ダーク・ファンタジー小説
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- スキルワールド
- 日時: 2019/02/24 17:59
- 名前: マシュ&マロ (ID: R9GAA8IU)
- 参照: http://www.kakiko.info/bbs2a/index.cgi?mode=view&no=1029
どうも、マシュ&マロです
この小説は『スキル』と呼ばれる能力を持つ者が存在する世界を題材にしたファンタジー作品です。
{自分の文才はかなり低いですが、諦めずに書こうと思っています}
※注意書き※
・オリキャラの募集はリクエスト掲示板でやっています。
・小説への意見や指摘は、リクエスト掲示板にあるスレットへお願いします
・作者は投稿が遅かったりしますので、ご了承下さい
・スキルワールドの説明などはリクエスト掲示板にありますので興味のある方はお読み下さい
それでは小説スタートッ!!
第一幕『黒奈友間という少年』
>>64
第二幕『一人の裏切り者』
(前半)>>102
- Re: スキルワールド ( No.3 )
- 日時: 2023/04/22 00:14
- 名前: マシュ&マロ (ID: 81ny2H6d)
知らない天井が見える、瞬きをニ回してみた。
知らない天井が見える。
周囲を見回してみる、鼻を突くような消毒液のにおい、ここは病室だろうか。
ベッドから身を持ち上げる、此処はどこだ、なぜ此処にいるのか、考えろ、考えなければ___。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
半刻が過ぎただろうか、時間の感覚が分からない、外の様子を見ようとしたが病室の扉は開かなかった。窓や時計、外部の情報知る手掛かりとなるものは一切なく、今が昼なのか夜なのか、自分はどのくらい寝ていたのか____。
次に思ったことはどうして此処にいるのかだった、がしかし、それが思い出せない。頭を強く掻いた、何かが欠落していている、記憶の一部が抜け落ちたかのようだ、結局は分からなかった。
「___っ!」
不意に頬に触れてみた、ガーゼで覆われた方の頬に触れると布越しだというのに酷く痛む、頬の内側から傷口を舐めると糸で縫われたいるのが分かった、金属のような味が口に広がり鈍い痛みが走って思わず顔が引き攣る。
覚えているのは京八といつものように帰り道を歩いていたこと、そして彼が不思議な表情を浮かべていたことぐらいである。
「____?」
疑問に思い周囲を見回す、京八はどこにいるのか、彼は大丈夫なのかと___。
やはり誰も、自分以外は誰もこの病室には居なかった。
「_____っ!?」
扉がウィーン、と機械的な音を挙げて開いた。ここの看護婦か、女性の白衣が目についた。女性は少し驚いた様子で自分をしばし見つめて立ち尽くす、訳がわからず首を傾げていると彼女は早足にここを去っていく、彼女が戻ってくるまでにそこまで時間は掛からなかった。
「あの、えと、、、気分は大丈夫ですか?」
「え、まぁはい、大丈夫かと?」
多分そんな内容の会話を交わしたことだろう、彼女は手をそっと伸ばして自分の額に触れてきた、どうやら熱を測っているのだろう、いくつか質問され、それを慣れた手つきで彼女は事細かく紙に書き留めていく、看護婦は自身の書いた紙に一通り目を通すと物腰柔らかに自分を部屋の外へと誘導する。
廊下に出た、とてつもなく長く感じた、すべてが白い、壁も床も天井までも、これがまた歩いてみると足が鉛を入れたかのように重いのだ、まるで何日も歩いていないかのようであった。
しばらく歩くと自分がいた部屋とは異なる部屋についた、道中では自分と同じか下の年ぐらいの子とも数人すれ違った、中には見るのも憚られるような深手を負ったのも何人か見かけた、ここは何の施設なのだろうか、そう頭で思考する。
着いた部屋に入ると年配、それもかなりの年であろう風貌の男が白衣を身につけ諸々の書類に目を通しているところであった、男は曲がった背骨を動かしこちらの方を一瞥する、目線はすぐさま書類を見ていた、こちらを見ぬまま口が動かした。
「よく生きていたものだな」
しわがれた声、称賛ではなく呆れているといった方が近いかもしれない、額に皺を寄せた訝しむような顔で___。
「えと、あの・・・・・・?」
「座りなさい___」
こちらを見ずに老人は椅子の方を指し示す、看護婦が小声で座るよう自分の耳元で囁いてきた。
「あの、それで、先程の言葉はどういう意味で・・・・・・?」
老人の目線がじろりとこちらを向く、ヘビに睨まれたカエルの心境、固唾を飲む。
「ほんとうに何も覚えていないのか?」
はい?、思わずこんな顔を浮かべていただろう。老人が軽くため息をついた。
「そんな呑気な頭で、これでよく死なずに済んだな」
一周回って腹が立ってきた、今すぐその顔を殴りつけたい、そう思った。しかし、看護婦がどーどー、と自分の肩を押さえてくる。これではまず立ち上がることは不可能である。
「カマキリ__。君はこの男を覚えているか?」
え??、疑問が増える、話が見えてこない。
「そうか、分からないのならそれでいい、それもまた君自身が選んだことなのだから」
鋭い痛みが脳を刺す。カマキリ?、蟷螂___??
「____ッ!!?」
記憶が溢れてくる、思い出したのだ。
苦虫を噛む、脳が焼き切れたかのように熱をうねらせ、痛みを伴った警報が頭蓋を強く叩いてくる。看護婦の悲鳴だろうか、周囲の音がよく聞き取れない。視界がひどく霞む、そして大きく傾いた、とつぜん平行感覚を失い、頬が床に吸い込まれたかのように倒れ込む。視界を覆う暗闇、もはや悲鳴は聞こえない。
- Re: スキルワールド ( No.4 )
- 日時: 2023/04/22 11:19
- 名前: マシュ&マロ (ID: y7oLAcgH)
“神はいた、鉄槌をたずさえた神がいた。“
その瞬間、友間は叫んだ、カマキリを睨みつけ立ち上がる。白濁とした意識、身体がミシミシと軋む。獣だ、まるで獣のようである。血走った瞳に、うねる喉、唾液が飛び散る。
その姿を祝うのか嘲笑うのか、神は口元を歪め、何かを呟く。そして鉄槌は下される。
「ア“アアアア“アあ“ぁ“ッッ!!?!?」
カマキリに突進する、なりふり構わず、がむしゃらに、ひたすらに友間は右手を振り上げ、カマキリの中腹部、複数の腕が生えた辺りに木片を突き立てる。鈍い音と共に噴き出ていく血が友間の顔にかかる、深々と刺さった木片が血で滑って取れない、無理に引き抜こうと勢い余って転倒、直後に友間の頭部を無造作に振り抜かれた鎌が掠めた。カマキリは絶叫する、悲鳴が友間の耳をつんざく。
____ドゴッッ!?
慌てふためくカマキリの腕が友間の体を吹き飛ばす、骨どころの衝撃ではない、内臓が宙を舞う。リビングの壁に打ちつけられ痛みに耐えられず吐いた。ドバドバと血が滴る口元、胸から下の感覚が鈍く、そして苦しいのだ。肺を突き破った肋骨が皮膚を貫き、胃腸は目視せずともグチャグチャに潰れているのが分かる。体が動かない、脳が出血しているのか世界がぼやけて上手く視点が定まらない。
「ぁ___あ______ぅぷッ!?」
何か言おうとした気がしたが溜まらず吐いた、鼻からも血が滴る、息をする毎に苦しくなる。
「非常に残念だよ、出来れば生け捕りが良かったんだが・・・・・・」
カマキリは落ち着き払ってそんなことを言う、人間の姿に戻ったようであるが片腕の消失と腹部の重傷を負うこととなった。友間と京八、子供相手とはいえ、その代償は大きなものだった。
「__ぁ____」
友間は虫の息、未だ生きている事が驚かれる程である。薄れゆく意識の中、何かを言おうとしている。カマキリは呆れる、これほどの男はそういるものではないと__。
「介錯は任せてもらおう、せめて苦しまずに殺した後に、君の友人をそっちに送るとしよう」
せめてもの情けとカマキリは片腕を振り上げ、鎌へと変化させる。狙うは頸椎、長年にわたり組織の犬として数多の人間の首を切り落としてきた、この期に及んで失敗などはあり得ない。男の目がギラリと光を帯びたかと思うと、間髪いれず斬りつける。
バアアァンンンッッ!!!
刹那、男の体は爆風に煽られ吹き飛ばされる。理解が追いつかない、歯を食いしばり衝撃に抵抗する。その瞬間、脳がピシリと動き出す。そう、つまりは“備えろ”と脳が警告音を発したのだ。
視界は煙が立ち込め、状況の整理は未だ追いつかず、冷や汗が頬を伝い、顎先から落ちていく。視界の端に変化を感じ取る、咄嗟に体が反応した。振り抜かれた鎌が何かを仕留めた、いやむしろ男の方が仕留められたと言って良い。何かが鎌に絡みつき離れない、煙の向こう側へと引っ張られる、もの凄い力だ。
カマキリは藻掻いた、圧倒的な力によって床に叩きつけられ煙が晴れる。そこには友間が、友間が立っていたのだ。しかし姿は異様、木目を纏いしその風貌、髪の先からつま先まで身体が木材に置き換わっており、その両手は触手の如く伸びてカマキリを捕縛していたのである。
「どうなってんだッ!!?」
カマキリはそう叫ぶ事しかできなかった。
- Re: スキルワールド ( No.5 )
- 日時: 2019/09/07 23:04
- 名前: マシュ&マロ (ID: R9GAA8IU)
今度は肩を揺すられて起こされた友間、すると直ぐに自身が椅子に座らされているのに気づいた。
「んっ?、・・・・・・え〜と....こんにちは?」
友間の目の前には自分と向き合って座り、服装は黒服で容姿は黒髪にオールバックの整った顔立ちの男がいたのであった。
「やぁこんばんは友間くん、.....私はストラング第2基地の署長を任されている金森 剛(かなもり ごう)という者だ。まぁ周りからは“ボス”と呼ばれてる」
「・・・・・・1つ聞いて良いですか、ここって何処ですか?」
友間は警察の尋問室のような部屋の所々を見渡しながらボスにそう聞いてみた。
「・・・・・・大まかに言えば日本の海に浮かぶ無人島の地下にある基地の中だ。もう少し細かく言えば一般人では誰も知る者がいない島という事かな」
「.....っで、俺はどうなってるんですか?」
「っと、言うと?」
「俺の体が木だったり鉄だったりに変化したんです、普通じゃ信じらない事が目の前で起きたんです.....」
「 ・ ・ ・ それは“スキル”という普通ではありえない力だ」
ボスは何か物深しそうな雰囲気で友間に言った、しかし友間には理解できずにボスに聞き返してみる。
「え〜と.....つまりスキルって何ですか...ボス」
「もう少し詳しく言えば、スキルとは使い方で周りにも自分にも危害を......ん〜、やっぱり実際に見せた方が早いな」
するとボスは座っていたパイプ椅子から立ち上がると片手の襟を少し捲って友間に肌を見せたかと思うと次の瞬間にボスの片腕がダイヤの腕へと変化する。
「ワッ!、なっ! 何ですかソレ!?」
「これは自然系の[金剛]というスキルだ、この様にスキルは普通では考えられない事ができるし鍛えようでは更に上へ極める事もできる」
そう説明するとボスはスキルを解除して服の襟を整えると再び椅子に座り直した。
「じゃあ俺にも、そのスキルってものがあるんですか?」
「あるが、どんなスキルかは君が発動しないと分からない」
「よしッ! 俺もやってみます!」
すると友間は立ち上がってカマキリと戦っていた時の感覚を思い出してみる....。
段々とスキルの扱い方が分かってきた気がする。何と言うか体の一部を動かす感覚に近い、そう思っていると友間の体が全て木材へと変化する。
「よし!、上手くいきました」
「友間くん、君にはもう一つの鉄の姿もあるらしいね」
「はい、ちょっと待って下さい」
今度は友間の体が鉄へと変化したが、体は固苦しくなく普通通りに動くことができた。それもそれで友間にとっては奇妙な体験である。
「ん〜君のスキルは何だろうか.....」
「・・・・・・あっ!....俺、何か分かったかもしれません...ボス、ちょっとさっきの姿になってくれませんか?」
「んっ?、まぁいいぞ」
「どうも、少し失礼します」
そう言って友間はダイヤとなったボスの腕に軽く触れてみた、すると友間の体がたちまちダイヤの姿に変化した
「やっぱり....俺の予想、当たってました」
「それなら君のスキルは何なんだ?」
「はい、え〜と俺のスキルっていうのは・・・・・・」
- Re: スキルワールド ( No.6 )
- 日時: 2019/09/08 18:37
- 名前: マシュ&マロ (ID: R9GAA8IU)
「はい、え〜と俺のスキルってのはたぶん“性質のコピー”です」
「性質の、コピー...?」
「はい、説明すると物質の性質を触れる事で使える様になるって事です......つまり石に触れば体が石になって、火に触れば体が火になるって事です」
「・・・・・・これはまた一風変わったスキルだ、なら君のスキルは性質のコピーであって自然自体を操っていないのであれば自然系ではなく超常系という事か......」
深く考えるようにボスは腕組みをし眉を細めている、すると友間は言い切るかのようにこうボスへ言う。
「まぁ、よく分からないですけど俺のスキルはさっきボスが言った超常系ってやつですよ...きっと」
「そうか....まぁだとしたら話は早いな、なら後で誰かにストラングの基地の中でも案内させよう、しかしひとまず此処から出てから物事を進める事にしよう」
そう言うとボスは立ち上がってドアへと近づくと友間を手招きして先に部屋から出るように促した。
数分ぐらい基地の通路を二人が歩いていると偶然通りかかった京八と出くわした。
「おう!黒奈!、元気にしてるか!」
「ああ、京八こそ元気そうだね」
「・・・・・・二人で喋っているところ悪いが京八、お前は友間に基地内を案内してやってくれ」
「おー良いっすよボス、行こうぜ黒奈」
「それとだ京八、今回の任務の成果について少し話がある、あとで私の部屋に来てくれ」
「...はぃ、分かりました.....」
その後、京八に食堂や売店、他にも様々なトレーニング施設などを案内され最終的にはストラング第2基地にいる人の数は900程という事と基地にいる人には一人一人の部屋がある事も分かった。
「おっし! じゃあな黒奈、俺は全部案内し終わったから覚悟決めてボスに会ってくんな」
「じゃ、じゃあ頑張ってね京八」
そうして二人はお互いに手を振って別れ、友間は京八から渡された手書きの紙を頼りに自分の部室を探すことにした。
「え〜と俺の部屋は.....」
_______ドンッ!
「邪魔だ!、俺様が歩いてるのが見えねぇのかッ!!」
尻もちをついた友間の目の前には、いかにもガキ大将というかチンピラというのか柄の悪い取り巻きを数人従えた大柄で太った少年が怒号を吐き散らしながら立っていた。
- Re: スキルワールド ( No.7 )
- 日時: 2019/09/08 18:46
- 名前: マシュ&マロ (ID: R9GAA8IU)
「俺を見ずに何処見て歩いてやがった!」
「ど、どうもぉ〜」
友間はあまりの少年の怒りように引き気味に言葉を投げかけてみた、しかし少年の怒りはヒートアップしたようで、憤慨した顔で少年は友間の胸ぐらを掴んで体を引き寄せる。
「オイオイ舐めてんのか?」
「いえ、あなたを舐めても不味そうですので」
この一言で少年の怒りはピークに達し、友間を通路の床に投げ飛ばそうと両腕を高く掲げる。
「おいおい、もっと静かに出来ないのかよ?」
そんな声が憤慨する少年の背後から聞こえたかと思うと肩に誰かの手が置かれる、咄嗟に振り替えると見知らぬ少年が呆れ気味に立っていた。
「よお、俺は氷飴 零(ひあめ れい)だ、よろしく」
「邪魔すんな! 俺はコイツをブッ殺すんだよ!」
「いやいやストラングの基地内じゃ、殺しは“厳禁”だぜ?」
その声と共に肩に置かれた零の手からは周囲に向けて冷気が通路内に充満する。
「手を退かせ! お前もブッ殺されたいかッ!」
「やれやれ...一旦寝てな、フッ!」
そう言うと同時に友間を掴んでいた少年の顔に息を吹きかけると一息の間もなく少年の顔が霜に覆われ体が床に倒れ込んでいた。
「あれ、ちょっと加減を間違えたかな? まぁ死なない程度に抑えてるから大丈夫だろうけど」
「ありがとう...ございます」
「んっ? 良いって事よ、それじゃあ周りの取り巻きはどうすっかねぇ」
そう言って零が周囲の取り巻きどもに睨みをきかせると床に倒れた少年(親玉)を連れて何処かへと去っていってしまった。
「あいつら、新入りを虐めるのを遊びにしてるから気をつけろよ、じゃあまたな」
「あっはい、それじゃあまた」
こうして友間は新たに友達というものが増えた、まぁその話は置いといて友間は再び自分の部屋を探しに無人となってしまった通路を歩き出した。
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