ダーク・ファンタジー小説

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スキルワールド
日時: 2019/02/24 17:59
名前: マシュ&マロ (ID: R9GAA8IU)
参照: http://www.kakiko.info/bbs2a/index.cgi?mode=view&no=1029

 どうも、マシュ&マロです

 この小説は『スキル』と呼ばれる能力を持つ者が存在する世界を題材にしたファンタジー作品です。
{自分の文才はかなり低いですが、諦めずに書こうと思っています}



※注意書き※

・オリキャラの募集はリクエスト掲示板でやっています。

・小説への意見や指摘は、リクエスト掲示板にあるスレットへお願いします

・作者は投稿が遅かったりしますので、ご了承下さい

・スキルワールドの説明などはリクエスト掲示板にありますので興味のある方はお読み下さい


それでは小説スタートッ!!



 第一幕『黒奈友間という少年』
 >>64


 第二幕『一人の裏切り者』
 (前半)>>102

Re: スキルワールド ( No.151 )
日時: 2019/10/29 22:15
名前: マシュ&マロ (ID: R9GAA8IU)



 「おいおい黒奈、まじで此処どこだよ?」


 「俺にも何が何だか・・・・・・、というか見た感じからして危険な香りしかしない場所だね」


 友間と京八がいるのは屋敷の地下、もっと詳しく言うと地下牢のような場所で血生臭く陰気な感じである。


 「ジャッキーの義母は趣味でこんな空間が好きなのか、もしくは別の趣味でこんな空間にならざるおえなかったかの2つの内のどっちかだな、黒奈はどう思う?」


 「趣味が拷問じゃないことを祈っとくよ」


 そう言うと何かに誘われるようにおもむろに歩き出した友間、その様子に少しの疑問を浮かべた京八だが背負われている身なのであまり強くは言えない様子である。


 「何か気になる事でもあったか?」


 「何か、この先に・・・・・・」


 「先に・・・・・?、....んっ!?」


 とある牢屋の前で立ち止まった友間、その中には血塗れの青年が力尽きたように倒れている。


 「...み..ず.....を...」


 「おいおいやっぱジャッキーの義母って拷問の趣味あるだろ!?」


 「そんな事より何か食料を探してくるから京八はここで待ってて!」


 そう言って牢屋の前で京八を降ろすと元来た道を駆けていく友間、そして奥の暗闇へと姿が消えていったのを見送ると京八は青年へと視線を戻した。


 「仕方ねぇな、黒奈の戻ってくる前に檻でも開けとくか・・・・・」


 そう言ってスキルを使おうとする京八であったが、あいにく燃料切れのため右手に静電気程度のものしか発生せず軽く溜め息を漏らした。


 「ハァー、気合いと根性で開けるしかねぇか.....」


 そう言うと背に激痛を感じつつも檻の錠に右手を添えるかたちで触れると、僅かな残量から絞りとった電気を一気に錠へと流し入れる。

 すると錠は錆びて古くなっていたせいか錆と破片を飛ばしながら呆気なく壊れてしまった。


 「更に空腹度が増しちまったなこりゃあ、しかし何で屋敷に地下牢があるんだ?」


 その時、京八の耳は薄暗く地生臭い空間の向こうで奇妙な音を聞いた。何かこう、物を引きずるような嫌な感じな音である。


 「ま、まさか敵とかではないよな? 今の状況的に俺ってフルボッコし放題っていう感じだしな」


 そう京八が独り言を呟いている間にもその音は段々と近づいてくる。そしてその姿が見えた瞬間に京八は我が目を疑ってしまった。


 「俺、ゲンター.....ここの拷問、担当だ」


 そう呟いたゲンターの顔は試合後のボクサー以上に醜い顔しており体は背が異様に曲がりそれに細い手足が付いているような感じに思える。

 だが京八が驚いたのはそんな事ではなく、ゲンターの引きずっている物体に対してだった。


 「黒奈ッ!?」


 「これ、か......さっき、拾った」


 「畜生やるしかねぇのかよ!、ならいつでも掛かって来やがれってんだ!!」


 最早どうにでもなれとでも言いたげな感じで身構えた京八は、ここの拷問官であるゲンターと対峙する。

Re: スキルワールド ( No.152 )
日時: 2019/11/03 12:10
名前: マシュ&マロ (ID: R9GAA8IU)



 京八は檻の鉄格子へと叩きつけられた。スキルが使えない上に異常な程のゲンターの腕力に対して太刀打ちは困難であった。


 「いててて....、こっちは屋敷の客だぞ! まぁ不法侵入ではあるけど・・・・・」


 「侵入、ダメ.....お前、殺す」


 そう言うとゲンターの右腕が突き出される、だがそれは何もない空間を掴み取り大きく空振りする。

 すると冷や汗をかきながら何とか背後へと回り込んだ京八は体重を乗せてゲンターの背に肘打ちを食らわせる。


 「こちとら遊びでここへ来たわけじゃねぇんだよ!」


 そう言って追撃がてら横腹へと膝蹴りを加えて後ろへと退いた京八、手応えは充分に感じられた、あとは決定打としてスキルが使えれば最高なのだが・・・・・・。


 「痛、かった.....ぞ」


 「チッ!、さすがに頑丈だな、それに痛みに対しての耐性でも持ち合わせてんのかよ」


 京八は床を強く踏み込むと前へと飛び出していき、ゲンターの顔面に拳を叩き込んだ。ゲンターの腕が自身へと伸びてくるのが分かり身を退こうとするが、突然背に痛みが走った。


 「チッ!、火傷の傷が開いちまったか!」


 「掴、まえた....」


 手首を掴まれ力任せの勢いにのって地下牢の壁へと叩きつけられた京八、それに今の衝撃で分かったことがある。今ので確実に右腕は折れたという事が強烈な痛みと鈍く鳴り響いた音で容易に想像できたのであった。


 「グハッ!?、.....こりゃあ一旦タンマだ」


 「・・・・・・無理、だ....」


 「予想通りの返事をどうも」


 京八はまだゲンターに掴まれている、また力任せに振り回され今度は背中から床へと叩きつけられ床が破壊される。


 「・・・・・・ッ!!? 効くぜこれは.....」


 吐血しながらもそう絞り出すように言葉を吐き出した京八、するとまたゲンターに振り回されない内にとある行動に移ることにしたらしい。


 「ここからは俺も本気でいくぜ....」


 そう言うと口内に残っていた自身の血を飲み込んだ京八、すると次の瞬間ゲンターは吹き飛ばされた。


 「俺のスキルは口にしたものを電気に変える力だ、特に柑橘系や炭酸飲料がベストなんだが.....まぁ、こんな風に自分の血で作ることだって可能だ」


 そう言った京八の周囲に稲光が走った、だが今回のもの一味変わって血を模したかの様に赤く鮮やかであった。


 「ゲンターって言ったか?、悪いが今の俺には時間がねぇんだ。一発で決着をつけてやるぜ」


 そう言って構える京八、すると体の所々からは煙が上がっており今にも蒸発しそうな雰囲気である。

 そして京八は踏み出した。信じられない程の瞬発的な加速が速度となり重みとなり京八の蹴りがゲンターの腹部を貫いた。


 「お....えぇ・・・・・」


 呻き声を漏らしつつ地下牢の奥深く暗闇へと吹き飛ばされていくゲンター、それを見送った京八はスキルを解除し蒸気を上げる体は地面へと倒れ込んでしまったのだった。


 「はぁ、はぁ、はぁ....やっぱり負担がまだ重すぎるか....。自身の血を電気に変えれば強力なものを作り出せるが、あまりにも強力過ぎて俺自身をも焼き殺そうとしやがる」


 まさに諸刃の剣、だがこのまま戦っていても死んでいたのは間違いない。それにこれを使うのは京八にとって苦渋の決断であったことだろう。


 「まぁ取り敢えず生きてるんだ俺は、天に感謝感激ってやつだぜ全く」

Re: スキルワールド ( No.153 )
日時: 2019/11/03 22:52
名前: マシュ&マロ (ID: R9GAA8IU)



 ここは場所は変わってシエルと矢倉のいる部屋、そしてその部屋は今とても荒れていた。


 「ヤァーーーッ!!」


 槍によるシエルの突進、踏み出した瞬間ミサイルの如く加速をしその勢いは止まることを知らず部屋の壁を貫くが、どうやら矢倉には当たらなかったようである。


 「危ねえ危ねぇ、もう少し動くのが遅ければ確実に地獄行き列車に乗車してるところだったぜ」


 そう一人呟いた矢倉は警戒するような眼差しでシエルを見つめつつ自身のスキルを発動させる。


 「スキル『空の魚』ッ!!」


 すると矢倉の周囲から小ぶりでやや半透明な小魚の群れがまるで宙を泳ぐかのように上下左右を行き来する。


 「魚....ですか?」


 「ただの魚じゃねぇぜ、俺の周りにいる奴らは“銃弾”だ」


 「銃弾?、ちょっと嫌な予感がしますね」


 「いけッ!、弾魚たまざかなっ!!」


 シエルが身構えたと同時に宙を泳いでいた魚達が弾丸のように四方八方から飛んでくる。


 「せいぜい頑張れよ、まぁ銃弾にしては少し大型だがな」


 シエルは飛んでくる弾魚を出来る限りで回避し無理があるものは自身の槍で弾いていくが、それも長くは続かないであろう。


 (また面倒なスキルを......、それに自分だけ高みの見物なんて気に入らないな)


 そう心の中で呟いたシエルは弾丸の雨のなか矢倉へと槍を突き立てて突っ込んでいく。


 「なっ!、射て! 射って射って射ちまくれッ!!」


 シエルへ次々と放たれる弾丸、しかし迫り来るシエルに動揺していたせいか当たる事はなくシエルの姿が目の前まで差し迫ってくる。


 「この!.....グホッ!?」


 槍が深々と腹部を貫くと勢いのまま壁まで突進していき止まった。勝負はこれで着いたことだろう。


 「それじゃあ僕は先に進めさせてもらいます」


 スキルを解除しそう言うとシエルはジャッキー達を追おうと後ろの方に向き直った。

 だが次の瞬間、もはや虫の息と化している矢倉に手首を掴まれてしまいその方に振り返ったシエル、すると矢倉は血を吐きながらこんな事を呟いたのだった。


 「死ぬのなら......道ずれだ...ぜ」


 「んっ?」


 訳が分からず小首をかしげるシエル、すると背後からの殺気を感じ思わず振り返ってみるとまだ消滅していなかった弾魚の姿があった。


 「まさかッ!?」


 「死んでくいなし.....射て..」


 その最後の指示を受けて主人もろともシエルを射ち抜く弾魚たち、シエルは死を覚悟にそれに耐えるしかなかった。


 「はぁ....はぁ.....はぁ......」


 なんとか生きていた、だが意識は薄れていき息も絶えだえであり死ぬのは時間の問題であろう。


 「僕は....まだ、ニコラを幸せにはしていない!」


 気合いと呼ばれる力でなんとか倒れず踏みとどまるシエル、何故そこまで彼がニコラを思いやっているのかは分からないが感情でどうこう出来る範囲ではないことぐらいシエル自身がよく分かっている。


 「僕は一度!、ニコラを.....いや彼女を見殺しにしたんだ!、それに彼女はあの時ずっと泣いていた!、悲しんでいたんだ! だから僕が全てを償い終わってもなおニコラを幸せにするんだ!」


 もはや正常に意識があるかどうかすら不明な状況、そして力尽きたようにシエルは血で汚れてしまった床へと倒れ込んだのであった。


 すると何処からか聞き覚えのある声が聞こえてきた。


 「あなたって相変わらず無茶が好きなのねシエル、だけどそこが好きっていうのは否定しないけど.....」


 「ニ....コラ・・・・・・??」


 視界がぼやけきり輪郭すら捉えられないが、間違いなくニコラのこえである。


 「お願い『生きて』。私の幸せを願ってくれるのは嬉しいのだけれど、あなたがいなきゃ私は幸せにはなれないのよ」


 体からの痛みが消えた、意識もハッキリした。だけど何処を見ようとニコラの姿は見当たらないままである。


 「ニコラ......」


 何処か悲しそうに一人そう呟いたシエル、だが立ち止まってはいられない。そう自分に言い聞かせて立ち上がったシエル、そしてジャッキー達を追うために自身の足で駆け出して行ったのであった。

Re: スキルワールド ( No.154 )
日時: 2019/11/09 13:02
名前: マシュ&マロ (ID: R9GAA8IU)



 「いやー、死ぬかと思ったぜ全く」


 そう言ったのは京八、地下牢の床にあごらをかいて座っていた。そしてその隣には友間、そして二人の真正面には二人の青年がいたのだった。


 「そんでお二人さん、あんたら何処の誰で何者なんだ?」


 「俺、クロって言います......こっちは弟のシロです」


 しばし緊張気味のクロとシロと名の二人、京八達を警戒しているのかあるいは人に対して疑心暗鬼となっているのかもしれない。それと名前は髪の色にちなんでいるよでクロは黒髪でシロは白髪である、それと顔立ちからして二人は兄弟なのであろう。


 「俺と黒奈はストラングの......というか訳あって脱走した身だ。此処に来たのも今言った“訳”ってやつだ」


 「悪い人......じゃないんですか」


 「そう思うのはあんたら二人の勝手だが、俺と黒奈は仲間と合流するために上に行くつもりだ。来るか?」


 そう問いかけた京八、少しの間きょとんとした様子のクロとシロであったがお互いに顔を合わせたあと同時に首を縦に振った。


 「よし!、決まりだな」








 場所は変わってジャッキーを背負いつつ屋敷の中を駆け回る土神、すると土神はジャッキーにこんな事を聞いてみた。


 「君は義母と話をつけに行くと言っていたが、スキルを制限された身で勝算はあるのかい?」


 「殺り合うことになればその時はその時よ」


 「それとこの階の部屋はあらかた見たつもりだけど、シセラは居なそうだね。上に行くかい?」


 「当たり前よ、それにシセラが私達の助けを待っているもの」


 するとジャッキーと土神の耳がこちらへと近寄ってくる何者かの足音を聞きつける。途中で別れたシエルとは違う革靴による足音である、そして二人は相手のいる方角を睨みつけた。


 「久しぶりねベーシン、監獄で会って以来じゃないかしら?」


 そう言って土神の背から降りるジャッキー、まだ制限の反動が残っているのか足元は少しふらつき額からは汗が見受けられる。


 「妹一人を奪い返すためにここまで来たことは認めよう。だが最初で最後の忠告としてお帰り願おうか」


 「嫌だと言ったらどうなるのかしら?」


 「・・・・・・消すまでだ」


 そう言って構えるベーシン、それに対してジャッキーも戦闘態勢に入ったがスキルを使用しようとした寸前、土神の声によって止められる。


 「ジャッキー、君の相手ここの親玉だ。こいつの相手はこの土神が引き受けさせてもらうよ」


 「俺とお前ではないお前に勝ち目はない、監獄にぶち込まれていたことからしても実力は容易に想像できるというものだ」


 「確かにそうかもしれないね、だけど僕も想像できる事が一つある。君に勝つ自分の姿がね」


 そう言ってニッコリと笑う土神、体はスキルにより段々と肥大化していき最終的には金剛力士像を模したかのような屈強な肉体と化していた。


 「ジャッキー、一つだけ良いかな?」


 「んっ?、何よ?」


 そう疑問を抱きつつ答えたジャッキー、すると土神は両手でジャッキーの脇を掴んで軽々と持ち上げるとキョトンとしているジャッキーに対してこう言った。


 「今から君を天井に向けてぶん投げる、怪我するかもしれないからそこは君なりに頑張ってね」


 「え、ちょっ....何言っ・・・・・・」


 言葉が終わる前にジャッキーはそのまま打ち上げられてしまい、耳元には空気との摩擦音が聞こえ目の前には勢いよく天井が差し迫ってくる。


 「この馬鹿!、もー仕方ないわねぇ.....」


 “復讐劇・血”ッ!!


 やはり出てきたオーラの色はいつもより薄く弱々しい赤をしており、天井を破壊するだけの力はあるのかどうか.....。


 「・・・・・ふー、よくもシセラをッ!!」


 義母であるミリーに対しての怒りで色は薄い赤から濃い赤へと変化する。そして天井と衝突する瞬間、全ての力を振り絞ってそれを破壊する。


 「・・・・・意識が.....」


 スキルは自動的に解除されジャッキーの意識を膨大な疲労感が奪い去っていく。無事ジャッキーが上の階の床に着陸した時には意識というものは既に消えていたのであった。

Re: スキルワールド ( No.155 )
日時: 2019/11/17 01:45
名前: マシュ&マロ (ID: R9GAA8IU)



 シセラの耳に何か大きな物音が聞こえてきた、最初は驚きのあまり心臓が飛び出てしまうかと思ったが、きっと姉が助けにきたのだと確信に似た何かが沸き上がってきた。

 すると突然、部屋のドアの開く音が聞こえシセラは咄嗟にそこへ視線を向けるが、入ってきたのは姉ではなく息を切らして部屋へと入ってきた母のミリー・システィアである。


 「良かった、まず無事のようね.....。それより私と一緒にここを抜け出しましょう! 隠れ家なんて世界中にあるのよ、此処に拘って留まる必要もないことだし」


 「で、でも......お姉ちゃんが....」


 「黙ってッ!、いくら実の娘だからってその事だけは言わないでちょうだい!」


 その怒鳴り声は耳を塞いでしまう程に怖かった、ベッドの上で拘束され動けずただひたすら身を震わせることしかシセラには出来なかった。


 「ご、ごめんなさいシセラ! つい怒鳴っちゃたりして怖かったわよね......でもあまり時間がないから早急に鎖を外してママと一緒に逃げましょう」


 「わ、私はここに....残りたいです...。お姉ちゃんが.....迎えに来るので....」


 そう言って実の母を拒絶したシセラ、その言葉はミリーの心を深く抉ったようであり、その瞬間シセラへの愛は不満となり怒りとなり娘への狂気へと至った。


 「何故よッ!!、何故なのよッ!? どうしていつもいつも皆は私を拒むのよ!? どうして私から離れようとするのよッ!?」


 「お母.....さん..?」


 その声に反応するかのようにシセラを睨みつけるミリー、すると歯を食いしばる様子で喉奥から声を発する。


 「『行くわよ』ッ!!」


 その瞬間、シセラが抱いていた恐怖は見えざる力へと変わり体が重力に逆らうように体が宙に浮くと母の元へと落ちていく。


 ______ガシャン....ッ!


 落ちていくシセラ、だがその途中で不幸かそれとも幸いか両手首に付けられていた鎖がそれを阻止する。


 「い、痛い......」


 「まだ私に逆らうつもりなの!?、『行くわよ』ッ!!!」


 興奮しているミリーは何がどうなっているのかさえ分からなくなりシセラを引っ張っている力を今の何重にも上乗せした。


 ______ボギ......ッ!!


 シセラの両腕は肘を中心に折れてしまい鈍い音を響かせる、そしてシセラはそれによって生じた激痛に悲鳴するのさえ忘れ、口が声を発せないままガクガクと震えてしまう。


 「何なのよ!?、『行くと言ったら行くわよ』ッ!!!」


 上乗せされた力...、それにより今度は骨どころの話ではなく両腕の皮と筋肉がミシリと音を立てて伸ばされ、皮の破れてしまった箇所からは血がポタポタと床へと垂れ落ちる。


 「助け....て...、お姉....ちゃん..」


 「ッ!?.....だからそれだけは口にするナァアァァーーーッ!!」


 ミリーの雄叫びに似た怒号が屋敷全体を震わせる、そしてシセラの両腕があと少しで千切れるといった時であった。


 「妹に何してくれてんのよッ!!」


 その声はミリーの斜め後ろの方から聞こえ、咄嗟に振り返ったミリー。すると目の前にはジャッキーの足裏がすぐ目の前まで迫り来ており、怒りが蓄積されたジャッキーの飛び蹴りがミリーの片頬を強く、そして大きく波立たせたのであった。


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