ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 怪奇拾遺集
- 日時: 2011/03/19 18:22
- 名前: 書物狂乃魔女 ◆O8ZJ72Luss (ID: aXtewNOi)
ご機嫌麗しゅう、魔女に御座います。
**前書き**
このスレでは大体二、三話構成のもと怖い話・変な話・不思議な話を綴っていきます。
コメントは大歓迎ですが、荒らし・中傷には呪詛の刑なので悪しからず。喧嘩は両成敗です。
「怖くなかった」というコメントも困ります。「これを読んだら周りで怪奇現象が・・・」自己責任でお願いします。
微弱でしょうが、話によってグロテスクな表現が飛び出すので注意して下さい。
誤字、脱字がありましたら教えてくださいませ。
魔女は主にジャパニーズホラー・都市伝説・怪奇伝説を好みます。
アクション系・脱出系ホラーがお好きな方にはお奨めしません。
***
前書きはきちんと読まれましたね?
全てを条件を了承されたお方はどうぞ・・・
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- そういえば・・・① (不思議な話) ( No.2 )
- 日時: 2010/12/12 15:20
- 名前: 書物狂乃魔女 ◆O8ZJ72Luss (ID: aXtewNOi)
語り部:新菜(にいな)・D・カウディー
「いいか、ニーナ。兄ちゃんが居ない間変なことするんじゃないぞ。つか何もするんじゃないぞ。怪我でもしたら大変だからな……万が一でも怪我したらすぐに俺に連絡しろ。台所は自由に使っていいが火と刃物には気をつけろよ。あと誰か来ても居留守を使え。お友だちも今日は我慢してくれ。いいな? わかったか?」
「わかったよー兄さんがかえってくるまであたしおとなしくまってるよー」
「戸締りもしっかりしとけよ! 絶対夕方には戻っから……」
「わかったってばーはいはい、いってらっしゃーい」
今日はあたし一人でお留守番。メイドさんは定休日で、兄さんは急に仕事が入っちゃったから。
あたしは出張にいく兄さんに外まで手を振って見送った。兄さんはそれでもまだ不安そうに角を曲がるまでこっちをちらちら見ていた。あたしは兄さんが見えなくなるまで手を振った。
「わーい! フリータイムだーなにしようかなっ」
兄さんが居なかったら確かにさみしいけど、居なかったら居なかったでもぜんぜん平気だよ。出張は今日にはじまったことじゃないし、一人で趣味にふける時間も好きだもん。
一人がつまんなくなったらお友だちに電話かけてお話するのも好き。
お昼はうどんをゆでて食べた。いつもは兄さんと食べるけど一人で食べても美味しいな。あー食べてるときってなんでこんなに幸せなんだろ。
今日は天気もいいし、こういう日はお散歩にでかけたいな。お友だちに会えたらいいな。
暇だから家事でもしようかと思うけど、あ、さっき終わっちゃった。お腹がいっぱいになったら急にまぶたがどんどん重くなってきた。
「ねむくなってきちゃったなぁーねちゃおッかなーねむいよーねむい……」
ソファーの上にごろんところがると自然に目も降りてきちゃって、一回開けてみようとはぜんぜん思わなかった。ソファーがふかふかしていて気持ちよかったのもあるけど。
身体がだんだん重くなってきたのを感じながらゆっくりと意識を失っていった。
(変な時間に寝ると変な夢みるよね)
従姉のお姉さんがこの前言ってた言葉だ。あたしが眠いよーお昼寝したいよーって言ったときに。
そんなことないよーお昼寝は気持ちいいよーでも夢は確かにたくさんみるよね。起きたとき全部忘れちゃうんだけどね。
(気づいたら夕方とか、夕方を朝と間違えちゃったり。今日が何日だったとかちょっとの間忘れちゃわない? お昼寝って寝ぼけることが多くて、たまに夢見るのも怖くなるときがあるよ。新菜ちゃんはどんな夢をみるのかな?)
うーんとねー、最近見たのはお姉さんと菊さんが出てくる夢だよー。
三人で鬼ごっこしてるの。菊さんが鬼でねーあたしとお姉さんは必死で逃げてるんだ。菊さんすごいニコニコ笑ってるの。夢だからかな、いつも菊さんじゃないの。でも「待てー!」って叫んでるの。でもそこで大きな波がきてね、波にみんなのまれちゃうんだ。お姉さんも菊さんも居なくなっちゃって、ぽつんとあたし一人だけになっちゃう夢。
(それは悪夢かな?)
わかんない。そのあともいろんな夢を見た気がするけど、覚えてるのはそこだけ。
ハッてなって起きたとき目の前に兄さんがいてね、ほんと、一人じゃなくてほっとしたよー。そのとき兄さんがあたしの頭なでてくれた。
(それはよかったね)
お姉さんはにこにこ笑っていた。お姉さん、お姉さんはいったいどんな夢みますか?
兄さん、そういえば兄さんはどこ行ったの? ねえ、兄さん。みんなどこ行っちゃったの?
(続く)
- そういえば・・・② (不思議な話) ( No.3 )
- 日時: 2010/08/18 10:00
- 名前: 書物狂乃魔女 ◆O8ZJ72Luss (ID: aXtewNOi)
「あれ……」
天井しか目に入らなかった。
さっきまで見ていた景色とはぜんぜん違っていた。
夢……を見ていたのかな。皆が居なくなっちゃう夢。もう、何回目かなあ。前にも見たことがある気がする。
首を触ってみるとへんな汗がべっとり流れ出ていた。ベトベトしてて気持ち悪いな。顔洗ってこようかな。
あれ、今何時だろ。兄さんはまだ帰ってこないのかな。
後ろを振り返って壁にかけてある時計を見るとちょうど六時になるところだった。
家の中は相変わらずシーンとしていた。
カシャン。
「わっ!」
台所から食器が崩れた音だった。
「び、ビックリしたぁ〜」
あまりの不意打ちに心臓が跳ね上がってバックバック動いていた。
赤いお顔のお日様が窓から差し込んでできた影が不気味に思えた。自分の影もまた無意味に怖く感じた。影が今にも動き出しそうな気がしてしまったからだ。
空は西に沈みかけているお日様のおかげで真っ赤に染まっていた。
「……ヘンなの。ひとりしかいないのに、なんでこんなこわいんだろ」
怖いというよりも、気持ち悪い感じ。
そう思ったそのとき、ピンポーン。呼び鈴の音がした。
「あ! 兄さんだ! かえってきたんだー」
ばたばたとかけ足で玄関に向かった。はやる気持ちのせいでちょっとドアにぶつかった。ちょっと焦りながらも鍵をあけると、そこには予想したとおり兄さんが立っていた。
「Welcome home back! 兄さん! 寂しかったよー」
勢いに任せて飛びついたあたしに兄さんはたぶんやれやれとした顔(そのときの兄さんの表情は見れなかった)で頭をなでてくれた。
「ご飯にする? あたし作るよー」
兄さんが小さく頷いて、部屋に入るとソファーに座った。
あたしはキッチンにむかう。兄さんが好きなキャベツの芯とベーコンのかき揚げを作った。饂飩の麺は固ゆでだからすぐに茹で上がる。かき揚げを乗っけてみじん切りの葱をかけて出来上がり。おかずに昨日の揚げ茄子のマリネも温めた。あたしもお腹すいたから二人分だよ。
それらをお盆に載せて兄さんが待つリビングに向かった。
「兄さんーできたよー!」
あれ? っと思った。
部屋はシン……としていて、部屋を見渡すと兄さんはどこにも居なかった。
「兄さん? どこに行ったの? 着替えに行ったのかな? トイレかな?」
お盆をテーブルに置くと部屋の中を少し歩き回った。部屋に居ないのを確認すると自室の二階にも上がってみた。ひとつひとつ部屋のドアを開けて確認していった。
けれど、どの部屋もやっぱりシーンとしてて、誰もいる気配がない。
兄さんは、どこにも居なかった。トイレにも居なかった。リビングに戻ってきても、やっぱり居なかった。
「おっかしいなーどこ行ったのかな〜うどんがのびちゃうよぉ……あ、もしかしてチューハイかいにいったのかも! ちょうどきれてたし!」
あれ、でも昨日缶チューハイを箱買いしてた気がする……。
「うー……さきにたべちゃおうかなーおなかすいたよー」
あたしが迷っていたとき、
「ニーナ!」
あたしは悲鳴を上げる前に飛び上がった。だって玄関から兄さんの叫ぶ声が聞こえたんだもん。しかも、この呼び方、お、怒られるときのあれだ……。
「なにぃ?」
ドアを少し開けておそるおそるそこからちょっとだけ頭を出した。あぁ、やっぱり怒ってるぅ……。
「鍵が開いてたぞ! 戸締りはしっかりしろと、言っただろ!」
「え〜なにいってるの〜あたりまえじゃないさっき兄さんがかえってきたときカギあけたんだから」
「は? お前こそなに言ってんだ。寝ぼけてんのか? 俺はたった今帰ってきたんだぞ」
「へ?」
「なんだよその顔は」
「じょうだんやめてよ、さっき兄さんかえってきてあたしのあたまなでてくれたじゃない。それでうどんたべたいっていったからいまうどんゆでたんだよ。なのに兄さんかってにいなくなっちゃってさ、うどんとマリネさめちゃったよ。なのに、げんかんでそんなこというなんてヘン!」
「おい、ちょっと待て。変なのはお前だろ、」
そう言うと怒った顔が一変して、兄さんが心底困ったような顔をした。というより、混乱しているようだった。
「……ヘンなジョークじゃないの?」
ミシリ、カタン。
今度は家鳴りがした。その音はさっきの不気味さを思い出させた。同時にさっきから感じている違和感にも気づいた。
「兄さん」
「ん?」
「カギ……もってる?」
「当たり前だ」
「じゃあ、ベルなんてならさないよね」
「……?」
「なんでもなーい。うどんたべよー。あ、でもさめちゃったからあたためなおすねっ」
よくよく考えたらそうだ。普通、自分の家に入るのに呼び鈴ならさないもん。
あのとき家に入れたのは、あたしの兄さんじゃなかったんだ。兄さんが兄さんじゃなくて、あたしはさっきまでホントはひとりだったのかなあ。寝ぼけてたのかなあ。
リビングに置きっぱなしだったごはんを片付けようとお皿に手をかけた。うどんが片方だけ、ちょっと量が少なくなった気がしたけど、やっぱり寝ぼけてたんだと思うことにした。
(終わり)
- 総念① (怖い話) ( No.4 )
- 日時: 2010/10/03 10:25
- 名前: 書物狂乃魔女 ◆O8ZJ72Luss (ID: aXtewNOi)
語り部:清須一之助(きよす・かずのすけ)
藪から棒に聞こえるかも知れないが、みんな、日本の電車は世界一正確だ、という評判を多かれ少なかれお聞きになったことがあるのではないだろうか。
なにも自慢をするわけではない。しかし、確かにこの島国の民はとにかく時間に正確であることを重んじているし、普通のダイヤで運行している電車や新幹線が一分でも遅れれば何か異常があったと思う人が大半だ。
そんなに驚いた顔をするな、本当のことなんだから。
実際首都の環状線などは、朝晩には二分おき、三分おきで走っているから、たとえ一分でも遅れれば大変なことになってしまう。
そういう意識が人々に浸透しているからなんだろうな、おかげ様で我が国の交通機関はなかなかの正確さを誇っているわけだが、もちろん遅れたり止まったりすることが決してないわけではない。いくら駅員や運転手の方々が骨身を削って万全を期しても、どうしても防げない外的要因というものがある。
ひとつは工業国にはあるまじき多さとまで言われる、だが我々にとってはお馴染みの、地震や台風といった天災。
そしてもうひとつ、これは全世界どこに行ってもあるな、人災だ。
先日この人災というものに、我が国特有——なのだろうな、あれは——まあそういった少し変わったからくりがあることが分かったんだ。
内輪の事情だから、面白くないかもしれないが、今回はそれを喋らせて貰おう。
(続く)
- Re: 怪奇拾遺集 ( No.5 )
- 日時: 2010/03/14 09:13
- 名前: 闇の中の影 ◆xr/5N93ZIY (ID: YDf5ZSPn)
おや、なんだか俺の意味が分かると怖い話に
似ている。今晩は。闇の中の影と言います。
これからよろしく。
>>3の答えはこれだね
→兄さんはカギを持っている
→持っているならベルはならさない
→帰ってきた時、顔は見えなかった
→うどんを作っていると、いなくなった
→兄さんが帰ってきた
→兄さんは今帰ってきた所、と言った
→うどんが片方少なくなっている
→つまり、泥棒
→ミシリ、カタンと音がした
→ミシリは体重がかかる音、ではカタンは……?
→つまり、泥棒はまだ家の中
- Re: 怪奇拾遺集 ( No.6 )
- 日時: 2010/03/13 23:01
- 名前: 空 ◆EcQhESR1RM (ID: MQ1NqBYl)
闇の中の影さんの推理ワールド、炸裂してますねぇ〜。
いやはや、これもまた不思議で面白い!
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