってるらしいと」
「勿論。マリィが気に入ったんなら買って帰りなさい」



 仲睦まじい兄妹のやりとりを見て嬉しくなったのか、ピーチとデイジーも2人の傍に駆け寄る。そして、デイジーはマリィの肩に両手を添えた。
 自信満々な表情をしていることから、マリィが着ているムームーは彼女の私物なのだろうとネズは判断した。



「やっぱりアタシのセンスは最高ね!マリィちゃん、超イカしてるもの!それに、素材が良いからとっても似合ってる!」
「わたくしも買って帰ろうかしら…」



 素材が良いのよ、とデイジーがマリィのことを褒めちぎる為、ネズも少し誇らしげな表情になっていた。
 そんなネズも今はゆったりとした白いTシャツに黒いインナーと通気性のいいスキニーズボン、とかなりラフな恰好をしている。いつもは3本程にセットしている長い髪の毛も、テール状に1本に纏めていた。


 話をしている最中、先にキバナがロビーへと現れた。ネズはキバナと言葉を交わした後、双子はどうしたのか尋ねる。
 すると、キバナは"双子はもう少し時間がかかるから待っててほしい"と答えた。一体何に時間をかけているのか不思議だが、まだ時間はたっぷりある為待つことにした。
 キバナはドラゴン柄のネイビーのアロハシャツにゆったりとしたハーフカーゴパンツを身に纏っており、いつものバンダナと併せて"お洒落な男のたしなみ"と揶揄出来る程の恰好をしていた。


 間もなく、キバナを追う形でノボリとクダリがロビーに到着する。ノボリは黒、クダリは白のお揃いの柄シャツにネイビーのハーフパンツ姿と、いつものかっちりとした車掌姿とは打って変わった姿にキバナとマリィは驚いていた。
 何より、今双子は帽子を被っていない。銀髪をオールバックに纏めているノボリと、切り揃えた短髪姿のクダリを見た2人は各々感想を漏らした。



「帽子被る、被らないで雰囲気これだけ違うんだ…。オレさま、新たな発見しちゃったかも。それに、双子でも髪型違うんだな~」
「あたしも。双子だから髪型同じだと思っとった」
「ぼく、ノボリみたいにオールバックできない。だから長くなったらすぐに切っちゃう」
「気合を入れるおまじないみたいなものなのです。サブウェイマスターに就任してからは、大体オールバックで仕事に尽力しておりますね」
「へぇ~」



 キバナとマリィが楽しそうに双子と話を続ける中、ネズはノボリの方をじっと見つめていた。彼の髪型に何か思うことがあったらしく、彼に気付く範囲でくいくい、とジェスチャーを始めた。
 ノボリもネズが何か自分に指示をしていることに気付き、話をいいタイミングで切りネズの元まで歩いていった。すると、彼は近くにある椅子に座るように指示をした。そして、キバナに顔が見えるくらいの大きさの鏡を準備するように言ったのだった。
 ネズが自分に何をしたいのかが未だに理解できない。ノボリの瞳はネズに焦りを訴えていた。



「あの、ネズさま。どうかいたしましたか?もしかして、わたくしの髪型がお気に召さないとか…」
「違います。オールバック自体は似合ってるんで問題ないです。あのですね。前々から気になっていたので今言わせてもらいます。あんた、このままだと30代で前髪禿げ始めますよ」
「は……はい?!」



 ネズからジト目で言われた衝撃的な言葉。それは、若くして前髪後退が始まってしまうという宣告だった。予想だにしていなかった言葉を告げられ、ノボリは思わずショックを受けてしまい両手で口を覆ってしまう。
 クダリも同じようにショックを受けたようで、ノボリの髪を見ながら目が泳いでいるようだった。



「ノボリのおでこ…広くなっちゃうの…?」
「もれなく。もみあげだけ無事で前髪が綺麗に後退するでしょうね。断言します」
「ま、ましぃ…!」



 キバナはノボリが将来そうなった姿を想像してしまったのか、少しだけ噴き出していた。即座にネズに睨まれた為、彼は顔を隠すように自分の鏡を渡した。ジムリーダーでインフルエンサーでもあるキバナは、見た目にも気を遣わないといけない。常に顔全体が見える鏡を持っているのをネズは知っていた。
 ネズは無言で鏡を受け取った後、ノボリの目の前に鏡を置いて開いた。そして、"今から直すんで大人しくしてなさい"と自分の鞄からコスメポーチを手に取り、ノボリの髪に霧吹きを始めたのだった。



「ね、ネズさまっ!」
「今から直すんで大人しくしやがれ。髪質によってオールバックにもやり方というものがあるんですよ」



 驚いて振り向くノボリを大人しくさせ、ネズは彼のオールバックをセットし直し始めた。自分とは全く違う手際の良さに、思わずノボリは言葉を失っていた。
 後ろで見ていた残りのメンバーも、彼が器用に髪を整えていくのを興味深そうに眺めていた。



「あんた達双子は髪質が柔らかいんです。あんなにきつくしなくても、オールバックもふわっと乗せるようにするだけで決まります。ワックスだって本当はあんなに付けなくていいんですよ。
 ……ほら、出来ました」



 彼らの様子から、バカンス中は帽子を外して過ごすのだろうとネズは判断していた。その為、流すようにオールバックを整えた後改めてノボリに鏡を見るように言った。
 自分のセットしたものとは違う、髪質に合ったオールバックというものをノボリは人生で初めて見た。ネズは本当に軽くセットしただけなのに、これだけ結果が違うものになるのか。思わず彼は手を叩き、感嘆の言葉を漏らす。



「このような髪型…わたくし、初めてです。非常にブラボーです!」
「お気に召してくれたんなら良かったですよ。バカンスの合間にでもやり方教えるんで、自分で出来るようになっておいてください。世界が元に戻れば…セットし直せなくなっちまいますからね」
「レクチャーまで…!なんと感謝を申し上げればよいか。……ありがとうございます!」



 ノボリが至極丁寧にネズに感謝の言葉を述べている隣で、クダリが椅子に座りわくわくした表情で待機をしていた。クダリはノボリと違い、特に髪の毛をセットする必要はない筈である。
 そのことをやんわりクダリに告げると、彼は納得できないといった表情でネズに詰め寄った。



「あんたは髪の毛整えなくてもいいんですよクダリ」
「ノボリだけずるい!ぼくもやってほしい!すっごい手際よかった!」
「はぁー…」



 キラキラとした弟の眼差しをネズは無視できなかった。ネズはそれくらい世話焼きのお人好しだった。遂に彼の方が折れ、クダリの髪をくしで梳いたのだった。


 そんなやり取りを終えキバナに鏡を返した後、マリオとルイージも到着した。何をやっていたのか根掘り葉掘り聞こうとするマリオをルイージが止めた後、全員揃った為早速海に遊びに行こうとデイジーが提案した。
 一同は早速ビーチへと出発を始めたのだった。
















 大方の予想通り、ドルピックタウンには太陽が照り付けている。蒸し蒸しとした暑さに思わずネズがジト目になった。ノボリと共に対策はしてきたのだが、それを上回る暑さに彼の気持ちはどん底に落ちていた。
 そんな彼の様子を見て、ルイージは申し訳なさそうに告げた。



「予想以上にきついですね、これ…」
「あはは…。ビーチはもう目の前に見えてるし、申し訳ないけど少しだけ我慢してくれるかな?着いたらすぐにパラソル準備するから」
「具合悪くなったらすぐぼく達に言ってね、ネズさん。駅でも具合の悪いお客様の介抱するの、お仕事の1つ」
「わたくし共になんなりとお申し付けください。きっと役に立てる知識がある筈でございます」



 話しているうちにビーチに到着した。どうやら一部のエリアを貸切にしてくれたようで、彼らが使うであろうエリアには人が全くいなかった。
 ルイージは早速近くにいた大典太と鬼丸に助力を頼み、テーブルとパラソルの準備を始めた。彼はネズの様子をちらりと見た後、ノボリにこうも頼んだ。



「ノボリさんはネズさんを見ててくれる?なんだか随分しんどそうだから…」
「かしこまりました」



 ネズは自分よりも暑さに相当弱いということがノボリには見て取れた。しかし、彼からしてみてもドルピックタウンの気温は非常に高い。対策をしてネズがこれなのだから、もし対策をしなかったら共々倒れていただろうとノボリは心の中で思った。
 程なくしてパラソルとテーブルは完成し、椅子に座った瞬間ネズはテーブルに屈服した。どうやらかなり我慢をしていた様子だった。
 クダリはネズが大丈夫そうなら海に遊びに行こうと考えていたのだが、ネズを見て心配そうに声をかける。



「ネズさん。大丈夫?」
「大丈夫です…」
「大丈夫じゃないのに"大丈夫"って言っちゃ駄目」
「クダリ。ネズさまはわたくしが見ております。海に遊びに行きたいのでしょう?」
「そうだけど。ネズさんが心配」
「何かあればすぐに連絡をいたします。今しか経験できないのですから、遊びにいってらっしゃい」



 背後ではマリィがクダリの名前を呼んでいる。マリィはネズのことをノボリに任せることに決めているようだ。ネズにも"おれのことはいいんで遊びにいってきなさい"と念を押されてしまった為、クダリはマリィの呼びかけに応じ水着に着替えるメンバーが集まっている場所にかけていったのだった。
 クダリの背中を見守った後、ノボリもパラソルの陰になるように椅子に座り涼み始めた。



「想像以上に気温が高いですね。流石常夏の街…と、いったところでしょうか」
「油断してたつもりはねぇし、一緒に対策も充分にしたんですけどね…。これは…流石にきつい暑さです」



 そんな会話を繰り広げていた最中、ネズの首元にひんやりとした感触がした。思わず目を向けてみると、大典太が樽を持って心配そうに彼らを見ていた。樽には氷水とジュースの瓶、タオルが入っている。
 それに続き、ルイージも人数分のグラスを持ってやってきた。大典太から瓶を受け取り、器用に人数分のジュースを注いでいく。ひんやりしたものの正体は冷えタオルだった。



「すみません…。ありがとうございます」
「……熱中症には気を付けろよ。あんた達2人共暑さに弱いんだろう」
「お気遣いありがとうございます、大典太さま」
「水分補給はしっかりしてね!」



 ルイージから受け取ったグラスをゆっくりと傾ける。様々な果物が混ざった不思議な味がしたが、暑さに支配されていた身体が少しだけ和らいだような気がした。
 少しだけ体調が戻ったネズは、海の方を見てみることにした。既にクダリを含む水着に着替えていたメンバーは、海に入って遊んでいた。遠目で確認できたのは、マリィにクダリ、マリオとデイジーと前田だった。
 そんな中、大典太はクダリの装備が明らかにおかしいことに気付く。具体的にいえば、水着に大きな浮き輪、シュノーケルに水かき、ビート版を持っている。明らかに浅瀬で遊ぶような装備ではない。
 そのことを指摘すると、ノボリは目を伏せてこう答えた。



「実は…クダリはカナヅチなのです。ですが水が嫌いというわけではありませんので、泳ぎに行く際には必ず重装備をしているのですよ」
「……浅瀬だぞ。水もひざ下だ」
「仮にこれからちょっと深い場所に行くってなってもなぁ…。あの装備はちょっとオレさまもびっくりだわ。どうせからこの際泳ぎ教えてもらえばいいんじゃねぇの?マリオさんとかすっごく上手そうだし」
「泳ぎに関しては過去に何度も何度も共に練習をしてまいりました。しかし…一向に泳げるようにはならず、成人してしまったのです。恐らくクダリには"泳ぐ才能"というものが端から無いのでしょう」




 寂しそうにノボリはそう言った。共に泳げるなら泳ぎたかった、そういう思いがひしひしと伝わる。しかし、クダリは重装備ながらも皆と楽しく水鉄砲を掛け合いながら楽しんでいる。
 "本人が楽しんでいるならそれでいいや"と、キバナとネズはクダリの様子を見ながらそれ以上考えるのを止めたのだった。

Ep.03-1【ドルピックタウンにて最高のバカンスを!】 ( No.123 )
日時: 2022/05/21 21:58
名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: jX8tioDf)

 一方、海で遊んでいる面子にも変化が訪れていた。浅瀬で楽しんでいたマリィの目線の先に、遠目に船と網が見えた。何事かと近くを泳いでいたマリオに問いかけると、マリオもマリィと同じ目線に立つ。船を見て、彼は思い出したように"あぁ!"と声を上げた。



「確か今日漁の日だったね!晩ご飯は海鮮料理が並ぶってホテルの人言ってたよ!」
「海鮮料理ですか?!お魚、最近口にできてなかったので楽しみですね…!」



 マリオの言葉に、マリィの近くで泳いでいた前田が反応をする。確かに最近魚料理を口にできていなかったとぱぁっと彼の笑顔が花開いた。
 浮き輪で浮かんでいたクダリも話に割り込んでくる。イッシュでは魚を生で食べる習慣がない為、彼はその調理法に非常に興味を持っていた。



「カントーとかシンオウでは、お魚を生で食べる習慣があるんだって。ぼく、興味がある。ガラルでもそうなの?」
「ガラルにはない。でも、カブさんがそういう話をしとったのを聞いたことはあるよ」
「では、マリィ殿もクダリ殿も生魚を食すのは今日が初めて、ということになるのですね!生魚は中々好き嫌いが分かれますが、僕は好きですよ!調理法でも美味しくいただけることがありますし…」
「ハッハー!キノコ王国でも"刺身"は珍しい文化だね!でも、ボクは大好きさ!」
「前田くんがそう言ってるならきっと美味しいんやね。楽しみになってきた」
「ノボリにも今から話しておかなきゃ」



 今日の晩御飯が一層楽しみになった、と話を盛り上げる一同だった。しかし、ふと前田の目に魚ではないキラキラと光っているものが映る。目を凝らしてよく見てみると、それは前田に見覚えがある形状をしていた。
 ―――見覚えがある。ではない。彼はそれを知っている。



「(あれ…?あの光り方…。それに、あの形は―――)」



































 浜辺で涼んでいるメンバーも前田と同じ気配を辿っていた。大典太と鬼丸が、船から出ている網に"刀剣男士の気配"を察知したのだ。
 彼らの目つきが変わったのをピーチは不思議そうに眺めており、彼らにきょとんとした顔で尋ねた。



「どうしたんですの?急に険しい顔をして」
「刀の気配がした」



 鬼丸が船の方向を指さす。それを追うように見てみると、今まさに魚と一緒に刀が引き上げられているところだった。回収を急がねば確実に誰かが刀に触れる。その場にいた誰もがそう判断するのに時間はかからなかった。
 終末の世界にばら撒かれた刀剣はもれなくアンラの呪詛を宿している。触ったが最後、暴走して街に被害を及ぼしたり命の危険に陥ったりするのは目に見えていた。



「不味いじゃないですか?! ……っ…!」



 最悪の想像をしてしまったのか、ネズが目を見開いて椅子から立ち上がる。しかし、暑さにやられた身体がいうことを聞かず椅子にへなへなと再び座り込んでしまう。海で遊んでいる面子を見守っていた時から日陰にいるようには務めていたが、今日のドルピックタウンは特別暑い日だった。机に肘をついた彼をノボリが支える。



「ご無理をなさってはいけません」
「でも、大典太さんと鬼丸さんがもう追ってっちゃったよ!どうするの~?!」



 その言葉にノボリは彼らがいた場所を見やる。刀剣男士の姿は無かった。ルイージの言葉の通り、刀を回収しに船の方向へ走っていったのだろう。ルイージがわたわたと慌て始める中、ぼーっとしているネズを心配そうにキバナも見る。
 ネズも刀剣男士達が去っていった方向を見ている。追いかけるつもりなのだろうが、とてもではないが彼を今動かせる状況ではない。無理やり動かしたとて、途中で倒れるのが関の山だ。



「…ネズ、大丈夫か?オレさま行ってこようか?」
「いや、おれが…」
「いけません!こんな身体で全力疾走しては確実に倒れてしまいます!キバナさま、申し訳ございません。彼らを追ってはいただけませんでしょうか。何かあればわたくしのスマホロトムにご連絡ください」
「了解。ネズ、オマエはゆっくり休んでな。無理する必要はない」
「……っ」



 ノボリが頭を下げてキバナに彼らを追うように伝えると、彼は二つ返事で了承しネズの背中を叩いた。そして、それでもキバナを止めようとする彼に"オマエはもうちょっと他人を頼ることを覚えねぇとな?"と伝えた後ビーチを後にしたのだった。
 ネズは彼の後ろ姿を見て悪態をつく。彼は他人に頼れない青年であった。



「クソ…好き放題言いやがって」
「好き放題じゃないよ!ネズさん、暑さでバテてるのに走ろうとするなんて無茶だ!」
「いいえ。この時点ではキバナさまのお言葉が正論でございます。わたくし、ネズさまに倒れられてほしくないのです。向こうも異変に気付いておられる筈。わたくしが介抱いたします故、お一人で無理をなさるような行動は慎んでくださいまし」
「…………」



 ノボリもここに残り、ネズの介抱を徹底して行うことをはっきりと告げた。重い顔を上げてみると、ノボリの言葉通りに海で遊んでいたメンバーも刀の気配に気付いているのだろう。皆海から上がっている途中であった。
 ネズの心は納得いかないままだったが、確かにノボリの言う通り倒れてしまってはこれ以上に迷惑をかけてしまう。今は大人しく他人の善意に甘えることにしたのだった。










 ―――大典太と鬼丸を追っていたキバナは、ボールホルダーから1つのボールを取り出し空中に放り投げる。そこから出てきたのはフライゴン。彼がジュラルドンと共に可愛がっている彼の手持ちの1匹であった。



「フライゴン!黒い髪と白い髪のバンドマンみたいな人の気配を追ってくれ!オレさまも追いかけるからよ!」
「ふりゃ!」




 キバナの指示を聞き、フライゴンは彼を先導するように飛び始めた。キバナには事の顛末がよく理解できていないのだが、ネズがあんなに焦った表情をしたのを見たのは久しぶりだった。止めねば相当不味いことに発展するのが分かっていたのだろう。彼が動けない以上、自分が動いた方がいいのは明白だ。
 足を止めてはならない。キバナはその決意を胸に、フライゴンの後を追ったのだった。


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