ダーク・ファンタジー小説
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- スキルワールド
- 日時: 2019/02/24 17:59
- 名前: マシュ&マロ (ID: R9GAA8IU)
- 参照: http://www.kakiko.info/bbs2a/index.cgi?mode=view&no=1029
どうも、マシュ&マロです
この小説は『スキル』と呼ばれる能力を持つ者が存在する世界を題材にしたファンタジー作品です。
{自分の文才はかなり低いですが、諦めずに書こうと思っています}
※注意書き※
・オリキャラの募集はリクエスト掲示板でやっています。
・小説への意見や指摘は、リクエスト掲示板にあるスレットへお願いします
・作者は投稿が遅かったりしますので、ご了承下さい
・スキルワールドの説明などはリクエスト掲示板にありますので興味のある方はお読み下さい
それでは小説スタートッ!!
第一幕『黒奈友間という少年』
>>64
第二幕『一人の裏切り者』
(前半)>>102
- Re: スキルワールド ( No.161 )
- 日時: 2019/12/12 20:25
- 名前: マシュ&マロ (ID: R9GAA8IU)
「お願い『止まって』.....」
友間とアーベルの両者が衝突する直前、誰かのそんな声が聞こえたと同時に二人の体は金縛りにあったかのように動けなくなり少しの困惑が立ち込める。
「お久しぶりです友間さん、.....相変わらず無茶をしている様ですね」
友間の視界の先に現れたのは失踪中である筈のニコラである。落ち着いているニコラと打って変わって金縛りで声は出せないが友間の脳内は突然の出来事に困惑せざるおえなかった。
「困惑するのも無理はありません、まぁ,...わざわざ説明する気もないのですがね。お願い『解除』」
金縛りの解けた友間、すると多少の怒りを含んだアーベルの声がニコラへと向けられる。
「何のつもりだ」
「ターゲットであるミリー・システィアはカマキリにより殺されました。もうこれ以上の争いは無意味と判断しての私の行動ですが、何か問題でも?」
「・・・・・・・いや、無い......それに同盟中のお前と争ったところでこちらに一文の得もないからな」
そう言って話を断ち切るアーベル、すると混乱気味な友間の声が二人の耳元へと聞こえてくる。
「どうしてニコラが!?、それに同盟って一体.....」
「貴方には関係のない事です友間、それに・・・・・」
だがニコラのその声は遮られ、代わりにニコラの視線は背後から飛びかかってくるシロへと注がれていた。
「お願い・・・・・・」
「いや...、こいつは俺だけで十分だ」
そう言ってニコラを庇うようにシロの拳を受け止めたアーベル、それと同時に先程に受けた毒の影響かシロは床に崩れ落ちて吐血する。
「死に損ないでありながらこの威力、称賛に値する」
そう言ったアーベルの両腕はシロからの一撃をまともに喰らい激しく痺れいた。これにはアーベルもマスクの奥で苦笑を浮かべずにはいられなかった様子。
「・・・・・・話に戻らせて頂きますが、貴方に私の身の上話を語る気はありません。お願い・・・・・」
その直後、ニコラの背後で空間に歪みが生じたかと思うと異次元への扉が形成されニコラは友間達に軽く拝借するとその場を去ろうとする。
「待って!、まだ聞きたい事が・・・・・」
「私はありません....。今も、その後も.....」
そう言い残して去っていくニコラ、その様子に思わず走り出していた友間であったが、アーベルの横入りにより腹部へと蹴りを叩き込まれてしまう。
「ウッ!?、......ゲホッ! ゲホ! ゲホ!」
「彼女を追うにはお前では力不足だ、今は大人しくしているんだな」
そう忠告を残して扉の中へと消えて行ってしまったアーベル、それと同時に扉は跡形もなく消えてしまいこれでニコラを追うことは不可能となってしまった。
友間はまだ痛む腹を抱えつつ呼吸を整えてから立ち上がるとシロの事が心配になり小走りでシロの元へと急いだ。
「シロ!、大丈夫っ!?」
シロは床に倒れている。無理に動かさない事が何よりもベストであるが、シロはそれに反して無理に半身を起こしてこう言った。
「大丈夫です....、ただ毒の排出に時間が掛かっているだけですので・・・・・ゴポッ....」
再び吐血したシロ、しかしその血は普通の血液とは少し異なり黄色く濁っている。
「絶対に触れない下さい友間さん、かなり強力な毒です。毒が血管を巡る度に血管の内部から破裂するような痛みが今も駆け巡っています、....少し切られただけなのにまるで血液自体が毒に変換されていくみたいです.....」
息が荒い、口元からは血が垂れ流れており目は虚ろでいつもの力強さは消えていた。
するとシロは力尽きたのか糸の切れた人形のように友間へと身を預けると意識がそこで途絶えてしまう。
「ごめんシロ........」
「あらまそこの方、どうなさったんですか?」
そう背後から誰かに話し掛けらるた。首を動かし振り向いてみると見知らぬ男が立っており、男は友間にこう呟いた。
「俺は天羅って言います。なんというか傭兵団のリーダーやらせてもらってる身です」
「はあ.....ところで天羅さんでしたっけ、何か俺に用ですか?」
「まぁ応急処置の域を出ませんがシロに少々治療をと思いましてね....、ミクル」
「は、はい先生!」
そうテンパリ気味に現れた少女ことミクルは自身の持っている水筒から水を垂らしそれを自身の手で受け取ると、なんとそれをシロの顔へとぶちまけたのである。
「ち、ちょっと!?」
「だ、大丈夫ですから! ほら見て下さい」
そうミクルに言われるがままシロの顔を見てみると、先程顔にぶちまけられた水がシロの肌へ一瞬淡い光を残して吸い込まれるように消えていったねであった。
「これで大丈夫だと思います、多分・・・・・」
そう自信無さげに言ったミクル、すると天羅はミクルの頭を撫でつつこう呟いた。
「ありがとなミクル....。それと突然のお話なんですが友間さん、あなた.....ストラングに戻る気はありませんか?」
唐突すぎる質問、およびド直球で弾丸ストレートな質問。だが友間的には回りくどく言われるよりは幾分まだマシといったところであろうか.....。
「正直なところ、戻りたいです....」
「OK OK、その意思さえ確認出来ればあとはご自身でボスと交渉するのみですね」
そう真っ直ぐな眼差しで言った天羅は一旦大きく背伸びをすると微かな苦笑を覗かせた。
「いやー、流石に50kmを走りっぱなしだったので疲れましたよ。それにシロさんの方も相当疲れてた筈ですし、気を失っているのも今になって疲労が追いついたのかもしれませんね」
そう言って笑顔を見せる天羅、それとは打って変わって申し訳なさそうな表情となった友間は自身の膝の上で眠っているシロの頭を撫でると天羅にこう呟く。
「ところで天羅さん、俺達ってどうやって帰ったら良いんですか?」
「そこはもちろん大丈夫です、迎えのヘリが来るまでこの屋敷で数日は過ごすといった計画は立ててますから」
「そうですか.....」
友間の気がかりに思っている事はただ一つ、ジャッキーの義母が殺されたというニコラの発した言葉である。
もしそれが本当ならば、付近にいたと思われるジャッキーやシセラの安否はどうなのか、今回の件については友間にとって疑問が浮かんでくるばかりであった。
- Re: スキルワールド ( No.162 )
- 日時: 2019/12/12 22:21
- 名前: マシュ&マロ (ID: R9GAA8IU)
「ふむ、ミリーが殺されたか.....」
そう呟いたのは電脳世界に佇むノア、だがビジネスパートナーである筈のミリーが殺された事は予想の範囲だったかのようにこう呟いた。
「まぁ彼女の選んだ道だ、後悔はあるまい」
そして突然歩き出したノア、すると純白で染められた電脳世界を行くノアの目の前には突如として次元の裂け目が発生しノアはその向こう側へと悠然と消えていく。
「ここへ来るのは久しぶりだな」
裂け目を抜けて一言、そう呟いたノアの視線の先には“模された銀河”とでも呼ぶのか電脳世界とは打って変わって真っ暗な世界に数えきれない程の様々な光が灯っており、それはまさしく銀河の如く光景であった。
「“マキナス”.....、何処にいるんだ?」
すると遠くの方から一閃の光がノア方へと迫ってくる。そして衝突する直前にそれは止まりその正体を見せたのであった。
「はい、お呼びでしょうか....ノア様」
その風貌は光沢を放つボディーをしたロボットに似たものであり、身長に関してはノアを優に超しており3m程はあるであろうその巨躯でノアへと膝をつく。
「今はありったけの兵力が必要な状況だ.....、覚悟は出来ているか」
「はい、この通り.....」
その瞬間、マキナスを母体とした何千何万という本体より少々小型な分裂体たちが現れノアの視界を埋め尽くす。
「性能に関しては私に劣る代物たちですが、頭数を揃えるだけならば幾らでもこの通り.....」
「素晴らしい、これで世界は私のものだ」
そう言ったノアの目的は世界征服なのであろうか。そして以前に言った“世界の神になる”とはどういう事なのであろうか。
「戦いはもう目の前だ、その時には邪魔者は全て殺し尽くすのだマキナス」
「はい、邪魔...者■■は排除■ま■■■。」
そうバグった様に呟いたマキナス、その直後ノアは気づかなかった様だがマキナスの瞳の色が一瞬だけ赤く光り、そして消えて元の色へと戻ったのであった。
「今回も、シロに無理させちゃったな.....」
そう呟いた友間は屋敷の空いていた寝室で今もなお眠り続けるシロを心配の眼差しで見つめていた。
「シロが強いのは理解してる.....だけどシロだって人間だし、きっと限界があるんだよね」
ベッドの隣で座っている友間、眠るシロの額には脂汗が噴き出ており毒の影響か疲労によるものなのか、はたまた両方か......どちらにせよ無茶をさせたという事実には変わりないのだから。
「あーもー、俺は何も守れていない.....シロや母さんやニコラ、ましてやエンとの約束までも・・・・・・」
言葉に詰まったのかここで声が止まり、代わりに溜め息を吐く音が聞こえてくる。友間も友間で思い悩むこともあるという事なのだろう。
「ダメだダメ!、しっかりしろ俺! こんな所でへこんでたら何も守れなくなるぞ!」
そう両頬を叩きつつ自身へと渇を入れる友間、失うのが恐ければ少しずつでも頑張るのみ.....それが今の友間の答えである。
「っと...、言っても今は切り札に欠けるしなぁ.....代用品としてはあるには有るけど、代償が腕一本って両刃の剣だから沖田さんやルカさんに特訓でも今度頼んでみようかな?」
そう言って立ち上がろうとした友間であったが、突然シロに片腕を強く掴まれた。驚きのあまり振り返ってみたが起きた訳ではなさそうである。
「・・・・・・いか....ない..で....」
そう寝言で言われ再び座り直そうか迷った友間であったが、気づかぬうちにシロの握る力がどんどん増していき手首が悲鳴を挙げている事に気づかされた。
「ちょっ....キブ...シロ、....ヤバイってこれ」
自身の片腕をを助けようと引っ張る友間であったが、自省の効かなくなった状態のシロの力は凄まじく逆に引っ張られてしまい抱き枕のような状態にさせられてしまう。
「ど、どうしよう.....これ」
- Re: スキルワールド ( No.163 )
- 日時: 2019/12/17 22:10
- 名前: マシュ&マロ (ID: R9GAA8IU)
「ふぅ....、ようやく抜け出せた....」
そう一人呟きつつ廊下を歩いていく友間、そして突き当たりに差し掛かったところで何やら物音が聞こえてくる。
「何の音なのかな......?」
そう言って警戒気味に廊下の突き当たりから首を出してみる友間、すると視界の奥の部屋から明かりが漏れており音はそこからのようだ。
「ここにきてモンスターとか出てこないよね?」
そう言うと慎重に歩みを進めていく友間、そして扉の前へ辿り着いたところで拳を強く握り締めつつ部屋へと転がり込むように入って行った。
「んっ?、どうした黒奈?」
「えっ、京八....?」
ここは食料庫であろうか、そこでは京八が何やら食べていたようで友間は呆気に取られてしまった。
「いや〜、クロとシロが腹減ったって言うから付き添いで俺も来てたんだが、俺も俺で小腹が空いてな」
「えっ、二人もいるの!?」
「「ここにいま〜すッ!」」
そう声の聞こえた方を友間は見てみると、食べ物の山に囲まれている二人の様子が見受けられた。
「良かった〜、今さら敵でも出てきたのかと思って心配しちゃったよ〜」
「おっ、黒奈も何か食うか?」
「それはあとにしておくよ京八、それより土神さん達は?」
「上の階にいるらしいぞ?、あとシロの様子はどうだったんだ?」
「まぁ、死なない程度には元気ってところかな」
そう苦笑混じりに言った友間、だがシロに対する心配が無くなったという訳ではない。
「じゃあ京八、俺は土神さん達の様子を見に行っとくから少しの間だけシロのこと頼めるかな?」
「おう!、お前が帰ってくるまで嫁さんの面倒は任しとけ!」
「ちょっと!、シロとはそういう関係じゃないってば!」
そう頬を赤らませて反論する友間、それを笑いつつ聞いている京八は思わずこう呟いた。
「いやいや同じ屋根の下、しかもシロがお前に片想いときたら普通はそうなるのが筋だろ?」
「はいはい俺の敗けですとも、それじゃあシロの事は少しの間だけ任せとくからね」
そう言ってこの場を後にする友間、目指すはジャッキー達のいる部屋である。
_______コンコン.....。
「ちょっと良いですか土神さん?」
「あぁ、友間くんか.....どうぞ」
土神は眠っているジャッキー達の面倒を見ていた。それにここには傭兵団の面々もおり警備とやらも万全のようである。
「おっ、これはこれは友間さん。お友達の見舞いですか?」
「どうも天羅さん、それからジャッキーとシセラの様子はどうですか?」
「ぐっすり快眠とまではいかないが、順調に寝れていると見て良いんじゃないかな? だけどそれよりも身体面と精神面へのダメージが大きくてストラングに着くまでに何処まで回復できるかは・・・・・・」
そう天羅の言う通り、ジャッキーとシセラの体はもはやボロボロでありジャッキーは肋骨を含めた幾つかの骨が折れておりシセラの方も両腕が折れている。
それに今回の件では色々とあり過ぎた、監獄から始まりノアの襲撃に次いで囚人たちの脱獄、それからシセラを助け出すためにストラングを必死の思い出で抜け出して今へと至る。
「本当に今回は色々とあり過ぎました......、このまま少し静かになれば良いのですが.....」
「・・・・・・まぁ俺からのオススメとしては今日のところは休む事です! それに空腹では戦えないのと同一で不眠のままでは何もできませんので」
「そう.....ですね、じゃあ今日のところはこれで失礼させてもらいます」
そう言い残して去っていく友間、すると土神が天羅に対してこう問いかけたてきた。
「あなた達は金で雇われている身ですよね?、ならばノアに雇ってもらうという場合も・・・・・・」
「すみませんが土神さん、俺らはこう見えて客は選ばせてもらってるんですよ。だからノアの元へは付く気はありません、それに悪党に肩入れするより気楽が一番ですしね」
そう言って笑う天羅、そしてその様子を見ていた土神は相手を買い被りすぎていたと思い苦笑の表情を見せたのであった。
- Re: スキルワールド ( No.164 )
- 日時: 2019/12/21 22:51
- 名前: マシュ&マロ (ID: R9GAA8IU)
あれから2日が経った、そしてストラングへと無事帰還した友間達は今回の件についての説明をボスにするため所長室に来ていた。
「今回の原因であるジャッキーは昏睡状態、そして妹であるシセラも全治半年以上という両腕骨折の重傷。そして京八、君も背中の大部分を焼かれたらしいがそこに座っていられるのも不思議なレベルだ」
「いや〜ボス、それほどでも〜!」
「はぁ......ところで、ここに集まってもらえた訳だが京八にシエル、そして友間....。率直に言って今回ばかりは目にあまるぞ」
そう言って話をここで切ったボス、するとここで友間が口を開いた。
「はい、今回は流石に.....。それに結果としてシセラを救い出せたのは不幸中の幸いでしたが、被害と照らし合わせると・・・・・・」
「その先は言わなくても十分に分かっている。それから話が反れるのだが、お前たちはアラクネと遭遇したらしいな友間」
「はい、と言いますか第一印象として強いという言葉に尽きますかね....。そしてシロが.....」
「あぁ、帰還したメンバーの中で一番重傷なのは彼女だろうな....。いくら美香が外傷を治せたとしても、ジャッキーやシロのような者を治すのは容易ではないことだ」
「それでシロとジャッキーは大丈夫なんですか?、それとも.....」
最悪の事態を予想してしまい一気に青ざめてしまった友間、だがボスの口から意外な言葉が聞こえてくる。
「命の危険はもう既に二人とも脱しているそうだ。本当に奇跡というか何というのか」
「よ、良かった〜」
「よし!、良かった黒奈! 嫁さんが生きてたぞ!」
「ちょっと京八!?、その言い方やめてよ!」
「ゴホンッ! 本題に入らせてもらいたいのだが、宜しいかな?」
「「あっ、すみません.....」」
「本題は君たち三人を含めた脱走メンバーをどう処分するのか、だ....。当然ながらストラングの外へ放り出すわけにいかないのでね、ここは少し私の方に妙案がある」
「「「妙案....??」」」
シセラ、京八、友間の三人はそれぞれ顔を見合わせてからボスの方を疑問の眼差しで見つめ、ボスの言葉を固唾を飲んで待った。
「でっ、君たちへの処分なのだが・・・・・・」
ここはストラング基地内にある開けた部屋である。そしてそこでは沖田の声が響いており、そこに三人はいた。
「さぁまだまだ走れ!、特訓はまだ始まったばかりだぞ!」
三人の課された処分というのは『一週間、沖田のスパルタ特訓』を受けるというものである。まぁ見方を変えればまだ軽いといったところであろうか。
「はぁ、はぁ、こりゃあ相当ヤベェぞ黒奈」
「ぼ、僕の方も足が......」
室内を大回りに走り始めて一時間弱が経ったであろうか、もはやヘトヘトになっている三人とは打って変わり沖田の方は涼しい顔で三人よりも何周以上も多く走っていた。
「は、はは.....沖田さんって改めて凄いや」
そう苦笑いをしつつ呟いた友間、そしてここで気になる事があった。
「ところでシエル、土神さんって最近見ないけど一体どうしてるんだろうね?」
「あー確か、基地内の節電のために自転車型発電を永遠と漕がされているとかなんとか......」
「おい三人とも!、口を動かすのであれば足もその分に動かさんか!」
「「「い、イエスマム.....」」」
「違う!、私の事は『沖田隊長』と呼ばんか!」
「「「い、イエス沖田隊長!」」」
そんなこんなで沖田からのスパルタ特訓を強制的に受けさせられている三人、するとそこへ美香が様子を見に来たらしくその場で立ち止まると一人呟く。
「さてさて、久しぶりに沖田ちゃんにセクハラでもしますかね♪」
そう言って美香が指を鳴らしたその後に聞こえてくる沖田の悲鳴に次いでの怒号の原因は何を隠そう美香本人であった事は紛れもないことである。
- Re: スキルワールド ( No.165 )
- 日時: 2020/01/02 17:54
- 名前: マシュ&マロ (ID: R9GAA8IU)
沖田の特訓が始まって既に3日が経っていた。そしてもう昼を過ぎていた頃だろうか、休憩に入っていたシエル・京八・友間の耳にジャッキーが目覚めたという知らせが入った。
「本当ッ!?、お姉ちゃん!」
「あぁ友間、私が直に見てきたからその事については保証する。それと沖田、もう少し近く座ったらどうだ?」
そう言って美香は自身から距離を取って休憩している沖田に手招きをし近くに寄るよう誘導するも、沖田からは警戒の眼差しで断られてしまった。
「嫌だぞ私は!、お前の近くにいると何されるか分かったものじゃないからな」
「えー、悲しいなぁ沖田ちゃ〜ん」
「それと私を“ちゃん付け”で呼ぶな!、言われただけで寒気が走る!」
「むふふ....ならば、沖田ちゃーん! 世界で一番可愛い沖田ちゃ・・・・・・おわっ!?」
すると美香は突如として飛びついてきた沖田に後ろから羽交い締めにされてしまい思わず降参の意を示したのだった。
「ちょっ!、タンマタンマ! あとでいっぱい沖田ちゃんのお胸を揉んであげるからそれでご勘弁を.....」
「こ...、この変態がっ!?」
「ぐお〜!、友間〜.....助けてぇ、お姉ちゃん苛められてる〜、死んじゃうよ〜」
「このぐらいでお姉ちゃんは死んだりしないので頑張って下さい」
「えぇッ!?、それって薄情じゃないの友間!」
「それじゃあ俺ら3人はジャッキーのところへお見舞いに行ってくるので沖田さん、あとは頼みました....」
「あぁ任せろ、こいつの世話は一番私が適任だ!」
「えっ!、ちょっ!? さっきより絞まってきてない!?、ちょっ友間! 友間〜〜〜っ!」
そんな美香からの助けを求める声を無視し友間たち3人はジャッキーのとこへ向かって行った。
「あら京八じゃない?、それと友間にシエルまで.....」
ストラング基地内にある救護室のベッドにジャッキーはいた。そして額や頬には傷を隠すように絆創膏やらが貼られており、着ている病人服の胸元からは首にまで包帯が巻かれている。
「よっ!、ジャッキー。相変わらずゴキブリ並の生命力だな」
「あんたねぇ京八、仮にも女の子に向かってゴキブリって・・・・・」
「おっ、確かに言い方が悪かったな。じゃあ死んでも死にきれないとかゾンビかよお前っ!」
そう京八が言った瞬間、ジャッキーに片腕を引っ張られ近くまで来たところでニッコリとした笑顔のままジャッキーはこう言った。
「あとちょっと良いかしら京八?」
「ま、まぁ取り敢えず怒るぐらいの元気があるって事で皆ハッピーに・・・・・」
「なる訳ないでしょッ!!」
_______パチィンッ!!?
京八の頬にジャッキーのツッコミがてらの平手打ちが喰らわされ、京八の口から噴水のように血が噴き出していく。
「ぐふっ!? 誰か警察か医者を.....」
「ちょっと京八、大丈夫?」
「ほっときなさい友間、こんな馬鹿にはちょうど良い薬よ.....」
するとここでシエルが口を開き、こんな事をジャッキーに聞いてくる。
「ところでジャッキー、結局のところ美香さんからのスキルの制限は消滅しちゃったの?」
「ううん、多分まだ.....残ってるわ。その証拠に暴走した分だけ気絶しちゃったしね.....」
「そう、まぁ何はともあれ暴走スキルに飲まれなかったのは不幸中の幸いってところだろうね」
「まぁそうねシエル、それに当分はやることも無いだろうし私は休ませてもらうわ」
「そんでジャッキー、怪我の具合はどう何だ?」
「あんたねぇ京八、会って早々に私に叩かれておいて立ち直りが早いわね.....、まぁ医者が言うには半年以上は安静とか何とか。それよりもシセラは無事なのかしら京八?」
「安心しろジャッキー、シセラなら昨日時点で退院してるぜ。まぁ両腕骨折だがお前の全身骨折よりかはマシだな」
そう言って苦笑を見せる京八、それに釣られてかジャッキーも苦笑しつつこう呟いてきた。
「特に股関節と上半身の損傷が酷いらしくて、痛くて痛くて敵わないわホント......ところでシロはどうしたの友間?、あの時に私達と別れて以来だけど」
「シロは今、昏睡状態らしい.....別に命の危機とかではないんだけどね...」
「んつ?、何があったの?」
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