二次創作小説(新・総合)
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- 繋がる世界と未来の物語【Ep.03-ex完結】
- 日時: 2022/10/12 22:13
- 名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: jX8tioDf)
―――これは、"全てを元に戻す"物語。
それが例え、紡いできた絆が離れる結果となったとしても……。
どうもです、灯焔です。
新シリーズ発足です。大変お待たせいたしました。プロットの詳細を決めている間に相当時間がかかってしまいました。
サクヤ達がどういう運命を辿るのか。この終末の物語を、どうぞ最後までよろしくお願いいたします。
この作品は版権作品同士の『クロスオーバー』を前提としております。
また、オリジナルキャラクターも登場します。
苦手な方はブラウザバックをお願いいたします。
※物語を読む前に必ず目を通してください※
【注意事項】 >>1
【取り扱いジャンル】 >>2
<目次>
Ep.00【舞い戻れ、新たな異世界】 完結
>>3-7 >>11 >>12-17
Ep.01-1【繋がりの王国】 完結
>>21-25 >>28-33 >>36-37
Ep.01-2【宇宙からの来訪者】 完結
>>39 >>40-48 >>49-53
Ep.02-1【強者どもの邂逅】 完結
>>55-56 >>57-59 >>60-63 >>66-67
Ep.02-2【黒と白と翡翠の車掌】 完結
>>70-73 >>74-76 >>77-78 >>79-81
>>82-85 >>86-89
Ep.03-1【ドルピックタウンにて最高のバカンスを!】 完結
>>112-113 >>114-119 >>122-126 >>127-130
Ep.03-2 【音の街と秘密の音楽祭】 完結
>>137-138 >>139-144 >>145-148
※サブエピソード※
Ep.01
【新たな世の初日の出】 >>38
【商人の魂百まで】 >>54
Ep.02
【夢の邪神の幸せなお店】 >>68
【襲来!エール団】 >>69
【線路はつづくよどこまでも】 >>90
【記憶はたゆたい 時をいざなう】 >>109-111
Ep.03
【合流!若きポケモン博士】 >>131
【六つの色が揃う時】 >>132
【狭間の世界での出来事】 >>133-134
【翡翠の地からの贈り物】 >>135-136
【繋がりの温泉街】 >>151
※エクストラエピソード※
Ep.02-ex【再度開催!メイドインワリオカップ】 完結
>>91-95 >>96-101 >>102-104 >>107-108
Ep.03-ex【とある本丸の審神者会議】 完結
>>152-154 >>155-160 >>161-163
<コメント返信>
>>8-10 >>18-20 >>26-27 >>34-35
>>64-65
>>105-106
>>120-121
>>149-150
最終更新日 2022/10/12
以上、よろしくお願いいたします。
- Ep.00【舞い戻れ、新たな異世界】 ( No.15 )
- 日時: 2021/09/13 22:25
- 名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: Z28tGAff)
1人と一振が穴を潜った先にあったのは、あの時と何も変わらない隠し部屋の様子だった。
畳に注ぐ柔らかな日差しに、そよそよと優しく吹きつける秋風。酒瓶が所々に転がっており、楽しく宴に参加していたあの時を思い出させる。
流石に料理の皿は片づけられていたが、前田が大包平と三日月を運んだという布団もその当時のままだった。
「あの時、僕達が宴をした時のままです。布団も敷きっぱなし…」
「そういえば…。前田くん以外の刀剣男士はどうなったのですか?」
「数珠丸殿はアカギ殿の元へ向かって行ったのを覚えていますが、主君を見つけ出す為に周りが見えていなくて…。三日月殿と大包平殿は恐らくまだ寝ていたと思われるのですが…」
「寝ていたのですか。……でも、誰もいませんよね。前田くんの顕現が解かれてしまった後に目覚めて、穴から急いで脱出したというのがセオリーですが…。石丸くんも、ごくそつさんも。無事だと良いのですが…」
「数珠丸殿が無事であれば大丈夫だと僕は思います。彼らのことも心配ですが…。まずは、目の前の問題を片づけましょう主君」
「はい。あの場とは切り離れた場とは言え、出入口が塞がってしまっては遅いですからね」
お互いに頷いた後、サクヤ達は襖の奥へと進んでいった。
コネクトワールドでは、大典太と前田を迎えるまでは1人で寝室代わりに使用していたのがこの隠し部屋だ。特定の条件を満たさねば見えない穴の存在で、かつて本部が存在した頃には "サクヤはどこで寝泊りをしているのか" と、ちょっとした七不思議に数えられていたことがある。
時は過ぎ、1人だったのが1人と二振に。そして三振に。少しずつ賑やかになっていったのだ。
その襖の奥。布団が敷きっぱなしの部屋の奥にある襖の中に、小さな手入場があった。
隣の襖には少しの資材が保管されており、有事の際にいつでも手入が出来る場所としてサクヤが整えていたのだった。
敷かれていた布団を協力してどかし、サクヤは奥の襖を開けて中を確認する。中は何者にも弄られておらず、当時のままだ。
アンラに何かされていた場合は手遅れだったが、流石のアンラでもこの空間を見つけることは不可能だったとサクヤは判断し、隣の札から必要な資材と手伝い札を2枚、取り出した。
「主君。資材の量はそれで足りるのでしょうか…。刀に傷がついていない、霊力が切れそうな今回の場合は…。重症として扱ってもいいのでしょうか?」
「うーん…。確かに言われてみれば。ならば一応重症の時の分量を用意しましょう。多いことに越したことはありませんからね」
「承知しました!」
てきぱきと手分けをし、手入場である襖の中に大典太光世、鬼丸国綱の本体を、資材と手伝い札と共に入れ、襖を閉めた。
早く治癒できますようにと、そんな祈りを共に乗せながら。
「上手く行ってくれるといいのですが…」
「大丈夫です。この場が誰にも荒らされておらず、無事だったのですから。―――大丈夫だと、信じましょう」
そう呟いた彼女の言葉に応えるように、襖が淡く優しい光を放ち始めた。
10秒間ほど光った後、徐々に光の強さは収まっていく。光が消えたと共に、サクヤは襖を静かに開けた。
その中には…。堂々とした佇まいの、二振の太刀があった。離れていても彼らの霊力を感じる。 "強すぎる" せいで今まで散々な目に遭ってきた。しかし、その霊力のお陰でサクヤは地に足をつけて立っていられた。
二振の太刀にそっと触れてみると、懐かしい霊力をその身に感じた。先程まで感じられていなかったそれが、手に取る様に分かったのだ。
完全に回復出来たのだと判断したサクヤは、早速二振を再び顕現することにした。
前田に少し離れているように指示し、二振の太刀に力を込める。
すると…。青白い光と共に、刀から2人の人影が形作られるのが分かった。そのままサクヤが送る力を強めると、人影ははっきりと認識できるまでに人の形を取った。
光が消え去った後に現れたのは―――。
「……ある、じ」
「…………」
陰気な顔つきの、大きな男が2人。そこにいたのだった。
大男―――大典太と鬼丸は互いを見やり、そしてサクヤの方を向き直った。
まさか主に再び相まみえるとは思っていなかったようで、その表情には驚きが隠し通せていなかった。二振のきょとんとした顔を見たサクヤは、へにょりと顔を歪ませたのち、深々と彼らに頭を下げたのだった。
「おい。どうして頭を下げる必要がある。普通逆だろうが」
「……お二振が私の命を救ってくださいました。それは変わりようのない事実ではありませんか。いくら"主命"と良い張っても、頭を下げる選択肢を取り下げることは絶対に致しません」
「……頭を上げてくれ主。あの時は…邪神を止められなかった俺達にも責任の一端はある。あんたが無事で、俺は安心したよ」
「随分と長い間眠っていたように思えるがな。何年経った」
「私の感覚としては…。1ヵ月かそこら、ですかね。こちらの世界のことは右も左も分かりませんので、もしかしたら年単位で時が経過している可能性もございますが…」
「すみません。僕も顕現を解かれていたので、そこら辺の事情は知らないのです」
「……俺にとっても随分な賭けだった。あんたに二度と会えない覚悟もしていたからな…。だが、結果的にそれが上手く巡って…こうして俺達はまた目覚めることが出来た。
信じてみるもんだな。あんたは絶対に俺達を起こしてくれる、とな…」
「呑気なことを言っているな。蔵に籠っていたせいで感性まで鈍ったか、大典太」
「……どうせ俺は人の感情に疎い刀だよ…」
「そこまでは言っていない。目覚めて早々陰気になるな」
「相変わらずのお二人で…。僕も本当に嬉しいです!」
「あぁ…。……前田も無事で、本当に良かった」
サクヤをあの場から今いる世界に飛ばしたのは、やはり大典太と鬼丸だった。
自分達が助かっても、サクヤと契約している以上主を助けない選択肢はない。かなりの賭けだったが、思いは通じたのだ、と大典太の表情が緩んだ。
改めてサクヤがどうやって自分を異世界に飛ばしたのかを問うた。大典太と鬼丸は、素直に自分達の霊力のほぼ全てを使い切り、『門』を生成して彼女と共に飛んだことを話す。
その言葉を聞いた瞬間、彼女の中で疑問が生まれた。何故彼らは門を生成できたのか。門は神にしか造ることが出来ない代物だ。大典太と鬼丸も厳密には神なのだが、その性質は妖の方がよっぽど近い。
何かで生成方法を読んだのか、と聞いたが、彼らは首を横に振った。その代わりに、大典太からはこんな答えが帰って来た。
「……時の蔵にいた時に、老人が言ったことを覚えていた。……そういや、あいつは何故その呪文を覚えていたんだろうか」
「元々、『門の創造』という魔法は外なる神が使用していた魔法です。……まさか。あのご老人は…」
「主。何か思い当たることでもあったのか」
「はい。私の推測ですので申し訳ないのですが…。天下五剣の皆様が何故異常な霊力を持っているのかまでは分かりませんが、あのご老人の正体は少し掴めたかと」
「あの…。お三方でご納得されているのは重々承知してはおりますが、そろそろこの場を出ませんと。外で待たせている方もおります」
前田の言葉にサクヤ達はハッと我に返った。
それに、このことは後々追及していけばいいはずだ。あの老人…。あの天下五剣を顕現出来た時点で只者ではないと踏んでいたが、もしそれが鍛刀と関係していたのならば。
サクヤはそこまで考えて、考えを胸の内に仕舞うことにした。前田の言う通り、目的も果たした以上ルークとモクマを待たせるわけにはいかない。
「人を待たせているのか」
「異世界に飛ばされた先で助けていただいたのです。光世さん達と彼らのお陰で、私は地に足をつけて立っていられます」
「……そうか。善人に巡り会えたんだな…」
大典太はサクヤが無事現地の人々に助けられたと聞いて、安堵の表情を浮かべた。呑気なものだ、と呆れる鬼丸の表情にもどこか明るいものが覗いていた。
ならばここで駄弁っている訳にもいかんな、とサクヤと刀剣男士達は穴の外に出た。大典太と鬼丸も本部が壊されている想像はついていた為、瓦礫が広がっている景色にはあまりショックを受けなかったようだ。
「…これが、かつての本部です。酷いものでしょう。全て…アンラに壊されてしまったのです」
「ですが、奇跡的に掛け軸と、それがかかっていた壁の一部だけが無事だったのですよ」
「……掛け軸だけ無事だったのか」
「なら、その掛け軸は持っていった方がいいかもしれないな。壁ではなく、掛け軸に何か力が宿っているのならば…。拠点を新たにした時にでも、その掛け軸をかけた場所からいつでもあの場に行けるということだ」
「成程。では持って行ってみましょう」
鬼丸の言葉に、サクヤは一理あると納得した。壁ではなく掛け軸に不思議な力が込められている可能性は高い。無事だった壁にもヒビは入っていたのに、掛け軸だけは無傷で、破れた形跡もない。
壁から掛け軸を下ろし、丸めて小脇に抱えた。すると、今まで見えていた黒い穴が最初から無かったかのように消えてしまった。やはり、鬼丸の言うことは正しいのだろう。
ルークとモクマに自分達の背中を預ける仲間を紹介したい。沸き立つ思いを胸にちらつかせながら、サクヤは三振の刀剣男士の後を追って瓦礫の道を戻って行ったのだった。
- Ep.00【舞い戻れ、新たな異世界】 ( No.16 )
- 日時: 2021/09/14 22:00
- 名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: Z28tGAff)
瓦礫の通り道を再び足を進め、青空の下へとサクヤ達は戻って来た。
山から少し離れたところに目的の人物はいた。ルークが先にこちらに気付き、手を振りながらサクヤ達に駆け寄って来た。その後を追うようにモクマが姿を現す。そして、サクヤの真後ろにいる大男達に目を見開いた。
「只今戻りました。待たせてしまい申し訳ございません。彼らが私の背中を支えてくださる、刀剣男士の方々です」
「えーと…そちらのビジュアル系バンドでベースとドラム担当しそうな人達がサクヤちゃんの?」
「モクマさん…。例えがマニアックすぎますって」
「中年のおじさんにはそうにしか見えんのよルーク…」
「……結構な度合いで言われるから気にしていない。大典太光世だ。主…サクヤの近侍をしている」
「……鬼丸国綱。青龍である主の下で主命を果たしている」
「あ、ご丁寧にありがとうございます。僕はルーク・ウィリアムズ。こちらの男性がモクマ・エンドウさんです」
「ショーマン…って肩書でいいのかな?をやってるモクマと言います。どちらさんもタッパがアーロンとタメ張れそうで驚いちょるけど、どうぞよろしく。そっちの白いお兄さんとはなんか気が合いそうだしね!」
「おれが、か」
大典太と鬼丸、そしてルークとモクマは互いに自己紹介をした。サクヤの元で近侍を長い間やっていたからなのか、大典太の他人への恐怖はだいぶ薄れていた。彼らがサクヤを助けてくれた、という事実もあるのだろう。
自分達と大して変わらない年なのに、彼らは刀剣の付喪神である。つまり、ルークよりもずっと年上なのだ。その事実に、彼は不思議な気持ちを抱いていた。
「刀剣…なんですよね。大典太さんも、鬼丸さんも。サクヤさんの帯刀している刀の付喪神、か…。前田くんも姿は僕よりもずっと年下だけど、大人びているのも刀だからなんだろうなぁ」
「そうねぇ。見た目はルーク達と早々変わらないけれど、刀が鍛えられた時代を考えれば…奴さんの方がおじさんより年上ってことだよね」
「……刀の年齢として考えれば…そうだな。だが、ここでは年齢は関係ない。見た目が若い癖に中身が化け物、なんてごまんといるからな…」
「あぁ。見た目で判断していればいずれ痛い目を見る。それだけは頭の隅にでも入れておけ」
「肝に銘じておきます…」
互いの会話が続く中、彼らがサクヤを助けてくれた恩人だということを思い出した大典太は、不意に彼らに頭を下げた。
隣にいた鬼丸は一瞬驚いたものの、彼の意図をすぐに読み取り浅く一礼。ルークとモクマは突発的なその行動にただ驚いているだけだった。
どうしたのか、とルークは問う。すると、大典太は自分の思っていることを話し始めたのだった。
「……あんた達が主を助けてくれた、と聞いた。正直、俺達も賭けなところがあってな…。主が仮に飛ばされた先で助からなかった場合は、共に消滅することも視野に入れていた。
俺達がここに立っていられるのも、ひとえに主を助けてくれたあんた達のお陰だ。……今一度、礼を言いたくて。突発的ですまないな」
「あ、いえ!急に倒れているのを発見したのは僕もびっくりしましたけど…。倒れてる人を放置なんて出来ませんよ!結果的に僕達も助けられたようなものですし、お互い様です」
「主がおまえ達の世界に来なくても、結局は世界が混ぜられていた、ということなのか。―――確かにそう考えれば、お互い様という言葉は間違っていないな」
「主君と再会できたのも、貴方がたのお陰です。本当にありがとうございます!」
「あはは、ルークってば本当にヒーローだねぇ」
「茶化さないでください!でも、1人を救ったことで、こうして繋がりを持つ人達も助かる…。些細なことだけど、とても大事なことだと僕は思うな」
大典太は彼らに礼がしたかった。サクヤを、ひいては自分達を助けてくれた恩人なのだから、と。
ルークは結果的には自分達も助かったのだからお互い様だと返した。サクヤも一緒に深々と頭を下げていたことに気付き、これではまた謝罪合戦になってしまうとキリの良いところで切り上げたのだった。
その後、しばらく雑談を続けていた折だった。
ふと、人ではない影が彼らを覆う。アクラル達を待たせてはいけないとのサクヤの判断で、龍神の姿に予め戻っていたのだ。
再び見る、昔とは少し違う金色の龍に大典太と鬼丸は懐かしさを覚えていた。
「懐かしいな。傷だらけであの蔵に落ちてきた時も、血で汚れていたが…輝いていた」
「……あぁ。まさかこんなところでまた龍神の姿が見られるなんて、な」
「主君のお背中、風が感じられてとっても気持ちが良いんですよ!……あっ。大典太さんも鬼丸殿も、昔主君と会ったことがあったんでしたよね。ならきっと乗ったことも…」
「ないな。龍神の姿を見たのは、落ちてきた時と狭間から返す時だけだった」
「そうなのですか。なら僕と一緒ですね!早く乗りましょう鬼丸殿!大典太さんも、早く!ルーク殿とモクマ殿に遅れを取ってしまわれます!」
「主は逃げない。押すな前田」
「……ふふ」
「なにがおかしい」
「楽しそうだと、思ってな。前田と一緒に早く乗ればいい…」
ルークとモクマは既に龍の背に乗っており、後は三振の準備が整えば出発できる頃合いだった。
大典太も鬼丸も、龍神の背に乗ったことはなかった。そのことを聞き、一緒に体験できると前田は笑顔になりながら鬼丸の背中を押す。嫌がる言葉を吐きながらも、その表情は満更でもなかった。
その様子にくすくすと大典太は小さく笑いつつ、龍神の姿のサクヤをじっと見る。―――力を分けたと彼女は言っていたが、どこか違和感を大典太が覚えていたからだった。
「(……あの時、あの蔵で出会った龍神。力の一部を朱雀として分けた、と以前主は言っていたが…。力が…戻りかけているのか?)」
アクラルと分けた筈の龍神としての力。それを、大典太は目の前の龍から感じていた。
そのままぼーっと見続けていると、既に龍の背に乗った鬼丸が呆れながら大典太に声をかけた。
「おい、どうした。おまえが乗らないと出発できないぞ」
「……あ、あぁ。すまん、考え事をしていた。すぐに行くさ」
鬼丸の言葉に我に返った大典太は、すぐに鬼丸の後ろのスペースに飛び乗った。
彼がしっかりと龍の背に掴まったと同時に、龍神は空を飛んだ。
自分達を待っている、双子の兄達がたむろしているあの城下町へ―――。
無人の城下町近くの原っぱに降り立ち、2人と三振が地上に降りたことを確認し、サクヤは女性の姿へと再び擬態した。
門の出入口から戻ってみると、そこにはアクラル達待機メンバーと…懐かしい人物が増えていた。
真っ白な美青年―――アカギと、仏を思わせる美しい男性―――数珠丸恒次だった。彼らはサクヤ達に気付き、彼らに駆け寄ってきたのだった。
「戻りました!」
「おう。随分と早かったじゃねぇかドギー」
「ご苦労。人が増えている―――ということは、任務は無事成功できたようだな」
「運よく瓦礫の下に通路を見つけてね。そこからはとんとん拍子」
「良かったではありませんか。サクヤ嬢の表情も、心なしか寂しさが薄れています」
「アカギ。数珠丸さん。お久しぶりです。此度は色々と心配をおかけしました」
「本当だ…。消えたと思ったらコネクトワールドが跡形もなく消えてるんだからな…。アクラルが "サクヤが死んだ!!" ってどれだけ取り乱したか…」
「兄貴…」
「仕方ねーだろ!どこ探してもいないんだから!!」
「サクヤの察知が急に出来るようになって驚いた…。アクラルからサクヤが戻って来たのを聞いて、この場所に急いで飛んできたんだ…。まさか異世界に飛ばされてたんだってな…」
「正確には、アンラに時の狭間に落とされてしまったのを、光世さんと鬼丸さんが異世界に飛ばしてくれたのです。正直、再会できたのも奇跡だと思っています」
「そうか…。だが、無事で本当によかった…」
「大典太殿、鬼丸殿。そして前田殿。ご無事で何よりです」
「……数珠丸。あんたもな。顕現は解かれなかったのか」
「―――はい。主が無事でしたので、顕現は解かれませんでした。突如お二振の霊力が途切れた時には、三日月殿と共にいたのですが…。破壊されたのではと肝が冷えました」
「あの世界から切り離されていたんだ。霊力が途切れたのはそのせいだ。主を何とか異世界に飛ばしたお陰で、俺達もこうして地に足をつけていられる」
「……それで、三日月や大包平は無事なのか。あの世界が壊れる時、一緒だったんだろう」
「三日月殿と大包平殿は、主の元へ急いで走っていきました。私が見たのはそのお姿が最後で…。申し訳ありません、今どこで何をしているかは分からないのです。しかし、微かにどちらの霊力は感じますので…。この世界のどこかにいらっしゃるのは明白かと思われます」
「……いや、いい。あいつらが無事なら、それで」
お互いに無事を確認し合った後、一同は集まって今後のことを話し合うことにした。
最初の目的が果たされた上、拠点が壊されている以上…。新たな拠点を探さなければならない。この世界のどこかにあるオフィス・ナデシコを探す手もあるが、右も左も分からない土地で、地図もなく探すのは無謀というものだった。
「さて、これからどういたしましょう。本部は潰されて使い物になりませんし…。掛け軸の向こうも全員を連れていくことは出来ません」
「この世界のことを調べるったって、地図もなにもなけりゃ無理だよな…。サクヤ達が光世と鬼丸を起こしに行っている間も、人っ子1人通りゃしなかったぜ。アカギも…その顔だと収穫なしか」
「すまん…。戻ってくるのに必死で…」
「三日月殿も霊力は微かに察知できるのですが、どこにいるまでかは把握できないのです。申し訳ありません」
アカギにも何か有用な情報は無いかと聞いてみるが、何もないという。三日月とも連絡が取れていない。
正直、為す術がなかった。ここに来て、大きな壁に行く手を阻まれてしまった。
「……八方塞がりだな」
「行き当たりばったりですと、後々困りますし…。やはり、何か情報が欲しいところです」
何か術は無いのか。考えても有用な策は思い浮かばず、しゅんとした表情をするサクヤと大典太だった。
そんな彼らの表情を見て、ナデシコはきょとんとした顔でこう言ってのけたのだった。
『そうでもないぞ。私に考えがある。聞いてくれないか?』
ナデシコの瞳には自信が溢れていた。まるで、今後の策を全て見通しているかのように…。
- Ep.00【舞い戻れ、新たな異世界】 ( No.17 )
- 日時: 2021/09/15 22:01
- 名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: Z28tGAff)
平然と言ってのけたナデシコの言葉に、サクヤは驚きを隠せないでいた。
何故自信を持って口に出来るのかと、そう問うと、ナデシコは疑問を答える為に理由を話し始めた。
「この街…近くに城があるのは皆、分かっているな?それで推測したのだが…恐らく、ここは『城下町』と呼ばれている場所だと思うのだが」
「それは分かってんだけどよ…。もぬけの殻だ。城の中にも誰もいる気配がねー」
「えぇ。それはそうなのですが…。この場所、最近……具体的には、約一週間前程まで人が住んでいた形跡があります。
何者かによって無人に "させられた" のではないでしょうか?」
「もし時の流れで廃れていたのなら、もっと生活感のない空気になっていればおかしい。ただ人がいないのと、廃墟と化しているのとでは全く意味合いが違う」
「クソ詐欺師がどっか行ってたのは、それ調べる為だったのかよ」
「意味のない行動程無駄なものはありませんからねェ」
「突拍子もなく消えたから、攫われたのかと心配したんだがなこっちは」
「チェズレイは攫われる側というかは、攫う側の人間なんだよなぁ…」
「フフフ…」
ナデシコとチェズレイの言葉を元に、サクヤも今いる場所の周りを見回してみた。
確かに街並みは人がいない "だけ" であり、人が消えたにしては生活感も残っており、綺麗な印象をサクヤは受けた。チェズレイの言うことも一理あるだろう。
しかし、それを聞いてもナデシコが何を言いたいのかまでは推測することが出来なかった。人が住んだ形跡があるということは、元々ここには人がいたのだ。勝手に拠点にするのは彼女の良心が許さなかった。
「ナデシコさん。言葉通りであれば、ここは元々生活圏として動いていた街の筈です。勝手に使うことなど、許される筈がありません」
「フフ…。我々の拠点もどこにあるか分からない以上、無暗に探していれば我々の方が倒れるのが早いでしょうねェ。見つからない可能性が少しでもある以上、お互いの利を考えるのは当然でしょう?」
「お互いの、利…?」
「あぁ。だから私達で見つけ出すんだよ。『この王国の責任者』。王族を、な」
「な……!」
ナデシコから放たれた言葉に、サクヤは開いた口が塞がらない。それほど彼女の言葉は突拍子もないものだったのだ。
頭が混乱しているサクヤに、ナデシコは自分の推論を捲し立てる。
「君も先程言っていただろう。この世界には、元々君達が守っていたとされる世界も混じっているんだろう?ならば、君を知っている人物が君の帰還に反応して動きを見せてくるかもしれない。そこにいるアカギのようにな。
……それを利用するんだよ」
「無人になって日が浅いのであれば…。この世界のどこかに、この街の住人や城に住んでいる人物が捕らわれていてもおかしくないのでは?」
「しかし…。手がかりも無い中どうやって探せば…」
確かにアカギは、サクヤがこの世界に来たことを察知したうえで、アクラルの言葉を受けて合流した。もしかしたらニアやアシッドもサクヤの居場所を掴んで、合流しようと動いているのかもしれない。
ナデシコの言葉は一理あるが、この城下町を管理する王族など聞いたことが無い。コネクトワールドには無かった街の風景だった。そんな中、王族をピンポイントで探すなど無謀だったのだ。
悩むサクヤの元に大典太がそっと現れる。そして、彼女に優しくこう言ったのだった。
「……主。これは俺の考えなんだが…聞いてくれるか?」
「どうしたのですか、光世さん?」
「俺は…。あいつらの意見に乗ってもいいと思う。このまま右往左往していてもどうにもならない。白虎もあんたの気配に気付いている以上、玄武や運命の神があんたの存在に気付かないわけがない。
……必ず、あんたの元に現れる。あんたがそれを望めば、きっともっと早く合流できる。そんな気がするんだ」
「もし、この王国の王様を救出出来れば…。滞在許可の交渉くらいは出来るようになるでしょうか?」
「人が戻ってくるようになるなら万々歳だろ。この街…元々交流が盛んな街だったようだからな。見ろ、これを」
サクヤと大典太が話し合っているところに、鬼丸が割って出た。
鬼丸も大典太の意見に賛成しており、近くの噴水広場に歩いて行ったかと思えば、そこにある掲示板を軽く叩いた。
そこには、新しい紙質のチラシが何枚か貼ってあった。最近張り替えられたような画鋲の後も見える。
「音楽祭だの、特売の知らせだの頻繁に紙が入れ替えられている。それに…これを見ろ」
「ん…。"リレイン王国は いつでも移住者を歓迎しております" ?」
「住人を増やそうとしているような張り紙もありますね。―――主君。もし責任者を助けることが出来れば…。交渉どころではなく、恐らく拠点をまるまるいただける可能性も出てくると僕は踏んでいます」
「……それに。邪神のありかも探さねばならんからな、俺達には。この世界のどこかに邪神がいるのであれば…調べているうちに話が耳に入ってくるかもしれん。この街に拠点を立てるのにはうってつけじゃないか?」
「ふーむ…」
大典太も鬼丸も前田も。ナデシコの案には前向きに考えているようだ。
彼らの前向きな言葉に背中を押され、サクヤも考えを切り替えることにした。ナデシコの案に乗ってみよう、と。大典太の言う通り、彼女の案を否定したとして、代替する考えが思いつくとも思えなかった。
ナデシコに王族を探すことを伝えると、彼女は納得がいったように静かに頷いた。
ルーク達にも話は通してあるようで、全員サクヤに惜しみなく協力してくれるとのことだ。
「そんな!巻き込んでしまったのはこちらの方なのに…」
「困っている時はお互い様ですよ!それに、僕達もミカグラがどこにあるか分からない以上、拠点がないと正直困るんですよね…。最悪僕は野宿でも……いや、チェズレイが駄目だった」
「チェズレイはともかく、歌姫を野宿させるわけにはいかん。そういう意味でも、この街に恩を売っておくことに越したことはないと思うがね?」
ルークが横目でちらりとチェズレイを見やると、彼は不敵に微笑んでいた。これは野宿の選択肢を取り潰さないと、絶対に何か害が及ぶだろうと。そういう顔をしているとルークは判断した。
更にナデシコが重ねてきた言葉で彼は語気を強めた。自分はともかく、スイを野宿させるわけにはいかない。その考えは一番に浮かんでいたことだった。
「わたしは別に構わないけど…」
「スイさんが良くても僕達の気が済まないんですよ!なぁ、アーロン!」
「オレに振るな」
「若いおなごを野宿って、ちょっとおじさんも遠慮しちゃうわ。ならちゃっちゃと王様助けて寝床くらいは提供してもらわないとね~」
「…街を再起させるより、寝床を確保する方が先に行っていませんか?」
「……それはそうだが。寝床がないと困るのは俺達も同じだ。あんたに野宿しろ、とは俺も言えない…」
「光世さんも同じことを言っています。野宿でも大丈夫ですのに」
「主君。近侍ならばきっと誰でもそう言いますよ。諦めて素直に従いましょう!」
「近侍でなくたって、あんたになら大典太はそう言いそうだがな。諦めろ」
「うぅ…」
刀剣男士達にまで野宿はやめてくれと詰め寄られ、遂にサクヤは折れた。そして、早速王様を探す手がかりを探しに近くの街まで向かうことにしたのだった。
アカギの通った小さな村でなら何か情報が得られるかもしれない。彼がそう口にした為、彼の案内でまずは城下町の反対側の門まで向かうことにしたのだった。
「この城下町が無人になった理由もご存じかもしれません。もしかしたら道中、行商人にばったり出会う可能性もございます。近くの村に行ってみましょう」
「分かりました。とりあえず、まずはこの『リレイン王国』とやらがどんな国かを知ることから始めましょう。日が落ちる前には村に辿り着きたいものですね」
「1日で解決できるものじゃないからな…。今日はその村の宿を借りて、1日凌ぐか…」
「出来るだけ早く王様を救出したいところですね」
「あぁ。この世界がどんな場所かも、そこで聞いてみるとしようぜ」
一同は互いに頷き合い、反対の門に向かって歩き始めた。
……この一歩から、新しい物語は幕を開ける。
―――これは、全てを『元に戻す為の』物語。その、はじまりなのである。
Ep.00【舞い戻れ、新たな世界】 END.
to be continued……
- Re: 繋がる世界と未来の物語【Ep.00完結】 ( No.18 )
- 日時: 2021/10/14 00:02
- 名前: 柊 ◆K1DQe5BZx. (ID: bD140njr)
どうも、柊です!
コメントがクッソ遅くなって申し訳ありません!
コネクトワールド…もはや終末の世界となってしまっているのですね…。しかもこちらでは一年経っていたと…。アクラルさんがついマイナスな考えを口にしてしまうのも無理ないです。
しかしアクラルさんのいる城下町、無人と…何だか変な感じですね。夜ならともかく昼間に無人なんて。
アクラルさんの後ろに、銀色のセダン。まさか…サクヤさんたちだぁ!! そして、感動の再会…
>>>手刀<<<
いきなりの手刀にちょっと、いいえ、普通に笑いました←
そうですね、多分延々ループでサクヤさんについての心配聞かされますね…←
そしてナデシコさんの理解の速さ…すごい…私は現実離れしたことをしても理解が追いつきそうにないです←
でも仲間のほとんどが一年も見つけられていない…しかもコネクトワールド自体がアンラの創り出した新しい世界に混ぜられている…無事だといいのですが…。
アーロンさん、お姉さんいたんですか← とても美人ですね(調べました)←
前田くん…!! 無事でよかった&サクヤさんと再会できてよかったです! アクラルさんェ←
あの天下五剣持ってると言われたらそりゃ驚きますよね←
歴史的美術品を振るって戦えるのはかつての主たちか本刃だけですわ←
…大典太と鬼丸…。手入れで起きてくれればいいのですが、やはり本部は潰されてしまっていましたか…。隠し部屋が無事なら、手入れはできる。例え低い可能性でも自分の目で見るまでは納得もできません。
ルークさんの言葉がじんわりと沁みてきます。行かないで永遠の別れになるより、ずっとマシですよね。私もそんな状況になっても諦めたくはありませんから…。
わりとあっさり言ってますし、私も驚いてますがそうだった、サクヤさん龍やった←
本部に向かうのはサクヤさん、前田くん、ルークさんに加えてモクマさんですね。
わお…龍の姿のサクヤさん綺麗…。月並みな言葉ですが、本当に綺麗ですね…!
性別はあってないようなもの、なるほど← でもいざ乗れと言われても少し戸惑いますね…多分乗りますけど←
ああ、本部が…(´・ω・`)
さすがに絶望的かと思いきや、モクマさんが消え、てなかった← なるほど、瓦礫の山の偵察に行ってくれていたのですね。どれだけ細いダクトなのか分かりませんが、大抵のダクトは細い、つまりすごい←
しかも人一人なら通れる穴が残ってる…希望はまだありましたね! 頑丈だったのも幸いで、本当に良かった。
…掛け軸無事だ!! その上傷一つなく!? 繋がる穴も無事!! 良かったです!
ルークさんたちには見えないんですね…でも何にしたってこれで希望は繋がったので無問題です!
繋がった先は、切ないくらいにそのままですね…。数珠丸はともかく、三日月と大包平は一体どこへ行ってしまったのか…。それぞれ無事だとは思いたいですが…。
>>>七不思議になっとる<<<
まあ、確かに見えなきゃ分かりようもないですものね…←
手入れはできそうで安心しました。あとは無事に回復してくれますように…!!
……回復してくれたぁああああ!! 良かったです、本当の本当に良かったです!! 大典太のネガティブもいつも通りで安心しました!!←
門の創造は外つなる神が使っていた魔法…え、あの老人、そういうことなんです…????←
とにかく全員で出て、掛け軸を持ってルークさんたちと合流ですね。サクヤさんの感情がこうもはっきりしていると嬉しくて私、近所のおばさんのような気分になります←
>>>ビジュアル系バンドでベースとドラム担当<<<
>>>分かる<<<
見た目は若い青年と少年ですものね、不思議な気持ちになるのも分かります。
そうですね、ルークさんが見つけなければサクヤさんがどうなっていたのか…あっ考えたく無いやつ←
一人を助けることで繋がる人も助かる…なるほど、確かにそうですし、大切にしたい考えですね。
ちょっとテンション上がってる前田くん可愛い←
龍神の力が戻り始めている…? いいこと、なんでしょうか…。
アカギさんと数珠丸!! こうして直接無事を確認できるとホッとします。
でも、三日月と大包平はそれぞれの主…石丸くんとごくそつくんのところへ向かってそれきりですか…。無事ならいいのですが、石丸くんとごくそつくんも無事でしょうか…心配です。
しかし八方塞がり…と思いきやナデシコさんに案があるのですね。
城下町は無人に『させられた』、ですか。
チェズレイさん攫う方なんです???? と、とりあえずそこは一旦置いておきましょう。
なるほど、王族を見つける…ですか。ニアたちもさすがに察知しているでしょうし、悪い考えではありません。
それも拠点をまるまる貰える可能性があるなら悪くないですし。
チェズレイさんェ← 確かに女性を野宿させるのは少し気が引けますね、慣れてるならともかく。
全てを『元に戻す為の』物語…。
これからも、どうなっていくか見守らせていただきます。
それでは!
- Re: 繋がる世界と未来の物語【Ep.00完結】 ( No.19 )
- 日時: 2021/10/14 17:32
- 名前: 謎の女剣士 ◆7W9NT64xD6 (ID: b.1Ikr33)
初めまして。
これだけの語りを上手く描きまとめるなんて、わたしには難しいですね。
そもそも、コネクトワールドすらわたし分かりませんからね。
此処までが、最初の物語ですか。
わたしも、こんな感じで上手く描けるでしょうか…。
知っている世界観を基準にしているから、読みづらいかも知れません。
今から、新しいお話を作ってきますのでもう少しだけお待ち下さい。
それでは、また来ます。
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