ダーク・ファンタジー小説
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- スキルワールド
- 日時: 2019/02/24 17:59
- 名前: マシュ&マロ (ID: R9GAA8IU)
- 参照: http://www.kakiko.info/bbs2a/index.cgi?mode=view&no=1029
どうも、マシュ&マロです
この小説は『スキル』と呼ばれる能力を持つ者が存在する世界を題材にしたファンタジー作品です。
{自分の文才はかなり低いですが、諦めずに書こうと思っています}
※注意書き※
・オリキャラの募集はリクエスト掲示板でやっています。
・小説への意見や指摘は、リクエスト掲示板にあるスレットへお願いします
・作者は投稿が遅かったりしますので、ご了承下さい
・スキルワールドの説明などはリクエスト掲示板にありますので興味のある方はお読み下さい
それでは小説スタートッ!!
第一幕『黒奈友間という少年』
>>64
第二幕『一人の裏切り者』
(前半)>>102
- Re: スキルワールド ( No.131 )
- 日時: 2019/08/07 13:58
- 名前: マシュ&マロ (ID: R9GAA8IU)
「「ストラングを抜け出すッ!?」」
「しーっ!、誰かに聞かれたらどうするのよ!」
そう言って周囲を見回すジャッキー、だが相変わらず人の気配はなく本題へと話は移る。
「私たちで何とかするのよ、それにストラングだけじゃ力不足のようだしね」
「おいおいジャッキー、抜け出すのは良いとして最終的にどうストラングに戻るって来るんだよ?」
「責任は私の命を以て支払うわ京八、シセラさえ救えれば自分の命はどうでも良いことだし」
すると京八はジャッキーが発したその言葉に憤慨した様子で詰め寄る。
「だけどその場合!、残されたシセラはどうすんだよ! 自分の命は自分だけものじゃねぇんだ!」
「じゃあどうすれば良いのよッ!?、そうでもしなきゃストラングには戻って来れないのよ!」
「なら俺がボスに土下座でも何でもして許してもらうよう懇願してやるよッ!」
「ちょっと!、ジャッキーも京八も二人とも一旦落ち着いてよ!」
そう言って二人の口喧嘩を止めようとする友間、その様子に我に帰った京八とジャッキーは納得のいかないままお互いに顔を背けてしまった。
「いい、二人とも? 脱走するのは分かった、だけど口喧嘩はシセラを救出した後でやって」
「「分かった.....」」
その後、明日の真夜中に行動を起こすという事に決まり一旦解散する三人、今日のところは明日に備えて各自で準備をするという事になった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「はぁ〜、二人ともあんな調子だったけど本当に大丈夫かなぁ?」
______ドンっ!
独り言を呟いていた友間は前方から迫っていた人物に気づかず衝突してしまい、その場に居合わせた二人は音を立てて通路へと尻餅をつく。
「ご、ごめん!、怪我とか大丈夫!?」
「いや、僕は大丈夫だよ。それに君は黒奈友間って名前だよね?、ちょうど君に聞きたいことがあったんだ」
ぶつかったのは小柄な少年であった、すると自力で立ち上がりつつそんな事を友間に言った。
「聞きたい事?、えーと....君の名前は?」
「おっと、僕の名前はシエル。それとニコラは元気にしてるかい?、ニコラの“殉職”は嘘って事ぐらい知ってるよ」
「えっ.....と、何のこと?」
「シラを切るつもりかい?」
そう言ってニッコリと笑顔を見せるシエル、だが次の瞬間には友間の胸ぐらを掴んで自分の方へと引き寄せると、問い詰めるように一言一言を発する。
「だからニコラは元気にしてるのか否か、その意味を理解しているかい? ニコラは生きているんだろ?、そこのところどうなんだい?」
「ニコラは死んだ、それが事実だ」
そう言って胸ぐらを掴んでいるシエルの手を退けようとした友間だったが、何故かシエルの手から逃れることが出来なかった。
「今君が言ったことは嘘だ。僕って生い立ちのせいなのか人が今嘘をついたのかどうか分かるんだよね」
「そんな事を言ってもニコラが殉職したという事実は変わらないよ」
「・・・・・・・なら、良いんだけどね。“君たち三人”が脱走しようとしてる事をボスに告げ口しちゃおうかな?」
「えっ!?、何で知ってるの!?」
「ふふ、ようやくボロが出たね」
しまったと思い口を塞ぐ友間、だがどうしてシエルがその事を知っているのだろうか?
「僕って耳が良いんだ....いや、普通の人間なんかとは比べ物にならないくらいに良いんだ。それでどうする?、話す気になった?」
「・・・・・・・ハァ〜、分かったよ。話すから胸ぐらから手を離してくれない?」
「ふふふ、そう来なくっちゃね」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「.....っていう訳、これで満足した?」
「・・・・・・そういう事だったんだ。でもニコラがそんな事をするなんて....」
「シエルは、ニコラとの付き合いは長いの?」
「長いどころか、“前の彼女自身”からの付き合いだよ....」
「えっ?、『前の彼女自身』?」
シエルの言葉に疑問を覚えてしまい問いかけてみた友間、だがシエルは持ち前の笑顔でこう答える。
「まぁ、気にしないで良いよ。それより君たちの方は脱走にあたって戦力差がありすぎる、特にストラングなら尚更だ」
「あぁ、もう気合いで乗りきれる事を祈るしかないよ.....」
「・・・・・・ふ〜ん....、なら僕が脱走を手伝ってあげるよ」
「へっ?.....、良いの?」
「ニコラの事を教えてくれた“お礼”だよ、お礼」
そう笑顔を浮かべて言うシエル、彼の考えている事は友間には分からなかった。
- Re: スキルワールド ( No.132 )
- 日時: 2019/08/08 12:53
- 名前: マシュ&マロ (ID: R9GAA8IU)
「友間さんは明日、此処を抜け出すという事なのですか?」
「う、うん...。シロには心配かけたくないから伝えておこうと思って、どのくらい空ける事になるか分からないけどシセラを助けて絶対戻ってくるよ」
「・・・・・・なら友間さん、失礼ながら私も付いて行かせてもらいます。私は友間さんの盾であり矛ですからね」
話を聞き終わり、そう答えたシロ。その瞳には頑として揺らぐ事のない意思が宿っており、そんなシロの意思を変えるには相当の根気が要ることだろう。
「ありがとシロ、迷惑はかけるだろうけど....」
「迷惑?、友間さんを守れるのであれば私に迷惑という文字は存在しません!」
「うん。やっぱりシロには敵わないや」
「いえ!、いつか私を越えてもらいますからね!」
「そういう意味じゃないんだけどな〜」
こっちはこっちとして置いとくとして、ストラング脱走まで“あと一日”。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「んー、夜の七時か....。こりゃあ作戦実行まで長くなりそうだな」
そう言って自室のベッドに寝転んだ京八。ジャッキーとは喧嘩した時のまま仲直りできず一向に時間だけが過ぎていく。
「シセラを助け出せれば自分の命はどうでもいい...か....、あとに残された奴らの事も考えろよな・・・・・・」
そう言ってただ天井を見つめている京八、そんな京八自身はジャッキーの自己犠牲的な考えに納得がいかないよう様子だ。
「まぁ....人の進むと言った道にとやかく言うのも少し違う気はするがな.....」
まだ寝るには惜しい時間帯ではあるが、迷う心を落ち着かせるために京八はサッサッと寝てしまう事に決めた。
- Re: スキルワールド ( No.133 )
- 日時: 2019/08/09 21:57
- 名前: マシュ&マロ (ID: R9GAA8IU)
_____コンッ!、コンッ!
「んっ!、何だぁ?」
京八は誰かがドアを叩く音で起きた。やけに体が重く感じられ少し寝過ぎてしまったようだ。
______ガチャっ!
「んっ?、お前ら何でいるんだ?」
玄関の外には友間とジャッキー、それとシロと笑顔を浮かべる少年が待っていた。
するとジャッキーが口火を切るようにこんな事を言ってきた。
「今いつの何時だと思ってるわけ?、今から脱走するわよ」
「は?、お前ら何言って・・・・・」
京八はポケットに入れてあったスマホを見てみると時間は11時を少し回ったところであった、だがふと曜日を確認してみると日にちが一つ前に進んでいる事に気付く。
「・・・・・・って事はつもり....俺」
「寝坊よ、おねむさん。もうそのままで行くわよ!」
ジャッキーの迫力に押されて思わず皆を追いかけていく京八、寝起きのせいなのか寝過ぎたせいなのか少し頭痛がする頭を抱えて溜め息を漏らした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「いい皆、まず私たちは基地内にある“ヘリ”を奪取する必要があるわ。覚悟は良いわね?」
「それは良いがよジャッキー、こいつ誰なんだ?」
「僕はシエル、君たちの脱走をサポートするよ。ところで君の名前は京八だっけ?」
「まぁ何となく分かった。これから宜しくな」
「それじゃあ、話がまとまったところで行くわよ」
そう言ったジャッキーは何かの扉の前で立ち止まりパスワードらしきモノを打ち込む。するとサッと扉が開いて全員が中に入ろうとした瞬間、その場にいた全員は視界の先に映ったものに思わず硬直した。
「やあ諸君、何処か行くつもりみたいだな?」
そう言ったのは待ち構えていたボス本人だった、そしてヘリをしまうための格納庫らしき部屋には“幹部”と呼ばれる人物たちが物々しい雰囲気で鎮座していた。
「ジャッキー、引き返すんだ。全戦力ではないにしろ幹部たち相手に君達が勝てる見込みはない。君を含めたとしてもだよシロ」
「そうか、なら試してみようか?」
そうシロは殺気を含んだ様子で言うと数人の幹部が怯んで少し後退する、その様子を見てボスは溜め息を漏らすとこう言った。
「仕方ない......全員、捕縛しろ」
「逃げて下さい友間さん!、ここは私がッ!」
そう叫んだシロ。ボスの合図が出された瞬間、騒々しい声をあげながら大勢の幹部が友間たちを標的に迫りくる。
「でもシロが....!!」
「いいから行って下さいッ!」
「ここはシロに任せて逃げるわよ友間!」
ジャッキーに手を引かれ段々とシロから遠ざかっていく友間、込み上げてくる感情を押し殺して友間は自力で走り出した。
「また会いましょう友間さん、幸運を祈ります.....」
そう言い残して淡々と襲ってくる者達を薙ぎ倒していくシロ、そんな人波の中から急速に迫りくる気配に気付き迷うことなく守備の姿勢をとる。
______ドガンッ!!
ボスの放った拳をシロは両腕で防ぎ切る。するとシロはボスに向かってこう呟いた。
「昔はよく私に挑んでいたな金森」
「面と向かって話したのは久しぶりだなシロ、だが今は敵同士だ」
「ああ、分かっているさ“元主人”」
二人の殺気がぶつかり合い、その場に居合わせた者たちの額から冷や汗を滴らせたのだった。
- Re: スキルワールド ( No.134 )
- 日時: 2019/08/13 10:38
- 名前: マシュ&マロ (ID: R9GAA8IU)
「ハァ、ハァ、ハァ....これから俺ら!、どうするのジャッキーッ!?」
「取り合えず逃げるしかないわね友間!、逃げて隙を伺う他ないわ」
「OK、なら奇跡が起こる可能性に賭けとくよ」
そう言うと背後から迫ってきた幹部の気配に気付き迎え撃とうと身構える友間。だがジャッキーはそれを制止するとこう言った。
「今の貴方じゃ分が悪いわ!、それに今は体力を少しでも温存しとかないと.....」
「じゃあどうすれば......」
「俺に任せな黒奈!」
「えっ!、京八?」
「目覚めのストレッチがてらだ!、スキル『発電』ッ!!」
そう言って踵を返す京八、そして右腕にありったけの電気を帯びるとその拳を床へと叩きつける。
「しばらく寝てな」
拳を伝って床に放電された電気がほとばしり追ってきた者達を感電させていく。
「ちょっと!?、私達まで感電したらどうするのよ!」
「おいおいジャッキー、ちゃんと俺なりのコントロールはしてるつもりだぜ?」
「そういう問題じゃないの!、体力は大事な時のために取っておいてよね!」
「大事な時?、それが今だろ!」
そう言うと京八は床にもう一発だけ電気を打ち込むとジャッキーを追って走り出す。
「今ので残りの電気量を使い果たした!、誰か食いもん持ってねぇか、特にコーラか柑橘類だと嬉しいんだがな」
「そんなの無いに決まってるでしょ!、もう逃げるしかないわよ!」
「へいへい....あっ!、シエルは何か持ってねぇか?」
「えっ、僕? 何日か分の着替えと歯ブラシならあるけど?」
「俺らは友達の家にお泊まりに行くわけじゃねぇんだぞ!?」
「ところで皆、話してるところ悪いけど何処か隠れられそうな場所とかないかしら?」
「お前が始めた事だろうがッ!、その質問は今さら過ぎんだろッ!」
「ヘリの奪取しか考えてなかったのよ!、こんな事になるなんて想定外よ!」
そう言い訳を口にするジャッキー、すると直ぐに京八のツッコミが入れられる。
「いやいや!!、そこは想定しとけよなっ! いっそのこと俺が神にでも祈っとくか?」
「今は冗談やめてよ京八!」
そう言って通路を横に曲がるジャッキー、皆はそれに付いていくしかなく曲がるが希望は極端に薄そうであった。
「ねぇジャッキー、シロは大丈夫かな?」
「それは分からないわ友間....。だけどシロなら簡単に負けるわけがないわ、それにボスの目的は捕獲であって本気で私達を殺そうという気はない筈よ」
「そうだと良いけど・・・・・・」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
此処は場所が変わってストラングにあるヘリの格納庫、そこにはボスがおり取り抑えられているシロに片膝をついて淡々と語りかける。
「昔より力が落ちたなシロ、だがまぁ.....こちらも片腕の骨を持っていかれたがな・・・・・・」
そう言って右肩をさするボス、まだ痛みはあるがシロ相手に片腕で済んだのは最小限の損害と言って良いだろう。
「私の力が落ちた.....か...。悪いが金森、その言葉は訂正してもらうぞ」
「あぁ、まだ君が本気でない事ぐらい分かっているさ.....」
そうボスが呟いた瞬間、シロを取り抑えていた者たちが間を置く暇もなしに吹き飛ばされていく。するとボスは軽く溜め息を漏らすと立ち上がったシロを真っ直ぐに見つめ、頬からは心無しか冷や汗が垂れ落ちていく。
「さっきの言葉は訂正だ、昔と全然変わっていないな......私も、そしてお前も....」
「そうか金森?、私はお前が昔より成長していて嬉しい限りだが?」
「それは本気を出したお前に勝ってから聞きたいものだな....シロ」
そう苦笑いを浮かべて言うボス、そんな彼と対峙するように佇んでいるシロの雰囲気は先程とは比べものにならない程に禍々しくも透き通っていた。
「さぁ金森、昔の続きといこう」
- Re: スキルワールド ( No.135 )
- 日時: 2019/08/16 21:27
- 名前: マシュ&マロ (ID: R9GAA8IU)
ジャッキー達は今、急いでいた足並みを止めると突然として現れた美香を警戒の目で見つめていた。
「友間、あんたまで脱走に関与してたなんてお姉ちゃん悲しいわ」
「ここは見逃して.....って言ったらお姉ちゃんはどうする気なの?」
「そうねぇ、半殺し....かしらね?」
「・・・・・・皆ッ!、もと来た道を戻ろう!」
そう叫ぶと踵を返して走り出そうとした友間、だがその目線の先には刀を携えて待ち構えている沖田の姿があった。
「悪いが友間、もと来た道へ戻らせる訳にはいかないな」
「おいおいマジかよ。どうする黒奈?、ここはどっちかを強行突破でもするか?」
「生きて抜けられるならの話だけどね」
そう言って苦笑いを見せる友間、これはピンチ以外の何者でもないだろう。
心の中でそう思った友間はスキルを発動して全身から炎を吹き出させると、自分の姉には勝てないと思いまだ望みが沖田の方へと拳を構える。
「それは心外だな友間、それと美香も美香で自分の弟なんだから何とか説得できないのか?」
「私と似てたまに頑固なところがあるから説得はもう諦めてるわ」
「だがお前の性格上、頑固なのは『たまに』ではないだろ?」
「沖田ちゃんの意地悪〜!、ただ私は我が儘なだけだもん!」
「いや美香...、それはそれでダメだろ」
コントのような会話をしている二人を尻目に沖田へと飛び出していく友間、右腕に力を集中させつつ沖田の腹部に向けて拳を放つと沖田の刀によって防がれてしまうが次の瞬間には拳に溜めていた力を解放させ爆発が起こる。
「おいおい友間、若い内はそう焦るもんじゃないぞ」
まだ黒煙の漂うなか現れた沖田の右腕が友間の頭をがっちりと掴まえて通路の壁へと投げ飛ばす。
「おい沖田! 目的は捕獲だ、傷つけるのとは訳が違うぞ!」
「安心しろ美香、ただ久しぶりに稽古をつけてやるだけだ」
そう言って指をゴキゴキ鳴らす沖田、そんな彼女と対峙するように立ち上がった友間はふらふらとしながらも視界の隅に見える皆の心配をしていた。
「余所見は厳禁だと教えた筈だぞ!」
_____メキッ!
友間の顔に叩き込まれた沖田の拳はおさまる事を知らずに友間の体が鋼鉄の壁を突き破って消えていく。
「さぁて、ストレッチはこんなものかな」
そう言い残すと破壊した壁の向こうへと消えていく沖田、ところで友間はと言うと.....。
「ゲホ! ゲホ! ゲホ!、ちょっと沖田さん張り切っちゃってるな.....んっ?」
殺気を感じてしまい埃を払うのを止めて少し顔を上げてみた友間、するとそこには刀を振り落とそうとする瞬間の沖田がいたのだった。
「うおっとッ!?」
「むっ、少しは成長している様だな」
「ところで沖田さん、皆は無事なんですか?」
そう言って周りを見回した友間、ここは使われなくなった物置部屋か何かだろう。
「今頃、美香に捕縛されているところだろうな。まぁこちらも直ぐにそうなるだろうがな」
そう沖田は呟くと、蛇が獲物を捕らえるが如くスピードで刀を構えて迫りくる。
それを片足を犠牲に横へと飛び退いた友間は斬られた脚が再生するのを待ちつつバランスの安定しない状態で沖田から距離をとって身構える。
「相変わらずお前はスキルに頼り過ぎている、そのせいで今片足が斬られたのだからな」
「小手先の技術でどうにかならない強敵にはスキルを酷使しなきゃ負けるのは愚か死しか待ってないですからね」
「べつに殺す気はないんだがな?、まぁしかしお前もやる気が出たという事でよしとするか」
そう言うと数回軽くジャンプした沖田、そして深く呼吸をすると意識を目の前だけに向けてこう呟く。
「今回はさっきより数段速いぞ、それに更に鋭い」
抜刀のような構えを取る沖田、その様子を警戒した友間は再生した脚で床を強く踏みしめると直ぐにでも回避できるように身構え直したは良いもの、それは無駄足で終わる事となった。
「これで終わりだ....」
いつの間にか友間の背後に回っていた沖田はそう言い残して刀を鞘へと帯刀すると共に首がはねられ体だけとなった友間が床へと倒れていく。
「お前のことだ、この程度で死にはしないだろう」
軽く一息を置いて呼吸を整えようとした沖田、だが背後から発せられた見知らぬ声に沖田の警戒レベルは最高潮に達する。
「誰だッ!?」
鞘に手をあてて身構える沖田の視線の先には友間ではなく少し肥満気味にも思える男が立っていたのだった。
「俺はサンタム・スカル・サンズ、ただ自由を愛しつづける男さ」
「ふざけた名前だな、それに友間の姿が見受けられないが?」
「彼なら俺の亜空間に保護してあるからご心配なく」
「亜空間?、ますます怪しいな」
目の前に佇むスカルを睨みつける沖田、するとそこへ慌てた様子の美香が駆け込んでくる。
「沖田ッ!、変な奴が現れてジャッキー達が拐われ・・・・・・って、コイツ!!」
「悪いが昔、ジャッキーに少しばかりの義理があってね。助太刀という形で参上させてもらったよ」
「沖田、.....分かってるわね?」
「あぁ美香、分かっている」
そんな言葉のキャッチボールのあと、間髪入れずスカルへと飛び出していく美香と沖田、その様子にスカルは肩を落とすような仕草を見せる。
「君たち二人と戦うのは遠慮しておくよ、それじゃあ・・・・・」
沖田が首をはね、美香が残された体を吹き飛ばそうとしたが一足遅れてしまい当たる直前でスカルの姿が消えてしまった。
「・・・・・・・・」
_______ガンッ!!
無言のまま床に怒りをぶつけて破壊する美香、すると床に罪はないだろとでも言いたげな表情で沖田は自身の刀を鞘へと納めたのであった。
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