二次創作小説(新・総合)

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繋がる世界と未来の物語【Ep.03-ex完結】
日時: 2022/10/12 22:13
名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: jX8tioDf)

 ―――これは、"全てを元に戻す"物語。
 それが例え、紡いできた絆が離れる結果となったとしても……。


 どうもです、灯焔です。
 新シリーズ発足です。大変お待たせいたしました。プロットの詳細を決めている間に相当時間がかかってしまいました。
 サクヤ達がどういう運命を辿るのか。この終末の物語を、どうぞ最後までよろしくお願いいたします。
 この作品は版権作品同士の『クロスオーバー』を前提としております。
 また、オリジナルキャラクターも登場します。
 苦手な方はブラウザバックをお願いいたします。


※物語を読む前に必ず目を通してください※
【注意事項】 >>1
【取り扱いジャンル】 >>2


<目次>

Ep.00【舞い戻れ、新たな異世界】 完結
>>3-7 >>11 >>12-17

Ep.01-1【繋がりの王国】 完結
>>21-25 >>28-33 >>36-37

Ep.01-2【宇宙からの来訪者】 完結
>>39 >>40-48 >>49-53

Ep.02-1【強者どもの邂逅】 完結
>>55-56 >>57-59 >>60-63 >>66-67

Ep.02-2【黒と白と翡翠の車掌】 完結
>>70-73 >>74-76 >>77-78 >>79-81
>>82-85 >>86-89

Ep.03-1【ドルピックタウンにて最高のバカンスを!】 完結
>>112-113 >>114-119 >>122-126 >>127-130

Ep.03-2 【音の街と秘密の音楽祭】 完結
>>137-138 >>139-144 >>145-148


※サブエピソード※
Ep.01
【新たな世の初日の出】 >>38
【商人の魂百まで】 >>54

Ep.02
【夢の邪神の幸せなお店】 >>68
【襲来!エール団】 >>69
【線路はつづくよどこまでも】 >>90
【記憶はたゆたい 時をいざなう】 >>109-111

Ep.03
【合流!若きポケモン博士】 >>131
【六つの色が揃う時】 >>132
【狭間の世界での出来事】 >>133-134
【翡翠の地からの贈り物】 >>135-136
【繋がりの温泉街】 >>151


※エクストラエピソード※
Ep.02-ex【再度開催!メイドインワリオカップ】 完結
>>91-95 >>96-101 >>102-104 >>107-108

Ep.03-ex【とある本丸の審神者会議】 完結
>>152-154 >>155-160 >>161-163


<コメント返信>
>>8-10 >>18-20 >>26-27 >>34-35
>>64-65
>>105-106
>>120-121
>>149-150


最終更新日 2022/10/12

以上、よろしくお願いいたします。

Ep.01-2【宇宙からの来訪者】 ( No.50 )
日時: 2022/03/11 22:23
名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: jX8tioDf)

 カンパニーの社員が大バグとワリオを食い止めている様子を、屋上に移動した3人はスマートフォンで確認していた。
 前田がワリオに憑りついていた元凶が彼から離れたことを指摘する。大典太は自分の目でも確認した後、オービュロンを無言でむんずと掴んだ。
 彼の突拍子もない行動に、思わずオービュロンは浮いた手足をバタバタさせる。そんな彼を静かに宥めながら、大典太は言った。



「……すまんな。ここからなら…あんたを投げた方が早い。呪詛を消した後は瞬間移動をするなりなんなりして地面への激突を防いでくれ」
「エッ」
「いつまで食い止めてくれるかも分かりません。腹をくくりましょう、オービュロン殿!」
「ソンナ勢い良く言う台詞デハナインデスケドネ?!」



 オービュロンが慌てるのも目にくれず、大典太は静かに深呼吸をする。霊力を投げ飛ばす右手に集中させる。
 そして―――。



「……行くぞ。眼鏡が落ちないように気を付けるんだな…」
「コレハさんぐらすデス!ッテ」



















『アーーーーーーッ!!!!!』



 大典太は勢いよくオービュロンを空に投げた。
 念の為に解説しておくが、この刀剣男士は細長い体格をしている割に相当な怪力であり、鬼丸や大包平と並ぶ程である。それに、彼は内に秘める霊力の量が他の同位体を凌駕していた。
 そんな彼が小さなオービュロンを投げるのである。今の彼はさながら―――ジェット機のように空を舞っていた。



『ココマデスルコト無いジャナイデスカーーー!!!!!』



 光の速さで小さくなっているオービュロンを見て、大典太は"少しやり過ぎたか"と己を反省したのだった。






「(気絶シソウデシタガ…何とか持ちコタエラレソウデス)」



 飛ばされたオービュロンは何とか気力を取り直し、大バグがいる黒く濁っている場所を凝視した。
 現在もなお、カンパニーの社員が水をかけているお陰で彼らは動けずにいる。しかし、社員にも疲れの色が見えていた。少しでもタイミングを見誤れば、バグは逃げる。ワリオは助かるが、街は滅びてしまう。
 オービュロンは救わなければならなかった。ワリオも、ダイヤモンドシティも。



「……行きマスヨ!!!」



 オービュロンは意を決して受け取ったお守りを空中浮遊させ、大バグに気付かれないように移動させ始めた。大典太が投げた当初よりも空中を飛ぶスピードが遅くなっている。これならばコントロールも出来るだろう。
 改めて自分の身体の軽さとマントにオービュロンは感謝をした。お守りはふわふわと空を浮かび、大バグに近付いている。



「(モウ少し モウ少し…!)」



 思考をお守りに集中して、大バグの頭上まで浮遊させる。後は浮遊を解いて、真上で落とせばいい。オービュロンはそういう考えでいた。
 気付かれたら全てが終わる。気付かれるわけにはいかなかった。少しずつ、少しずつ。お守りはふよふよと大バグの上まで移動していく。
 そして……。



「(今デス!)」



 オービュロンは大バグの真上でお守りの念力を解いた。
 重力に従い、落下した先にいたのは―――。黒い物体。大バグだった。水が全方向から噴射されている為、前が見えなかった。それも功を成したのだろう。
 お守りが大バグに触れた瞬間、そこから灰になってさらさらと空中に大バグは待っていく。水を放ち続けていたカンパニーの面子も、大バグの様子がおかしいことに気付いた。



「ねぇ、見て!大バグが砂になっていく!」
「もしかして…オービュロンはんがやってくれたんですか?!」



 大バグは人とは思えない狂気的な悲鳴を上げ、身体は灰のようになって消滅していった。砂のようになったそれは、風に待って空中へと飛散し、消えた。同時に、ワリオも元の姿に戻る。まき散らしていたバグも全て消滅し、ダイヤモンドシティは元の姿を取り戻したのだった。
 それに気づいたペニーがいち早くみんなに水を噴射することを辞めるように説得する。しかし……。辞める人間は彼女以外、誰一人いなかった。



「ワリオさんが元に戻ったんですよっ!皆さん、水を放つのをやめてくださーい!」
「ですがペニーはん。もしかしたら細かいヤツが残ってるかもしれまへん」
「そーそー!掃除はしっかり綺麗にしないとね!」
「……自業自得」
「えぇ…?」



 そうこうしているうちに、ワリオが意識を取り戻す。今まで眠っている状態だったのか、ぼんやりとした眼のまま周りを見つめる。自分に迫って来ていたのは―――大量の水だった。
 自分に向けられている大量の水を見て、ワリオは激怒したのだった。



『お、オレ様に何をするのだーーー!!!やめろーーー!!!










 キサマら全員給料抜きだーーーーー!!!!!』



















 ワリオがぷんすかと怒っているのを空中から見ていたオービュロンは、やっと彼が元の姿に戻ったのだと安堵した。
 それと同時に、一番やらなければならないことにやっと気づく。オービュロンの身体は落下を始めていた。自分自身にテレポートをするのをすっかり忘れていたのだった。



「ア~~~~~~~~~!!!!!!」



 情けない大声をあげ、地面に落下を始めるオービュロン。このままでは確実に怪我をしてしまう。しかも、この落下速度ではテレポートが間に合わないことを推測していた。
 あぁ、また彼らの世話になるのか。宇宙人が弱い存在だと思われてしまう。薄れていく意識の中、オービュロンはそんなことを思った……のだが。



「アレ…?」



 襲ってくるはずの痛みはなかった。思わず目を見開いてみると、彼を心配そうに見るカットとアナがそこにいた。
 地面に落ちる寸前、彼女達が協力してオービュロンを支え受け止めたのだった。



「だいじょうぶ?」
「ア、アリガトウゴザイマス…。わりおサンガ元ニ戻ったコトニ安心シテシマッテ、自分ヲてれぽーとサセルノヲ忘れてイマシタ…」
「おちたらたいへんだったよ!」



 双子の忍者に丁寧にお礼を言った後、3人でワリオの元へと向かった。
 社員の気晴らしが済んだのか、既にワリオには水はかかっていなかった。彼の浮かんでいた場所には、焼け焦げたお守りの跡があった。
 オービュロンは急いでそれを回収する。既に効力は失われているのか、割れた勾玉を拾っても何も感じなかった。



「んもー!ワリオおじさまったら!危うく街が壊れちゃうところだったんだからね!」
「ん?どういうことだ?オレ様何も知らねーぞ?」
「しらばっくれるんじゃないわよ!全部あんたの仕業だって全員分かってんだからね!」
「とりあえず、カンパニーに戻ろうYO!きっと刀剣男士の皆さんも戻っている筈さ!」
「あ?なんだ?あのいけ好かないヤツらがいるのか?」
「いるもなにも、ワリオを助ける為に彼らと協力してたんだってば!ちゃんとお礼言ってよね、ワリオ!」
「フン!あんなオレ様の美貌以下のヤツなどに……礼など言うかーーー!!!」
「はぁ…。ま、ワリオはんに話も聞かなきゃなりまへんし…。戻りまひょか」
「そうだな。ワリオクンに何が起こったのか、是非色々調べたいことも浮かんできたのでな!」
「おじいちゃん、わたしもお手伝いしますっ!」
「ワリオハ 不死身ダカラ 何ヤッテテモ オカシクハナサソウデスケドネ」
「尋問という奴ですね!師匠、オレに出来ることはあるでしょうか?」
「それは行ってみなければ分からん。ささ、人を待たせておる。カンパニーに戻るぞ」
「オレ様をダシにして遊ぶんじゃなーい!!!」



 次々とカンパニーに戻っていく一同。そんな彼らの背中を見ながら、オービュロンは"やっと平和が戻って来たのだな"と改めて思ったのだった。
 カットとアナが心配そうに再び見つめてくる。そんな彼女達を心配させない為、オービュロンも急いでワリオ達との合流を急いだのだった。

Ep.01-2【宇宙からの来訪者】 ( No.51 )
日時: 2022/03/12 22:15
名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: jX8tioDf)

 ワリオカンパニーに戻った一同は、会社で待機していた刀剣男士達と合流した。
 無事に傍らにワリオがいることに彼らは安堵した。思っていた以上の全身水浸しだが、それは気にしないことにした。そこまで突っ込むと面倒なことになるのが目に見えていたからだ。
 屋上からバグが消え去っていくのを彼らも確認していた。改めて、街に平和が戻ったことを喜んだのだった。



「シ、死ぬカト思いマシタ…」
「……すまん。肩に乗ったあんたが随分と軽かったから投げられると思って…。乱暴な真似をした」
「イエイエ、結果論ニナリマスガワタシ、コウシテピンピンシテオリマスノデ気にシテマセンヨ!アリガトウゴザイマス、みつよサン!」
「み、みつよ…」
「マ、不味かったデスカ?"おおでんた"ハイクラワタシガニポン語ヲますたーシタトシテモ難しい言葉デス。イ、嫌デシタラ"おおでんたサン"ト呼べるヨウニ努力シマス!」
「違いますよ!名前で呼ばれて嬉しいんです。ね、大典太さん!」
「ソウナノデスカ?」
「……悪い気はしない」
「―――ふん」
「……あんたも"国綱"と呼ばれればいいんじゃないか」
「お断りだ。慣れ慣れしく呼ぶな」



 しばらく談話を続けていたところで、本題を思い出したようにモナが切り出した。
 何故ワリオがあんな状態になって街で暴れていたのか。それを問わなければならなかった。いくら不死身のワリオでも、バグに侵された姿はゲームの中でしか見たことが無い。さらに、ワリオはその時自分達と一緒にバグ退治にいそしんでいたのだ。彼自体がバグワリオに変化するという事実自体があり得ないことだった。



「おじさま、どうしてあんな姿になっちゃったの?何か覚えてない?」
「何も覚えてねえな!」
「あからさま過ぎるよー!ほら、誰かに変なアイテム渡されたとか!変なもの食べたとか!ちょっとでも記憶にないの?!分からないとボクちん納得いかないよ!」
「そう言われても分からんもんは分からーん!」



 どうやらワリオはしばらく意識を失っていたようで、自分が何故街で暴れていたのかを覚えていなかったようだった。何とか原因を探ろうとナインボルトが迫るも、ワリオは本当に何も覚えていない。分からない、の一点張りだった。
 あまりにも社員が必死に迫ってくるため、流石のワリオも考える振りくらいはした。―――そんな中、朧気にふっと浮かぶものがあった。そういえば、以前何か食べ物を貰ったような。
 記憶を手繰り寄せると、その景色がはっきりと見えた。



「お!そういやこの前マリパやってた時に、クッパ軍団のヤツに変な色のニンニク貰ったな!」
「変な色のニンニク、ですか?」
「そうだぜ!美味そうだったからその場で食っちまった!それからの記憶は全く覚えてねえな!」
「えぇ…。本当に自業自得じゃん…。マリパってことは、マリオ達も近くにいたんだよね?」
「いや、その時のパーティにはマリオはいなかった!オレ様と、緑のヒゲ…ドラゴン…あとあの不気味な星連れた女が一緒だったな!ワッハッハッハ、その時はオレ様が1位を取ったのだーーー!!!凄いだろ!褒めなさい!!!」
「今はマリパの話じゃないだろうワリオクン。そのクッパ軍団から貰ったニンニクの形状は覚えてないのかね?」
「クッパ軍団がわざわざワリオに変なアイテムをあげるとは考えにくいわ。ワリオ、確か前にも絵の中に閉じ込められたことはあるって聞いたことあるけど…。恨まれるようなこと、あんたしたの?」
「恨まれるようなことなど何もしていない!オレ様は常に尊敬される存在なのだからな!だが…そうだなー」



 ニンニクの形状を思い出すようクライゴアに問われ、ワリオは更に記憶をつつく。すると、ふっと食べている時の自分の手を思い出した。
 確かにニンニクの形状をしているが、ニンニクではない…。改めて思い返してみると、そう思えた。



「あ!思い出したぜ!すぐ食っちまったけど、真っ黒だったな!世の中には黒いニンニクってのはあるが、それとは全く違った!血みたいに赤黒かったってのが正しい言い方だな!」
「今思い出したってことは、ワリオちゃんは見ずに真っ先に食べちゃったのよね…?あらあら」
「……そうでしたか。教えてくださりありがとうございました。ワリオ殿が邪気に呑まれた原因は……。恐らくそのニンニクのような物体で間違いないでしょうね」
「ニンニクそのものが呪詛だったわけか。それなら身体に巡るのも早い訳だな」



 そして、恐らくワリオが渡してきたというクッパ軍団も―――本来所属している人物ではなく、アンラによる分身の1つの可能性が高い。そう刀剣男士達は結論をつけた。
 既に自分達の知り得ないところで悪の神が動いている考えが確信に代わり、大典太は目を伏せた。目に見える存在ならいくらでも助けられる。しかし、自分達が"神"と呼ばれている存在であろうとも、あくまでも物に宿る末端の神。自分達の手の届かないところにある悪意は祓えない。
 その事実が、今も蔓延っている。彼らの知らないところで、悪意に苦しんでいる存在がいる。その可能性が高まったことに心を痛めていた。
 悪の神―――アンラは。世界を混ぜる前でも後でも、無差別に生きる者に大して闇を与え暴走させる。そうして、世界を破壊する準備を着々と進めているのだ。



「……俺達の想像以上に、あいつが動いている。それだけは今確信した」
「あなた達が何に苦しんでるか、あたしには分からない。でも、ダイヤモンドシティはこうして元通りになったよ!ワリオおじさまも元に戻って帰って来たし!ね、ちゃんと協力すれば難しい問題でも解決できる!協力してくれて本当にありがとう!」
「その言葉だけで嬉しいですよ。こちらこそありがとうございます」



 刀剣男士が悲しそうな表情をしていたのが気になったのか、モナが元気づける為に今回のことの礼を言った。数珠丸はそんな彼女の気遣いに感謝していた。ダイヤモンドシティは何でもありな街だが、それだけ心が広い住人が多いのだと、改めて知ったのだった。
 モナが言葉を口にし終えた途端、大典太のスマートフォンに通信が来る。ラルゴからだった。



『光世ちゃん!みんな!こっちも今しがた連絡が来たわ~!無事に問題解決出来たみたいね!お疲れ様!』
「……あぁ。街の連中と協力して元に戻したよ。リレイン王国に被害が出ることはないだろうな」
『うふふ。それだけじゃないのよ~。良い報告よ!今丁度ダイヤモンドシティの町長さんとお話してて…。なんと、なんと!ダイヤモンドシティとリレイン王国、双方で協力関係を結ぶことが決まったのよ!
 つまり、これからはどちらの住人も"同じ町の存在"として暮らしていくことになるわね!』
「そうなのですか?!」
「……それは、良かったな」



 なんと、ラルゴの口からダイヤモンドシティと自分達の住んでいる国が協力を結ぶことが放たれた。まさかここまで上手くいくとは彼も思っていなかったようで、自分でもびっくりしていると感想を述べていた。
 大典太達がワリオカンパニーの面々と街の問題を解決したことで、城下町の人間を信用できると町長が判断したのだろうとラルゴは分析していた。それも含め、彼は刀剣男士達に丁寧に礼をしたのだった。



『ダイヤモンドシティには駅があるでしょ?それを参考にして"案"を進めていきたいわね』
「案…?なんでしょう?」
「……大っぴらに話していい内容なのか?」
『あら!アタシとしたことが口が滑っちゃった。それじゃ、帰り道も気を付けて戻ってくるのよ!無事に帰ってアタシに報告するまでが依頼なんだからね!』



 ラルゴはそう言うと、ひらひらと手を振った後ビデオ通話を切った。何はともあれ、これからはダイヤモンドシティの住人も城下町に来ることも増えるだろう。忙しくなることを大典太は悟った。
 スマートフォンを仕舞い、社員の方向を向く。すると、伸びをするナインボルトの姿が最初に目に入った。



「あ~。色々あったし、ボクちん疲れた~。早く家に帰って寝たいよ~」
「ふむ。本当に皆ご苦労だった。仕事も終わったことだし解散だな!気を付けて帰りたまえよ」
「ワリオ、ちゃんとあの人達とクリケットさまに礼を言いなさいよね!わたしは帰るから!」
「タクシーのメンテもしなきゃあかんし、わしらもここで失礼するか。ドリブル、いくで」
「みなはん、それでは失礼します。ダイヤモンドタクシーをこれからもよろしゅうお願いしますわ!」
「あっ、あたしも明日バイトだった!帰って準備しなきゃ!それじゃまたね~!」



 クライゴアの声を皮切りに、各々帰路へ着く一同。
 少しずつ人はまばらになっていき、残っているのはオービュロン、ワリオ、ジミー、そして刀剣男士達だけになっていた。



「ボク達もそろそろお暇しようかな?ワリオ、家まで送ってくYO」
「オレ様は一人で帰れるのだ!だが……今日くらいはいいか!ジミー、夕飯奢れよな!」
「キミは相変わらずだね…。でもいいか。今日はボクの奢りだYO!その代わり、どの店に行っても文句は言わないでくれYO!」
「あ!オマエら!何が何だか全く分からねーが、オレ様が助かったってことだけは今分かった!ありがとな!オマエらならたまには会社に遊びに来てもいいぜ!じゃーな!」
「本当にありがとう。ボクがダンスしてるクラブにもいつか来てね~!」



 ジミーとワリオもお互い帰路についた。幼馴染同士、つもりにつもる話があるのだろう。
 彼らが小さくなっていく姿を見送りながら、大典太達もそろそろ帰ろうという話になる。ラルゴからの通信が切れて結構な時間が立っていた。待ちぼうけを喰らって怒られるのだけは勘弁だった。
 オービュロンも帰る場所が無い為、一緒についていくことになった。……そして、彼は"今まで忘れていた"大事なことを思い出す。



「……アッ」
「どうしました?オービュロン殿」
「忘れて……イマシタ……」



 オービュロンは思い出した。議事堂の修繕費のことを。




『修繕費……ドウシマショウ……!!!』

Ep.01-2【宇宙からの来訪者】 ( No.52 )
日時: 2022/03/13 22:02
名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: jX8tioDf)

 忘れていた事実を思い出してしまい、オービュロンの顔が青くなった。更に、落ちたままのピッグシップを何とかしなければならない。今までは平地や偶然にもワリオの家を壊したのみで済んでおり、ダイヤモンドシティ内の敷地に置かせてもらっていたが、今回は訳が違った。
 いくら隣り合っているとはいえ、ダイヤモンドシティとリレイン城下町は橋を繋いだ先にある街だった。議事堂の人達の力を借りるとしても、時間がかかるだろうとオービュロンは推測していた。
 青くなった彼の表情を見て、議事堂での出来事を刀剣男士達は思い出した。各々困り果てる中、前田が口を開いた。



「うーん…。議事堂の修繕費を何とかしたいという気持ちは伝わりました。オービュロン殿の働き先をなんとか見つけてあげた方がいいのでしょうか?」
「そこまで世話をする必要はない。口ぶりからして何回かこの街にあの機械を落としているんだろ。なら今までだって何とかしてきたんじゃないか」
「ですが、今回は訳が違います。ダイヤモンドシティに落ちたのならばともかく、隣町…議事堂とこの橋、割と距離がありますよ」
「アワワ……アワワワワ……」
「……パニック状態だな。さて、どうしたものか…」



 一瞬テレポートで移動させればいいのではないかと考えた大典太だったが、当のオービュロンはそんな余裕を考えられる状態ではないのは明白だった。
 何とかしてあげたいという気持ちは彼らも一緒だが、ダイヤモンドシティの問題が解決し、後は彼の修繕費の問題だけになってしまった為深入りする理由もない。
 大典太は考える。どうするのが最善策なのかを。……頭の中で思考を巡らせていると、ふとサクヤが口にした言葉を思い出した。"自分達が信頼するに値した存在なら、神域に連れてきてもいい"と。



「……そうか」
「何かいい考えが思いついたのですか?」
「……そういや、議事堂は人手不足で困っていたな。街の活気は少しずつ増えているとはいえ、議事堂だけは人手に業務量が釣り合ってない、と…あの町長が言っていた」
「それで、何なんだ。それとこいつと何が繋がるんだ」
「……あんた。議事堂で働いて修繕費を返せばいいんじゃないか?」
「―――エッ?」



 大典太が口に乗せた言葉に、思わずオービュロンもきょとんとして彼を見る。
 そして、彼の考えを見据えていたかのようにタイミングよくスマートフォンが再度震えた。ビデオ通話ボタンを入れてみると、そこにはニコニコとした笑顔のラルゴが映っていた。



『いいアイデアね!議事堂で働いたお給料から修繕費を差し引くことにすればいいんだわ!』
「……随分タイミングが良すぎる気がするんだが。主か」
『光世ちゃんったらやっぱり心理学に長けているのね!サクヤちゃんから連絡が来たのよ。もしかしたら困っているかもしれないから助けてあげてって。……違うわね、こういうのはサクヤちゃんと光世ちゃんの絆が深いということかしら?』
「デスガ、ソレハ流石ニ虫ノ良すぎる話デハナイデショウカ…?らるごサンにゴ迷惑ガカカルノデハ」
『うちは万年人手不足だから、オービュロンちゃんが手伝ってくれるって言ってくれるなら大歓迎よ!それに、人間でもそうでなくてもリレイン王国は昔から受け入れ、繋がりを持つ。そういう風習が伝統として伝わっている国なのよ。
 現に人間じゃない種族の人がこの城下町に移り住んでお店を開いている事例もあるんだから。オービュロンちゃんの容姿でも変に思う人はいないわ』
「町長自らそう言っているのならば、考えてもいいお話では?オービュロン殿」



 白いスマートフォンを通じて、大典太の考えがサクヤに明け透けになるというのはどうやら本当のことらしい。大典太は変なことは出来ないと思いつつ、ラルゴの言葉に賛同する。
 ラルゴは"働いてくれるなら、そこで出る給料から修繕費を少しずつ引いていく"という案を出した。あまりにも突拍子の無い、しかし虫のいい話に思わずオービュロンは身構えてしまう。
 しかし、ラルゴは本気でオービュロンを迎え入れようとしていた。リレイン城下町自体、再起したばかりである。人手が多い方がいいのは当たり前である。さらに……オービュロンはダイヤモンドシティに住み着いている、いわば"部外者"だ。スカウトしない理由がなかった。
 それでも迷う表情を見せるオービュロンに、ラルゴは更に説得を続けた。



『そうねぇ…。折角働いてくれるなら、ちゃんとお給料以外の対価も払わなきゃね。光世ちゃん達に協力するという条件で、衣食住もうちで用意してあげるわ』
「みつよサン達ノオ手伝い、デスカ?」
「……町長、それは」
『アタシには深いことまでは分からない。けど、アタシと同じくらい光世ちゃん達は困ってる。でも……この世界の未来について考えてくれてる。そんな気がするのよね。
 だから、沢山生きているアナタの知恵がもしかしたら役に立つかもしれない、とふと思ったのよ』
「…………」



 大典太達の本来の目的に協力する、という条件付きではあるが、なんとラルゴはオービュロンに議事堂での衣食住も提供すると言ってのけたのだ。
 その言葉には流石に刀剣男士達も驚きの表情を見せたが、確かに彼らの目的には人手が必要だった。流石に部外者に深く説明はしていないものの、ラルゴにすら考えが見通されてしまっているのではないか、と大典太は背中に冷や汗をかいた。
 オービュロンは思わず助け船、そして美味しすぎる話に戸惑う。確かに右も左も分からない場所……隣町が世話になっている街があるとはいえ、自分が騙されているのではないかという考えもよぎる。
 しかし、目の前にいる男達は自分達の街の為に真摯に動いてくれた。彼らが悪いことを考えているという結論にはどうにも導くことは出来なかった。

 ―――オービュロンは心の中で覚悟を決める。彼らの話をまずは聞こう。そして、自分が手伝えそうなことであれば手伝おう、と。



「……ワカリマシタ。マズハオ話ヲ聞かせてクダサイ」
『了解よ~!それじゃ刀剣男士ちゃん達、オービュロンちゃん連れて議事堂まで戻って来てね。あ、さっきも言ったけどちゃんと全員で来るのよ?無事に帰ってくるまでが依頼なんだからね!』
「町長殿、大丈夫です。オービュロン殿は必ず護衛して議事堂まで向かいます」
『勿論刀剣男士ちゃん達も含まれてるわよ~!それじゃ、気を付けて帰って来てね!』



 オービュロンの答えを聞いて、ラルゴは嬉しそうにしながら通信を切った。これは話を聞いて、もし断ったら泣いてしまうだろうなとこっそり心の中で思った。
 窓から外を見てみると、既に日が落ちかけていた。そんな長い間この場所にいたのかと狼狽える一同だったが、さっさと移動すれば問題ないと気持ちを切り替えることにした。
 オービュロンの打ち身も少しずつ回復しているが、念の為前田に抱えてもらう形で城下町まで向かうことになった。前で楽しそうに話しながら歩く前田達を見守りながら、大典太と鬼丸は小さな声で会話をする。



「まさか、神域にあいつを住まわせるつもりなのか?」
「……見えれば、な。見えなくてもあの町長が何とかしそうな雰囲気はするが。あの場所は庭も広い。主に頼めばあの宇宙船も仕舞えるだろうからな。―――そうでなくとも主が勝手に部屋を増やしそうではあるが」
「お人好しめ…」




 大典太はサクヤに事情を話し、もし神域が見えるのであれば住まわせる寸断だった。考えを聞き、思わず鬼丸は悪態をつく。大典太はサクヤと触れあって、ネガティブなお人好しっぷりが更に増してしまったと。
 満更でもない顔をする大典太が気に食わず、不機嫌そうな表情のまま鬼丸は前を歩く前田達について行ったのだった。

Ep.01-2【宇宙からの来訪者】 ( No.53 )
日時: 2022/03/14 22:01
名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: jX8tioDf)

 議事堂に戻って来た彼らをエントランスでラルゴは待っていた。誰も欠けずに戻ってこれたことに満面の笑みを浮かべ、一同を迎え入れた。
 そんな彼の表情に思わず安堵する刀剣男士達だった。オービュロンも思わず頬が緩んだ。



「おかえり!早速さっきの話と行きたいところだけど…。先にサクヤちゃんに連絡をして来たらどう?淡々としてたけど、実は凄く心配してたんだからね、彼女」
「……感謝する」



 先にサクヤと話してきてほしいと彼らを催促し、ラルゴはそのまま仕事部屋へと姿を消した。
 背中を押してくれたことに感謝しつつも、自室へと向かう一同。数珠丸と小狐丸は彼らの邪魔をしないようにとエントランスで待機することになった。



「我々も町長殿の手伝いを行いたいと思います。とても忙しそうでしたので」
「良い結果に繋がるといいですな。オービュロン殿!」



 彼らとも別れ、神域がある和室へと移動した。
 ドアを開け、早速掛け軸を取ろうとするが……。部屋に入った前田がはっとした表情で大典太を見た。
 彼の目には掛け軸が見えていなかったのだ。そのことを話すと、大典太も鬼丸も掛け軸がないことに気付き表情を崩す。何かあったのかとオービュロンが問うも、主に何かあったのかと彼の声が聞こえていない。
 同時に、スマートフォンが震える。今はそんなことをしている場合ではないと通信を拒否しようと手に取り連絡してきた者の名前を見る。
 ……大典太は静かに通話ボタンを押した。相手がサクヤだったからだ。



『申し訳ありません。1つ連絡しそこねていた事柄がありまして』
「……主。大丈夫なのか。神域は無事なのか」
『無事ですので安心してください…。そもそも、掛け軸を変えたのは私です』
「変えた。……変えたっ?!どういうことですか主君」
『ダイヤモンドシティにて話しておくべき事項だったのですが…すみません、連絡が漏れていました。実は、これからのことを考えて、神域への入口の形状を少し変えさせてもらったのです。皆さん、目の前に壁と襖、どちらが見えますか?』



 どうやら掛け軸を撤去したのはサクヤ自身だったらしい。事実をしり、どっと疲れが一同に押し寄せる。
 何故そういうことをしたのかと問おうとする前に、サクヤは掛け軸がかけてあった側の壁全体を見てほしいと彼らに頼んだ。
 不意にそんなことを言ってくるとは。サクヤが何を考えているのかは分からなかったが、壁を見てみることにした。



「襖が見える」
「僕にも襖が見えます。どういうことなのでしょう?」
「……オービュロン、あんたにも見えるのか?」
「"ふすま"…。ショージ張り、トイウ技術ヲ使ったニポンノ"カルチャー"デスヨネ!モチロン見えてマスヨ!」
「見えている…?!」
『はい。襖が見えていれば、誰でも神域に出入りが出来るように細工をさせていただきました。皆さんが刀剣男士以外の方々を連れてくる可能性も考えられましたので…。
 それに、コネクトワールドにて泥酔していた方々を見て思っていたのです。"人間への解放も必要だ"と』
「……そうだったのか。あの時は俺や数珠丸がいたからいいが、勝手に呑み比べをして倒れられても介抱する奴がいないと今後困るからな。
 ……そうじゃない。わざわざそんな確認をしたということは、見える人間と見えない人間がいるということなんだな」
『流石に誰でも入れる訳にはいかないので、ある程度"霊力"が備わっている人間のみを入れるようにしました。オービュロンさん、と仰いましたか。見えているのであれば一緒に入って来ていただけますか?
 襖を開けば、奥に和室が見える筈です。そこが神域ですよ』



 サクヤは今後のことを考え、掛け軸から襖型の神域の出入口に造り替えていた。大典太は"そもそもが頂き物ではなかったのか"と疑問に思ったが、既に自分のものとして扱っているとして流すことにした。
 オービュロンも見えていると答えた。つまり、彼も神域に出入りできるということ。向こうの和室が彼に見えていることを信じ、大典太は静かに襖の取っ手に指をかけ、そのまま力を込めて戸を開けた。


 ―――見えてきたのは。自分達が今まで見てきた、穏やかな景色。
 帰って来たのだ。自分達の帰る場所に。



























「おかえりなさいませ」
「……ただいま戻った。主」



 襖を開けた奥にサクヤの姿があった。机に湯呑が置いてあることから、休憩中だったのだろう。
 彼女はすぐに彼らに座る様に催促する。オービュロンは後ろでびくびくしていたが、大典太に背中を叩かれ意を決して敷居を跨ぐ。
 どこかぎこちない正座をしたと同時に、サクヤが口を開いた。



「お疲れさまでした。無事、ワリオさんに取り憑いた呪詛を解呪出来たようで何よりです」
「はい。主君も町長殿から聞いておられるとは思いますが、この度ダイヤモンドシティとリレイン城下町が協力関係になることが正式に決まりました。今後は今以上に悪の神に関しての情報集めも捗るかと思われます」
「きっと、ワリオさんだけではない…。我々の知り得ない街に、アンラの呪詛に苦しんでいる人々がいることでしょう。そこからもきっと情報は流れてくるはず。いつか尻尾を必ず掴みましょう」
「あ。それと…オービュロン殿のことについてなのですが。彼の宇宙船が故障してしまっていまして。主君。彼には神域も見えているようですし、庭に宇宙船を置くことを許可していただきたいのです」
「オ、オ願いシマス!ワタシニ出来るコトデアレバ何でもヤリマスヨ!」
「確か…議事堂を一部破壊したのだとか。事情は大体ラルゴさんからお聞きしております。そういうことであれば、神域を是非役立ててください。なんなら宇宙船を仕舞う為の"ガレージ"も即刻用意いたします」
「……神の力をどうでもいいことに使わないでくれ…」
「どうでもいいことなどないのですよ、光世さん」



 オービュロンの事情を説明すると、サクヤはあっさりと神域を使うことを許可してくれた。元々"刀剣男士が信頼して連れてきた存在なら疑う余地も無い"と、彼らのことを信じていたが故の発言である。
 あまりにも軽く許可が口から出た為、流石のオービュロンも驚いていた。もう少し説得が必要だと考えていたからだった。しかも、宇宙船の為のガレージも用意してくれるという話になり、開いた口が塞がらない。



「アノ…UFOハ庭ノ端ニデモ置きマス。ソコマデシテイタダカナクテモ」
「行為は甘んじて受け取っておけ。断っても用意するぞ、この神は」
「以前カラ気ニナッテイタノデスガ、さくやサンはカミサマナノデスカ?」
「そうだ。おまえ以外にここにいる奴はみんな"神"と一般的に呼ばれている存在だ」
「エーーーーーッ?!」
「まぁ、僕達に関しては"物に宿る"神様なので、神様としては末端の存在なんですけどね」
「ソンナ軽々シク言う台詞ジャナイデスヨ?!」
「……それに、あんた紀元前産まれなんだろ?なら…俺達より年上だ」
「年齢ハ関係ナイト思いマス!」



 オービュロンは思った。つくづくとんでもない存在に助けられたのだと。
 しかし、ここまでやってもらって"NO"という答えを突きつける訳にはいかない。敷居を潜った時から、彼の決意は固まっていた。
 快く住居を提供してくれたことの礼として、大典太達の目的に必ず協力すると。そうサクヤに告げた。すると、サクヤは静かにオービュロンに思念を転送する。自分達が今追っている、"最大の敵"の情報を。



「わりおサンガ纏ってイタ雰囲気トヨク似てイマスガ…。コッチノ方ガ気持ち悪いデス。アナタ達ハコンナ危険ナ存在ヲ追ってイルノデスカ?」
「……あぁ。俺達の他に囚われた刀剣男士達…それと、世界中で苦しんでいる奴らを救うこと。ワリオの事件を通して、やることが増えた感じだ」
「アンラの邪気を追って行けば、必ずアンラの分身に辿り着く。そこを潰して情報を得て、本体を探し出す。
 それと……この混ざった世界を元に戻す手立てについても捜索を続けている」
「長い戦いになります。オービュロンさん。それでも……我々に協力していただけますか?」
「勿論デス。助けラレタ恩ハ必ず返しマス。ソレニ、チキューニハ良い言葉ガアリマス!"もちつもたれつ"デス!」



 本来の目的をオービュロンに話す。大典太達に協力すると誓った以上、話しておかなければならなかった。
 それに、ワリオを苦しめた敵だ。その元凶を彼らが追っているのだとすれば、協力しない理由がなかった。オービュロンは話を聞いたうえで、しっかりと"協力する"との言葉を返した。そんな彼の反応に、サクヤは安堵の表情を浮かべたのだった。



「ではオービュロン殿、これからよろしくお願いいたします!」
「ハイ!コチラコソヨロシクお願いイタシマス!」
「あっ!主君、町長殿がオービュロン殿とお話したいとのことで…。僕、付き添いで行ってきてもいいですか?」
「構いませんよ。寧ろ早く行ってあげてください。待ちぼうけで街をぶらぶらされても困るでしょうに」



 ラルゴとの約束を思い出し、前田とオービュロンはいそいそと神域を去っていった。
 襖の閉まる音が聞こえたと同時に、サクヤは残った天下五剣二振にこう切り出した。



「言ったでしょう。外の存在というものも、案外悪い者ばかりではないのです」
「どうだかな。1人お人好しが増えたくらいではおれは信じない」
「……鬼丸。そうは言っているがあんた…口元が緩んでるぞ。満更でもないんじゃないか」
「知らん。おれの知ったことじゃない」
「……ふふ…」



 オービュロンが協力してくれることに鬼丸も少し嬉しい気持ちを抱いたのか、いつもの仏頂面がほんの少しだけ崩れているような気が大典太にはしていた。
 彼が人間に心を開く日もそう遠くないのかもしれない。鬼丸の表情の変化を見て、ふと大典太はそう思ったんだそうな。




 Ep.01-2 【宇宙からの来訪者】 END.


 to be continued…

Ep.01-s2【商人の魂百まで】 ( No.54 )
日時: 2022/03/17 22:05
名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: jX8tioDf)

「ふぅ…。ここが"リレイン王国"かい。あの人達の姿をちっと見かけたから、ここら辺の人達に話を聞いててよかったぜ」



 リレイン城下町の入口である大きな門。その真ん前に、キノコ族の商人が立っていた。










 オービュロンが大典太達の協力をすることを決意してから2週間が経過した。
 ワリオも無事に回復し、現在ではマリオ達と以前のように宴やカートの大会に勤しんだり、新しい金儲けを企んだりと通常運転に戻った。
 その報告を仲間からの通話で聞いたオービュロンは、安堵のため息をついた。約1ヵ月程の失踪ではあったが、"いなくなった" "正気ではなかった" ことは事実である。無事に平穏が戻ったことに、ただただ彼は嬉しさを感じていた。


 そんなオービュロンだが、現在はラルゴの手伝いで"西の大陸の文化について調査をしてほしい"と頼まれていた。今後の町同士の連携を行う上で、地球の文化に非常に詳しいオービュロンの知恵が必要不可欠だと彼が判断した上での頼みだった。
 彼は今日もエントランスで書物を漁る。リレイン城下町には大きな図書館のような施設は存在しない為、今は城内に存在する文献を借りて"終末の世界の文化"を勉強していた。



「フムフム…。少し離れてイマスガ、北ニどるぴっくたうんガアルノデスネ。アソコハ港町デスシ、交渉次第デハ東ノ大陸ヘ航路モ出来そうデス。
 シカシ…。ヤハリ地上ノ移動手段ヲモット増やさネバナリマセン。だいやもんどしてぃニハ駅ガアリマスガ、流石ニソコマデ徒歩デ行くトナルト時間ガカカッテシマイマスネ。空ノ便モアッタ方ガ便利デスヨネ…」
「……今日も勉強か?精が出るな」
「みつよサン!ハイ、ワタシニ期待クダサッタカラニハキチント応えマセント!」



 文献の束と格闘を続けているオービュロンの元に、大典太が現れた。どうやら今まで街の見回りを行っていたらしく、戻ってきたところでオービュロンを見つけ、話しかけたのだった。
 オービュロンがラルゴの頼みを真摯に受けていることを聞き、内心大典太はホッとした。初日の彼の緊張ぶりからは想像できない程リラックスしていたからだった。
 何について調べているのか尋ねると、彼は"西の大陸の交通網"について調べていると答えた。中身を詳しく聞いた大典太は、ラルゴの"秘密の案"についてもバレるのは時間の問題だと目を伏せた。


 談笑を続けていた最中、彼らの背後に大きな威勢の良い声が聞こえてきた。その声色に、大典太はどこか懐かしさを覚える。
 思わず声の方向に振り向いてみると、こちらの顔を見た"影"が笑顔でこちらに駆け寄ってきた。



「大典太さん!久しぶりじゃねえか!」
「……あんた。生きていたのか…!」
「オイラを勝手に殺すんじゃねえ!あの邪神に店を潰されてどうしようかって時にお前さん達らしき影を見つけてな。旅人に声かけながら追っかけてたらこの城下町に辿り着いたんだよ。いやー、会えてよかったよかった」
「みつよサン、コチラノ方ハ?きのぴおノヨウニ見えマスガ」
「……キノコ族なことは間違いない。名前を"ジンベエ"と言って…。俺がコネクトワールドにいた時に、主共々色々世話になってたんだ。光に呑まれた後心配していたが…生きててよかった」
「紹介に預かった"ジンベエ"だ。見りゃ分かるがれっきとしたキノコ族だな!がっはっはっは!」
「ヨロシクオ願いシマス!きのぴおハ色々見たコトガアリマスガ、ココマデ威勢ガ良い方ハ初めてデス」
「基本キノコ族は怖がりだったり、気性が穏やかだったりするからなあ。オイラが珍しいってイメージには納得だな!」
「……それで、あんた何をしに来たんだ?店が潰されたとかなんとか言っていたが…」
「あぁ…お前さんに会えたのが嬉しくて本題を忘れかけてたぜ」



 影の正体は"ジンベエ"というキノピオだった。水色の法被を着ており、頭に鉢巻を撒いた江戸っ子風情の商人である。実は彼、コネクトワールドにて大典太達を陰からサポートした存在でもある。サクヤと大典太がひょんなことから一時的に仲違いをした時も、仲直りのきっかけをくれたのが彼である。それもあり、大典太は彼に恩を感じ、信頼をしていた。
 そんな彼が議事堂を訪ねてきたのである。先に発した言葉の真意も気になり、大典太は深堀してみることにしてみた。すると、ジンベエはしゅんとした表情を浮かべながら口を開いた。



「実は……。オオエドストリートも白い光に呑まれてよ。気がついたら…村ごと跡形もなく潰されちまったんだ」
「ナ、ナンデスッテ?!」
「……俺達のせいだ…」
「違う!大典太さん達は関係ねえよ!邪神がオイラ達の事を邪魔に思って、村ごと消そうとしただけだろ!その後は…村も、建物も、商売もままならねえ。商会は解散、各々路頭に迷うことになったのさ。
 それでも……オイラは商人だ。この国は"繋がりの国"って言われてんだろ?だから、街の責任者に何とか土地を提供してくれねえかと思ってよ。後……個人的な用事で、大典太さんに頼みてえことがある」
「……俺に?」



 ジンベエから切り出されたのはとんでもない真実だった。そして、アンラの悪事についてまた新たなことが判明した。
 邪神はオオエドストリートにまで手を出し、徹底的にサクヤが関わった痕跡を消そうとしていたのだ。オオエドストリートに住んでいた住民は皆無事だそうだが、建物が全壊してしまったことから商売は続けていけない、と会長から解散を切り出されたのだという。
 罪のない一般人を巻き込んでしまったことに罪悪感を覚え、大典太は思わず"俺達のせいだ"と口にする。しかし、ジンベエはそんなことを微塵にも思っていなかった。悪いのは全て、破壊しやがったあの悪の神だと。しっかりと告げた。
 そして、彼は倒れてもただでは起き上がらない男だった。壊されたのならまた新天地で商売をすればいい。商人の魂が燃え尽きることは無かった。そこで、繋がりの国だというリレイン王国に商売の手立てを相談に来たのだった。

 ジンベエが語り終えると共に、町長室からすすり泣きをしながら出てくる人影があった。十中八九ラルゴである。彼はジンベエの話を部屋から聞いており、その境遇に号泣していた。



「ジンベエちゃんっ…!アタシ…アタシ…アナタの悲しみが凄く分かるわっ…!お店が潰される気持ち、とても分かるもの…!」
「ええと、このお方は…?」
「……あんたの探してる町長だ。今呼びに行こうとしたが、手間が省けたな…」
「らるごサンは"伝説ノまま"ト呼ばレテイタラシイデス。みつよサンニ教えてイタダキマシタ」
「―――"伝説のママ"だってえ?!なんでそんな高名な奴が城下町の町長なんてしてんだい…」
「色々あるのよ…グスッ…。それよりもジンベエちゃん。この城下町でお店を開きたいのよね?」
「……切り替わりが早い」
「流石町長、デスネ…」



 ラルゴはごしごしと腕で自分の顔を拭いた後、ジンベエに向き直った。彼が城下町に店を構えたいというのならば、援助は必要だ。そもそも、再起が順調に進んでいるとはいえ、まだまだ街は発展途上だと彼は考えていた。そこに新たな風を取り入れられるのなら、積極的に取り入れていきたい。ラルゴは頭の中でそう模索していた。
 ジンベエの話を聞いたうえで、城下町の商店街で空いている土地を探す。人は戻って来ているが、まだまだ懐疑心にまみれた住民がいるのは事実。街を信頼してくれるのならば、その声に応えたかった。



「ジンベエちゃん。アナタ、お店を開きたいと言っていたわね。どんなお店なの?」
「オイラの店は雑貨屋だ。色んなところから仕入れた品を売ってる。それに……最近、装飾品作りを続けてんだ。そろそろ売りに出せるくらいにはクオリティが上がって来たから、アクセサリー屋さんも兼ねようと思ってな」
「ふむ…。雑貨屋さん、兼アクセサリーショップね…。これは中々にユニークな組み合わせね。アタシとしても是非、アナタに街で商売をしてもらいたいと思っているわ。
 そうなれば、商店街に空いている土地があるか探してこなきゃ…」
「おう。ありがとうな町長。本当に助かるぜ…!」
「お互い助け合いの精神が大事なのよ、人間ってのは!なるはやで調べてくるから座って待ってて~!」



 ラルゴが快く商店街に店を出すことを許可した。ジンベエはその答えに思わず顔が明るくなる。やはり彼も上人なのだ。人に物を売って、笑顔にする。それが彼の"生きがい"というものなのだと大典太は感じていた。
 早速土地の確認をせねばならない、とラルゴは先程出てきた部屋に猛スピードで戻る。そんな彼のてきぱきとした動きを見つつ、ジンベエは大典太に向き直った。
 頼みたい"もう一つの要件"を彼に話す為に。



「……良かったな」
「らるごサンヲ見習わナケレバ、デスネ」
「おう!何とか店も構えられそうで良かったぜ!……で、大典太さん。もう1つの要件、今聞いちゃくれねえかい」
「……あぁ。俺に出来ることならば。何だ?」
「―――これ。見覚えあんだろう?世間では"短刀"っていうらしいな」
「な……!」



 ジンベエが取り出した"それ"に大典太は言葉を失った。邪気を纏った短刀を持っていたからだ。霊力と邪気が混じっている為、短刀が何かまでは判別が出来ない。
 しかし、それよりも大典太が驚いたことがあった。ジンベエはその邪気を纏った短刀を"直接"握って大典太に見せている。直近にワリオの事件を経験している為、邪神による悪影響が人間にも及びやすいことは心に刻まれていた。
 ジンベエは精神力の強い人物であることは分かっていた。しかし、それを抜きにしてもこんなに平常心を"普通の人間が"保っていられるとは思えない。思わずそのことをポロっと口にすると、ジンベエはかっかっかと大笑いをした。



「何言ってんだい大典太さん!商人あきんどの魂百までって言うだろ!きっと汚染されないのはそのせいだぜ!」
「……ことわざが違う。それにそんな言葉で片づけるな。直近で、人間が邪気に侵されて暴走した事件を経験したことがある。……正直、あんたがそんなに平気で会話を出来ていることにも驚いているよ」
「エッ。マサカコノ刀、わりおサント同じヨウナ感じナノデスカ?!」
「……あぁ。長い間天界の蔵に仕舞われていたものだ。邪気は相当内に込められているだろう。だから不思議なんだよ…。あんた、なんかしたのか?」
「何もしてねえよ!だが…オオエドストリートにいた時、壊れたオイラの店の残骸に触れて具合が悪かったことがあったんだ。一時は立てなくなるほどだったが、偶然白い制服を来た男の子と、青い着物を来た優美な男がやって来てな!オイラの看病をしてくれたんだよ!
 具合が悪かったのも綺麗さっぱり無くなって。いや~、あいつらが通りかからなかったらオイラ今生きてるか分かんなかったかもな」
「(石丸に、三日月…。そうか、あいつらもあいつらで行動していたのか…)」



 大典太は明るい口調で経緯を説明するジンベエに、変に納得をしていた。以前邪気をその身に受けたのならば。影響が薄くなるという仮説を建てられる。だからこそ、邪気を纏った短刀に触れても平気なのだと。
 そして、石丸と三日月が無事だということも彼の口から語られた。名前は出なかったが、外見的特徴を組み合わせると、確実にあの1人と一振なのだと確信することが出来た。その事実を知ることが出来、彼はほっと胸を撫でおろす。

 しかし、本題はそこではない。大典太に頼みたいこと、というのは―――"短刀を何とかしてほしい"ということだろう。三日月が邪気を祓ったのだから、自分にも出来る筈。ジンベエはそう確信して、短刀を見せてくれたのだと。
 大典太はジンベエの手にある短刀に静かに触れ、自分の霊力を込める。すると……。想定通り、紫色の靄が短刀から出ていくのが分かった。ワリオの状況と同じだとオービュロンも理解し、その現象をじっと見る。
 しばらくすると、紫色の靄は見えなくなる。刀から邪気が消えたと同義と判断し、大典太はそっと刀から手を離した。



「これで…大丈夫なはずだ。顕現してやるといい」
「えっ?オイラが?」
「……事前に邪気に襲われていたとはいえ、あんたなら出来ると思って言ってみただけだ。やって駄目なら俺がやる」
「刀剣男士サンノ"顕現"ヲコノ目デ見れる、トイウコトナノデスネ…!コレモ"かるちゃー"ノ勉強ノ1ツデス」
「ど、どうすりゃいいんだよ?」
「……刀に向かって、心の中で声をかけてやればいい。あんたの声に気付けば、きっと起きて顕現してくれるだろうさ」



 大典太に急にそんなことを言われ、しどろもどろになってしまうジンベエ。しかし、大典太はジンベエなら出来ると確信していた。だからこそ提言をしたのだと。彼はそう判断し、大典太に言われたように心の中で刀に呼びかけ続ける。
 すると。―――不意に、刀が光ったのを感じた。目の前に光で人型が形成され、姿がはっきりと写る。……影がはっきりと見えたその正体は、金髪に赤い眼鏡をかけた少年だった。



「……うう……。頭がぼんやりする……」
「……その服。"藤四郎兄弟"か。後で前田に確認しないとな…」
「―――は?前田、と言ったばい?!ってことは、俺はもうあの悪い気に悩まなくてよかと?!」
「えいてぃーんぼるとサンニ似た言葉ヲオ話シテイマス!」
「お、おい。お前さんが…。この刀の"付喪神"ってやつかい?」
「そう。博多の商人が得た藤四郎が、俺! "博多藤四郎"たい!」
「……あっ。思い出した。前に前田くんが言ってた刀……」



 金髪の少年は"博多藤四郎"と名乗った。そして、邪気を祓ってくれたことと顕現してくれたことの礼を言った。
 蔵でずっと苦しんでおり、いつ解放されるのだろうと悲しい気持ちを抱いていたと知り、大典太は再び胸を撫でおろす。偶然が重なった結果ではあったが、また一振助けたことが出来たことに安堵を感じていた。
 そしてジンベエは以前、花火大会の日に前田に言われたことを思い出した。"商売の才に長けた短刀がいる"と。それが、目の前にいる博多藤四郎なのだと確信を持った。



「そうか…。お前さんが…」
「ああ、もしかして……俺んこと起こしてくれた人?なら、"主"って呼ばないかんね!」
「あ、主だってえ?!オイラそんな大したことはしてねえよ!それに、お前さんの邪気を祓ってくれたのは大典太さんだい!」
「確かに悪か気ば祓うてくれたんな大典太しゃんだばってん、連れて来てくれたんな君なんな間違いなか。それに、君ん商売魂は俺にも伝わった。仕える理由はそれで十分ばい!」
「……だ、そうだ。商売に詳しい刀なら、あんたの助けになってくれるんじゃないか?」
「それなら…。主って言われるのはむず痒いけどよ。これからよろしく頼むぜ、博多くん!」
「呼び捨てでよか!商売んことならこん博多藤四郎に任せとき!これから、よろしゅうね!主!」



 博多は邪気に侵されていた中でも、彼の商売魂を感じ取っていた。前の主を思い出せない今、やれることと言ったら救ってくれたこの主に仕えること。それが自分の最善の選択だと博多は考えていた。
 大典太にも背中を押され、ジンベエは遂に博多の主になることを決めた。答えを聞き、ぱぁっと博多の笑顔が花開いた。そんな彼らの様子を見て、大典太は"気の合う関係になりそうだ"と静かに頷いた。
 それと同時に、町長室のドアが開いた。大方土地の件が纏まったのだろう。博多のこともすぐに理解し、笑顔でジンベエに話しかけてきた。



「あら!アタシの知らないうちに元気っ子がもう1人増えてるわ!でね、ジンベエちゃん。商店街の中に空き家が何件かあるんだけど…。それを改築する形でなら、お店を開く許可をアタシが出してあげる」
「ほ、本当かい…!?建物を一から建てなくてもいいのは助かるな!是非、それでお願いするぜ!」
「なら、善は急げ!早う空き家ば実際に見に行こう、主!」
「あらあら。いつの間に仲良くなっちゃったのかしら?さ~さ、じゃあリクエストに素早くお答えする為に空き家を見て回りましょうか!それじゃ光世ちゃん、オービュロンちゃん、また後でね!」
「ハイ!イッテラッシャイ!」
「……賑やかになりそうだな」




 意気揚々と議事堂を後にする2人と一振に小さく手を振りつつも、大典太は小さくそう零した。
 拾っていたのか、オービュロンはその言葉に"賑やかナノハイイコトデス!"と返した。あながち間違っていない、と大典太は彼らの背中を見ながら、再び微笑みを浮かべたのだった。


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